ハーバー・ボッシュ法とは? わかりやすく解説

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ハーバーボッシュ‐ほう〔‐ハフ〕【ハーバーボッシュ法】


ハーバー・ボッシュ法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 13:41 UTC 版)

ハーバー・ボッシュ法(ハーバー・ボッシュほう、独:Haber-Bosch-Verfahren, 英:Haber–Bosch process)または単にハーバー法(Haber process)とは、を主体とした触媒上で水素窒素400–600 °C200–1000 atm超臨界流体状態で直接反応させる、下の化学反応式によってアンモニアを生産する方法である[1]。世界的な食糧不足が予想されていた中、ハーバー・ボッシュ法は化学肥料の大量生産を可能にした事で食糧生産量を急増させ、20世紀以降の人口爆発を支えてきた[2]。常に手法の改良は試みられている[3][4]が、21世紀に至るもハーバー・ボッシュ法の基礎理論は完全に置き換わること無く活用され続けている。


注釈

  1. ^ それ以前に15大財閥のひとつである日窒コンツェルンが1908年にイタリアでフランク・カロー式石灰窒素法の特許権、1927年にカザレー式アンモニア合成法の特許権を買収し、水俣などでの硫安製造やその輸出を行っていた。
  2. ^ 参加企業は、日本窒素肥料電気化学工業大日本人造肥料三池窒素昭和肥料住友化学工業旭ベンベルグ東洋高圧矢作工業宇部窒素工業

出典

  1. ^ 『超臨界流体のはなし』日刊工業新聞、21頁。ISBN 4-526-05708-8 
  2. ^ 崇志, 三ツ村 (2022年12月23日). “「空気からパンを作る技術」に100年越しの革命を。東工大ベンチャーの挑戦”. BUSINESS INSIDER JAPAN. 2024年4月10日閲覧。
  3. ^ アンモニア合成を通して人類を支えた研究者たち”. 東京工業大学. 2024年4月10日閲覧。
  4. ^ 日経クロステック(xTECH) (2021年1月14日). “ハーバーボッシュ法の欠点を大幅改善、アンモニアの地産が可能に”. 日経クロステック(xTECH). 2024年4月10日閲覧。
  5. ^ 『天文学入門 星とは何か』丸善出版、118頁。ISBN 978-4-621-081167 
  6. ^ Smil 2001, pp. 61–82
  7. ^ Hager 2008, pp. 63–108
  8. ^ Smil 2001, pp. 83–107
  9. ^ Bosch 1931
  10. ^ a b アンモニア合成を通して人類を支えた人たち 東京工業大学博物館
  11. ^ 江崎正直、アンモニア合成 (PDF)
  12. ^ a b c 西林仁昭、鉄触媒は「窒素固定能」を秘めていた! (PDF) 化学 Vol.68 No.6 (2013)
  13. ^ アンモニア合成を通して人類を支えた人たち (PDF)
  14. ^ 大阪朝日新聞経済部 1929.
  15. ^ 牧野功「肥料製造技術の系統化」(pdf)『国立科学博物館 技術の系統化調査報告』第12集、国立科学博物館、2008年3月28日、215頁、2022年8月27日閲覧 
  16. ^ 牧野功「肥料製造技術の系統化」(pdf)『国立科学博物館 技術の系統化調査報告』第12集、国立科学博物館、2008年3月28日、218-219頁、2022年8月27日閲覧 
  17. ^ #コトバンク
  18. ^ クロード式窒素工業の歴史①”. 鈴木商店記念館. 2021年11月14日閲覧。
  19. ^ 兒玉州平 2014.
  20. ^ 1931年11月5日官報。大蔵省印刷局。
  21. ^ 大阪毎日新聞 1936.
  22. ^ a b 独立行政法人農業環境技術研究所「情報:農業と環境 No.104 (2008年12月1日) 化学肥料の功績と土壌肥料学」
  23. ^ Defining the Green Revolution - What Was the Green Revolution?
  24. ^ 世界の人口を養う“窒素”の光と影:日経サイエンス 1997年12月号
  25. ^ イーゲーファルベン裁判
  26. ^ 井上尚英『生物兵器と化学兵器』(初)中央公論新社〈中公新書〉、2003年。ISBN 4121017269 


「ハーバー・ボッシュ法」の続きの解説一覧

ハーバー=ボッシュ法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 23:12 UTC 版)

化学平衡」の記事における「ハーバー=ボッシュ法」の解説

ハーバー=ボッシュ法は平衡移動化学工業応用して成功した例として知られている。 N 2 + 3 H 2 ↽ − − ⇀ 2 NH 3 {\displaystyle {\ce {N2 + 3H2 <=> 2NH3}}} , Δ r H = + 93   k J / m o l {\displaystyle \Delta _{\mathrm {r} }H=+93~\mathrm {kJ/mol} } この反応可逆反応であり、アンモニアを得るためには、この反応平衡を右へ移動させなければならない。このとき、ルシャトリエの原理利用してアンモニア合成することを考えたいルシャトリエの原理によれば平衡移動させられる変更可能な条件は、温度圧力濃度である。 温度変化させる反応発熱反応であるため、平衡を右に移動させるためには、低温反応させるべきである。 圧力変化させる 反応により分子数が減少するため、平衡を右に移動させるためには、高圧反応させるべきである。 しかし、この化学平衡から導かれる帰結従い低温であればあるほど、高圧であればあるほど、効率的にアンモニア合成できるということにはならない。 その理由について、まず反応温度影響述べる。窒素水素反応極めて遅く反応起こさせるには大変な高温を必要としてしまう。そこで、触媒用い必要がある。ミタッシュは数多ある触媒のなかから、この反応適す触媒として四酸化三鉄 Fe3O4 を主成分とする二重促進鉄触媒を見つけ出した。しかしながら、この触媒用いたとしても、平衡有利にするために、低温400 以下)で反応させると、反応速度が不十分であり、NH3 が出来るまで多大な時間要する。そこで、もう少し高温500 程度)で反応させると、収率は少し減るものの、短時間アンモニア生成するので、反応後、未反応原料回収し、再び反応用いる方がより経済的である。 次に圧力影響述べる。高圧にさせるためには、反応起こす容器がその圧力に耐えなければならないが、強度の高い反応器設計し高圧運用するためには多大なコストかかってしまう。よって、工業的には、300500 atm 程度運用されている。 さらに、まだ変化させていない条件濃度)を変化させる為に反応途中で適宜アンモニア取り出すことで、逆反応起こりにくくしアンモニア効率的に合成している。

※この「ハーバー=ボッシュ法」の解説は、「化学平衡」の解説の一部です。
「ハーバー=ボッシュ法」を含む「化学平衡」の記事については、「化学平衡」の概要を参照ください。

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