居合抜きとは? わかりやすく解説

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いあい‐ぬき〔ゐあひ‐〕【居合抜き】

読み方:いあいぬき

居合」に同じ。

などを売るために居合演じて見せた大道芸江戸初期ら行われた。


居合抜き

作者村山槐多

収載図書村山槐多耽美怪奇全集伝奇ノ匣 4
出版社学習研究社
刊行年月2002.11
シリーズ名学研M文庫


居合術

(居合抜き から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/09 22:15 UTC 版)

居合術(いあいじゅつ)、もしくは居合(いあい)、抜刀術(ばっとうじゅつ)とは、日本刀に収めて帯刀した状態より、鞘から刀を抜き放つ動作で相手に一撃を与え、続く太刀捌きでさらに攻撃を加えたのち、血振るい残心、納刀するに至る技術を中心に構成された日本武術である。


注釈

  1. ^ 岡田敬直『居合師弟問答』寛文11(1671)年より、「或ハ曰、居合ハ囲合也、其ノ身ヲ囲リテ其ノ不意ニ合フ也」とある[2]
  2. ^ この居合抜きが町人の間で流行した江戸中期から末期には、大道芸と本来の「武術としての居合」が世間で混同されてしまい、当時の居合術家たちは眉をひそめていたと言われる。また落ちぶれた武士の中には、習得した本来の居合技術を遣って、町中で居合抜きを披露することで、通行人から金銭を貰って生活するような者もいた[4]。その逆に、居合抜きを披露する香具師が、落ちぶれても私は武士出身だと、身分を偽ることもあったという[5]
  3. ^ やわら、柔術のこと。
  4. ^ およそ1m。
  5. ^ およそ30cm。具体的な長さではなく、いわゆる短刀の例えでもある。
  6. ^ 林崎甚助→田宮平兵衛長野無楽斎を系譜とする流派の伝書冒頭にはほぼ必ず記載されている漢文である。
  7. ^ 実際、同伝書の「大小の用様幷腰當傳受之事」という項には、「立てば刀、座して脇差に利あり。然る故に廣き所にて刀、せばき所にて脇差を用、場の長短を知り場に應じて道具を用事肝要也」[18]とあり、実戦の心得が稽古内容とは異なることを明記している。
  8. ^ およそ165cm。
  9. ^ およそ75cm。
  10. ^ およそ1m6cm。
  11. ^ およそ120cm。
  12. ^ およそ150cm。
  13. ^ 林崎甚助自身がどのような様式の刀を使用していたかは定かでないが、原始的な形態を残している流派・林崎新夢想流や、同じく原始的な形態を伝えていたかつての田宮流の伝書などでは、打刀の長刀が使用されている。また香取神道流立身流などの林崎甚助誕生以前に成立した流派でも居合は含まれているが、同じく打刀が使用されている(ただし香取神道流に関しては、総合武術として居合がいつから流儀の内に存在していたのかは不明である)。なお山形県最上郡大蔵村にある禅寺「東漸院」には、林崎甚助所有と伝わる刀三尺二寸三分が現存し、文化財に指定されているが[27]、一般公開はされておらず、その詳細は不明である(日本古武道協会が製作したビデオ『日本の古武道 林崎夢想流』に数秒ほどその外観を見ることができる)。
  14. ^ 田宮流秘歌に「居合とハ 刀一つ尓定らず 敵の仕掛を留る用阿り」とあり、居合は刀を抜く技術に限らないということを説いている。
  15. ^ このような形が存在する流派では、教授体系として一般的な居合の形の後に学ばれる場合が多い[10]。なお、「居合の技術は、刀が鞘に収まった状態から瞬時に剣術の構えに移行するためにある」と教えるような流派もある。
  16. ^ 現代では、鑑賞用の模擬刀模造刀)よりも強度が増した合金製刀身のものを指す。殺陣などに使用される竹光ジュラルミン製の模擬刀よりもはるかに重く、真剣同様の扱いが求められる。江戸時代以前の「居合刀」は、製の刀身であった。拵えは非常に質素で、がないものもあった。
  17. ^ この話には、以下の様な続きがある。血気盛んな薩摩藩士の有村次左衛門は、他人の辻斬り談を羨ましく思い、自身も辻斬りを試さんと人気のない道に隠れその機を狙っていた。そこにある老人が鼻歌を唄いながら偶然通りかかったため、有村は抜き打ちに斬りかかる。しかしその老人はいとも簡単に有村の居合を外しねじ伏せ、「貴様は中々居合が上手だなその代り劍術は餘程下手だ、抜打に斬りかけた一刀は少し計り冴へて居たが跡は丸でデクのボウだ、その腕前で人が斬れるものか、第一罪も無い人を辻斬にして樂むと云ふのが不心得千萬だ」と言う。有村は驚愕したがそれもそのはず、その老人はかの有名な剣術家、斎藤弥九郎であった。有村はその妙技に感服し、のちに斎藤の門を叩いたという。[40]
  18. ^ 林崎甚助が請願し居合の妙術を授けられたと言われる神社で、居合発祥の地とされる。

出典

  1. ^ a b c d e 甲野善紀『武道から武術へ: 失われた「術」を求めて』(2011年, 学研プラス)
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 和田哲也「居合の成立と技法的変遷に関する一考察」(1981年、武道学研究14-1、筑波大学)p.27-35
  3. ^ 京一輔『居合の科学』(株式会社愛隆堂、平成17年6月1日初版)p.8
  4. ^ 松田良一『近代日本職業事典』(柏書房、1993年)
  5. ^ 楳垣実『隱語:ことばの狂い咲き』(東京堂、1962年)p.43
  6. ^ "weblio辞書「居合抜き」"
  7. ^ 『人倫訓蒙図彙』(1690年刊)7巻。宮本常一・原口虎雄・比嘉春潮『日本庶民生活史料集成 第30巻 第2号』(三一書房、1968年)p.94
  8. ^ 富永堅吾『 剣道五百年史』(百泉書房、1972年)p.77
  9. ^ 今村嘉雄編『日本武道大系3』(同朋舎、1982年)p.514
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n 和田哲也「伝書に見る居合と剣術の関係について」(1986年、武道学研究19-(1)、香川医科大学)p.10-16
  11. ^ a b c 渡辺誠『<剣豪と戦国時代>神速!居合の極意 林崎甚助・関口柔心・長野無楽斎』(学研プラス、2015年)
  12. ^ a b 山田次朗吉『剣道叢書』(水心社、1936年)p.297。藤田貞固『和田流居合正誤』享保10(1725)年
  13. ^ a b c d e 井上哲次郎『武士道叢書下巻』(博文館、1905年)p.39-92。片島武矩『武備和訓』享保2(1717)年。
  14. ^ a b 大波篤司『図解 近接武器』(2006年、新紀元社)
  15. ^ a b c 今村嘉雄編『日本武道大系9』(同朋社、1982年)p.124-125。岡田敬直『居合師弟問答』寛文11(1671)年
  16. ^ 渡辺一郎『新輯武道伝書』。石井忠許『居合相傳許之巻』宝暦11(1761)年
  17. ^ a b c d e f g "日本大百科全書「居合術」の解説(渡邉一郎)"コトバンク
  18. ^ a b c d 『南紀徳川史 第17冊』(1888-1901年)p.587-588。田宮次郎右衛門成道『田宮流極意』元禄11(1698)年
  19. ^ a b 渡辺誠『刀と真剣勝負〜日本刀の虚実』(ベストセラーズ、2005年)
  20. ^ 大関増業編『止戈枢要』。文化11年-文政5年(1814-1822)
  21. ^ 荻生徂徠『鈐録』
  22. ^ 本朝武芸小伝(1721 年)日本中興武術系譜略(1767 年)、林崎研究 35・36 頁
  23. ^ 黒田鉄山「古流武術における動き([武道・スポーツ科学]研究所共催 人体科学会第17回大会 動きから身体・人間の可能性を探る)」(武道・スポーツ科学研究所年報 (13), 178-180, 2007, 国際武道大学)p.179
  24. ^ a b c d e f 黒田鉄山『居合術精義』(1991, 壮神社)p.24-54
  25. ^ "2019-9-14 発表3「最古の絵伝書に見る原初の居合の様相」(武士魂in弘前)"居合文化研究会(youtube)
  26. ^ 窪田清音『剣尺記』, 江戸末期.
  27. ^ 林崎夢想流居合術」日本古武道協会
  28. ^ 大竹利典『平法 天真正伝香取神道流』(2012年、日本武道館)p.142
  29. ^ 和田哲也「居合と柔術との関係についての一考察」(1982, 武道学研究15-2, 筑波大学)p.35-36
  30. ^ 菊池智之「山本流居合術に関する一考察」(1994年, 武道学研究27巻, Supplement 号)p.32
  31. ^ 下川潮『剣道の発達』(梓川書房、1976年)p.114
  32. ^ 小野清『徳川制度資料―昨夢瑣事(影山流居合術)』, 六台館林平次郎刊, P. 36-37, 1928. )
  33. ^ 43頁。
  34. ^ "居合道学科問題 解答 (PDF) "茨城県剣道連盟
  35. ^ 甲野善紀『「古の武術」に学ぶ: 身体は工夫次第で生まれ変わる』(2005年、PHP研究所)
  36. ^ 平常無敵流伝書。甲野善紀『「古の武術」に学ぶ: 身体は工夫次第で生まれ変わる』(2005年、PHP研究所)
  37. ^ 今村嘉雄編『日本武道大系9』(同朋社、1982年)p.236
  38. ^ 中村泰三郎『抜刀道(ばっとうどう)―昭和の剣豪が初公開する真剣斬りの神髄』(叢文社、1987年)p.40-41
  39. ^ 福沢諭吉『福沢諭吉集』(筑摩書房、1975年)p.614
  40. ^ a b >村井弦斎・福良竹亭共編『西郷隆盛一代記:繪入通俗(甲)』(1899年著)、146-147頁
  41. ^ a b c 福井勇「居合道の芸術性について」(1976, 奈良大学紀要(5), 奈良大学)p.303-305
  42. ^ a b 湯浅晃, 大保木輝雄, 酒井利信『剣道専門分科会企画 講演会「武道の伝統性について考える」』(武道学研究, 2017年49巻3号, p.261-280)p.270-272
  43. ^ 中原介山『日本武術神妙記(復刻版)』(平成28年、角川文庫)p.170
  44. ^ 太田尚充「津軽弘前藩の武芸(11)-資料紹介-」(弘前大学教養部, 文化紀要 第30部, 1989)p.108
  45. ^ a b 和田哲也「居合の思想に関する一考察 —技法との関連を中心に—」(1985, 武道学研究17-1, 筑波大学)p.100-101
  46. ^ 特に立身流に聞かれる。日本古武道協会『日本古武道総覧』(島津書房、1997年)p.94
  47. ^ "「忠臣蔵」「桜田門外の変」一族の子孫たちが激白する、歴史を変えた「あの大事件」の真相"現代ビジネス(2022/01/16)
  48. ^ "福沢諭吉の居合"歴史群像 デジタル歴史館




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