エレベーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 04:49 UTC 版)
日本におけるエレベーター
法令等
日本においては建築物に設置されるものは建築基準法の適用を受ける[14]。また、労働基準法指定事業所に設置されるものには労働安全衛生法の適用を受ける[14]。
日本で昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機等)を建築物に設置する場合は、建築基準法の規定に基づく確認・完了検査を受けなければならない。しかし、建築基準法で定める昇降機であるにもかかわらず、建築基準法の規定に基づく確認・完了検査を受けずに設置されている昇降機を違法設置エレベーターという。
建築基準法や各種法令では、5階建以下の建築物(集合住宅、雑居ビルなど)ではエレベーターの設置が義務づけられていない[注釈 2]が、6階建以上の建築物を建てる時は、(屋上を除く)全ての階に停止するエレベーターの設置が必須となり、設置していない建物には建築許可が出ないが、昭和50年代以前に建築された古い集合住宅だと、一部の階にしか停止しない(全ての階に停止しない)「スキップフロア型」を採用しているのもある。
特に工場や作業場等に多数設置されている、労働安全衛生法で規定される荷物用エレベーターや簡易リフトは、労働安全衛生法と共に一般のエレベーターと同様に建築基準法の規定も適用される。特に労働安全衛生法で規定されている簡易リフトは、かごの床面積により建築基準法で小荷物専用昇降機に規定されるものを除き、その多くは建築基準法に規定されるエレベーターの基準が適用されるが、その基準を満たしていないものが数多く設置されている。
さらに、昇降路の壁が設定されていないなど建築基準法はもちろん、労働安全衛生法の簡易リフトの規定すら満たしていない非常に危険な違法設置エレベーターも数多く設置されており、毎年全国の工場等で多数の死傷事故が発生している。こうしたことから、全国の特定行政庁及び労働基準監督署は、違法設置エレベーターに関する周知活動等を行っている。
斜行エレベーター・水平エレベーターと、鉄道(ケーブルカー含)・鉄道型遊戯施設の基本構造上の区別は曖昧であり、管轄法規が峻別している。
法令上の区分
エレベーターとは、建築基準法第34条で規定される「昇降機」の一種別である。なお、この「昇降機」は建築基準法施行令第129条の3の規定により、大きく「エレベーター」、「エスカレーター」、「小荷物専用昇降機」の3種類に分けられている。
エレベーターの種別
建築基準法で規定される「エレベーター」には以下の用途種別が定められている。
- 乗用エレベーター
- 主に人の輸送を目的とするもの。マンションや公団住宅、オフィスビル、商業施設、宿泊施設、総合病院、一戸建て住居などに設置されている。特に住戸内のみを昇降するエレベーターでかご床面積が1.1 m2以下のものは、ホームエレベーターという(別記記載)。また、マンション等では、かご内にトランクが設置されている場合があり、寝台やストレッチャーに乗せた患者の病院への搬送や、棺桶を上げ下げするため等に使用される。
- 人荷共用エレベーター
- 人及び荷物を輸送することを目的とするもの。法規上の取扱いは乗用と同じ。
- 寝台用エレベーター
- 主として病院、養護施設等で用いられ、寝台やストレッチャーに載せた患者を輸送することを主目的としていることから、法規上の取扱は乗用より緩和されている。建築基準法施行令第129条の3により寝台やストレッチャーを日常的に使用する建物以外への設置は禁じられている。また、多人数が乗り込む場合を考慮し、乗用エレベーターを併設することもある。
- 荷物用エレベーター
- 主に荷物を輸送する目的のためのもの。荷扱者または運転者以外の利用は不可。なお、労働安全衛生法で規定される「簡易リフト」にも、建築基準法で規定される「エレベーター」もしくは「小荷物専用昇降機」の規定が適用される。
- 自動車運搬用エレベーター
- 主に駐車場に設置され、自動車を輸送することを目的とするもの。自動車の運転手以外が乗ることは禁じられている。[要出典]
- 小荷物専用昇降機
- 次の3つの条件を全て満たしたものとなる。主に物品の運搬を目的としたもので人が乗ることは厳禁である。かつては「ダムウェーター」という名称だったが、dumbwaiterがdumb(物の言えない, 口のきけない)waiter(給仕人)として差別用語にあたるため[注釈 3]、小荷物専用昇降機に変えられた。建築基準法の条文も同様に変更されている。
- かごの床面積が1平方メートル以下
- かご天井の高さが1.2 m以下
- 積載量が500 kg以下
- 労働安全衛生法で規定される「簡易リフト」は、上記の1・2のいずれか一方でも満たしていれば該当する。
特殊な構造または使用形態のエレベーター
建築基準法に規定されるエレベーターは、前記に規定されるもの以外に以下のものが規定されている。
- 天井救出口がないエレベーター
- かごの天井部に救出用の開口部を設けないエレベーター。
- オープンタイプエレベーター
- 昇降路の壁または囲いの一部を有しないエレベーター。
- 昇降行程が短いエレベーター
- 昇降行程が7 m以下の乗用エレベーター及び寝台用エレベーター。地震時管制運転装置など一部の安全装置が緩和されている。
- 定格速度が速いエレベーター
- かごの定格速度が240 m/min以上の乗用エレベーター。
- ホームエレベーター
- かごが住戸内のみを昇降する昇降行程が10 m以下のエレベーターで、かごの床面積が1.1 m2以下のもの。通常の乗用エレベーターと比較して安全装置の一部が緩和されている。また、建築基準法第12条に規定される定期報告が義務付けられていない。
- かごの戸、天井などがない自動車用エレベーター
- 自動車運搬用エレベーターで、かごの壁または囲い、天井および出入口の戸の全部または一部を有しないもの。
- ヘリポート用エレベーター
- ヘリコプターの発着の用に供される屋上に突出して停止するエレベーターで、屋上部分の昇降路の囲いの全部または一部を有しないもの。
- ロングスパンエレベーター
- 資材や作業員を搬送する建設工事用の幅の広い仮設のエレベーター。
- 段差解消機
- 車いすに座ったまま使用するエレベーター。かごの定格速度が15 m/min以下かつその床面積が2.25 m2以下で、昇降行程が4 m以下または階段および傾斜路に沿って昇降するもの。なお、荷物用のリフトはこの規定によらない。
- いす式階段昇降機
- 階段及び傾斜路に沿って一人の者がいすに座った状態で昇降するエレベーターで、定格速度が9 m/min以下のもの。
非常用エレベーター
建築基準法(第34条2項)により、地上からの高さが31 m以上あるか、または45 mあるかまたは、地上11階以上(一部のマンションでは16階以上)の建築物には、一般用のエレベーターのほかに、非常用エレベーターの設置が義務付けられる。これは災害発生時に高層建築では消防隊が階段を上がって救出に向かうことが困難であるためであり、専用運転に切り替えられる装備をもつ。また地上から10階以下では設置は義務付けされないが設置されているケースもある。
非常用エレベーターは、火災等で商用電源が遮断されても運転できるよう非常電源(ディーゼル発電機など)から電気が受けられ、電線も普通の火災で焼けないよう耐火電線を用いて配線する。
かつては機械室がないタイプは一切認められていなかった[注釈 4]が、2015年の国土交通省告示の改正[注釈 5]により、駆動装置・制御盤等を、最上階フロア床面より上方に設置した機械室無しタイプは非常用エレベーターとして適用することが認められた[33]。この告示はその後2017年に再び改正され、IPX2以上の防水措置を講じることで、最上階の床面よりも下方に制御盤や駆動装置を設置することができるようになった[34]。
またかつては他の一般用エレベーターよりも速度が遅い仕様が多かったので(現在は最上階まで1分以内に到達できることが条件で、60 m/minが下限)、乗用として使用されることはほとんどなく、通常時は荷物輸送やビルメンテナンス要員・警備員の移動に用いられてきた。そのため用途種別はほとんどの場合「人荷用」となっており、最近の一部を除き一般客の目に触れないように設置されることが多い。一部の建物では、一般客が利用するエレベーターと非常用エレベーターを兼用している建物もある。
なお、非常用エレベーターは設置されている建物の全ての階に停止でき、かつ全階のエレベーターホールにはかご位置を知らせるインジケーターを設置しなければならず、エレベーターホールも防火戸等により煙や炎を完全に遮断することができる構造が必要になる。乗場には非常用エレベーターを示す、赤文字で「非常用エレベータ」、その下に最大定員と積載荷重を記載したプレートを掲示しなければならない。定員は最低で17名(積載荷重1,150 kg)と定められている。消防隊専用の装備として、主に1階か避難階に設置され、押すと他のかご内および、乗場の呼びを全て解除し呼び戻しボタンのある階へ直行する「かご呼び戻しボタン」、建物管理者や警備員から鍵を借りて操作すると消防隊専用に切り替わる「一次消防・二次消防切り替えスイッチ」がある。
一次消防運転では乗場呼びが無効になり、一種の専用運転となる。二次消防運転では乗場の戸閉検出装置が無効となり、かごまたは乗場の扉が閉まらない状態でも走行可能になるが、速度は最高でも90 m/minに制限される。
製造メーカー
- 日本の主なメーカー(大手)
- 三菱電機ビルソリューションズ - 三菱電機より昇降機事業を移管。2022年4月に三菱電機ビルテクノサービスから社名変更。
- 日立ビルシステム - 国内市場の設計開発部署を2014年に日立製作所から移行し、実質的な全面移管。海外市場は日立本体が行う。
- 東芝エレベータ - 2001年に東芝より昇降機事業を全面移管。
- フジテック - 日本の5大 大手の中で唯一電機メーカーに属さない専業メーカー。近年エアコンを標準搭載したモデルなどを精力的に発表し、国内シェアを押し上げている。
- 日本オーチス・エレベータ - 過去に資本提携(持分法適用会社)の関係があったことからNational OTIS(ナショナル・オーチス)を展開。東芝資本のTOYO OTIS(東洋オーチス)ブランドも存在した。現在は貨物用エレベーターの製造は日本においては行っていない。
- 日本の主なメーカー(中堅・小規模)
- 三菱日立ホームエレベーター - 2000年に三菱電機と日立製作所のホームエレベーター事業が統合して設立した企業
- パナソニック - 住宅用のみの販売(パナソニック エレベーター)となっている。過去に販売したNational OTISブランドの純正保守は日本オーチス・エレベータが担当。
- 三精テクノロジーズ
- エス・イー・シーエレベーター - 詳細はメンテナンス(保守)を参照のこと。
- 横浜エレベータ
- 三洋輸送機工業
- 守谷輸送機工業
- 中央エレベーター工業
- 日本エレベーター製造 - スクリュー式エレベーター開発の経緯から、駅舎のエレベーターに強みを持つ。
- ダイコー
- 日本エレベータ工業
- クマリフト - 工場向けの荷物用・人荷用エレベーターや低層階や雑居ビルなど向けの比較的小型なエレベーターに強みを持つ。[35]
- アイワ
- ワタベ産業
- 朝日輸送機
- 日東エレベーター - 防爆型エレベーターなど、自社独自開発の特殊エレベーターに特化する。
- IHIトレーディング - 大手総合重機メーカーであるIHIグループ。車用輸送機を得意とする他、乗用エレベーターも販売している。
- エレベータシステムズ - エステムのブランドでエレベーターを販売する。独立系保守会社としての顔も持つ。
- 富士エレベーター工業
- 東洋ハイドロ - 社名にあるハイドロの通り、油圧式エレベータ専業メーカーとして発足した。現在はロープ式エレベーターも製造する。
- 日本機器鋼業 - ヘリポート用特殊昇降機や舞台昇降装置を得意とする。各種乗用や貨物用エレベーターも製造する。
- 船舶用の主なメーカー
- かつて存在したメーカー
- シンドラーエレベータ - 旧・日本エレベーター工業。2006年のエレベーターでの死亡事故発生後は規模を縮小し、2016年秋に日本でのエレベーター・エスカレーター事業から撤退。その後、捜査・訴訟に対応する企業として存続していたが、2021年に清算された。事業撤退以降、日本におけるシンドラー社製(旧・日本エレベーター工業製も含む)のエレベーターの保守点検・修理・改修は日本オーチス・エレベータが引き継いで行っている[注釈 6]他、グループであった、シンドラーエレベータ純正兼独立保守会社のマーキュリーアシェンソーレ(現マーキュリーエレベータ)は同社に譲渡され、完全独立系となった。なお、大阪府に本社を構える日本エレベータ工業とは資本関係もなく、全く関係はない。
- 日本エレベーター製造 - 旧東松工作所。1915年に前身の東松工作所が製造した、わが国初の国産化した乗用エレベーターとなった「東松式エレベーター」と呼ばれる押しボタン式全自動エレベーターが大阪本町の呉服店に設置された。その後東松孝時はわが国最初の法人組織日本エレベーター製造を1919年に設立した。当時、関西方面の建築設計界で活躍していた片岡安博士を社長に東松孝時は常務取締役となって自身が経営する東松工作所を継承した。当初は交流一段制御の低速交流エレベーターが主体であったが、1931年には明電舎と協力して国産技術による初の90 m/min直流エレベーターを製造した。当時は一社で電気品と機械品をすべて製造するのは難しかったため、電気品は専門メーカーの協力を得ていた。その後国産技術の奨励の時流に乗り1936年に新しく完成した国会議事堂のエレベーター一式を納入するなど、国内トップメーカーとして多くの業績を上げた。1936年に日立製作所に買収され、販売、据付、保守を分担する会社として存続したが、1940年に解散してエレベーター事業は日立製作所に一本化された。日立製作所に買収されるまでに合計約3,000台のエレベーターを製造した。なお、現日本エレベーター製造とは別会社である。
- コネ - 2002年に第三者割当増資により、東芝株を取得したことで東芝との資本関係を構築。[36]実験棟に共同でエレベーターを開発するなどしていたが、2015年に日本から撤退。純正保守は東芝より昇降機部門を全面移管した東芝エレベータが引き続き請け負っている。
2022年現在、日本国内での総据付台数ベースでのシェアは以下のとおり。
- 1位 三菱電機
- 2位 日立ビルシステム
- 3位 東芝エレベータ
- 4位 フジテック
- 5位 日本オーチス・エレベータ
以上の5社でシェア約9割を占め、以降をシンドラーエレベータ、中央エレベータ工業等がその他を占める。
以前、フジテックは2007年の時点では大手5社の中で最下位であったが、近年エクシオール(同社製現行主力製品。エアコンを標準で搭載している。)を大規模に展開するなど日本全国でシェアを急拡大し、国内4位に躍り出た。
小荷物専用昇降機は上記の5社も生産しているが、これに限ればクマリフトがシェア1位となっている。なお、三菱電機の小荷物専用昇降機は子会社の菱電エレベータ施設(自社ではRYODENブランドの「リョーデンリフト」として販売。日本オーチス・エレベータにも供給)のOEMである。フジテックは精電社のOEMで小荷物専用昇降機のみの設置は認めていない(同社製エレベーター・エスカレーターと同時設置でなければ販売しない)。
メーカーの選定に際しては、建物所有者の資本系列や融資元金融機関の系列が絡むことが多い。例えば、丸の内ビルディングや横浜ランドマークタワーなど三菱地所が所有する建物では、必然的に三菱製が採用されることになる(ただし、横浜ランドマークタワーのプラザ棟のように、メーカー名が伏せられているがパネル形状から明らかに日立製とわかるなど例外がある)他、三井不動産系のビル、ららぽーと等ではフジテック製エレベーターが多く採用されている。[37][38][39]また、ラゾーナ川崎のように、東芝の土地に出来た建物も東芝エレベータが使われている。さらに特殊な事例として、茨城県内では日立製作所が創業した日立市があることから比較的県内(茨城県庁、日立市庁舎、コートホテル水戸、クラウンホテル勝田2号店等)では日立製のエレベーターが採用されることが多くなっている。
逆に大手スーパーマーケットチェーン、一般工場、財閥系を除く不動産業者による賃貸マンションや分譲マンションなどは建物によってさまざまであり、これは設計事務所が設備設計を行う際に、参考としてメーカーが設計図面上で選定されていることが多いものの、エレベーターの確認申請は建築設計図面とは別に提出され、メーカーを変更しても特に問題はないためであり、施工段階で、元請業者による見積もりが取られた際に、元請業者によって安価なメーカーが選ばれる事が多いためである。一部マンションなどでは、保守点検の効率化・コスト削減などの観点からデベロッパーの管理会社によってメーカーが指定されることもしばしばだ。
メーカーの業種は大抵「機械」だが、三菱電機ビルソリューションズと日立ビルシステムだけは「建設業」となっている。この2社はそもそも建築物管理業であることに因む。
メンテナンス(保守)
メンテナンスはメーカー自身、もしくは系列のメンテナンス会社が行うケースがほとんどである。一方、メーカー系列に属さない独立系メンテナンス会社もある。比較的割高なメーカー系のメンテナンスに対して、近年は安価な料金を掲げる独立系メンテナンス会社への切り替えも見られる。1980年代に独立系メンテナンス会社に対するメーカーの部品売り渋りが問題となり、独立系メンテナンス会社がメーカーを相手取って裁判を起こし、10年がかりで勝訴した。しかし、メーカーと独立系メンテナンス会社との関係が険悪なのは現在も変わらず、2009年に国土交通省が行った実態調査でこれが浮き彫りになった[40]。独立系メンテナンス会社は業界団体の日本エレベーター協会からも事実上排除されており、加盟している会社はほとんどない。東芝エレベータは独立系メンテナンス会社に対する部品供給について価格・納期などで厳しい条件になると公言していた[41](現在は独立系に言及した記述は削除されている)。また、商品の性質上個人顧客がメインの三菱日立ホームエレベーターやパナソニック ホームエレベーターでは、独立系メンテナンス会社にメンテナンスを依頼しないように案内している[42][43]。
また、フジテックは基本的に自社メンテナンスを推奨しており、独立系メンテナンスになる場合には新設設置は基本的に行わない。ただし、既存のフジテック製エレベーターを独立系メンテナンスに変更することは可能である。
その一方で、後述の通り東芝エレベータが独立系のエス・イー・シーエレベーターと業務提携するなど、従来の保守で収益をあげるビジネスモデルに陰りも出てきており、メーカーと独立系の関係にも変化が見られるようになった。
日本での保守契約形態
- POG(パーツ・オイル・グリース)
- その名の通り、電球類などの消耗部品(パーツ)・潤滑油(オイル・グリース)の取り替え及び補給のみを保証範囲とする保守契約。主要部品の取り替えは、個別に有償にて取り替えを発注することになる。
- FM(フルメンテナンス)
- 前述のPOG契約に加えて、意匠部品以外の主要部品も保証範囲としている保守契約。POG契約では個別の有償対応となる主要部品の取り替えを、保守会社側の立案する保全計画に基づいて定期的に実施することにより、各機器の状態の悪化を抑えられるというメリットがある。
日本でのメンテナンス形態
- メーカー直轄
- エス・イー・シーエレベーター - 他社製エレベーターの保守点検・修理も行っている(後述)。また、2023年1月26日より、東芝エレベータと業務提携契約を締結。同社製エレベーターの純正保守も行う。[44]
- エレベータシステムズ - 他社製エレベーターの保守点検・修理も行っている。
- 東芝エレベータ - SEC製のエレベーターの保守点検・修理も行っている(先述)。
- 日本エレベーター製造
- 日本オーチス・エレベータ - シンドラー社製(旧・日本エレベーター工業製も含む)のエレベーターの保守点検・修理も行っている[注釈 6]。
- 日立ビルシステム - 三菱日立ホームエレベーター製のエレベーターの保守点検・修理も行っている。
- フジテック
- 三菱電機ビルソリューションズ - 三菱電機時代のエレベーター、三菱日立ホームエレベーター製のエレベーターの保守点検・修理・改修も行っている。
- 横浜エレベータ
- メーカーの子会社
- エレケア - 日立ビルシステム子会社
- 菱電エレベータ施設 - 三菱電機ビルソリューションズの子会社。同社製エレベーターの実施設計・据付工事を行う。純正保守も行っている他、自社製品である小荷物専用昇降機のリョーデンリフトの設計・製造・据え付けを行う。
- トーコービルシステム - 三菱電機グループ。三菱電機ビルソリューションズ子会社の菱電エレベータ施設とは異なり、三菱日立ホームエレベーターの据付も担っている。メーカー純正同等の保守が受けられる。
- 独立系(一部)
- エス・イー・シーエレベーター - 日本最王手の独立系メンテナンス会社。エレベーターの製造許可を取得しており、メーカーとしての顔も持つ(前述)。
- 共立電業 - 独立系ではあるものの、フジテックの特約店としてフジテック製エレベータの据付工事や純正保守を手掛ける。
- エレベーターコミュニケーションズ
- マーキュリーエレベータ - マーキュリーアシェンソーレから社名変更。元シンドラーエレベータの子会社。シンドラーエレベータの整備協力会社として同社製エレベーターの純正保守と同時に独立系としての顔も持っていた。シンドラーエレベータの日本撤退時に日本オーチス・エレベータに譲渡され、同社の子会社となったが、日本オーチス・エレベータの純正保守は行っておらず、完全独立系となっている。
- コスモエレベーター
- ジャパンエレベーターサービスホールディングス - 近年独立系のシェアを急拡大しており、関東首都圏を中心に展開する。全国にある小規模な独立系メンテナンス会社を協力会社とすることで全国に対応しているのが特徴である。
- セフティエレベーター
- 京都エレベータ - 京都府に本社を構える独立系メンテナンス会社。YouTubeチャンネルにてエレベーターの雑学などを公開している。
著名なエレベーター
- 横浜ランドマークタワー - 時速45.0 km(分速750メートル)の速度で下降する、世界で第1位の下り最高速エレベーター(三菱電機製)
- 関西電力黒部専用鉄道 - 鉄道車両を運ぶことの出来る竪坑エレベーターがある。2007年時日本最大の巻き上げ能力(最大積載量4,500 kg)を有していたが、2011年に梅田阪急ビルの80人乗り大型エレベーター(最大積載量5,250 kg)に凌駕される。
- 華厳滝エレベーター - 岩盤の中をくり貫いて作られた。
- 秋芳洞エレベーター(山口県美祢市) - 地上にある秋吉台案内所エレベーター口より、地下80 mへ降下できる。
- グラバースカイロード(長崎市) - 日本で初めてエレベーターとして作られた公道。
- 東華菜館(京都市) - 現存する日本最古(1926年設置)のエレベーター(米OTIS製)がある。
- 科学技術館(東京都千代田区) - 館内の中央部に、日本一の最大定員124名・最大積載量8,100kgの人荷用エレベーターが設置されている。駆動はロープ式。三菱電機製。
注釈
- ^ これはJIS独自のものではなく、国語審議会が審議して内閣が定めた内閣告示に基づいている。外来語の表記は『内閣告示第二号』(平成3年6月28日)によって定められており、その「用例集」には、「エレベーター/エレベータ」の両方が記載されている。JIS C 3408「エレベータ用ケーブル」などのJIS規格では、「エレベータ」を採用している。
- ^ 高齢者や障害者の来訪も想定される、公共性の高い施設(病院、老人ホーム、市・町・村役場、ショッピングセンターなど)であれば、2階〜5階建でもエレベーターの設置がほぼ必須となる。
- ^ これは日本での話であり、英語版Wikipediaでもdumbwaiter項はそのままである。
- ^ 火災発生時に消火活動で放水する水が直接駆動装置等にかかる恐れがあるため。
- ^ 平成27年12月28日 国土交通省告示第1274号 特殊な構造又は使用形態のエレベーター及びエスカレーターの構造方法を定める件の一部改正
- ^ a b 2016年10月3日から2018年5月31日までは日本オーチス・エレベータの子会社のオーチス・エレベータサービス(2018年6月1日に日本オーチス・エレベータに吸収合併された企業)が行っていた。
出典
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エレベーターと同じ種類の言葉
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