窒素とリンによる生化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 00:21 UTC 版)
「代わりの生化学」の記事における「窒素とリンによる生化学」の解説
窒素とリンもまた、生化学の基礎となる可能性を持つ。リンは炭素のように長く連なる分子をそれ自身で構成でき、潜在的に複雑な高分子も形作れるものの、かなり反応しやすい。しかし、窒素と結合することで、はるかに安定した共有結合の構造となることができる。 二酸化窒素の大気の中では、リンと窒素 (P-N) を基盤とした植物のような生物は、大気から二酸化窒素を、地面からリンを吸収できる。二酸化窒素は糖のような物質が生産される過程で還元され、大気には酸素が放出される。同じくリンと窒素を基盤にした動物はその植物を食べ、大気中の酸素を使い糖のような物質を代謝し、二酸化窒素を吐き、リンを排出する。 アンモニアの大気の中では、P-N植物は大気からアンモニアを、地面からリンを吸収し、アンモニアを酸化させて糖のような物質を生産し、水素を放出すると考えられる。P-N動物は、水素を吸って糖のような物質を還元し、アンモニアとリンに戻すだろう。これは二酸化窒素の大気の世界とは酸化と還元が反対のパターンであり、実際には地球でも知られた生化学である。二酸化炭素の代わりにメタンの形で地球の大気に炭素を放出する生物(メタン菌)と類似のものだろう。 リン-窒素のサイクルではエネルギーが不十分ではないか、という見方からいくつかの議論が続いている。また、生物圏を構成するのに必要な量・比率で存在するのかも不明である。炭素は恒星の核融合の過程で先に形成されるため、大量に存在する。
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