戦闘・戦役
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ブラウンワルト星域の会戦 タイタニア一族が星間都市連盟を離れ、ヴァルダナ帝国側についた翌年の星暦229年、連盟とタイタニアの間で行われた会戦。タイタニアは連盟の宣伝工作によって帝国の支援を得られなかったが、独力で2倍の連盟軍に完勝。以後、宇宙の歴史はタイタニアを中心に回っていく。 ケルベロス星域会戦 星暦446年4月、エウリヤ市とタイタニアの間で行われた会戦。 タイタニア艦隊の指揮官はアリアバート・タイタニア公爵、エウリヤ都市艦隊はファン・ヒューリック大佐。 タイタニア側の戦力は、総数は明記されていないが一都市を相手にするには過剰なほどの量であり、質においても高い水準にあった。しかしエウリヤ都市艦隊は主力兵器とは考えられていなかったワイゲルト砲を大量に投入し、艦もろとも使い捨てにする奇策で、小型ガンボート600隻と引き換えにタイタニア艦600隻(戦艦119隻、巡航艦106隻、宇宙空母44隻、フリゲート艦147隻、揚陸艦80隻、輸送艦104隻)を完全破壊した。これにより、タイタニアの被害は10万人に上った。 原作では、エウリヤ都市艦隊はワイゲルト砲搭載艦600隻(乗員総数7,200名、うち未帰還者は100名以下)以外の艦艇については言及されていない。 漫画版では、アリアバート艦隊が750隻、エウリヤ都市艦隊が86隻(戦艦6、巡洋艦30、大小武装商船50)とされている。 アニメ版ではワイゲルト砲搭載艦以外の艦艇からなる前衛部隊があり、ワレンコフとパジェスに指揮されている。アリアバート艦隊との戦闘でほぼ全滅状態になるも、敵を罠へ誘い込むことに成功する。最終局面にて、円陣を組んでいたエウリヤ艦隊を包囲していたがために、アリアバート艦隊はワイゲルト砲をまともに受けてしまう。 宇宙に強大な勢力を誇っていたタイタニア(アリアバート・タイタニア)が初めて敗北した戦いだが、実は事前にアジュマーンとエウリヤ市長との間で密約が交わされており、市民を納得させるための形だけの戦いになるはずだった。確実に負けるように、「血の気の多い若者の暴走」を装って経験の浅い者ばかりで部隊を編成したにも関わらず勝ってしまい、ヒューリックはエウリヤを追放される。 シラクサ星域会戦 星暦446年6月10日、テュランジア公国とタイタニアの間で行われた会戦。前回の屈辱を晴らすべく、アリアバートが討伐の任に当たった。 タイタニア艦隊3,600隻(他にワイゲルト砲搭載ガンボート1,000隻強)、指揮官はアリアバート公爵、アニメ版では幕僚にボルドレーン中将、分艦隊司令にパウルセン少将。 対するテュランジア艦隊は3,300隻、指揮官はコンノート少将、参謀はハーフェズ少将。テュランジア公国の軍事顧問を務めていたヴァルダナ帝国軍のサラーム・アムゼカール提督も参加。 序盤、テュランジア艦隊は攻勢に出てアリアバート艦隊は後退する。コンノート少将はアリアバートが未だに自信を損失していると誤認して、後退するアリアバート艦隊に釣られて突撃した。しかし、テュランジア艦隊はワイゲルト砲の待ち伏せにあい、一撃で全兵力の3割を失う。撤退を開始するが追撃を受け、最終的に恒星間戦闘力の7割を失う。 アニメ版では、アリアバート艦隊が半月陣を敷いて防御に徹し、方やテュランジア艦隊は凸形陣で砲火を集中してアリアバート艦隊を崩しにかかった。圧倒的な戦果に酔ったコンノート少将は、半ば崩壊しつつあるアリアバート艦隊を殲滅すべく突撃をしかけた。だが、アリアバートが苦戦を“演じていた”とも気づかず、突然、左右に分離したアリアバート艦隊の後方からワイゲルト砲が現れ、その直撃をテュランジア艦隊は受けて半数近くを失ってしまった。斉射された直後、ワイズ中佐の分艦隊がワイゲルト砲の自爆により陣形を崩しているアリアバート艦隊に向けて突撃。旗艦ゴールデン・シープに肉薄するが、一歩及ばず全滅した。テュランジア艦隊は追撃を受けなかったものの、結果として敗退してしまった。 リトルビッグホーンの戦い 小説 シラクサ星域会戦のため、周辺の地域の秩序が崩壊し、この地域に海賊が横行するようになる。 元々、反タイタニアを大義名分として掲げ海賊行為を行っていた「流星旗」軍は、この地域に群がっていた海賊たちを反タイタニアの旗を掲げることで集結させ、5,000隻を超える大連合艦隊へと成長させていき、プレーゼ星域のタイタニアの物資補給センターを攻め大量の物資を略奪することに成功した。 この事態を憂慮したタイタニアは、ザーリッシュ・タイタニアを司令官とし、ジュスラン・タイタニアを補佐とする艦隊を派遣する。このタイタニアから派遣された軍隊に対し、流星旗連合軍は正面決戦を挑む。 ザーリッシュ艦隊は正面決戦と突撃攻撃に重点を置いた戦力配置をしており、戦争が始まった瞬間、流星旗連合軍はザーリッシュ艦隊の猛攻を受ける。寄り合い所帯であった流星旗連合軍はザーリッシュ艦隊の猛攻に恐怖して逃げ出す船が続出し、統率がとれずに瓦解する。 個々に逃げていた海賊たちは、ジュスランのバックアップを受けながら退路に待ち伏せていたザーリッシュの分艦隊に次々と撃沈され、投降してきた海賊たちは、幹部を含めほぼ全員処刑される。 アニメ版 アニメ版のこの戦役は小説版とは大きく異なる。リトルビッグホーン要塞攻略戦 シラクサ星域会戦の結果、星域の情勢が不安定になったのを利用して、ドールマンを長とする宇宙海賊(流星旗軍)は3,000隻を超える大規模な集団を形成し、タイタニア要塞に総攻撃を開始した。 ザーリッシュの部下、猛将と評されるランカスター中将が指揮を執っていたものの、駐留部隊はわずかに300隻。 流星旗軍は小集団に分散して、要塞に攻撃しては逃げるヒット・アンド・アウェイ戦法で波状攻撃を繰り返し、多大な損害を与える。300隻のタイタニア艦隊は瞬く間に全滅し、機能不能にまで要塞を攻撃を続行。結果として要塞は大破し、ランカスター中将も戦死した。 流星旗軍討伐戦 要塞を攻略したことで士気が上がり、流星旗軍は5,000隻にまで増加、新たに指揮官として元軍人だったマッケンゼン中将、ヘンリック少将、トスカーニ少将が加わっている。 対するタイタニアは、ザーリッシュ艦隊とジュスラン艦隊の合計1万2,000隻で、総司令官はザーリッシュ、副司令はジュスランである。 当初、流星旗軍はタイタニア艦隊が要塞の奪還に固執するとばかり思い込んでいたため、要塞を背後にして、攻撃を抑えるタイタニア軍を別働隊が伏兵として攻撃し殲滅する、という策を立てていた。 ところがザーリッシュは要塞を奪還せず、まとめて流星旗軍を撃滅する気でいたために、要塞を盾にしていた流星旗軍は瞬く間に被害を受ける。別働隊が攻撃を仕掛けるが、それは敵わずに全滅し、同時にマッケンゼン、ヘンリック、トスカーニの3名は戦死し、流星旗軍は壊滅した。 エウリヤ革命(アニメ版オリジナル) ケルベロス星域の会戦時にアジュマーン・タイタニアとエウリヤ市との間で市民に極秘で交わされた密約が、突如エウリヤ市で噂として流れるようになり、市長の陰謀論として渦巻くようになっていた。 イドリスと軍参謀長のベルティエが裏で手を組み、市長と軍司令官を暗殺してタイタニアにエウリヤ討伐の口実を与えることとなった。 このイドリスが成し遂げた功績をアジュマーンは非常に大きく評価しており、ジュスランも他の四公爵の誰よりも大きな功績と称えている。 リラ・フローレンツ救出(アニメ版オリジナル) ヒューリックのあずかり知らぬうちにリラが命を落とした原作とは異なり、反タイタニア分子として、リラが公開処刑されることが宇宙中に公表される。これはイドリスの入れ知恵によってアルセスがヒューリックをおびき出すために張った罠だったが、ヒューリックはそれを承知の上で救出に向かう(原作でもリラを餌にヒューリックを誘き出そうとするが未遂に終わる)。 まずヒューリックはパジェスに「ヒューリックが相当な戦力をかき集めてアルセス邸を襲撃しようとしている」という偽情報を流させ、さも自分が大艦隊を率いているかのようにタイタニア側に認識させた。これにより、ベルティエ率いる艦隊がヒューリックを迎え撃つべくエーメンタール周辺に展開。ヒューリックの艦隊を発見したベルティエは進撃を開始するが、実際は艦隊など無く、ベルティエの艦隊をエーメンタールから引き離すべく正直じいさん号と大量の隕石で偽装していただけであった。 その隙にヒューリック達は貨物船の乗員を装ってエーメンタールに入り込み、現地の反タイタニア勢力である自由エーメンタール軍の協力を得てアルセス邸を強襲。完全に油断していたアルセスは屋敷への攻撃を許してしまい、たちまち攻め込まれてしまう。 ヒューリックはアルセスが自分がここにはいないと思っていることを利用し、警備が正面に集中している間に潜入。無事リラと再会を果たすも喜びもつかの間、その隙を突いたアルセスに追い詰められてしまう。ヒューリックは自分と引き換えにリラを逃がそうとするが、アルセスは選択権など無いと一蹴する。 しかしリラは「希望」であるヒューリックを守るために、アルセスと共に食肉魚の水槽に飛び込む。ヒューリックもすぐさま水槽に飛び込むが、引き上げた時には既にリラは事切れていた。アルセスは原作通り顔の半分を喰われるも生き延びる。その後、屋敷から脱出したヒューリックはリラの墓前にて復讐を誓った。 アルセス・タイタニア暗殺事件 リラの復讐に燃えたヒューリックが実行した事件。 ヒューリックは、ウラニボルグへ逃げ込もうとするところを攻撃しようと計画するが、アルセスは4隻を別々のルートで航行させて惑わせつつ、護衛に来るイドリス艦隊に合流しようとした。しかし、アルセスが通信をイドリスに送っていたのをヒューリックらに探知される。 ドクター・リーは、配下の2隻を使ってタイタニアの護衛艦を1隻捕獲し、それで近づいてアルセスを殺害しようとしている、とイドリスに思わせた。その隙に、「正直じいさん」号は、アルセスの武装商船(オーロラ)と一騎討ちに出る。「正直じいさん」号のビームは威力が低いため、ヒューリックは一点集中砲撃を指示し、オーロラは反撃するも大した抵抗にならず、機関部を破壊されて撃沈された。 アニメ版では、イドリスの部下ベルティエ大佐がオーロラに乗り込んでおり、わざと通信波を流して居場所を付き止めさせた。どちらにしろ、イドリスはアルセスを利用してヒューリック共々ベルティエを葬る気でいた。 ヒューリックらは、「正直じいさん」号の他、ドクター・リーの船団14隻が参加しており、これらをヒューリックが指揮した。 小説とは違い、オーロラはアルセス専用の戦艦であり、簡単にはやられないとベルティエは断言している。 ヒューリック艦隊は、後方からオーロラの機関部を集中砲撃して足止めし、両翼に展開。オーロラの砲撃はなかなか当たらず、逆に被害を受け続ける。戦艦だけあって、耐久力は高かったが、次第に戦闘能力を奪われる。ベルティエは機関部を徹底攻撃する1隻をヒューリックの乗艦と判断して回頭するが、それを気に、左右に回り込んでいた部隊が砲撃をさらに集中。これが決定的となり、オーロラは大破。最後はヒューリックがアルセスに自らとどめを刺すべく攻撃を停止させ、満身創痍となったオーロラに「正直じいさん」号のビームが命中、艦体を真っ二つに折って爆沈した。 リュテッヒの動乱(アニメ版オリジナル。一部原作準拠) 原作より積極的に行動したエストラードは反タイタニア思想を掲げるヴァルダナ宮廷貴族達と組んで実際に反乱を企てた。 この時点ではイドリスはエウリヤにいるため、近衛軍の指揮権は軍務大臣であるエストラードにあった。彼と彼に協力を求めた貴族達はこれを好機とし、障害となるジュスランとザーリッシュをウラニボルグから引き離し、アジュマーンを藩王の座から引きずり下ろすべく行動を開始する。 ジュスランがエーメンタールに使者として発った後、ヒューリックを発見したと言う偽情報を流してザーリッシュを追い出した。しかし実はこの状況はジュスランが宮廷内の反乱分子を一掃すべく張った罠であり、ジュスランがエーメンタールに発つという情報自体が偽情報であった。 決起当日、宮廷貴族達は反乱を起こす前に全員検挙される。一方、バルアミーは父を止めるべく、反乱分子として宮廷貴族達を処断するように訴えるが、アジュマーンへの不満を募らせていたエストラードは聞く耳を持たなかった。その後、酔いのせいか階段から転落。 原作と異なり、この時点ではエストラードは死亡しなかったが、直後に軍が彼を反逆者として逮捕すべく現れる。エストラードは抵抗しようとバルアミーの持っていた銃を奪おうとしたが、バルアミーに掴みかかった際にその銃が暴発して不慮の死を遂げる。しかし彼の死は公式には「反乱分子の巻き添えで死亡」とされた。ジュスランは自分の策でエストラードの命まで奪ったことを悔やみ、後にバルアミーに謝罪した。 三度目のヒューリック逮捕・救出 アニメ版ではこの事件を大きく変更しているためアニメ版は別記する。下記のエスタールを参照。 アルセスを暗殺したファン・ヒューリック一行はタイタニアから追われる立場となり、辺境宇宙の中心都市バルガシュへ逃げ込む。 ストレス解消のため、女好きであるヒューリックは売春宿で女を抱いているところをタイタニアに見つかり逮捕され、アルセスの母親であるテリーザ・タイタニアの命を受けヒューリック逮捕にやってきたザーリッシュに引き渡される。 ヒューリック逮捕を知ったドクター・リーは、ヒューリック救出作戦を計画する。作戦はまず「流星旗」軍の名前でザーリッシュに挑戦状を送り、宇宙での艦隊決戦でヒューリックを奪い返すと思わせておき、実際には警備の隙をついてバルガシュ内で救出するというものだった。 「正直じいさん」号のクルーとドクター・リーの船団、それとシラクサ星域会戦で提督としてタイタニアと戦い逃亡生活を続けていたサラーム・アムゼカールとで新しい「流星旗」軍を旗揚げをする。本来の「流星旗」軍とは縁を切り、別の「流星旗」軍として独立する。これはドクター・リーがヒューリック救出に成功したとき、ザーリッシュの目を本来の「流星旗」軍の方にむけさせ、その隙に逃亡をはかるためであった。 こうしてヒューリック救出のため、ザーリッシュに「流星旗」軍の名で挑戦状を送りつけるが、そのすぐ後に全く関係ない別の組織の手によってヒューリックが救出される。ヒューリックを救出したのは医師のイブン・カシムが率いるバルガシュで反タイタニア運動を起こっている20名ほどの小さな組織で、たまたまヒューリックが拘禁されているホテルの専属医師であったカシムがヒューリックに毒を飲ませ、その治療中に逃亡させることに成功する。 バルガシュの砂漠 反タイタニア勢力と特務艦の戦い ファン・ヒューリックがホテルから逃亡したため、ザーリッシュは事前に送られてきた「流星旗」軍の挑戦状をもとに、苛烈な「流星旗」軍狩りとヒューリック探しを開始する。 膨大な量の衛星写真を調べた結果、砂漠に怪しげなところがあることがわかり、ザーリッシュは急遽調査のため特務艦を派遣する。そこは反タイニア組織のアジトであり、そこにヒューリックもいた。特務艦と反タイタニア組織との戦いが始まる。そこに「正直じいさん」号とドクター・リーの船団がかけつけ特務艦との戦いに勝利するが「正直じいさん」号は2発の攻撃を受け航行不能になった。 特務艦からの報告を聞いたザーリッシュは艦隊を率いて、反タイタニア組織のアジトへと向かう。 アニメ版については#アニメ版 「「正直じいさん」号」一行(アルセス暗殺以後)を参照 エスタール(アニメ版オリジナル) アニメ版のオリジナルで、小説版の「三度目のヒューリック逮捕・救出」にあたる部分を大幅に変更している。 アルセスを暗殺し、タイタニアから追われる立場になったものの反タイタニア運動をする気にはなれないでいた「正直じいさん」号一行は逃亡生活をつづけていた。更にはヒューリックが失意から行方をくらまし、惑星エスタールについた頃には資金が底をつき、パンを奪い合うような状態になっていた。 そんな中、惑星カサビアンカで奮起したヒューリックが帰還。タイタニアに一泡吹かせるべくわざと逮捕され、自らにかけられた賞金を獲得して逃走する計画を立てる。賞金の一部を受け取り、収容所を襲撃してヒューリックを連れ出すところまでは順調に進んだが、しかし賞金の少なさに不満を抱いたマフディーが帰りにカジノで稼いでいたところを、彼の元同僚のカイルに気付かれ、タイタニア軍に先手を打たれてしまう。作戦は失敗し、カイルはミランダに射殺されたものの、ヒューリックはエスタール政府に捕らえられ、監獄衛星クロノスへ収容された。 母の命を受けたザーリッシュがヒューリックの引渡しを要求するが、正式な書状がないという理由でエスタール政府はこれを拒否。両者が膠着している間に「正直じいさん」号一行はヒューリック救出を実行する。ファン・ヒューリック救出作戦 「正直じいさん」号一行が監獄衛星クロノスよりヒューリックを救出すべく起こした事件。 ドクター・リーの作戦では、「生きて出られないなら死んで出るしかない」と、ヒューリックを仮死状態にして脱出後に蘇生させる処置を執ることになった。 まずクロノスに着任予定の医者を拘束(ドクター・リー曰く「了解済み」)し、マフディーがその医者に変装してクロノスに向かう。そのタイミングでドクター・リーが衛星のシステムにハッキング。監視カメラを無効化している間に、カサビアンカ抵抗勢力の生き残りである囚人ベアナックルとホークアイが手筈通りヒューリックを暴行し、医務室に搬送させた。そしてマフディーが薬でヒューリックを仮死状態にし、死亡原因を調査すると言う名目で彼を連れ出そうとする。 しかしザーリッシュ艦隊に包囲されている状態では移送許可は下りず、ドクター・リーは独房を解放し、ベアナックルとホークアイによって囚人たちの反乱が起こされる。その混乱の隙にマフディーは脱出を図る。反乱は重力操作によってすぐに鎮圧され、マフディーも危機に陥るがベアナックルとホークアイに救われる。 一方、ヒューリックがショック死状態に陥った知らせを受けたザーリッシュはクロノスごと牽引するという手段に出る。ドクター・リーはそれに対し、逆にクロノスを加速させることで旗艦タイフーンと激突させた。その隙にマフディーは脱出に成功。巡洋艦に撃墜されながらもミランダ達の元へたどり着いた。 エスタール政府からはファン・ヒューリック死亡の報がもたらされ、ザーリッシュは八つ当たりのような砲撃を浴びせて都市を破壊する。 カナック大統領はヒューリックの遺体を引き取りに来たジュスランにその惨状を見せつけて謝罪と賠償を要求する。しかしジュスランはカナックが時間稼ぎをしていると見抜き、ヒューリックの生存を確信。その隙を突いて「正直じいさん」号はエスタール脱出を図るが、先手を読んだジュスランの艦隊が立ち塞がる。ヒューリックは自分が乗っている限り撃墜はされないと読み、停船。捕縛の隙を付いて脱出しようと目論んだが、ジュスランは「タイタニアには敵が必要」と考えて「正直じいさん」号を見逃した。 惑星バルガシュ上空戦 惑星バルガシュで起きたザーリッシュ艦隊とバルガシュ正規軍(トゥルビル艦隊)の戦い。 ザーリッシュ艦隊220隻、指揮官はザーリッシュ・タイタニア公爵、参謀グラニート中佐、分艦隊指揮官サラマンカ准将、ヴェヒター准将。 バルガシュ正規軍160隻、指揮官はトゥルビル少将、副官はイルク少佐。 元々の発端の原因はザーリッシュ艦隊がバルガシュ政府の主権を無視し、さらに降下阻止をしようとしたバルガシュ軍の駆逐艦を大破させたことによる。 数において勝るザーリッシュはサラマンカ准将に上空を封鎖させ、ヴェヒター准将にはバルガシュ軍を半包囲するよう時計方向へ展開するように指示。対するトゥルビルには選択肢はなく、後退しつつ迎撃するという危険な行動に出る。だが艦隊の動きを完全に掌握しているバルガシュ軍はザーリッシュ艦隊の包囲網を何とか避け続ける。業を煮やしたザーリッシュが40隻の僚艦を率いて、低空からバルガシュ軍を痛撃して上空を封鎖しているサラマンカと挟撃を狙い驀進するが、ヒューリックらの仕掛けた罠(「正直じいさん」号のビーム砲)の真上を通過し、「正直じいさん」号の最後の攻撃が旗艦タイフーンを直撃。さらにバルガシュ軍の猛撃がタイフーンを襲い、砂漠への着地を余儀なくされる。ザーリッシュは健在であると僚艦に告げられたタイタニア艦隊は主君を救おうと一斉に降下する。そこへ一気に守備から攻勢に転じたバルガシュ軍の集中砲撃にさらされ、大損害を被る。指揮を失ったザーリッシュ艦隊は烏合の衆と変貌。最後は半数にまで撃ち減らされて潰走する。 アニメ版では、「正直じいさん」号の罠を受けたタイフーンをバルガシュ軍は攻撃していない。撃墜後、バルガシュ軍は前衛艦隊を反時計回りに展開させてザーリッシュ艦隊を半包囲し、十字砲火を浴びせて全滅(恐らくであるが)させてしまう。 ザーリッシュ横死事件 バルガシュの砂漠でザーリッシュ艦隊とバルガシュ正規軍との戦闘中、砂の中に隠れていたドクター・リーの武装商船の一点集中砲火(アニメ版では「正直じいさん」号の攻撃)を機関部に受けたザーリッシュ旗艦タイフーンは砂漠に不時着する。ヒューリック逮捕が最大の目的であったザーリッシュは、船から脱出した後すぐに反タイタニア組織のアジトへと攻め込む。だが、ザーリッシュは罠にはまり、ファン・ヒューリックに銃殺される。 いんちき戦争(ポニー・ウォー) バルガシュ共和国とヴァルダナ帝国(タイタニア)との戦争の通称。 タイタニアはザーリッシュ横死の責任を問い、バルガシュ政府がとても飲めないような要求を突き付ける。バルガシュは混乱し、直接ザーリッシュに手を下したファン・ヒューリックらを引き渡して恭順を図ろうとする者もいたが、結局はヒューリックらを自軍に編入して戦わせ、また反タイタニア勢力の結集を図ることになる。 ザーリッシュの死から約2カ月後の星暦446年12月中旬、ヴァルダナ帝国はバルガシュに宣戦布告。アリアバート・タイタニアが2万隻近い艦艇と300万人余りの将兵を率いて出撃する。星暦447年1月1日、タイタニア艦隊は惑星バルガシュが存在する星系の外縁部に到達、アリアバートはエルマン伯を最後の交渉に派遣する。1週間(アニメ版では4日)の期限を過ぎても成果はなく、タイタニアは進軍を開始する。 1月10日、バルガシュ各地の軍事施設を軌道上からの攻撃で徹底的に破壊したのち陸戦部隊を降下させるが、バルガシュ艦隊の姿はなく、バルガシュ政府はファン・ヒューリックらが艦隊を乗っ取って逃げたと言い訳する。艦艇や部隊が「タイタニア軍の攻撃により地上で撃破された」と主張されても真偽を確認できないため、逃走した兵力を推定するのは困難だったが、概ね艦艇2,500隻弱、将兵8万4千人余りとされた。宇宙艦隊同士のまともな戦闘が行われないことから「いんちき戦争(ポニー・ウォー)」と呼ばれ始める。 バルガシュ海中戦 星暦447年2月、バルガシュの深海に潜伏していたバルガシュ艦隊およびファン・ヒューリック一党とアリアバート直率の捜索部隊が交戦する。まずアリアバートは、海上とさらに衛星軌道上に艦隊を配置して、逃走ルートを絶った。序盤、バルガシュ艦隊の魚雷攻撃を受けるものの単発に終わり、被害も無かった。しかし、直後に海流が襲い、さらにその流れに乗ってきた爆雷により被害を受ける。(その時、アリアバートが水路局に提出させた海底地形のデータに虚偽があることが判明した)急ぎ態勢を立て直すために上昇を命じるが、それを読んでいたヒューリックは、アリアバート艦隊の上方に向けてさらなる爆雷を流しておいた。結果として、アリアバート艦隊は爆雷群に突っ込む形となる。それにより、被害を増やした上に旗艦ゴールデン・シープも僚艦に接触し、アリアバート自身も全治3か月に及ぶ負傷を負った。この戦いで8千人以上が戦死し、アリアバートは2度に渡る敗北によって辞意を表明する。 3月27日、アリアバートの後任としてジュスランが出陣した直後に藩王アジュマーンの暗殺未遂事件が起こる。アジュマーンは生命は取り留めたものの重態となり、しかも「犯人はジュスラン」という未確定情報が独り歩きした上に、ウラニボルグに残留したイドリスとバルガシュのアリアバートの間で感情的かつ決定的な対立が生じ、タイタニアは分裂状態となった。これによりアリアバートとジュスランがバルガシュ政府と講和してバルガシュを本拠地としたため、「いんちき戦争(ポニー・ウォー)」は決着を見ないまま有耶無耶となった。
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