も‐じ【文字】
読み方:もじ
1 言葉を表記するために社会習慣として用いられる記号。個々の字の性質から表意文字・表音文字、また表語文字(単語文字)・音節文字・音素文字(単音文字)などに分けられる。もんじ。
4 字の数。音節。
6 語の後半を省き、その語の頭音または前半部分を表す仮名の下に付いて、品よく言い表したり、婉曲に言い表したりする語。→文字言葉
もん‐じ【文字】
読み方:もんじ
「もじ(文字)」に同じ。「十—」「大(だい)—」
文字
文字
姓 | 読み方 |
---|---|
文字 | ぶんじ |
文字 | もじ |
文字 | もんじ |
文字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/22 03:57 UTC 版)
![]() |
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2021年2月)
|
文字体系 |
---|
![]() |
概要 |
類型 |
関連 |
メロエ 前3世紀 |
カナダ先住民 1840年 |
注音 1913年 |
ブラーフミー系文字 |
---|
ブラーフミー 前6世紀-前3世紀- |
文字(もじ、もんじ、英: writing system)とは、言語を点や線の組合せで単位ごとに記号化するもの[1]。文字と書いて基本的には「もじ」とよむが、「もんじ」ともよむ[1]。
概説
文字というのは、言語を、点や線の組合せで、単位(ひとまとまり)ごとに記号化するものである。言葉・言語を伝達し記録するために線や点を使って形作られた記号のこと。言葉・言語を、視覚的に記録したり伝達したりするために、目に見える線(直線や曲線)や点を使って形作られた記号のことである。
世界にはさまざまな文字があり、またさまざまな分類法がある。基本的な分類として、「音」だけを示している「表音文字」と、基本的に「意味」を示している「表意文字」がある。世界全体を見ると、主に表音文字ばかりが使われている地域と、主に表意文字ばかりが使われている地域と、基本的に両者を混合して使っている地域がある。
たとえばヨーロッパの英語やドイツ語やフランス語のアルファベットは表音文字であり(さらに詳しくいうと音素文字であり)、一文字一文字は音素(音の要素。音の一部分。特定の、舌の動き・唇の動き・口の形などで生じる音)を表しており、アルファベットが2〜3文字(やや例外的な場合も含むなら 1〜6文字ほどが)まとまることで音節(発音の小単位)を示している。表音文字の一文字一文字は、あくまで音を表すためのものであり、原則(※)として、意味が全く無い。たとえば英語の「proceed」という言葉に含まれる「p」の一文字だけでは全く意味を持たない。p,r,oと並べることで「pro」という音節になり、「pro」という組み合せになってようやく「前方へ」という意味を持つ。c,e,e,dの4文字の組み合わせで「ceed シード」という音節を示し「進む」という意味を示し、「proceed」7文字全体で、「前に進める。続行する」という意味になる。それに対して中国で使われるようになった漢字は表意文字であり、表意文字はひとつひとつの文字だけでも何らかの意味を表していることが多い。たとえば「明暗」という語は、2つの漢字「明」と「暗」からなるが、「明」一字だけでも意味がある。また「暗」一字だけでも意味がある。そして二文字を組み合わせて「明暗」という一語になっている。中国では主に漢字ばかりが使われる。一方、日本語で使われる文字は、漢字から形を独自に変形させたひらがなやカタカナがあり、漢字のほうは中国語同様に原則的に表意文字であるが、ひらがなやカタカナのほうは「表音文字」(詳しくいうと音節文字)であり、つまり現代日本語のありふれた文書に使われる文字は、表音文字と表意文字の両方を並行して使っている。たとえば現代日本語の「太陽、まぶしいね。」という一文に含まれる「太陽」は表意文字を2文字並べており(「太」および「陽」。二文字で一語(ひと単語)になっている)、「まぶしいね」は表音文字(音節文字)を5文字並べている(「ま」「ぶ」「し」「い」「ね」)。「ひらがな」は、通常の文章ではほとんどの場合、大和言葉の音を表記するのに用いられている。(残りの「、」や「。」は、意味の区切りや、間合い(ひと呼吸の間、短い無音の状態)を示すための記号である。)
-
- (※)なお、漢字もまれに表音文字(純粋な表音文字、あるいは主に音だけを示す文字)として使われることもある。たとえば英語が中国国内に入ってきて、それを外来語として使う場合は、何らかの文字でその発音を表記しなければならない、そして中国では漢字しかないので、漢字を表音文字のように使うことがある。またアルファベットも例外的に一文字で意味を持つことがある。たとえばアルファベットの「a」一文字だけで、英語の文章中では「ひとつの」「一個の」という意味を持ったり、あるいは「れっきとした〜」「まぎれもない〜」という意味になったり、また「A」はアルファベットを列挙する時にはいつも最初(一番目)に挙げられるので、象徴的な意味を持ち、「一番(の存在)」「トップ」「最上のもの」などという意味を持つこともある。
なお英語圏では、アルファベットのような単音文字をレター(英: letter)、それ以外をキャラクター(英: character)と区別することがある。いっぽう今から二千年ほど前に中国の許慎によって書かれた『説文解字』という書では、象形や指事によって作られる具象的な記号を「文」、形声や会意などによって構成される記号を「字」などと解説し、「両者をあわせたものが文字である」[2]などと解説されていた時代があった。だがこれは二千年前の主張にすぎず、たとえ今でもそれを真に受けてしまっている人が一部にいるとしても、現代の学者はこうは考えていない。(#「文字」という単語の語源の解説を参照)。
- 読み方が分からなくなった文字の解読
文字というのは、一旦その発音のしかた、読み方を知る人がこの世にいなくなってしまうと、解読が困難になってしまう。
古代エジプトの碑文を近代ヨーロッパ人は目にしたものの、何世紀にも渡って発音も意味も分からず、何世紀にも渡り解読が全然できなかったが、たまたま、同一の意味の文章をヒエログリフを含む3言語を並べて彫り込んだロゼッタストーンが発見されたことをきっかけにして、丸い線でぐるりと囲んだ部分は「王の名」が書かれているなどということがわかるようになるなどして、少しづつ解読され、やがてフランスのシャンポリオンが完全に解読することに成功した。
古代エジプトのヒエログリフは、一見すると絵が並んでいて表意文字のように見えるが、実は、基本的にはヨーロッパのアルファベットと同様に「表音文字」である。ただしヒエログリフは、文脈によっては、まれにもとの意味を表す表意文字として使われることもある。
マヤ文字も読み方が分からなくなってしまった時代がとても長く、1970年代まで世界の学者の誰にもほとんど読めず、1980年代ころからようやく解読が進んで、かなり分かってきた。
なお、インダス文字など、世界にはまだ読み方が分かっていない文字がいくつも残っている。最近(2020年代)では、人工知能を未解読文字の解読に役立てようとする動きが出始めている。
文字体系と表記体系
文字体系(英: script、書記系、用字系、スクリプトとも)とは、同種の表記に使われるひとまとまりの文字の体系のことを言う。特定の文字体系を指すときは、単に「〜文字」と称することも多い。また、同じ系統や同じ類型に属すると考えられる文字体系のグループを「〜文字体系」ないしは「〜文字」と呼ぶこともある。
一般に、言語と文字体系は一対一に対応しない。アラビア文字、漢字、キリル文字、デーヴァナーガリー、ラテン文字のように、複数の言語で表記に使われる文字体系は多い。逆に一つの言語で複数の文字体系が使われている場合もあり、日本語ではひらがな、カタカナ、漢字の 3 つの文字体系が言語の表記に不可欠なものとなっている。セルビア語やボスニア語等にはラテン文字、キリル文字の 2 通りの表記方法が存在し、このように同一言語に複数の文字体系が存在することをダイグラフィアと呼ぶ。
表記体系(英: writing system、文字体系、書記系、書字系、書字システムとも)とは、ある文字体系に加えて、正書法、句読法や、字体、文字、語句の選択基準などの種々の言語的慣習をも含む文字使用の体系のことを指す。同じ文字体系を用いていても、異なる言語では表記体系に違いが見られることもある。現実には、文字体系と表記体系との区別は曖昧であり、両者はしばしば混用される。
コンピュータによる文字情報処理の分野では、複数の言語を同時に扱う際に、文字体系や表記体系に範をとった概念が用いられる。用字系(英: script、スクリプト、または単に用字とも)は、特定の言語(一般に複数)のために用いるためのひとまとまりの文字や記号を指す。書記系(英: writing system)は、ある用字系(一般に複数)を用いて特定の言語を表記するための規則の集合を指す[注釈 1]。
字母と書記素
文字体系に含まれる記号の最小単位を字母(文字記号とも)と呼ぶ。字母は文字と一致する場合もあるが、文字体系、言語、民族によっては、文字より小さい単位を字母とみなす場合もあるし、補助的な記号(ダイアクリティカルマークやマトラなど)を字母に含めない場合もある。一方、学術的な用語では、ある文字記号を構成する部分のことを書記素(英: grapheme、文字素、図形素とも)と呼ぶ。表音文字では音声の音素(英: phoneme)、表語文字では意味の意義素(英: sememe)あるいは形態素(英: morpheme)に対比される概念である。何を書記素とみなすかは、研究者によって異なることがある。
「文字」と「文字でないもの」の線引き
視覚的なもの、眼に見える要素の少単位というのはさまざまあるが、学術的には、そのなかでもあくまで言語に直接結び付いたものだけを「文字」と分類している。
- やや特殊な文字
やや特殊な文字としては次のようなものがある。
- 句読点 : 文字の歴史の比較的初期から、語の間に間隔を空けたり線で区切ったりすることが行われていた。文字体系の発展とともに、語や文の意味の区切りを表すさまざま記号、すなわち句読点(約物とも)が使われるようになった。ただし、句読点をほとんど、あるいはまったく使わないで表記する言語もある。句読点は表記体系ごとに特有であるため、それぞれの文字体系の一部であると考えられることが多い。
- 指文字は、字母を指、手、腕の形で表すものであり、文字体系のひとつである。
- 点字は、視覚障害者が言語の読み書きに使うものであり、音、字母、文字などを紙の点状の盛り上がりの配列で表すものである。基本的に指先で感じ取るものであり、視覚で感じる目的のものではないが、あくまで言語表記のためのものであり、晴眼者の使う文字(墨字)と役割が同じなので、文字と分類されている。
- 微妙な位置づけのもの
- 絵文字(英: pictogram ピクトグラム)は、意味を表すために描かれた図像ではあるが、言語と直接結びついてはいないので、学者からは「厳密には文字ではない」とされる。だが広い意味では文字に入れる場合もある。つまり分類がゆらぐことがある。ピクトグラムは例えば、西部開拓時代以降のアメリカ先住民で、英語の文章が書けない人が絵文字の手紙をやりとりした例がある。現代では、絵文字はUnicodeに収録され、使いやすくなっているので、人によっては文章の中でまるで単語のように扱っている。たとえば「今日は🚙でピクニックに行きましょう。」のようにである。そして読む際は「今日は車でピクニックに行きましょう」などと声にしている。つまりこの文章中の「🚙」という絵文字は言語の記述に用いられているので、文字に分類したほうがよいだろう、ということにもなり、分類がゆらぐ。
- 文字ではないもの
- 絵画は、言語の構成要素ではないので、文字ではないと分類されている。絵画も通常「意味」をあらわし、しばしばその「意味」は、説明に数十ページもの文章が必要になるほどの密度になっているが、絵画はいわゆる通常の「言語」の構成要素ではないので、学術的には「文字ではない」と分類するのである。
- 音符は、楽音(音楽の音)を視覚的に示しているものであり、普通の「言語」と結びついているわけではないので、文字ではないと分類されている。なお音符と楽曲の関係は、文字と文章の関係に類似している。またアフリカのトーキングドラムはドラムの音を言葉として使っているので、もしトーキングドラムの音を音符として表現する場合は、その音符の位置づけは曖昧になる。また、言語音楽の教科書や音楽に関する記述では、音符が文字による文章の中に現れることはある。
- 国際音声記号は、あくまで、最初から音声を表すための記号としてつくられた記号であり、通常の「言語」と直接には結びついてはいないので、文字ではないと分類されている。
- 文字コード(文字符号とも)は、字母や書記素のひとつひとつを符号に重複なく対応させたもの、またはその対応のさせかたの取り決めのことであり、文字そのものではない。文字集合(符号化文字集合)と呼ぶこともある。
- 文字コードによって、電気通信や電子媒体で文字を扱うことができる。符号の順序や組み合わせかたに取り決めを設けることによって、文字体系や表記体系を扱うこともできる。一般に、文字コードは取り決めた文字だけを利用できるようにするもので、あらゆる文字を扱うことはできない。文字コードについては#電気通信、コンピュータと文字の節で見る。
字体と書体
字体(じたい)とは、ある図形を文字体系の特定の一文字と認識でき、その他の字ではないと判断しうる範囲のこと。これに対して、文字体系に含まれる特定の文字の、図形としての具体的な形のことを字形(じけい)と言う。
字体の基準は、文字体系や表記体系によって異なる。逆に言うと、異なる文字体系同士でよく似た文字があっても、それらは別の文字と見なされる。一方の文字体系から他方が派生した場合や、双方が共通の祖先を持つ場合には字形・発音ともによく似た文字が現れやすいが、たとえラテン文字の「A」とキリル文字の「А」のように字形・音価ともほとんど同じ場合でも文字としては別の文字である。漢字の「二」と片仮名の「ニ」のように関係があるとも無いとも言い難いものや、片仮名の「ユ」(弓の部分)とハングルの「그」(ㄱ(ꡂの部分)+ㅡ)のように全くの偶然の一致によるものも、別々の文字体系に属する別の文字である。字体の基準は、言語や時代によっても変化することがある。たとえば漢字で、「吉」の3画めを1画めより長めにするか短めにするかという違いは字体の違いとなることがあるが、現代の日本の常用漢字ではこの違いを区別しない。
文字コード(後述)では、個々の符号が表しうると考えられる字形を抽象して特にグリフ(英: glyph)と呼ぶことがある。
書体(しょたい)とは、ある文字体系で、字体を一貫した特徴と様式を備えた字形として表現したものをいう。漢字の手書き文字での篆書、隷書、楷書、行書、草書や、活字やフォントの明朝体、ゴシック体、ローマン体、セリフ、サンセリフなどは書体である。
歴史
楔形文字
楔形文字(英: cuneiform)は、現在知られている文字体系で最古のもののひとつである。紀元前3500年頃にメソポタミアで誕生した。粘土板に葦の尖筆を押し当ててできる " くぼみ " を組み合わせて文字とする。尖筆を粘土に押し当てると、ちょうど楔(くさび)のような、長い三角形のくぼみができるので、学術用語の表記言語であるラテン語で(scriptura) cuneiformis(クネイフォルミス) と呼ばれるようになり(ラテン語のcuneus(クネウス)は「くさび」で、formis, forma (フォルマ)は「形、かたち」という意味。つまり「楔形」)、日本語でもそれに倣って楔形文字と呼んでいる。粘土に書いた文字は、粘土が湿って柔らかいうちは簡単に書き直すことができるし、いっぽうで乾かせば書いたものをかなりの期間保存できる。さらに長期の保存が必要な場合や内容の書き換えや改ざんを防止する場合には粘土板を焼いて一種の焼き物にすればよい。現在残っている楔形文字資料の多くは、火災や戦災によって焼かれたものである。
現在までに発見されている楔形文字のうち、初期のものが表記している言語はシュメール語と呼ばれ、シュメール人の言語である。しかし、楔形文字そのものをシュメール人が作ったというたしかな証拠はいまのところ発見されていない。もっとも古いものはウルク文字(古拙文字とも)で、イラク中部のウルク(現ワルカ)遺跡第4層から出土し、紀元前3100-3000年頃のものである。また、少し後の時代のものとしてジャムダド・ナスル(ジェムデド・ナスル)でも同系統の文字を記した粘土板が発見されている。ほとんどは商取引の記録や目録のような経済文書であり、事物や職名、都市名を表す文字とともに数字を記している。また、書記の養成のためと見られる文字リストも発見されている。一方、ジャムダド・ナスルと同時期の文字資料がスーサで出土しているが、これはエラム語の一種を表記したもので、原エラム文字と呼ばれる。
当初の書字方向は上から下の縦書きで、文字はある程度単純化された線画であり、まだ楔形になっていない。紀元前2600年頃から、書字方向が縦書きから横書き(左から右)に変わり、その結果、すべての文字が左に90度回転した。その後、筆画が直線化し、最終的には楔形の組み合わせで文字を表すようになる(#図4を参照)。
ウルク文字は、事物そのものを表す表語文字であるが、紀元前2800年頃から、文字を音節を表すものとしても使うようになる。たとえば、「牛」を表す文字を [gu] の音節を表すのに使う。ところが、「糸」を表す文字でも [gu] を表せる。同じ音の語は複数あるから、ある音節を表せる文字も複数ある。これを同音異字性(英: homophony、ホモフォニーとも)と呼ぶ。また、「口」を表す語は [ka] なので、「口」を表す文字は [ka] の音節を表す。ところが、この文字は「叫ぶ」[gù]、「歯」[zú]、「話す」[du] などの語も表すから、それらの音節を表すのにも使う。これを多音性(英: polyphony。ポリフォニーとも)と呼ぶ。同音異字性や多音性は、シュメールの楔形文字を借用した他の楔形文字にも引き継がれる。
シュメール語の楔形文字は、アッカド語(バビロニア語やアッシリア語を含む)の表記に借用された。しかしシュメール語が膠着語であったのに対し、アッカド語は屈折語のセム系言語であった。セム系言語では語根を3子音(ときに4子音)で表すから、ひとつの語を音声表記するのには複数の文字が必要になる。表記を短縮するためにシュメール語の表語文字を併用することもあった。バビロニア人やアッシリア人の楔形文字は、さらにヒッタイト語、フルリ語(ミタンニ語)、ウラルトゥ語(いずれもインドヨーロッパ語族の言語)などの言語の表記に借用された。
シリアのウガリット(ラス・シャムラ)で発見されたウガリト文字は、紀元前14世紀頃の文字体系である。シュメール起源の楔形文字では文字の数が600あまりに達したのに対し、ウガリト文字は字母がわずか30個のアブジャド(子音文字)になっている。字母の一覧を記した資料では、フェニキア文字やヘブライ文字などの伝統的な順序との一致が見られることから、文字体系の組織は他のアブジャドの影響を受けたと考えられている。
また、古代ペルシア楔形文字は、アケメネス朝ペルシアのダレイオス1世が作らせた楔形文字で、36個の開音節文字(子音-母音の組み合わせを表す文字。ただしうち3個は母音のみの文字)を含む。楔形文字の中では最初に解読された文字体系である。これは紀元前4世紀には使われなくなった。
今日では、楔形文字を表記に使う言語はない。現在までに知られているもっとも新しい楔形文字の資料は、紀元後1世紀のシュメール語表語文字によるものである。
エジプトヒエログリフ系文字
エジプトヒエログリフのうち、発見されている最古の文字資料は紀元前3100年から3000年ころの先王朝時代末期のものである。エジプトヒエログリフでは、古拙期の文字資料というものがほとんど発見されていない。あたかも、整備された文字体系が突然出現したかのようである。研究者の多くは、数世紀先行するメソボタミアの#楔形文字の影響があると考えるが、両者には字母などに明らかな共通点が見られないため、エジプトヒエログリフが借用したのは「文字という着想」(#借用と発展の節を参照)だけで、文字体系の組織は独自に発達したものだと考えている。
概要
初期にはさまざまな媒体に書かれたが、神官書体(後述)が発達すると、もっぱら記念碑や宗教関係の碑文にのみ使われるようになった。ヒエログリフ(英: hieroglyph、聖刻文字とも)という呼び名は、古代ギリシア語のタ・ヒエログリュピカ(神聖な文字)に由来する。文字の多くは表語文字だが、一部の文字を表音文字にも転用しており、表語文字では表しにくい概念や形態素を表記しやすくなっている。
表語文字は時代によって字形が変わったり、新たな事物を表す文字が追加されたりしたので、現在までに同定されているものは6000字以上にのぼるが、各時代に実用された数は700から1000程度である。表音文字は子音のみを表記するので、アブジャドであると言える。一子音の文字が24程度、二子音の文字が100ちかく、三子音の文字が40あまりある。一子音文字はもっぱら表音にのみ使うが、そのほかの表音文字は表語文字として使うこともあるため、複数子音の文字に一子音文字を付加して表音文字として使っていることを明確にすることがある(末尾の子音だけを付加することが多いが、複数の子音を付加することもある)。この手法を音声補充と呼ぶ。日本語の送り仮名や漢字の形声にいくらか似た手法だが、送り仮名の場合とはちがい、品詞に関係なく音声補充できるし、形声とはちがい、表音文字にも音声補充をする(#図5 (a) 参照)。
さらに、語に付加して意味範疇を表す限定符がある。漢字の偏旁に似た働きをするが、独立した文字である。エジプト語はセム系言語と近縁のハム語族に属するため、近縁の概念を表す語は同じ3子音(ときに4子音)からなる語根を共有する。表語文字や表音文字と限定符とを組み合わせて同語根の語を区別し、意味を明確にすることができる。器物の材質のような詳細な意味まで限定符で区別することさえある(#図5 (b) 参照)。
書字方向は比較的自由で、初期には主に縦書き(上から下)、後には主に横書きとなり、ブストロフェドンが行われることも多い。ただし、行内の配列順は審美上の観点から方向を変えることがある。また、王や神などを表す文字はしばしば前のほうに置く。このような現象を字母転移という。
文字
出典:『Wiktionary』 (2021/06/14 14:34 UTC 版)
名詞
- いろいろな言語で、言語を表記するために使われる図形記号。
- 文字体系の種類。
- 言葉。特に書かれた言葉。
- 一体私には教育家という文字がハッキリしないのです。どういう人を教育家と名付るか、世間では教育屋などという者があるやに聞いている。(新渡戸稲造『教育家の教育』)〔1907年〕[1]
- 日本は人道主義時代で、「白樺」の連中がさかんにトルストイ、ロマン・ローラン、ロダンなどを紹介し、芸術の全部に人類、愛、正義、という文字が鳴りひびいていた時代だ。 (宮本百合子『「処女作」より前の処女作』)〔1931年〕[2]
- それに日本語では、「読み手」、「書き手」、「聞き手」、「騎り手」などの如く、ほとんど凡ての動詞に「手」の字を添えて、人の働きを示しますから、手に因む文字は大変な数に上ります。 (柳宗悦『手仕事の日本』)〔1946年〕[3]
接尾辞
発音(?)
関連語
翻訳
- アラビア語: حَرْف (ħarf) 男性, حُرُوف (ħurúːf) 複数
- ブルガリア語: буква (búkva) 女性
- カタルーニャ語: lletra 女性, caràcter
- チェコ語: písmeno 中性
- ドイツ語: Buchstabe 男性
- ギリシア語: γράμμα [ˈɣrama] 中性
- 英語: letter, character, script
- エスペラント: litero
- スペイン語: letra 女性, carácter 男性
- エストニア語: täht, kirjatäht, aabe, pookstav
- フィンランド語: kirjain, aakkonen
- フランス語: lettre 女性, caractère 男性
- アイルランド語: litir 女性
- ハンガリー語: betű
- インドネシア語: huruf
- イタリア語: lettera 女性, carattere 男性
- 朝鮮語: 문자 (munja)
- リトアニア語: raidė 女性
- ラトヴィア語: burts 男性
- マラーティー語: अक्शर (akshar)
- オランダ語: letter 女性, karakter 中性
- ポーランド語: litera 女性
- ポルトガル語: letra 女性, caractér 男性
- ルーマニア語: literă 女性
- ロシア語: буква (búkva) 女性
- スロヴァキア語: písmeno 中性
- スロヴェニア語: črka 女性
- スウェーデン語: bokstav
- スワヒリ語: herufi
- テルグ語: అక్షరం (aksharaM)
- ウクライナ語: буква (búkva) 女性
- 中国語: 字母 (zìmǔ)
参照
「文字」の例文・使い方・用例・文例
- 英語のアルファベットは26文字あります
- 大文字のB
- 大文字で書く
- 文は大文字で始めなさい
- 大文字
- 名前は大文字でお書きください
- 彼は名前を大きな文字で書いた
- 晴れた日には飛行機が離陸するときに機体の文字がはっきり見える
- 腕時計の文字盤
- 英語のアルファベットには26文字があり,そこから無数の表現を作り出すことができる
- 頭文字
- 私の名はジョン・ダグラスですので頭文字はJ. D.です
- pの文字が抜ける
- 小文字
- 英語のアルファベット26文字
- 文字を書く前にその紙に線を引きなさい
- ことばの文字どおりの意味
- 私は彼女の言うことを文字どおりにとった
- 彼はシャツの左の袖に自分の頭文字をつけた
- パスワードは少なくとも3つの数字と2つの文字を含む必要がある
Weblioカテゴリー/辞書と一致するものが見つかりました。
- 世界の文字 - 中西印刷
文字と同じ種類の言葉
「文字」に関係したコラム
-
特別気配とは、売り注文と買い注文の数量がアンバランスな状態で、売買の成立が困難な状況のことです。例えば、株価が400円の時に、402円、401円、400円、399円、・・・に大量の買い注文が入り、40...
-
ETFの取引をiPhoneやAndroidなどのスマホ(スマートフォン)で行うには、スマホで取引できる専用のアプリケーションが必要です。スマホのWebブラウザを利用して取引できる場合もありますが、文字...
MT4でFXやCFDのテクニカル指標を同じエリアに複数表示するには
MT4でFXやCFDのテクニカル指標を複数表示すると、次の図のようになります。上の図では、EUR/USDのチャート画面にMACD、RSI、ストキャスティクスを描画したものです。画面が4つに分割されて、...
-
株式取引をiPhoneやAndroidなどのスマホ(スマートフォン)で行うには、スマホで取引できる専用のアプリケーションが必要です。スマホのWebブラウザを利用して取引できる場合もありますが、文字が見...
FXのチャート分析ソフトMT4のStandard Deviationの見方
FX(外国為替証拠金取引)のチャート分析ソフトMT4(Meta Trader 4)のStandard Deviationの見方について解説します。Standard Deviationは、過去の為替レー...
-
バイナリーオプションの取引をiPhoneやAndroidなどのスマホ(スマートフォン)で行うには、スマホで取引できる専用のアプリケーションが必要です。スマホのWebブラウザを利用して取引できる場合もあ...
- >> 「文字」を含む用語の索引
- 文字のページへのリンク