私刑 私刑の概要

私刑

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/14 10:17 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

概要

アメリカ合衆国南部にてリンチの犠牲となったアメリカ人(1889年)
アメリカ合衆国テキサス州にてリンチの犠牲となったアフリカ系アメリカ人(1920年)。

私刑は、熱狂・ヒステリー状態下にあるものを含め、観衆・集団のある程度の支持のもとなされる場合がある。民族紛争の際に民兵集団により行われる非戦闘員への残虐行為も私刑といえる。

中世以前のヨーロッパでは、フェーデアハトのような私刑原理があり、合法であった。しかし1400年代になり公権力による刑罰権の回収が行われると私刑は違法になった。ドイツでは1495年マクシミリアン1世による「ラント平和令」の制定によって一切の私刑が禁止された。

アメリカ合衆国西部開拓時代フロンティアの地などでの犯罪者に対し、法の裁きを経ず民衆による私的制裁が加えられており、この行為を、アメリカ独立戦争時、暴力的行為を働くことで知られた チャールズ・リンチ英語版大佐、ウィリアム・リンチ英語版判事に因み、「リンチ」と呼称するようになった[2]

南北戦争以前において、私刑は治安や秩序維持のために行われるものとされ、素行の悪い奴隷や共同体の規範を逸脱するものに対し、民衆の自警組織によって行われるものであった。その後、白人至上主義KKK団が結成され、アフリカ系アメリカ人を対象に私刑を率先して行う役割を持ち、リンチの持つ意味が秩序統制から異人種憎悪の表現へと変化していった[2][3]

法的解釈

  • 明確に法律に依らない私刑は多くの国で禁止されている。日本国憲法においては
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 — 日本国憲法第31条日本国憲法(昭和二十一年憲法)第三十一条”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (1946年11月3日). 2020年1月24日閲覧。

とされている。

  • 紛争地域や無政府状態の地域では21世紀になっても決して珍しいものではなく、殺人の現行犯や単なる泥棒、或いは民族紛争時の戦争犯罪人などと認定された者が民衆に袋叩きにされ、最終的には恐らく被疑者の殺害に至っている映像や写真が数多く出回っており、英語圏ではこうした私刑をMob Justice(暴徒による正義)と呼称している。

インターネットにおける私刑

インターネット上では、悪事を犯したと目される人物を正義感をもって衝動的に私刑しようとする行為(ネット自警団)が見られる[4]。特定の個人を名指しして個人情報(当該人の電話番号や住所・実名・本人の写真・家族構成など)を晒し出したり、名指しで批判や暴言を投稿している場合がある[5]。対象はいじめの相手・掲示板やSNSで炎上した一般人・犯罪を犯した容疑者・暴言や失言及び不祥事を起こした芸能人を含む著名人など多岐にわたる。犯罪被疑者の個人情報の流出行為については「このような犯罪を行っており(流出は)やむを得ない」「再発予防と抑止力につながる」といった賛成の声が多く上がっている一方、「ただの集団リンチではないのか?」「刑が確定するまで、犯罪者ではない(推定無罪)」「世論を代表する制裁者を気取っている」といった疑問の声も上がっている[6]




  1. ^ コトバンク
  2. ^ a b 『概説アメリカ文化史』(笹田直人、堀真理子、外岡尚美編著)p.107
  3. ^ アメリカにおいて1880年から1930年にかけてリンチの犠牲となった者は、白人723人に対し、黒人3220人であった。
  4. ^ 「ネットで叩く」側の論理 誰が「私刑」を執行するのか」『AERA』2013年8月26日号、朝日新聞出版、2013年。
  5. ^ 「容疑者」家族の顔写真投稿、自宅の動画を撮影... 川崎市の中学生殺人、ネットで「私刑」が横行 - J-CASTニュース、2015年3月7日閲覧
  6. ^ “「よくやった!!」「いや、制裁者気取りだ」 「週刊新潮」18歳少年実名掲載に賛否両論”. J-castニュース. (2015年3月5日). http://www.j-cast.com/2015/03/05229625.html 2015年3月6日閲覧。 


「私刑」の続きの解説一覧



私刑と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「私刑」の関連用語

私刑のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



私刑のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの私刑 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS