被災者
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被災者(ひさいしゃ、英: Victim, Disaster victim)とは災害を被った者。地震・台風等の天災や、事故・事件等の人災にあった人(人々)が含まれる。ただし、事件や事故の場合は被害者と呼ばれて、被災者と区別されることが多い。
被災者の分類
1970年5月31日のアンカシュ地震の被災者を研究したS・W・ドゥダシクの著書『Victimization in natural disaster. Disasters(災害の中の被災者と災害)』(1980年発行)の中において、被災者は、以下の4つのグループに分類されている。
- 一次被災者 (Primary victims)
- →災害の影響により何らかの損失等を受けた人(または人々)
- 近接被災者 (Context victims)
- →災害の影響または結果によって、直接・間接的に影響を受けた人(または人々)
- 周辺被災者 (Peripheral victims)
- →被災地域と強い関係を持ち、その結果として影響を受けた人(または人々)
- 進入被災者 (Entry victims)
- →被災地に外部から集まってきた人(または人々)
たとえば火災の場合、"火災で家を焼かれた人"は一次被災者となり、"火災の影響は受けなかったが、災害後の臭気等に悩まされる隣家"は近接被災者、"その家に縁を持つ近親者"は周辺被災者となる。また、"消火活動をする人"は進入被災者になりうるのである。
これに対して、ニュージーランドの精神科医A・J・W・タイラーとA・G・フレイザーは、もっと細かい分類をしている。2人の場合、近接被災者から進入被災者を二次被災者から四次被災者としていて、四次被災者以降に五次被災者と六次被災者を設けている。五次被災者は、災害に関与していなくても精神的に苦痛を感じる人(または人々)。六次被災者は、直接的な被災を免れたが間接・代理的に災害に関与した人(または人々)。となっている。
先ほどの例に当てはめると、五次被災者は"テレビ中継などで火災現場を見て不快な感情を持った人"、六次被災者は"火災の原因が外部にあり、その原因を作った人"であると言える。
以上のことから、被災者と外部との境界線を見つけることが難しいことが分かる。また、救援者やボランティアも被災者になることがあり、一概に被災者を、“災害の中心にいた人”と言うことはできない。
被災者に対する救済
被災者に対する救済は、以下のとおり。
心理社会的ケア
災害時に求められる精神保健活動について、次のようなものがある[1]。
- アウトリーチ(精神保健スタッフが被災地に赴き、現場で求められている援助を提供)
- 地域住民の交流促進(「入居者交流会」「健康相談会」「お茶飲み会」などの企画開催)
- 相談業務の拠点の設置(精神保健の専門スタッフが常駐する相談センターの設置)
- 精神症状のスクリーニング(精神症状把握のために、簡便なスクリーニングのためのチェック項目を用意)
- 活動の継続(家族を亡くしたり、転住を余儀なくされた人など、心理的影響が強いと予想される被災者に対しては通常の体制の中でのサポートを続ける)
被災した経験をきっかけに心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の症状が表れる場合も多く、その際には適切な治療を行い被災者をサポートする(詳細は、「PTSD#治療」を参照)[1]。また、PTSDの二次的反応として、うつ病・強迫性障害・解離性障害などが発症する場合もあり、その際にも適切な治療を行い被災者を支援する(詳細は、「うつ病#治療」・「強迫性障害#治療」・「解離性障害#治療」)[1]。
また、日常生活の変化に対する、付き添いによるサポートなども含めたソーシャルワーク的支援も必要である[1]。
脚注
参考文献
- ビヴァリー・ラファエル 著、石丸正 訳『災害の襲うとき : カタストロフィの精神医学』みすず書房、1995年。ISBN 4-622-03632-0。
関連項目
- 仮設住宅
- 避難経路
- 一時避難場所
- 収容避難場所
- 広域避難場所
- 災害用伝言ダイヤル
- 災害時応援協定
- 災害食
- 非常食
- 帰宅困難者
- 災害救助法
- 特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(特定非常災害特別措置法)
- キャットボンド(大災害債券)、地震保険、火災保険、事業停止保険、水災保険(火災保険の水災補償に含まれる場合もある)
- 公衆電話
- ペースメーカー
- 股式電極
外部リンク
- 防災情報のページ(被災者支援) - 内閣府
罹災
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 04:06 UTC 版)
白昼の空襲だったことから、機銃掃射や「新型爆弾」への危惧で市民の大半が初期消火よりも防空壕への退避を優先した上に、火勢が強く、夏場の水不足と火災による水道管の破裂で消火活動は捗らなかった。鎮火した午後1時ごろまでの2時間30分で被害面積は市街地のおよそ7割の約1.75平方kmに及んだ。罹災者は2万23人、罹災戸数は4,506戸に達した。久留米駅や久留米ホテル、久留米市公会堂、喜多村石油が全焼したほか、日華護謨工業は本社工場の3分の1(9,900平方m)を焼失して資本金300万円を超す370万円の損害を被った。一方で、久留米市役所や久留米警察署などの行政の拠点や、留守第18師団、歩兵第48連隊などの軍事拠点には被害が少なかったことから、戦後の復興に役立った。
※この「罹災」の解説は、「久留米空襲」の解説の一部です。
「罹災」を含む「久留米空襲」の記事については、「久留米空襲」の概要を参照ください。
「罹災」の例文・使い方・用例・文例
- 私たちは罹災者たちに十分な食料を供給すべきだ。
- 地震の罹災(りさい)者たちには直ちに新しい家があてがわれた.
- 総理大臣は洪水で罹災した地域を訪れた.
- 幸い戦争中もこの家は罹災をまぬがれた.
- 罹災者は窮状に陥っている
- 罹災者は目も当てられぬ惨状だ
- 天皇陛下には罹災者に五千円賜った
- 罹災者の中に復興の力のある者は半分あるまい
- 罹災民の状態は酸鼻を極む
- 罹災民の衛生状態は憂慮すべきものあり
- 罹災民は惨状を極めている
- 救助隊は立派に任務を全うして罹災者は救われたり
- 罹災者、罹災民
- 罹災地
- 罹災救助金
- 罹災者は村の寺院に避難した
- 罹災者惨憺を極む
- 罹災者救助金
- 罹災者は惨状を極めている
- 罹災者は実に惨憺たるものだ
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