その他の魔術的構造物
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「とある魔術の禁書目録の用語」の記事における「その他の魔術的構造物」の解説
聖ジョージ大聖堂 イギリス清教の実質的な頭脳部であり、「必要悪の教会」の本拠地。ロンドンの最中心部からやや外れた中心街に存在する教会の1つ。教会としてはそこそこ大きいが、世界的観光地として知られるイギリスの寺院や大聖堂と比べると格段に小さい。 元々はイギリス清教の鼻つまみ者だった「必要悪の教会」が、カンタベリー寺院から左遷される形で与えられたものだったが、イギリス国教という巨大な組織の中で信頼と権限を積み上げていく事で国を統べる一大宗派の核となった。 対魔術師用の総本山であり、多くの防壁が用意されている。地下には大規模な霊装保管庫が存在するほか、本命、ダミー、トラップ用、迂回路など用途も重要度も様々な無数の脱出用通路が蜘蛛の巣のように何キロメートルも伸びている。 カンタベリー寺院 イギリス清教の総本山であり、正式な心臓部。元々は首都ロンドンから離れた地方の大聖堂だったが、1170年12月29日に聖トマス=べケットが「王室派」に暗殺された件で反感が募り、結果として教会の独立性を認めざるを得なくなった事から、イギリス清教始まりの地、とも呼ばれる。 処刑塔(ロンドンとう) イギリスに存在する歴史的な建造物。かつては囚人達の末路として知られ、この門をくぐった者は生きて出る事はできないとまで言われた血と拷問と断頭刑の施設だった。イギリス王室最大の宝物庫としての側面も持ち、現在では一般公開されてわずか14ポンドで見学できる観光名所「ジュエルハウス」となり、処刑設備としての歴史だけでなく、イギリス王室が保管する巨大ダイヤ「アフリカの星」などの宝石類も並べられている。しかし、昔ながらの役割を持った暗黒の施設群「ホワイトタワー」が、表からは見ることも入ることもできない莫大な迷路状の「死角」で稼働し続けており、現在も「必要悪の教会」の元で囚人達を捕らえ、必要とあらば拷問でも処刑でもためらいなく実行している。ビーフィーターという看守兼衛兵に守られており、鉄扉と鉄格子付きの窓が備え付けられた独房は魔術的に補強されている。 有事の際には「奉仕作業」という、幽閉中の囚人を、ビーフィーターの監督下で一時的に表に出して対魔術師戦闘に従事させる特別措置が取られる。ただ、人間に良識が残っている間は絶対に行われない本当に最後の手段で、クロウリーズ・ハザードでロンドンが陥落しかけたときにも許可は出なかった。 作中では、リドヴィア、ビアージオ、キャーリサ、ウィリアムが収監されている。また、クロウリーズ・ハザード時に捕らえられた上条が、「三重四色の最結界」のコアを探す過程でホワイトタワーに置かれていた多くの文化財を「幻想殺し」により破壊し、同時に重厚な石壁も内側から大きく崩落してしまう。 聖ピエトロ大聖堂 ローマ正教の心臓部たる世界最大の聖堂。1世紀に死んだペテロの墓の真上に、4世紀にコンスタンティヌス帝が聖堂を贈呈・建設したのが始まりで、ルネッサンスの際にミケランジェロの設計で大改築された。この事から「聖人の死体を利用して新しく建てる教会の権威を補強した」ものとも言える。 歴史的、学術的な価値が高い建造物であると同時に、ローマ正教最大の要塞でもあり、莫大な施設を支える魔術的な仕掛けが施されている。また、地下には禁書目録を案内したほどの、莫大な知識量を誇る大書庫が存在する。 教皇と右方のフィアンマの内部抗争によって聖ピエトロ広場を含む大部分が崩壊する。 バッキンガム宮殿 イギリス女王が暮らしている住居。隣接する2つの公園と融合するように存在し、イギリスの首都ロンドンの一画が丸々開けているので、一見するとスケールのデカい公園に写る。他国との会談にも使われる事から、相手国の重鎮を罠の中に誘い込む構図にならないよう、別宅のウィンザー城などとは違って敷地内から魔術的なセキュリティ機構は全て撤去されている。また、「カーテナ」によって天使長と同質の力を得た国王を殺せる人間はいないという事も、セキュリティを必要としない理由の一端である。ただ、宮殿のほぼ真下を通るヴィクトリア線に魔法陣を施した特殊車両を運び込む仕掛けによって、カーテナ暴走時に備えた安全装置としている。 「ブリテン・ザ・ハロウィン」最終盤における戦場となり、バンカークラスターなどが撃ち込まれた事もあって大きな損傷を受ける。 レンガ埠頭(レンガふとう) スコットランドの最北端に設置され、海と空からイギリスへやってくる不審者を沈めるために機能している長距離迎撃神殿。元は産業革命の頃の港の跡地をイギリス清教が徴収し、迎撃用の魔術施設へ改装したもので、レンガ製の構造物が連続的に繋がって巨大な城かダウンタウンのようになっている。 備わる大規模迎撃術式は、「見えない砲撃」が魔術師に着弾すると生命力を強引に魔力に変換させた上で勝手に体内で暴走させるという、「術式妨害型」のシステムを取っている。有効射程は半径200キロメートル以上、50個の標的を同時にロックし、そのうちの20を瞬時に攻撃可能。 海洋牢獄(かいようろうごく) 「必要悪の教会」が世界各地で捕縛した敵性魔術師が、イギリスに運ぶ途中で再逃走されるのを防ぐために作られた牢獄で、定期的に7つの海を渡っている。元になっているのは水族館にある透明なトンネルをエスカレートさせ、ありとあらゆる海の世界を楽しめるという分厚い防弾樹脂で作られたガラス張りの豪華潜水艦「アクアトンネル」。全部で12隻建造されているが、アクアトンネルの名称で本当に世界一周旅行をしているのは「デコイ用に用意された、本物の豪華客船」である1隻のみで、他の11隻は海洋牢獄として機能している。 囚人は1隻に500人ほど収容されている。囚人による乗っ取りを防ぐために内部には操舵室は存在せず、7つの海に対応した巨大霊装「喜望峰」により海の近くから遠隔操船される。インド洋の場合はインド南端のナーガルコイルに設置されている。 巨大な船と、そこに乗る罪人という魔術的記号を、北欧神話で神々を裏切ったロキが操る死者の爪で作られた巨大船「ナグルファル」に対応させ、死亡した囚人の爪を設置する事で制御権を奪取するというシージャックが発生した。しかし、派遣された「聖人」神裂の圧倒的な戦闘力を目撃した事で首謀者が戦意を喪失し、降伏勧告を受け入れる。 市民図書館 ロンドン市内にある3階建て程度のビルディング。表向きは民間人からの「善意の寄贈」によってのみ成り立つ施設であるが、好事家が管理しきれなくなった稀少本の最終処分場でもあり、散逸した危険な魔道書の再回収を誰の目にも留まらない形で促すための公共施設というのが本来の意図。修繕室に保管されているのは大半が「写本」だが、「死霊術書」をはじめ20冊未満だが「原典」も存在する。管理方法は「魔道書の形をしたデコイ」を大量に隣接させる事で、「原典」の自己認識能力を狂わせ「一体どこからどこまでの情報を被験者に流入させれば良いのか」判断できなくさせて、自立稼働を空回りさせているというもの。 ソード聖堂 「必要悪の教会」の拠点の一つ。神のために戦って折れた剣や槍の最期を「看取る」ための器物を冠した珍しい聖堂で、物品そのものを拝む信仰方法は邪道だが、無理に押さえつければ不満が蓄積するとして、ガス抜きのために容認されたというのが宗教的解釈上の事情である。プロの魔術師の間では、強力ではあるもののあまりにピーキー過ぎて持ち主まで死なせかねない霊装の再チューニングを行うカスタム施設として有名。巨大な火薬庫ともいえる施設だが、まともな構成をした霊装は保管されていない。一応人間を取り扱う区画はあるが、凄惨な傷のついた死体からどういう霊装が使われたか逆算するための設備なので、「人のための設備」は極端に少ない。 ラジオゾンデ要塞 「グレムリン」が上条当麻を捜すためだけに作り出したサーチ構造物。命名はイギリス清教で、学園都市で観測用に使われる中間圏ラジオゾンデという風船に由来する。世界の注目を氷河期の発生という「惑星レベルの壊滅的なリスク」に向けさせるため、縦横の長さがおよそ20キロメートルある十字の形をした巨大構造物として作られており、建築様式は「ベツレヘムの星」を模しているのか、「世界中から聖堂や神殿をかき集めて作った」かのようにバラバラ。下面に200〜300個ほど付いた全長数十メートルのガスタンクのような金属製の球体で浮力を発生させているが、バルーン群に入る量で十分な浮力を得られるガスは科学的には存在せず、搭乗する「投擲の槌」が制御を担当している。中間圏と呼ばれる高度5万2000メートルの高度を浮遊しており、極端に空気が薄いために揚力を確保できない飛行機では到達できず、その場に留まれないロケットでも干渉が難しく、「弾道ミサイルなどで手を出せば即座に壊滅的状況に陥る」状況を作るため、バルーンの強度は30ミリ鋼板クラスと非常に脆い。 龍脈や地脈が「幻想殺し」によって削られた分だけ修復するというサイクルに対して風水の応用で干渉し、赤く濁った結晶のような発信器がおよそ50キロメートル間隔で地中に自動製造され、発信器の範囲内に上条がいた場合はさらに精密な誘導を行うよう設定されている。イギリスを経て、フランスからユーラシア大陸を横断し、学園都市の第7学区・中央ハブ変電施設を目指して進行し続ける。対処のため、聖人である神裂が有人ロケットで宇宙まで上がった後に大気圏へ再突入、要塞の上に着地するという大雑把な手法で侵入し徐々に降下させようとしたが、「投擲の槌」との交戦で要塞の3分の1が消滅した。レイヴィニアからの情報提供を受け、一方通行が発信器を埋めた場所を特定し、浜面がボーリングマシンで分厚いコンクリートの床を突き破り、発信器本体を上条が破壊したことで学園都市への要塞墜落を免れ、作戦通り太平洋上に不時着した。 イングラド―ロンディニウム大要塞 12月に発生した「クロウリーズ・ハザード」の侵攻の際、ロンドンを中心に年輪やバウムクーヘンのように何重にも張り巡らされた防衛戦。 外縁部はミステリーサークルなどの歴史を超えて語られてきた「草を倒して作った不思議な記号」という超常を人工的に再現し、牧草地帯そのものを命令1つで操り、干し草で作った長大な壁を一面に広げている。草の壁を越えようとした者は油で絡め取られ、古くから罪人殺しに最適な炎の壁を作って侵入者を焼き殺す手はずになっている。さらに、魔術的な飛行手段で防衛線を越えようとする者に対しては、「トマス=ベケットの血の奇跡」を応用した高圧放水で撃墜する。 さらに首都ロンドンの周囲にはオーロラのような「三重四色の最結界」が張り巡らされ、すさまじく巨大な壁が行き来するような構造から、下手に触れれば中空に引きずり込まれ、莫大極まるプレス機で押し潰される。インデックスによるとギルドの概念を利用した術式らしく、わざと正解に乱数化を施しているため、結界を張った張本人でも解除できず、表層を砕いた時点で引きずり込まれるため「幻想殺し」でさえ破壊できない。ただ、イギリス王室最大の宝物庫でもある処刑塔の中に結界のコアとなる霊装が保管されており、これを「幻想殺し」が破壊したことにより解除される。 クイーンブリタニア号 全長200メートル以上、甲板までの高さ9メートル、排水量15万トンもの規模で、ディーゼルを動力源とする巨大な豪華客船をイギリス王室の一族のみのために整えた、「海の上に浮かんだ城」。名画ばかりのギャラリー、本格的なオペラハウス、ダンスホールに食堂も、「乗り物」のスケールを超えている。外交上必要な渡航は全て航空機を使う以上、実際には乗り物としての性能よりも国威や技術力を示す意味合いが強く、今では退役してエディンバラの港に繋がれ観光名所の1つになっているが、そもそも国家を代表する者達が乗り合わせる船ということもありその硬さは言うまでもなく、魔術大国イギリスによって諸々の妨害や攻撃で簡単に沈まないよう、船の設計レベルで様々な魔術的記号が組み込まれた特別製。退役後も保存されていたのは、力技で解体しようとすると反動で国の半分が吹っ飛ぶからで、何も知らない観光客の「雑念」で撹拌することで、1200年以上かけて魔術的記号を中和する方法を採用している。 王族が直接乗り込んで海を渡り、イギリス連邦影響下の所定のポイントで大規模な儀式を行うための牙城で、ヘリポートの位置に設けられた広大な十角形の儀式場があり、「どのような霊装でも祭壇中央に接続すれば増幅・攻撃的に転化する」という機能を持つ。全権を掌握すると世界と世界を壁で区切って緩衝用の世界を間に挟んだ状態となり、一度ヘリポートが「消えて」しまうと、「魔神」クラスの一撃か「幻想殺し」でもない限り外から神殿を崩すのは不可能。 「モ・アサイアの儀」を行うための儀式場として、クロウリーズ・ハザードや「神威混淆」でイギリス全体が混乱している間に最大主教の指示でエディンバラから出航、ダンフリース近海でコロンゾンに乗っ取られ、コロンゾン自身が蓄えた力を動力源として儀式に適したポイントへ移動し始める。だが、目標地点に到達する前に総攻撃が行われ、コロンゾンが上条の右腕を切断した際に発生した「何か」によって船体が真っ二つに裂かれて沈没してしまった。 エディンバラ城 魔術の界隈では不死の王と言われたジェームズ4世が住まいとした城。オカルトとしての真価は聖マーガレット礼拝堂を中心としてアリの巣のように広がる、無数の出入り口、通路、階段を内包する膨大な地下構造体にある。その地下構造体にはオナーズオブスコットランドが保管されていた。 ウィンザー城 ロンドン郊外、テムズ川のほとりに位置するイギリスの君主の公邸の一つ。イギリス王室が所有しており、一部は博物館や資料館のように公開されているものの、王室が依然として居住空間として使用している、正真正銘の女王の城。およそ45000平方メートルの床面積を持ち、住居者がいるものとしては世界最大の城で、ヨーロッパで最も長く使われている王宮である。女王が週末を過ごすためにここを訪れているときには王室旗が、平日などのいないときにはイギリス国旗がはためいている。 中央庭園にある円筒形のラウンドタワーを挟んで、左右にコの字に近い石造りの建造物が囲み、片方には聖ジョージ礼拝堂があり、もう片方には来賓の応接や記者会見などを行うステートアパートメントを収めている。 バッキンガム宮殿とは違って魔術的な機構が組み込まれているため、ここで開かれる公のパーティーは、「イギリス国王は我々を罠にはかけない」という信頼を持つ者だけが招待される形になっている。城内には国防にとって重要な霊装がいくつも保管され、警備機能として、薬効を取り出す事に失敗したマンドラゴラを温室で量産、内耳からの振動で心臓を破る「雄叫び」を利用した対人地雷を配備している。
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