プルトニウムとは? わかりやすく解説

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プルトニウム【plutonium】


【プルトニウム】(ぷるとにうむ)

原子番号94元素記号Pu比重は19.8(2.5倍)の放射性元素
名前は当時新しく発見された新惑星である冥王星(Pluto)に由来する
(これはウランネプツニウムも同様である。)
アルファ崩壊、すなわちアルファ線放射しながら減少してゆくが、その半減期は約2万4000年と非常に長いため、時間当たりの被曝量少ない。
一方で粉塵になったものを肺などに吸い込んでしまうと、同じ場所で延々とアルファ線出し続けるため、少量であっても生物被曝死させてしまう。
その名のとおり死の危険をもたらす物質である。

自然界にはほとんど存在せず原子炉内においてウラン238中性子吸収する事により生成される
238239240241242同位体があるが、核燃料になるのは239である。
原子爆弾原料として有名であるが、最近は原子炉燃料としても注目されている


物質名
プルトニウム
英語名
Plutonium
元素記号
Pu
原子番号
94
分子量
239
発見
1940年
原子半径(Å)
1.64
融点(℃)
639.5
沸点(℃)
3235
イオン化エネルギー(eV)
5.8


プルトニウム(P)

プルトニウムは人工放射性元素1つです。同位体には質量数238239240241のものがありますこの中で239241のものが核分裂性で,高速中性子でも核分裂起こすことから高速増殖炉核燃料として用いられます。

プルトニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/17 06:17 UTC 版)

ネプツニウム プルトニウム アメリシウム
Sm

Pu

不明
94Pu
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 プルトニウム, Pu, 94
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 [244]
電子配置 [Rn] 5f6 7s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 24, 8, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 19.816 (α-Pu) g/cm3
融点での液体密度 16.63 g/cm3
融点 912.5 K, 639.4 °C, 1182.9 °F
沸点 3505 K, 3228 °C, 5842 °F
融解熱 2.82 kJ/mol
蒸発熱 333.5 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 35.5 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1756 1953 2198 2511 2926 3499
原子特性
酸化数 7, 6, 5, 4, 3(両性酸化物
電気陰性度 1.28(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 584.7 kJ/mol
原子半径 159 pm
共有結合半径 187 ± 1 pm
その他
結晶構造 単斜晶系
磁性 常磁性[1]
電気抵抗率 (0 °C) 1.460 μΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 6.74 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 46.7 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ 2260 m/s
ヤング率 96 GPa
剛性率 43 GPa
ポアソン比 0.21
CAS登録番号 7440-07-5
主な同位体
詳細はプルトニウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
238Pu syn 87.74 y SF 204.66[2] -
α 5.5 234U
239Pu trace 2.41×104 y SF 207.06 -
α 5.157 235U
240Pu syn 6.5×103 y SF 205.66 -
α 5.256 236U
241Pu syn 14 y β 0.02078 241Am
SF 210.83 -
242Pu syn 3.73×105 y SF 209.47 -
α 4.984 238U
244Pu trace 8.08×107 y α 4.666 240U
SF -

プルトニウム: Plutonium 英語: [pluːˈtoʊniəm])は、原子番号94の元素である。元素記号Puアクチノイド元素の一つ。

名称

原子番号92のウラン、93のネプツニウムがそれぞれ太陽系惑星天王星海王星に因んで命名されていたため、これに倣って当時海王星の次の惑星と考えられていた冥王星 pluto から命名された。発見者のグレン・シーボーグは冗談で元素記号に Pu を選んだ。子供が臭いときに叫ぶPee-Yoo!を連想するからだが[3]、特に問題にならずに周期表に採用された。

表記ゆれ

プルトニュウム[4][5]など。

概要

ウラン鉱石中にわずかに含まれていることが知られる以前は、完全な人工元素と考えられていた。超ウラン元素で、放射性元素である。プルトニウム239プルトニウム241その他いくつかの同位体が存在している。半減期はプルトニウム239の場合約2万4000年(α崩壊による)。比重は19.8で、金属プルトニウムは、ニッケルに似た銀白色の光沢を持つ大変重い金属である(結晶構造は単斜晶)。融点は639.5 °C沸点は3230 °C(沸点は若干異なる実験値あり)。硝酸濃硫酸には酸化被膜ができ、溶けない。塩酸希硫酸などには溶ける。原子価は+3〜+6価(+4価が最も安定)。金属プルトニウムは、特に粉末状態において自然発火することがある。塊の状態でも、湿気を含む大気中では自然発火することがあり、火災の原因となる。プルトニウムとその化合物の化学的な毒性は、他の一般的な重金属と同程度である[6]。またプルトニウムは放射性崩壊によってα線を放出するため、ヒトを含む動物の体内、特にに蓄積されると強い発癌性を示すとされている。

原子炉において、ウラン238中性子を捕獲してウラン239となり、それがβ崩壊してネプツニウム239になり、さらにそれがβ崩壊してプルトニウム239ができる(原子炉内では他のプルトニウム同位体も多数できる)。ウラン238は天然に存在するのでネプツニウム239とプルトニウム239は微量ながら天然にも存在する。また半減期が約8000万年とプルトニウム同位体の中では最も長いプルトニウム244も微量ながら天然に存在する。なお、プルトニウム239およびプルトニウム240とそれらの放射壊変物の飛沫の吸引は 世界保健機関(WHO)の下部機関IARCにより「発癌性がある」(Type1)と勧告されている。

プルトニウムは主に核兵器の原料や、プルサーマル原子力発電におけるMOX燃料として使用される。人工衛星の電源として原子力電池として使用されたこともある。核テロリズム原子力事故防止のため、プルトニウムの所在は国際機関や各国政府により厳しく監視・管理されている。日本は2020年末時点で、英仏への再処理委託により生じた分を含めて国内に約8.9トン、海外に約37.2トン、合計で約46.1トンのプルトニウム(うち核分裂性は約30.5トン)を保有している[7]

特性

金属プルトニウムは銀白色であるが、酸化されると黄褐色となる。金属プルトニウムは温度が上がると収縮する。また、結晶構造の対称性が低いため、時間経過と共に脆くなる。

水溶液中では以下の5種類の酸化数を取りうる。

プルトニウム塩は様々な色を示す。
註:プルトニウム塩水溶液の色は、酸化数だけでなく配位する陰イオンの種類にも依存する。

プルトニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 04:03 UTC 版)

チューブ・アロイズ」の記事における「プルトニウム」の解説

プルトニウムによるブレークスルーは、エゴン・ブレッチャー(1901-1973)とノーマン・フェザー(1904-1978)によりキャヴェンディッシュ研究所実現した。彼らは、ウラン燃料として低速中性子(熱中性子)を用いタイプ原子炉理論的にかなりの量のプルトニウム239副産物として作り出すことに気がついた。これは以下の様な過程よる。ウラン238低速中性子吸収し新たな同位体であるウラン239作る。この新し同位体はすぐにベータ崩壊して、原子番号93質量数239新し元素となる。この元素原子核は、同じく電子放出して原子番号94質量239大きな半減期をもった新し元素となる。ブレッチャーとフェザーはこの原子番号94元素低速中性子高速中性子両方核反応起こしウラン化学的に異なった利点があり、簡単に分離ができる、と言う理論的な実現可能性示した。 これらの新し発見1940年バークレー放射線研究所エドウィン・マクミランフィリップ・アベルソンによる研究でも検証された。ケンブリッジチームのケンマー博士は、新し元素たちに太陽系天王星(Uranus原子番号92ウランに対応)より遠い惑星である海王星(Neptune)と冥王星(Pluto)から、93番目の元素ネプツニウム(neptunium)、94番目の元素をプルトニウム(plutonium)と名づけた。偶然にアメリカ人たちも同じ名前を提案したその後1941年最初のプルトニウムの最初サンプルの作成検証グレン・シーボーグにより行われた。彼は原子炉でなくサイクロトロン使用した

※この「プルトニウム」の解説は、「チューブ・アロイズ」の解説の一部です。
「プルトニウム」を含む「チューブ・アロイズ」の記事については、「チューブ・アロイズ」の概要を参照ください。

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プルトニウム

出典:『Wiktionary』 (2018/07/01 22:42 UTC 版)

名詞

プルトニウム

  1. 原子番号 94元素記号 Pu金属元素アクチノイド属す放射性元素単体常温常圧では銀白色固体

語源

訳語


「プルトニウム」の例文・使い方・用例・文例

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