窒素ガス (N2) の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 13:36 UTC 版)
「タイヤ」の記事における「窒素ガス (N2) の使用」の解説
2010年代以降、乗用車向けに、一部カー用品店やガソリンスタンドで窒素ガスを勧める場合が増えた。空気圧のメンテナンスを軽減することが最大のメリットと言われ、その他に派生的効果として、燃費悪化の防止などの効果も考えられるが、直接的なものではない。また、ロードノイズが低減するという話もあるが、科学的根拠は無い。また、もともと空気中の79%が窒素であるため(下記のようなシビアコンディションでなければ)、コストに見合わないとする声もある。 窒素が使われる理由は、酸素は窒素よりゴムの透過率が高いために失われて内圧が低下しやすい。純窒素を用いたほうが経時的に内圧の低下が小さいので、内圧管理が簡単になる。 しかし空気を充填したとしても先に酸素が透過して失われるので、窒素の分圧が増えてくる。透過して失われた酸素の分だけ空気を充填すると、また酸素が先に透過して失われるので、次第に窒素の分圧が大半を占めるようになるので内圧低下は穏やかになる。 酸素の透過による内圧低下は新品やパンク修理後に最初に空気を充填した時に著しいので、この際に窒素を充填することは内圧低下に一定の効果はあるが、空気充填を繰り返すと窒素の分圧が大半を占めるようになるので、特に窒素を補充する意味はなくなってくる。 一般に普及するきっかけになったのは、高速長距離運転を行う大型トラックに多く採用されたことである。これは高速長距離運転による内圧の変化を抑制するためである。逆に短距離と荒地での運用の多いダンプトラックなどでは普及していない。 空気に含まれる水分に関しては、通常の空気充填システムでは湿気を吸収するフィルターにより乾燥空気としているので、通常の空気充填と窒素充填でも湿度の影響は殆どない。 航空機(飛行機)用には通常、液体空気から分留した窒素ガスを充填する。これは、酸素を含まないために、火災や爆発の危険が少ない(着陸時、ブレーキや路面との摩擦により高温になるため。外部に酸素があるため安全率の差はわずかであるが、航空機ではあらゆる面においてコストより安全を優先するため選択される) F1に於いては窒素では無くドライエアー(強制的に乾燥された空気)が充填されることが多い。これはレースの走行時間が短く頻繁にタイヤを交換するため、酸素透過による内圧低下は無視できるからである。
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