対人工知能特務機関A.I.M.S.
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 23:25 UTC 版)
「仮面ライダーゼロワン」の記事における「対人工知能特務機関A.I.M.S.」の解説
読みは「エイムズ」。A.I.M.S.はArtificial Intelligence Military Serviceの略で、内閣官房直属の政府によって設立されたヒューマギアに関する事件の捜査を専門とする特務機関。新たに施行された人工知能特別法の制定に伴い、それに則っていかなる理由においてもヒューマギアは民間人に危害を及ぼしてはならないため、危険があると判断した場合、暴走したヒューマギアの違反を取り締まる権限があり、そのヒューマギアを破壊・廃棄する資格を持ち、それに関わるサイバーテロリストや人工知能特別法に違反する者の捜査や逮捕、銃火器の使用の権限も併せ持っている。 ZAIAが創設に大きく関わっているため、ZAIAの技術によって作られたショットライザーやギーガーなどの武力を保持しているが、その実は垓が兵器ビジネスとザイアサウザンドライバーの開発のために利用されていた組織であった。その後、第30話において垓が飛電を乗っ取ったことで指令権をZAIAが買収していることが明かされ、同社直属のヒューマギアを取り締まったり、垓の警護を行う私兵組織に変貌したが、第44話にて垓の尽力でZAIAから独立して唯阿を隊長とした本来の治安維持を目的とする政府機関に再編された。 移動においては専用車を使用して現場に向かい、諫と唯阿以外の一般隊員は特殊マスクと装甲スーツで完全武装しており、専用のマシンガンを駆使する。 「A.I.M.S」の名称は、バルカンとバルキリーが銃を用いることから、「銃の照準を定める」という意味の「AIM」に由来し、「AI」ともかけている。 或人の両極としてAIに対してハードな存在であり、世界観を拡張するため、AIが普及する中で管理する側として設定された。当初、A.I.M.S.は警察内部の人工知能犯罪対策部という設定だった。 不破 諫(ふわ いさむ) / 仮面ライダーバルカン N.E.1992年2月8日生まれの東京都南浅草エリア出身の26歳。身長177cm、体重65kg、血液型A型、視力は右1.6、左1.4。A.I.M.S.の実務担当で行動隊長で、仮面ライダーバルカンに変身する。口癖は「ぶっ潰す」。射撃などの戦闘能力には優れているが、唯阿の指揮を無視して発砲したり、エイムズショットライザーを無断で持ち出すなどの単独行動を起こす。 12年前のデイブレイクに巻き込まれた際に、目が赤く変色して暴走した旧型ヒューマギアの大群に襲われたことで重傷を負い、その事故原因がヒューマギアであると思い込み、それを製造し、事故原因を隠蔽した飛電インテリジェンスを「大勢の犠牲の上に成り立っている腐りきった会社」と憎悪していた。ヒューマギアを「人類の敵」や「殺人マシン」と非難しているため、ヒューマギアを人類の夢としている或人には敵意を剥き出しにしているが、デイブレイクタウンに赴いた際にデイブレイクが滅亡迅雷.netの犯行であることを知る。 特殊な笑いのツボのため、或人のギャグに世界で唯一ツボにハマる人物であり、彼が記者会見でギャグを披露した際、会場が静まり返った中ただ1人笑いを堪えていた。当初はゼロワンを暴走したヒューマギアと認識していたが、第4話で正体が或人だと知ってからは共闘するようになる。 国立医電病院での事件において、滅が仮面ライダーに変身するのを目撃した際、その姿がデイブレイクの現場でアンナが解析した映像に映った仮面ライダーと同一人物だと気づく。そして、怒りを爆発させて攻撃するも通用せず、滅の必殺技を受けて致命傷を負うが、収容先の国立医電病院の外科医ヒューマギアのDr.オミゴトにより一命を取り留め、ヒューマギアに襲われた記憶に加え、ヒューマギアに救われた記憶ができる。デイブレイクを起こしたと考えられる滅、ヒューマギアを暴走させ、人類に脅威をもたらす滅亡迅雷.netに強い怒りを抱いている。 変身用の人工知能搭載チップを脳内に極秘裏に埋め込まれており、これを迅がハッキングすることで滅を脱走する際の協力者にしていた。第29話では、滅亡迅雷.netの4人目のメンバーである亡のデータが組み込まれた脳内チップであることや、アークのテクノロジーをコントロールするために、アークを繋げる存在としてチップを利用した垓によって意識を支配されて兵器を運用するための実験体第1号であることを知るが、人間とヒューマギアの共存という夢を信じる或人の姿に感化されたことで亡の思考を完全に排除して精神支配を克服した。 第30話でZAIAの管理下に入ったA.I.M.S.を辞めたことが明かされるが、無線の傍受は可能であり、全ての元凶である垓とZAIA打倒のため、飛電製作所の警備担当(用心棒)として戦うことになる。その最中、唯阿が再び亡を覚醒させるが、亡が夢を持とうとしたことや「自分たちはZAIAの道具じゃない」という考えが一致し、2人でサウザーを撃破する。 第33話では、デイブレイクでヒューマギアに襲撃されたという記憶は、垓が諫にヒューマギアに対する憎しみを抱かせるために改竄された偽の記憶であることが判明。自分を突き動かしてきた記憶が偽りであったことに衝撃を受けアイデンティティ崩壊を起こすが、垓に反逆した唯阿に心動かされたことで克服し、これからは仮面ライダーという夢を追うと宣言し共闘してサウザーを撃破する。 第34話では滅と迅の依頼を受けた唯阿によって自身の肉体から亡が分離される。第35話では亡によりチップを埋め込まれる前の本来の生い立ちを語られるも、「普通すぎてつまらん」と唯阿に評されるほど平凡な人生だった。第36話では本来の記憶を知ったことで戸惑い、アイちゃんに相談した後、両親と弟の顔を見に行った。特に笑いのツボは父親譲りで、父親は或人と似たギャグを言うことも明らかとなった。 第43話でアークワンとなった或人によって脳内チップのデータを消去されたことで仮面ライダーへの変身能力を失い、第44話では或人が滅と戦い人間とヒューマギアの戦争が起こるのを防ぐために、亡から託されたジャパニーズウルフゼツメライズキーで仮面ライダーオルトロスバルカンに変身。ゼロツーに変身した或人と交戦しつつ夢について語りかけるが、迅を破壊してしまったショックで心を閉ざした或人には届かず、ゼツメライズキーの負荷に耐えきれなくなったエイムズショットライザーが自壊したことで強制的に変身が解けてしまった。すべての戦いが終わったあとは、仮面ライダーとして街の平和を守る道を歩む。当初は、実直真面目な刑事という設定だった。だが、後述の理由から資格なしで変身することを強調するため、破天荒キャラということとなった。 諫を演じる岡田は、「孤独に戦う悲しみを背負ったヒーロー」である仮面ライダー1号を意識しており、或人が緩急でいうなら「緩める」キャラクターのため、怒りの諫は「緊張」のキャラクターとして話を締める部分を担う役として演じているという。亡に乗っ取られた際の演技は、寝ている状態に近いローな感じで力を抜くというイメージで普段の諫とは別物を表現しており、ボソボソしゃべっている感じで演じている。当初は、亡の出自やキャラについて何も知らなかったといい、実は諫は死んでいて、誰かに動かされているなどの想像を膨らませていたという。第32話のランペイジバルカンで戦うシーンは、当初は亡の声のみで戦う予定だったが、岡田の提案で不破と亡が脳内で会話してシンクロして戦うという描写となった。 刃 唯阿(やいば ゆあ) / 仮面ライダーバルキリー / ファイティングジャッカルレイダー N.E.1995年4月18日生まれの24歳。身長170cm、血液型B型。A.I.M.S.技術顧問兼A.I.M.S.特殊技術研究所最高責任者で、仮面ライダーバルキリーに変身する。エイムズショットライザーの開発やメンテナンスなどを行う一方で戦闘能力にも優れている。男勝りな性格で、男性的な口調で喋るのが特徴。 或人同様、ヒューマギアに対しては「優れた価値がある」と評価するものの、ただの道具とみなすドライな考えを持ち、暴走するヒューマギアの破壊に逡巡する或人に対して破壊されてもバックアップさえあれば復元が可能であることから破壊に躊躇がないなど冷静沈着な面が見られる。また、一貫ニギローに仕込んだ視覚データを自動転送するプログラムによって、飛電インテリジェンスにデイブレイクで消滅したはずの方舟を蘇らせるプログライズキーのデータがあることを垓に報告している。 滅亡迅雷.netの暗殺ヒューマギアを拉致して青い目の状態でも暴走するように改造した後、暴走する様子を撮影し、その映像をマスコミにリークしたことで、ハッキングされていない正常なヒューマギアも暴走する可能性があるとして報道される。その当時の記録映像を解析したイズにその撮影者が唯阿ではないのかと問われて否定するが、その映像を見た諫に問われた際にはリークしたことを認め、自身の任務はヒューマギアの監視ではなく飛電インテリジェンスを陥れることであり、いずれ諫を裏切るかもしれないと伝える。滅亡迅雷.netが一度壊滅してからはZAIAエンタープライズジャパンに復帰し、社長直轄開発担当として、垓の腹心の部下としての仕事に移った。 お仕事5番勝負では垓の命令でメタルクラスタホッパーキーの作成や、ゼツメライザーをヒューマギアに装着させて暴走させるなど、垓の秘書業務に徹しており、さらに演説対決ではファイティングジャッカルレイダーに実装した。また、垓によって仮面ライダーへの変身に必要なチップを埋め込まれているために、垓の命令に逆らえない状況に置かれていることが判明するが、唯阿は「私は道具じゃない…!私の意志で会社に従っている」と諫に語っている。 第30話からはA.I.M.S.から脱退した諫の代わりに隊長になっており、ヒューマギア破棄のために動いているが、夢を語るヒューマギアを見たことや諫との会話で次第に自分の立場に悩むようになる。 第33話では諫に擦り込まれれたデイブレイクの偽の記憶の真実を知り、彼の人生が狂わされたことに対しては負い目を感じていたため、垓に激昂。垓のザイアスペックによる精神干渉に苦しみながらもバルキリーに変身し、バルカンとの共闘でサウザーを破る。その後、垓の命令を振り切って彼の顔面を殴り「これが私の辞表だ」とZAIAの社章を外して辞職した。A.I.M.S.やZAIAのころはグレーのスーツ姿だったが、退社してからは私服を着るようになる。 第36話にて、滅の身体を乗っ取りアークワンに変身したアークを止めるべく迅と共に交戦するが、驚異的なパワーに圧倒されて重傷を負い病院に搬送され、見舞いに訪れた或人と諫に、迅に協力していた理由を打ち明けた。その後、垓の指示で不正を働いていたことなどに対する罪悪感に苛まれていたが、諫から預けられたアイちゃんと対話したことで本音を吐露した。 第43話では、アークワンとなった或人に脳内チップのデータを消去されたことで仮面ライダーに変身できなくなってしまうが、垓の計らいでZAIAから独立して政府管轄に戻った新体制のA.I.M.S.の隊長に就任する。仮面ライダーシリーズでは初となる、番組開始時から登場する女性仮面ライダーに変身する人物である。前作『ジオウ』の最終話直前でツクヨミが仮面ライダーに変身したため、初期から登場する3人のライダーの中の1人として構想し、一番唯阿を強く見せるため、高い戦闘能力を持つほか、ライダーシステムの全てを知り尽くした技術者であり責任者というポジションとなった。本作品が未来の職業や生活を扱う上で、男女平等であるとすれば、職業としての仮面ライダーにも男女ともにチャンスがあってもよいと考え、仮面ライダーが好きな女性がかっこいい女性として憧れる存在として描いている。男の子にも好きになってもらうよう、意図的に存在感を出すようにしており、男性の仮面ライダーよりかっこよく強く見えるようにしている。 大森は、唯阿が諫を裏切ってZAIAにつくという展開は、すごい過去が背景にあるからという話になったが、それでは従来の仮面ライダーと同様、普通で何も面白くないため、背景を排除して、これから先に進もうとしている、信念だけがある技術屋というものとなった。当初は唯阿の脳内にある変身用のチップをアークがハッキングして潜んでいたため、彼女の天才的な技術力や高い戦闘能力はアークの策略によるものという構図で、初期のころの怪しい行動を随所でとっていたのは、そのような展開への布石であった。だが、唯阿の魅力的な立ち居振る舞いや諫とのバディ感を大事にするため、そういった方向にキャラクターを持っていけなかったことから、レイダーに変身した展開を描いた時点でその案はなくなった。 大森は、朝の番組としてはキツい人がキツい役を演じるのではなく、地が柔らかい人がキツい役を演じるほうがいいため、井桁本人が柔らかかったため、選んだという。 唯阿を演じる井桁は、賢くてリケジョで、組織の中でどんどん出世していったという設定から、自分に自信がある完璧主義者の女性ということを常に頭に置いていたため、真木よう子をイメージして演じている。また、監督の柴崎からの言葉で背筋を伸ばした立ち姿を意識することで声が出やすくなったという。諫と対する際は上から目線の見下したような口調だが、垓と接する際は諫とは違う表情になるように意識している。ZAIAに戻っていたころの芝居は相手も異なり目的も違い、将来が見えないため、目の色の輝きを消すような感じで演じていたという。第37話で病室で泣く場面は、本来は泣く予定ではなかったが、アークに対する恐怖と後悔の念から感情が入ったことによるものである。ZAIAを辞職してからの私服は特定の衣装は着ずにその場その場で変えていったが、アークが登場してからは物語が深刻になり、唯阿も戦う自覚があるため、あまり色味のないものを選んでいる。スカートではZAIAを辞めて浮かれた感じになってしまうため、ジャケットを羽織ったパンツスタイルとなった。
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