対人弁別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:22 UTC 版)
視覚のみで先天盲開眼者が人を認知することは困難なようである。手術前の開眼者は人の呼吸音、声、体温、触覚などを手がかりに弁別していたのである(黙っている人を弁別する方法に「呼吸の仕方の違い」をあげた例もある(Latta症例))。開眼後に視覚のみで人を弁別する手がかりの第一は「色」であり、例えば服の色などであるが、赤いショールの婦人を見かけて「あの赤いものはなに?」と尋ねた開眼者例(Wardrop症例)などのように色だけでは人間と事物を直ちに弁別することは難しいのである。また、こういった段階では「男女の区別は, 顔ではなく服の色でしている」とか、頭髪が黒くない金髪女性の顔写真では「髪がない……」、肌色が正面の加減でやや青く写っている写真では「ひとの顔みたいだけど, 色が違うので……」といったように色だけの指標では確実な識別に至らないことが示されている。鳥居は開眼者がひとの識別にいたる過程として 人の存在に気づく → 顔の部分的な特徴部分を捉える → 顔を見てひとを識別する → 表情の理解を試みる という順序性が想定できることを指摘している。
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