窒素 名称

窒素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/06 04:46 UTC 版)

名称

1772年に、ダニエル・ラザフォードnoxious air(有毒空気)と名付けた。その中に生物を入れると窒息して死んでしまうことにちなんでいる[2]

カール・ヴィルヘルム・シェーレは、酸素を「火の空気」、窒素を「駄目な空気」と命名した。

アントワーヌ・ラヴォアジエは、フランス語で「生きられないもの」という意味のazoteと命名した。

窒素の英語名「nitrogenナイトロジェン」は、ギリシア語νίτρον硝石の意)とγεννάω(「生じる」の意)に由来している[2]

ドイツ語ではStickenシュティッケン(窒息させる)とStoffシュトフ(物質)を組み合わせてStickstoffシュティクシュトフと呼ばれており、日本語の「窒素」は、これを訳したものである[2]

歴史

窒素は、かつて物が燃えるもとと考えられていた燃素の研究の過程で発見されたもので、最初に単体分離を行った者の特定は困難である。

1772年ダニエル・ラザフォードが窒素を単体分離(窒素分子)した[2]

ほぼ同じ時期にカール・ヴィルヘルム・シェーレヘンリー・キャヴェンディッシュも単体分離(窒素分子)したと言われている。

窒素が元素であることを発見したのはフランスのアントワーヌ・ラヴォアジエである。

近年の需要に対応して、窒素分子気体について2005年日本工業規格(JIS K 1107[3])に規定の純度が高められた。

分布

窒素は窒素分子として地球の大気の約78.08 %(体積比)を占める。ほかに、アミノ酸をはじめとする多くの生体物質中に含まれており、地球のほぼ全ての生物にとって、必須の元素である。

オーロラが起きる場合、窒素は赤、青、紫色の光を放出する[4]

窒素を主体とする大気は地球のほかに、土星の衛星であるタイタンも保持している。タイタンの大気は地球よりも濃密であり、気圧は地球の1.5倍にも上る[5]が、その大気の97%は窒素によって占められている。

性質

窒素原子における、電子の占める5つの原子軌道。2つの色は波動関数位相を表している。左端から1s、2s(二分割し内部構造を露出させている)、2px、2py、2pz 軌道である。

窒素は窒素族元素の一つ。生物にとっては非常に重要でアミノ酸タンパク質核酸塩基など、あらゆるところに含まれる。これらの窒素化合物を分解すると生体に有害なアンモニアとなるが、動物(特に哺乳類)は窒素を無害で水溶性の尿素として代謝する。しかし、貯蔵はできないためそのほとんどは尿として体外に排泄する。そのため、アミノ酸合成に必要な窒素は再利用ができず、持続的に摂取する必要がある。

ただし、窒素分子は非常に安定した分子であるためにほとんどの生物は大気中の窒素分子を利用することができず、微生物などが窒素固定によって作り出す窒素化合物を摂取することで体内に窒素原子を取り込んでいる。こうした窒素化合物はやはり微生物による脱窒の過程を経て再び大気中に放散され、窒素循環と呼ばれるサイクルを形成している[6]


  1. ^ a b c d 【直談 専門家に聞く】窒素排出、環境汚染の原因に/安く回収・再利用目指す『日経産業新聞』2021年11月8日イノベーション面
  2. ^ a b c d 桜井弘 『元素111の新知識』講談社ブルーバックス〉、1998年、57頁。ISBN 4-06-257192-7 
  3. ^ JIS K 1107日本産業標準調査会経済産業省
  4. ^ デイヴィッド・ベイカー、トッド・ラトクリフ著 渡部潤一監訳 後藤真理子訳『太陽系探検ガイド エクストリームな50の場所』(朝倉書店 2012年10月10日初版第1刷)p.140
  5. ^ Newton別冊 探査機が明らかにした太陽系のすべて』(ニュートンプレス 2006年11月15日発行)p.98
  6. ^ 武村政春『人間のための一般生物学』(裳華房 2010年3月10日第3版第1刷)p.71
  7. ^ : dinitrogen
  8. ^ lesson01” (日本語). www.daikin.co.jp. 2022年9月19日閲覧。
  9. ^ POLYNITROGEN『Chemical & Engineering News』August 2, 2004. Volume 82, Number 31 p.10
  10. ^ Armstrong, R.A.; Shorter, J.A.; Taylor, M.J.; Suszcynsky, D.M.; Lyons, W.A.; Jeong, L.S. (1998-05). “Photometric measurements in the SPRITES ’95 & ’96 campaigns of nitrogen second positive (399.8 nm) and first negative (427.8 nm) emissions”. Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics 60 (7-9): 787–799. doi:10.1016/s1364-6826(98)00026-1. ISSN 1364-6826. https://doi.org/10.1016/s1364-6826(98)00026-1. 
  11. ^ a b c d 岐阜県街路樹等整備・管理の手引き 岐阜県建設研究センター、岐阜県造園緑化協会、2022年4月23日閲覧。
  12. ^ : nitride






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