対人地雷(たいじんじらい)(mine)
通行する人や車両などが地中に埋められた対人地雷を踏むと、爆発して人を殺傷したり車両を破壊したりする。対人地雷禁止条約(オタワ条約)で保有などが禁止されている。
現在、地球上には1億個とも言われるほどの大量の対人地雷が残っている。戦地で兵士が死傷するほか、そうでない地域であっても、除去作業中の事故で多くの命が失われているという悲しい現実がある。
1997年12月、外務大臣としてカナダの会議に出席した小渕恵三大臣(当時)は、対人地雷禁止条約に署名した。この条約は、対人地雷の生産・使用・保有について全面的に禁止したもので、1999年に発効した。会議の開催地がオタワであったため、オタワ条約とも呼ばれている。
8日、北海道美唄市と滋賀県新旭町で、日本では最後となる対人地雷の廃棄作業が行われた。対人地雷禁止条約に基づき、自衛隊が保有する約100万個の対人地雷を2000年から廃棄してきたもので、最後の1個は小泉首相の号令に合わせて水井戸の中で爆破させた。
(2003.02.10更新)
対人地雷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 05:31 UTC 版)
近代の主な対人地雷 (Anti-personnel mine) には、踏みつけた人間の足の踝(くるぶし)やすね程度を吹き飛ばす小型で低威力の爆風型地雷や、仕掛け線や踏圧などで信管が作動すると最初に少量の火薬で炸裂部を1-2mほどの高さに打ち上げ、続いてそれが炸裂することで内部の鋼球などを撒き散らして周囲数十mの敵を倒す方式の、対人地雷としては比較的大型の破片式の跳躍地雷と呼ばれるものなど、一般には地下に埋設する形式が多いが、これらとは別に、物陰などに固定しておき仕掛け線などを用いて信管が作動すると主に水平方向に扇状に鋼球などを撒き散らして殺傷する、破片式でも地上設置型のものがある。 炸裂した時、一定の方向に扇形に散弾を発射する性質(指向性)を持った地雷(クレイモア地雷など)を指向性対人地雷、または指向性散弾といい、危害範囲が非常に広いのが特徴である。これは地中に埋設するのではなく、付属した簡易な三脚や四脚に載った形で地上に設置され、水平方向に散弾や弾片を射出する。また、張られたワイヤーに兵がひっかかることで作動するだけでなく、遠隔操作で任意のタイミングで炸裂させることもできる。これにより兵が密集していた場合、一度に10名以上が殺傷されることもある。 安価で数多く使われる小型のものは、敵兵の即死による殺害ではなく負傷による無力化を目的としている。敵兵1人の即死はそのまま兵力の1減であるのに対し、1名が重傷を負えば看護や後送にも人員が割かれるため、前線兵力は2以上減となり、また、苦痛を訴え続ける味方兵の存在は、戦意高揚を困難にする要素となる。 小型の地雷は、空中投下によって撒布することが可能である。しかし、正確な撒布場所が分からなくなるので被害を出しやすい危険な方法である。広く流布した話に「小型地雷に子供の興味を引くぬいぐるみやおもちゃのようなものを取り付けてばら撒き、触れた子供の手足や生命を奪う」とするものがあるが、事実として確認されていない。 以上のように、対人地雷は敵味方・軍民を問わず被害を受ける危険があるため、厳格な運用が必要とされる。しかし、紛争国では無計画に埋設された結果、除去困難に陥り戦後の紛争の後遺症として住民を苦しめ続ける例が見られる。そのため、規制が議論されている。そのような観点からオタワ条約が発効した。ただし、主要な地雷輸出国が批准しておらず、紛争地帯での地雷被害は減っていない。中には、残留日本人が被害に遭う事例があり、日本国内にも影響を与えている。
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