ハーバーボッシュ‐ほう〔‐ハフ〕【ハーバーボッシュ法】
ハーバー・ボッシュ法
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ハーバー・ボッシュ法(ハーバー・ボッシュほう、独:Haber-Bosch-Verfahren, 英:Haber–Bosch process)または単にハーバー法(Haber process)とは、鉄を主体とした触媒上で水素と窒素を 400–600 °C、200–1000 atmの超臨界流体状態で直接反応させる、下の化学反応式によってアンモニアを生産する方法である[1]。世界的な食糧不足が予想されていた中、ハーバー・ボッシュ法は化学肥料の大量生産を可能にした事で食糧生産量を急増させ、20世紀以降の人口爆発を支えてきた[2]。常に手法の改良は試みられている[3][4]が、21世紀に至るもハーバー・ボッシュ法の基礎理論は完全に置き換わること無く活用され続けている。
注釈
出典
- ^ 『超臨界流体のはなし』日刊工業新聞、21頁。ISBN 4-526-05708-8。
- ^ 崇志, 三ツ村 (2022年12月23日). “「空気からパンを作る技術」に100年越しの革命を。東工大ベンチャーの挑戦”. BUSINESS INSIDER JAPAN. 2024年4月10日閲覧。
- ^ “アンモニア合成を通して人類を支えた研究者たち”. 東京工業大学. 2024年4月10日閲覧。
- ^ 日経クロステック(xTECH) (2021年1月14日). “ハーバーボッシュ法の欠点を大幅改善、アンモニアの地産が可能に”. 日経クロステック(xTECH). 2024年4月10日閲覧。
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- ^ Smil 2001, pp. 61–82
- ^ Hager 2008, pp. 63–108
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- ^ Bosch 1931
- ^ a b アンモニア合成を通して人類を支えた人たち 東京工業大学博物館
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- ^ アンモニア合成を通して人類を支えた人たち (PDF)
- ^ 大阪朝日新聞経済部 1929.
- ^ 牧野功「肥料製造技術の系統化」(pdf)『国立科学博物館 技術の系統化調査報告』第12集、国立科学博物館、2008年3月28日、215頁、2022年8月27日閲覧。
- ^ 牧野功「肥料製造技術の系統化」(pdf)『国立科学博物館 技術の系統化調査報告』第12集、国立科学博物館、2008年3月28日、218-219頁、2022年8月27日閲覧。
- ^ #コトバンク。
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- ^ 兒玉州平 2014.
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- ^ 大阪毎日新聞 1936.
- ^ a b 独立行政法人農業環境技術研究所「情報:農業と環境 No.104 (2008年12月1日) 化学肥料の功績と土壌肥料学」
- ^ Defining the Green Revolution - What Was the Green Revolution?
- ^ 世界の人口を養う“窒素”の光と影:日経サイエンス 1997年12月号
- ^ イーゲーファルベン裁判。
- ^ 井上尚英『生物兵器と化学兵器』(初)中央公論新社〈中公新書〉、2003年。ISBN 4121017269。
ハーバー=ボッシュ法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 23:12 UTC 版)
ハーバー=ボッシュ法は平衡の移動を化学工業に応用して成功した例として知られている。 N 2 + 3 H 2 ↽ − − ⇀ 2 NH 3 {\displaystyle {\ce {N2 + 3H2 <=> 2NH3}}} , Δ r H = + 93 k J / m o l {\displaystyle \Delta _{\mathrm {r} }H=+93~\mathrm {kJ/mol} } この反応は可逆反応であり、アンモニアを得るためには、この反応の平衡を右へ移動させなければならない。このとき、ルシャトリエの原理を利用してアンモニアを合成することを考えたい。 ルシャトリエの原理によれば、平衡を移動させられる変更可能な条件は、温度、圧力、濃度である。 温度を変化させる 本反応は発熱反応であるため、平衡を右に移動させるためには、低温で反応させるべきである。 圧力を変化させる 反応により分子数が減少するため、平衡を右に移動させるためには、高圧で反応させるべきである。 しかし、この化学平衡から導かれる帰結に従い、低温であればあるほど、高圧であればあるほど、効率的にアンモニアを合成できるということにはならない。 その理由について、まず反応温度の影響を述べる。窒素と水素の反応は極めて遅く、反応を起こさせるには大変な高温を必要としてしまう。そこで、触媒を用いる必要がある。ミタッシュは数多ある触媒のなかから、この反応に適する触媒として四酸化三鉄 Fe3O4 を主成分とする二重促進鉄触媒を見つけ出した。しかしながら、この触媒を用いたとしても、平衡を有利にするために、低温(400 ℃ 以下)で反応させると、反応速度が不十分であり、NH3 が出来るまで多大な時間を要する。そこで、もう少し高温(500 ℃ 程度)で反応させると、収率は少し減るものの、短時間でアンモニアが生成するので、反応後、未反応原料を回収し、再び反応に用いる方がより経済的である。 次に圧力の影響を述べる。高圧にさせるためには、反応を起こす容器がその圧力に耐えなければならないが、強度の高い反応器を設計し、高圧で運用するためには多大なコストがかかってしまう。よって、工業的には、300 – 500 atm 程度で運用されている。 さらに、まだ変化させていない条件(濃度)を変化させる為に反応の途中で適宜アンモニアを取り出すことで、逆反応を起こりにくくしアンモニアを効率的に合成している。
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「ハーバーボッシュ法」の例文・使い方・用例・文例
- ハーバーボッシュ法というアンモニア合成法
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