ヒドラジン
分子式N2H4、構造式H2N-NH2で表される無機化合物。刺激臭、引火性、および人体に対する強い毒性を持つ。
ヒドラジンは主に、ロケットの姿勢制御用の液体燃料として使用されている。小惑星探査機「はやぶさ」にも、姿勢制御用エンジンの燃料としてヒドラジンが積まれていた。ただし非常に毒性が強いため、地上から打ち上げるロケットの燃料などにはあまり使用されない。日本の「H2A」は液体燃料として液体水素と液体酸素を使用している。
2012年4月11日現在、北朝鮮が「人工衛星」と称する「事実上のミサイル」の発射準備を進めているが、発射に用いられる燃料がヒドラジンの化合物である「ジメチルヒドラジン」である可能性があると指摘されている。ジメチルヒドラジンは多量に吸引すると死ぬ危険性も高い劇物とされる。日本国内ではロケットが上空を通過すると見られる沖縄に、化学兵器に対応できる特殊部隊を派遣するなどの対策を講じている。
関連サイト:
ヒドラジン - 国際化学物質安全性カード
ヒドラジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/06 14:33 UTC 版)
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ヒドラジン
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| 物質名 | |||
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Hydrazine |
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別名
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| 識別情報 | |||
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3D model (JSmol)
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| バイルシュタイン | 878137 | ||
| ChEBI | |||
| ChemSpider | |||
| ECHA InfoCard | 100.005.560 | ||
| EC番号 |
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| Gmelin参照 | 190 | ||
| KEGG | |||
| MeSH | Hydrazine | ||
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PubChem CID
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| RTECS number |
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| UNII | |||
| 国連/北米番号 | 2029 | ||
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CompTox Dashboard (EPA)
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| 性質 | |||
| H4N2 | |||
| モル質量 | 32.05 g·mol−1 | ||
| 精密質量 | 32.037448138 g mol-2 | ||
| 外観 | 無色の液体 | ||
| 密度 | 1.013(8) g cm-3 | ||
| 融点 | 1 °C (34 °F; 274 K) | ||
| 沸点 | 114 °C (237 °F; 387 K) | ||
| 酸解離定数 pKa | 8.10[1] | ||
| 屈折率 (nD) | 1.46044 (at 22 °C) [2] | ||
| 粘度 | 0.876 cP | ||
| 構造 | |||
| 1.85 D[3] | |||
| 熱化学 | |||
| 標準定圧モル比熱, Cp |
98.87 J mol-1K-1 | ||
| 標準モルエントロピー S |
121.21 J mol-1K-1 | ||
| 標準生成熱 ΔfH |
50.63 kJ mol-1(l)[4] | ||
| 危険性 | |||
| GHS表示: | |||
| Danger | |||
| H226, H301, H311, H314, H317, H331, H350, H410 | |||
| P201, P261, P273, P280, P301+P310, P305+P351+P338 | |||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 引火点 | 52 °C (126 °F; 325 K) | ||
| 24 - 270 °C (75 - 518 °F; 297 - 543 K) | |||
| 爆発限界 | 1.8–100% | ||
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |||
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半数致死量 LD50
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59–60 mg/kg (経口, ラット, マウス)[6] | ||
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半数致死濃度 LC50
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260 ppm (ラット, 4 時間) 630 ppm (ラット, 1 時間) 570 ppm (ラット, 4 時間) 252 ppm (マウス, 4 時間)[7] |
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| NIOSH(米国の健康曝露限度): | |||
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PEL
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TWA 1 ppm (1.3 mg/m3) [skin][5] | ||
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REL
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Ca C 0.03 ppm (0.04 mg/m3) [2-hour][5] | ||
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IDLH
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Ca [50 ppm][5] | ||
| 安全データシート (SDS) | ICSC 0281 | ||
| 関連する物質 | |||
| 関連物質 | |||
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特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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ヒドラジン (英: hydrazine) は、無機化合物の一種で、分子式 N2H4と表される弱塩基。
アンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体で、空気に触れると白煙を生じる。水に易溶。強い還元性を持ち、分解しやすい。引火性があり、ロケットエンジンの推進剤として用いられる。
常温での保存が可能であるため、非常用電源装置 (F-16) やミサイルの燃料としても広く用いられている。また人工衛星や宇宙探査機の姿勢制御用推進器の燃料としても使われている。プラスチック成形時の発泡剤、エアバッグ起爆剤、各種脱酸素剤として広く使用され、特に火力・原子力発電所用高圧ボイラーの防食剤として使用されている。水加ヒドラジンは水素に代わる燃料電池の燃料としても模索されている。
水と共沸し、55 mol%のヒドラジンを含む混合物を与える。化学実験で用いる際は通常、抱水ヒドラジン(ヒドラジン一水和物、N2H4•H2O)が用いられる。
毒性
人体へは、気化吸引、皮膚への接触ともに腐食をもたらす。また中毒症状をおこす。「毒物及び劇物取締法」により毒物に指定されている[8]。
動物において肝毒性が認められており、ラットおよびマウスで巨大ミトコンドリアの出現が報告されている。なお、アセチル転移酵素により代謝・解毒されるが、イヌはアセチル転移酵素を欠くため、特に毒性が発現しやすいことが知られている。
環境汚染
28日後のBOD分解度は2%であり、化審法の化学物質安全性点検結果では、ヒドラジンは難分解性と判断されている。一方で有酸素環境では自動酸化により分解される。有機物を多く含む河川水と池水 (いずれも硬水)中でのヒドラジンの半減期は 1 日未満だった。[9]
製法
アンモニアを次亜塩素酸塩で酸化するか、アンモニアを塩素で気相酸化して作る。
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ウィキメディア・コモンズには、ヒドラジンに関するカテゴリがあります。
- “毒物および劇物の事故時における応急措置に関する基準”. 滋賀県庁 (2015年9月25日). 2021年5月9日閲覧。
ヒドラジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 00:38 UTC 版)
「DNAシークエンシング」の記事における「ヒドラジン」の解説
ピリミジン塩基(シトシン・チミン)を開裂させる。そのままだと両塩基で切断されるが、高濃度の塩化ナトリウムが存在するとチミンの開裂が阻害されてシトシン塩基だけで切断される。この2つの反応産物を見比べることでシトシンとチミンを判別する。
※この「ヒドラジン」の解説は、「DNAシークエンシング」の解説の一部です。
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