無とは?

む【無】

[音](呉) (漢) [訓]ない なみする

学習漢字4年

[一]〈ム〉

存在しない。…がない。「無益無休無辜(むこ)・無形無効無償無上無情無職無人無線無断無名・無理・無料・無意味有無皆無虚無絶無

…でない。…しない。「無数・無道・無量・無論

ないがしろにするなみする。「無視無法

[二]〈ブ〉[一]1に同じ。「無事・無精・無難無頼無礼無愛想傍若無人

名のり]な・なし

難読無花果(いちじく)・無言(しじま)・無患子(むくろじ)


ぶ【無】

⇒む


ぶ【無】

[接頭]名詞または形容動詞語幹に付いて、それを打ち消し否定する意を表す。不(ぶ)。

…でない、…しない、などの意を添える。「無風流」「無遠慮

…がわるい、…がよくない、などの意を添える。「無愛想」「無作法」「無細工

[補説] 「不…」「無…」の使い分けについては、概して「不」は状態を表す語に付き、「無」は体言に付くとはいえるが、古来、「不(無)気味」「不(無)作法」など両様用いられる語も少なくないまた、「不」字は呉音フ、漢音フウであって、ブは「無」字の漢音ブに影響されて生じた慣用音思われる


む【無/×无】

【一】[名]

何もないこと。存在しないこと。「—から有を生ずる」⇔有。

哲学の用語。

存在否定欠如特定の存在がないこと。また、存在そのものがないこと。

一切有無対立を超え、それらの存立基盤となる絶対的な無。

禅宗で、経験・知識を得る以前の純粋な意識。「—の境地

【二】[接頭]名詞に付いて、そのもの存在しないこと、その状態がないことの意を表す。「—感覚」「—資格」「—届け」「—免許


な【無】

形容詞「ない(無)」の語幹) ないこと。また、そのさま。

源氏100114頃)若菜上殊なることなの御返りや」


ぶ【無】

〔接頭〕

体言に付けて、それがない意を表わす語。「無遠慮」「無作法」「無しつけ」など。

② =ぶ(不)「無細工」「無器量」「無器用」など。


む【無・无】

1⃣ 〔名〕

① ないこと、存在しないこと。

正法眼蔵123153摩訶般若波羅蜜「いはゆる戒定慧、及至度有情等なり。これを無といふ」

物質弾道(1929)〈岡田三郎〉「愛着執心は全然無(ム)ではあるが」〔老子‐四〇章〕

仏語

(イ) ある行為はたらき否定すること。はたらきをおこさせないようにすること。

*妙一本仮名書き法華経鎌倉中)五「諸法有なり、無(ム)(〈注〉ナキ)なり、これ実なり、非実なり」

(ロ) 禅宗で、修行者がその意味を問い解決なければならないとさせるもので、経験知識以前の純粋な意識にかかわるもの。〔無門関‐一則〕

(ハ) 仏をいう。

随筆春波楼筆記(1811)「仏とは釈迦の名づくる者にして、天の大気虚空を云ふ。之を無と名づく、是を仏とす」

③ 無駄の意を表わす。→無になる無になす

④ (ドイツ Nichts の訳語哲学で、キェルケゴールでは不安の観念結びつき、神の前にあって微小なものと意識された人間存在在り方神の死主張したニーチェでは、神の代わりに人間支えるもの。ハイデガーでは、人間にとっての死の可能性観念

2⃣ 〔接頭〕 漢語名詞の上に付けてそのもの存在しないこと、その状態がないことを表わす。「無免許」「無資格」「無修正」「無抵抗」「無理解」など。


な・い【無・莫・勿・毋・无・亡】

〔形口〕 [文]な・し 〔形ク〕

[一] 存在しない

① …が存在しない所有しない。具備しない。

古事記(712)上・歌謡「汝を置(き)て 男は那志(ナシ)」

源氏100114頃)帚木なよびかにをかしきことはなくて」

② (①の特殊な場合

(イ) 家にいない。不在である。

古今(905‐914)雑上・八九五おいらくのこむとしりせばかどさしてなしとこたへてあはざらましをよみ人しらず〉」

源氏100114頃)夕顔少将のなき折に見すれば心うしと思へど」

(ロ) (亡) 世にない。故人になっている。→亡き

万葉(8C後)三・四四六吾妹子が見し鞆の浦のむろの木は常世にあれど見し人そ奈吉(ナキ)」

土左(935頃)承平四年一二二七日「あるものと忘れつつなほなき人をいづらと問ふぞ悲しかりける」

抽象的事柄について、その実現の否定表わす

(イ) 実現しない。事が起こらない。主として「…することなし」の形で、用言の意味を打ち消す。

書紀720雄略一三年三月・歌謡「馬の八匹(やつぎ)は 惜しけくも那斯(ナシ)」

源氏100114頃)明石「行ひより外のことなくて月日を経るに」

(ロ) 主として「…せずといふことなし」「…せざるはなし」などの形で、二重否定から「すべて…する」の意を表わす

守護国界陀羅尼経平安中期点(1000頃)四「難行苦行したまふこと経すといふこと靡(ナシ)」

(ハ) (「なきようなり」の形で) 正体がない。魂を失っている。

源氏100114頃)賢木「なかばはなきやうなるみけしきの、心ぐるしければ」

(ニ) 世間からみすてられている。→なき(無)になす。

源氏100114頃)薄雲中頃身のなきに沈み侍りしほど」

事実がない。無実である。不当である。→なき(無)名。

大鏡(12C前)二「なきことよりかくつみせられ給ふを」

(5) またとない。外にない。比べものがない

十訓抄(1252)一〇「なきすき者にて、朝夕琴をさしおく事なかりけり」

引越やつれ(1947)〈井伏鱒二〉巣館「いい年して、みっともないったらないわ」

[二] 補助的に用いて否定の意を表わす

形容詞活用連用法を受ける。

源氏100114頃)柏木年頃下の心こそ懇に深くなかりしか」

副詞「さ」「かく」などを受ける。→さなきだにさもない

(10C終)四一「よる鳴くもの、なにもなにもめでたし。ちごどものみぞさしもなき」

③ 「である」の打消。あらず。

(イ) 体言に付いた助動詞「なり」「だ」、また、形容動詞連用法を受ける。

*竹取(9C末‐10C初)「ここにつかはるる人にもなきにねがひをかなふること嬉しさ

(ロ) 打消の語に付いた助動詞「だ」の連用法を受ける。全くは否定せず、いくぶん存在認めるさま。…しないわけではない

多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「気拙くないでも無かった折から

(ハ) 「ではないかじゃないか)」の形で、動詞形容詞終止形形容動詞語幹および体言を受けて、予想外事に驚いた気持相手判断同意求め、また問いただし、詰問する気持表わす

洒落本辰巳之園(1770)「お前はさっき来なさうたじゃねエか」

(ニ) 「ではないかじゃないか)」の形で、動詞未然形助動詞「う」「よう」の付いたものを受けて、相手同意求め勧誘する気持表わす

洒落本売花新駅(1777)楼上興「コレむすこ、たれぞ呼にやろうではねえか」

用言に付いた連語「のだ」の連用法を受ける。

(イ) 否定的説明。「それはほめるのではない、けなすのだ」

(ロ) 禁止言いきかせ。「泣くんじゃないよ」「見るんじゃない」

(5) 接頭語「御(お・おん・ご)」を冠した動詞連用形に付いた助動詞「だ」の連用法を受ける。

(イ) 「お…だ」の打消。「…しない」「…していない」の意の尊敬語

滑稽本素人狂言紋切形(1814)上「イイエおまへは三升をおほめでないから、私もほめません」

(ロ) いくらか礼儀のある禁止同輩または目下用いる。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「おめへも亭主を持ったら弓断をお仕でないよ」

(6) 接頭語「御(お・おん・ご)」を冠した動詞連用形に付いて、敬意のある打消表わす

寛永刊本蒙求抄1529頃)七「下の邪正を、御知りなうてはぢゃそ」

(7) 引用表わす助詞「と」を受ける。

(イ) 「と」が動詞活用終止形に付く。その事態が起こっていないこと、また、自覚また確認できないことを表わす

万葉(8C後)二・二一二「衾道(ふすまぢ)を引出の山に妹を置きて山路を行けば生けりとも無(なし)」

(ロ) 「と」が動詞活用終止形に付く。明確でないさまでその事態の起こっていることを表わす。「だれ言うとなく」「聞くともなし聞いていた」「降るともなき春の雨

(ハ) 「と」が体言または引用句に付く。それと指定しないこと、限定されないさまを表わす。「大小」「昼夜」など対語に付くもの、「いつとなく」「どことなく」「そこはかとなく」など不定の語に付くものも多い。

万葉(8C後)一二・三一九六「春日野浅茅が原におくれ居て時そとも無(なし)あが恋ふらくは」

(8) 他動詞連用形助詞「て(で)」の付いたものを受ける。動作が起こらなかった状態にあることを表わす。「名前はまだつけてない」「届は出してないが、休むつもりだ」「見てもない手紙には返事書きようがない」

[語誌](1)もともと「なし(ない)」は、事物存在表わす「あり」の対義語にあたる。(一)上代から用いられ、「あり」の打消にあたる「あらず」が、「美しく(は)あらず」「木に(は)あらず」のように補助的な用法主とするのと用法分けあっていた。
(2)(二)補助的な用法は、新たに発達しだしたもので、(7)の「と」を受ける例は「万葉集」などにも見られ比較早いが、その他の①「美しく(は)なし」、②「さ(も)なし」、③「木に(は)なし」などの用法は、平安時代にはきわめてまれである。一般には中世以後発達して、「あらず」と交替するようになった
(3)語の一部として「ない」の用いられることがある。「心ない」「情けない」「さりげない」など。ただし、「はしたない」などの類の「ない」は、形容詞作る接尾語であって、この形容詞の「ない」とは別ののである考えられる。→接尾語「ない」。
(4)活用形として「なく・なし・なき・なけれ」のほか、上代には未然形已然形に「なけ」がある。「万葉三四二一」の「わがへには故はなけども子らによりてぞ」など。なお、副詞法の「なく」にあたるところに、「なしに」が用いられることがある。→なけなくに
(5)「あり」の結合した「なかり」は、上代には連用形「なかりけり・なかりし」、終止形わぎもこに恋ひすべなかり」、連体形ほととぎす無かる国・すべ無かるべし」、已然形「神は無かれや」、命令形「浦吹く風の止む時無かれ」などの例があるが、平安時代には、補助活用としてもっぱら未然形「無からむ」など、連用形「無かりけり」など、連体形「無かるべし」などの助動詞への連接形が用いられ、また特に命令形「なかれ」は、「きることなかれ」「見るなかれ」など禁止の語として、特別の用法をもつようになった。→なかれ。
(6)中世以降口語では、連体形「なき」の音便形「ない」を終止法、連体法用いることが普通になった。この「ない」は、江戸語では口頭でしばしば「ねえ」となっている。また、江戸語では、「なし」が次のように終止や「か」を付け質問用いられる。「洒・辰巳之園」の「主はなんと深川へいく気はなしか」、「滑・浮世風呂‐二」の「出好(でずき)での、内に尻が居(すは)る間なしさ」など。
(7)「ない」は、様態の助動詞「そうだ」に続くとき、語幹から接尾語「さ」を介して続く。
(8)「でない」その他否定叙述のため補助的に用いられる「ない」「なし」を、品詞分類上で助動詞とする説もある。ただし、用法上は、「知らない」「見せられない」などの「ない」と混同することはできない
(9)他動詞を受ける「てない」に対して現代口語としては、「見てる」「咲いてる」などの否定の「見てないとわからない」「花はまだ咲いてなかったよ」などがあるが、これらは、「ている」「ていない」などの融合した形で、区別される必要がある。→てる。
(10)「…たことはない」という表現は、経験のないことを表わす。「見たことも聞いたこともない」など。また、「…することはない」には、「…するほどのことはない」と同じく、することが不必要、しないほうがよいことを表わす場合がある。「洒・世説新語茶粋事」の「ばかな泣事アねへ」や「たけくらべ樋口一葉〉一〇」の「喧嘩相手に成るといふ事は無い」など。また、「…までもない」は、することが不必要、しないでもちろん十分の意を表わす。「言うまでもなく」「考えるまでもない」など。
(11)「…よりない」は、「…よりほかはない」「…しかない」と同じ意味に用いられる。「贅沢貧乏森茉莉〉」の「だが何処豪華なのか、といふことになると、首を捻るよりない」など。
(12)「もないものだ」は相手のことばについて、「とはよく言えたものだ」「と言う義理はないはず、すじみちがちがう」とそしる表現。「にごりえ樋口一葉〉一」の「後にも無(ナ)いもんだ来る気もない癖に」など。
(13)補助的に用いる「ない」「なし」を助動詞とする説もある。→ない〔助動〕。
(14)已然形「なけれ」に助詞「ば」「ど」などが付いて、「なけねば」「なけねど」「なけにゃ」などの形に変化した例もみられる。「吉田全盛太夫なれば、これ程まだ五つもなけねば請出されぬ」〔伎・傾城江戸桜‐中〕、「凄い程器量がようなけにゃ、うつらぬ物ぢゃ」〔咄・軽口大黒柱‐五〕、「無理ではなけねど無分別」〔浄・持丸長者金笄剣‐五〕など。


なく‐・す【無・亡】

1⃣ 〔他サ変〕 ⇒なくする(無)

2⃣ 〔他サ五(四)

① ない状態にする。不要な物などをないようにする。また、置き忘れたり見失ったりして必要な物を失う。

咄本鳥の町(1776)地獄「しゃばの医者どもをなくす手段は有まひかとの相談

② 親や子などを、死なれることによって失う。

*こゝろ(1914)〈夏目漱石〉下「私が両親を亡(ナ)くしたのは、まだ私の廿歳にならない時分でした」


なく‐・する【無・亡】

〔他サ変〕 [文]なく・す 〔他サ変〕 =なくす(無)(二)

宇津保(970‐999頃)国譲中「いささかてならし給しほうごなど、とりちらし給ふものなくし給などして」

真理の春(1930)〈細田民樹〉頭の上の街「逃げ場を無(ナ)くするから、しなくてもいい強盗になっちまふんだよ」


なし【無】

〔名〕 ないこと。無(む)。「名無し」「底無し」「いくじなし」「人でなし」「言いっこなし」など複合語にも用いられる。

森藤左衛門本狂言船渡聟室町末‐近世初)「其方骨折無しにはせまい程に

多情仏心(1922‐23)〈里見弴〉楽屋「どっちへ廻っても、あたしと云ふものは、まるでなしでさァね」


な・し【無】

〔形ク〕 ⇒ない(無)


なみ‐・する【無・蔑】

〔他サ変〕 [文]なみ・す 〔他サ変〕 (形容詞「ない(無)」の語幹接尾語「み」の付いた「なみ」に、動詞「する」の付いたものないがしろにするあなどる蔑視する。

観智院本名義抄(1241)「蔑 ナミス」

正徹物語(1448‐50頃)上「此道にて定家なみせん輩は、冥加有るべからず


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 19:57 UTC 版)

(む、无)とは、否定を一般化した表現。対義語は。「定義されていない(未定義)」事とは意味合いが異なる場合がある。


  1. ^ カルナップ著、「言語の論理的分析による形而上学の克服」、『カルナップ哲学論集』所収、1977年


「無」の続きの解説一覧

出典:『Wiktionary』 (2020/02/25 14:06 UTC 版)

発音

名詞

  1. 存在対立概念哲学宗教において根本的テーマとなる。類似の概念に「」がある。

熟語


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