無漏とは? わかりやすく解説

む‐ろ【無漏】

読み方:むろ

《「漏」は煩悩(ぼんのう)の意》仏語煩悩のないこと。また、その境地。⇔有漏(うろ)。


無漏

読み方:ムロmuro

悟り開け迷い欲望なくなったこと


有漏

(無漏 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/22 14:21 UTC 版)

仏教用語
パーリ語 Āsava
サンスクリット語 Āsava
中国語
日本語
英語 influx, canker
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有漏(うろ、: sāsrava[1]とは、仏教において、煩悩に関わるのこと[2]

(ろ、: āsrava)は、さまざまな心の汚れを総称して表す言葉で、広い意味で煩悩と同義と考えられる。仏教では「流れ出る」「漏出」の意味に解し(他に「漏世」「漏注」「漏失」などの漢訳語もある)、汚れ・煩悩は六根(視覚・聴覚など五官と心)から流れ出て、心を散乱させるものと説明した[3][4]。そのような汚れのある状態を有漏といい、煩悩に関わらない汚れが滅し尽された状態を無漏(むろ、: anāsrava[2][5][3]という。

漏の数

三漏

相応部漏経では、釈迦は以下の三漏を挙げている。

  • 漏 (Kāma āsavo)
  • 漏 (bhava āsavo)
  • 無明漏 (avijjā āsavo)

四漏

阿毘達磨大毘婆沙論では、以下の四漏を挙げている。これは四暴流とそのまま対応する。

  • 欲漏
  • 有漏
  • 無明漏

七漏

有漏の状態

有漏は、厳密には「煩悩の対象となりあるいは煩悩とあい伴うと同時に、煩悩がそれらの上に力をもち、それらをけがすようなもの」という意味となる。たとえば、人はほとけそれ自体を対象として煩悩を起こすこともあるが、ほとけは業・輪廻の世界を超えており、有漏ではない。また、業・輪廻の世界に属するかぎりすべての存在は、善いものも中性のものも悪いものも有漏である[4]

倶舎論においては、苦・集・滅・道の四諦のうち、苦諦および集諦が有漏に、滅諦(無為の3種類のうち択滅(ちゃくめつ)に同じ。なお、ここでは他の2種類にあたる虚空・非択滅も含む)および道諦が無漏に対応する[6]。図示すれば下記の通り。

一切[6]
有為法 無為法
有漏法 無漏
・苦諦

・集諦

・道諦 ・滅諦=択滅

非択滅虚空

業と煩悩の世界、平常的人間の世界は有為であって有漏である。さとりの領域に属する涅槃は無為であって無漏である。そして、平常的人間の世界からさとりの領域にすすむ「道(諦)」は、さとりに入っていないから有為であり、同時に煩悩を離れる道だから無漏である[7]と考える。また、倶舎論では「道を除いて余の有為は、彼に於いて漏が随増す」とあり、有漏法は煩悩の対象となるばかりでなく、煩悩がその上にとどまって離れず、なお増大するものであると捉えられている[2]

一休の句

禅僧の一休宗純は、師の華叟宗曇からの「洞山三頓」の公案に対し一休が見解を示し、さらに「有漏路より無漏路へ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け」との句を添えたことをきっかけに、華叟宗曇から「一休」の号を授けられた[8]

脚注

注釈

出典

  1. ^ 櫻部・上山 2006, p. 仏教基本用語(2).
  2. ^ a b c 櫻部 2006, p. 60.
  3. ^ a b 岩波仏教辞典第2版 1998, p. 63.
  4. ^ a b 櫻部・上山 2006, p. 49.
  5. ^ 櫻部・上山 2006, p. 仏教基本用語(9).
  6. ^ a b 櫻部 2006, p. 61.
  7. ^ 櫻部・上山 2006, p. 64.
  8. ^ 安藤 1985, p. 60.

参考文献


無漏

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 07:05 UTC 版)

名詞

(むろ)

  1. (仏教) 煩悩関わりのない法則)のこと。すべての無漏むろと、煩悩関わりのある有漏うろ分かれる四諦のうち、および虚空こくう非択滅ひちゃくめつ属する(ウィキペディア有漏」、「無漏」も参照)。

対義語:有漏




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