さん‐じょう〔‐ジヤウ〕【惨状】
惨状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 15:24 UTC 版)
巡査より縄を持ってくるように頼まれた女性は、海岸のすぐ目の前、20メートル先にある自宅に戻った。振り返ると巡査は、機雷の方向をじっと見ていたが、少しして上着を脱ぎ、左そして右のズボンの裾をまくった。女性は裏口から家に入ると、目の前の肥だめの口が開いていることに気付き、1枚目の敷板を置き、もう1枚に手をかけようとしたところで、ドカンと大きな音とともに裏のひさしが落ちて、その下敷きになった。 ようやく這い出して家の中を見るとあらゆる壁が吹き抜け、その先の表通りでは近所の女性が手でおぶっていた子供が向こうへ転げ落ちていた。反対の海のほうを見ると裏の風よけの板も一切なくなっていて、黒山のようにいるはずの子供たちは何処へ行ったのか、ただ海が広々と見えているだけであった。少し石垣のほうへ出てみると、そこには多くの子供たちが血まみれになって倒れ、手や足が飛び散っていた。もうみんな死んでしまったと思ったが、2人の子供がやんわり起きだして「たすけてーたすけてー」と叫び始めた。女性は、見物していた2人の息子たちが気になり捜し始めたが、自分の子かどうかは、もはや着物で見分けるしかなかった。探し回ると近くで男の子が「助けてー」と呼んだのでそちらを見るが、一目で助からないと分かり「おやー」と言葉にならない声を発してただ見守るだけであった。しばらくして11歳の息子を見つけた。近づいて抱きかかえてみたが、頭部の半分が失われていた。あまりもの出来事に涙を流すことも出来ぬまま、もう一人の子を探した。石垣の下に降りると、その14歳の子は立ったまま石垣に磔になっていた。無傷で目は半分開いたまま、まだ温かかったので、女性は長い間、体をさすり続けたが、やはり生き返ることはなかった。 翌31日、海岸で合同火葬が行われた。親族によって次々と運ばれてきた棺は、並べ敷いた薪の上に置かれ、その上をワラで覆った。棺の前にはローソクが付けられ、線香の煙が立ち上った。時が来るとワラの上から重油が注がれ、火が付けられた。ぼう然とする親族の前でメラメラと燃えながら棺を包む炎は、夜まで絶えることはなかった。
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惨状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20 09:13 UTC 版)
「2017年バハワルプル爆発」の記事における「惨状」の解説
大半の遺体は激しく燃えたため、多くは骨を残すのみとなっていた。少なくとも6台の車と12台のオートバイが燃え、道路上には、台所用品、鍋、水タンク、ガソリン缶、バケツが散乱していた。タンクローリーの運転手はその場で拘束されたが重篤な状態にあり、後に病院で死亡した。
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「惨状」の例文・使い方・用例・文例
- 彼はその惨状に恐怖のあまり金縛りにあったようにその場に立ちすくんだ.
- 被災地の住民の惨状は実にひどいものであった.
- 爆発事故があった花火工場は目も当てられない惨状だった.
- 被爆地の惨状は爆撃のすさまじさを如実に物語っている.
- 罹災者は目も当てられぬ惨状だ
- 現代戦争の惨状形容すべからず
- その惨状は見るに忍びなかった
- 僕は実際の惨状を見て来たのだ
- 罹災民は惨状を極めている
- 罹災者は惨状を極めている
- 洪水後の光景はすこぶる惨状を呈した
- 親しく革命の惨状を目撃した
- その惨状は目も当てられぬ
- その惨状と言ったらそれはそれはとてもお話になりません
- 洪水後の光景は極めて惨状を呈した
- 事故現場の惨状
- 世界中の人々が被災地の惨状にショックを受けました。
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