各章ストーリー
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ベナレスからの手紙〜伝統ある古典部の再生 世界を旅する姉・供恵のベナレスからの手紙に勧められ、古典部に入部した神山高校1年生・折木奉太郎。しかし部員が自分一人なら私的空間を所持できると思って部室の地学講義室に入った奉太郎は、同じく古典部に入部した隣のクラスの女子生徒・千反田えると出会う。私的空間の望みは潰え、そのまま帰路に就こうとした奉太郎だが、突然えるは奉太郎が鍵で部室のドアを開けるまで自分が閉じ込められていたことになっていたことに気付く。奉太郎の親友・福部里志は校舎のドアは内側から鍵を掛けることは不可能だと言い、自分の身に置かれた状況が気になるえるの好奇心に誘われ、奉太郎は部室で発生した密室の謎を解くことに。 名誉ある古典部の活動 里志も古典部に入部してから1箇月、当人たちですら活動内容が不明瞭なまま部室でただ時間を過ごしていくままの状況を憂いたえるの提案で、古典部は有意義な部活動をするため「カンヤ祭」の俗称で呼ばれる文化祭で販売する文集作りに手をつけることになる。文集作成の足掛かりを掴むため、文集のバックナンバーを入手しようと奉太郎とえるは、奉太郎の幼馴染・伊原摩耶花が図書委員の当番を務める図書館を訪れる。そこで奉太郎は、図書室にいた里志と摩耶花から「愛なき愛読書の話」を聞かされる。それは返却期限2週間以内にもかかわらず、毎週金曜日に週毎に異なる生徒が『神山高校五十年の歩み』という大判の本を借りてその日に返却するという珍事が相次いでいたことだった。 事情ある古典部の末裔 ある日の日曜日、えるから会いたいと呼び出された奉太郎は、行きつけの喫茶店で待ち合わせる。そこで奉太郎はえるが古典部に入部した理由である「一身上の都合」、失踪した伯父・関谷純からかつて籍を置いた古典部に関する話を聞いて泣き出した理由を知りたいという事情を打ち明けられ、その泣き出した理由を思い出させて欲しいと頼まれる。気の進まなかった奉太郎だったが、関谷純の生死不明が満7年となり法的に死亡扱いできること(失踪宣告)から葬儀が営まれることを聞き、あくまで手伝いとしてその頼みを引き受ける。 由緒ある古典部の封印 期末試験が終わり、自宅に帰った奉太郎は供恵からのイスタンブールからの手紙で、図書室になかった文集のバックナンバーが、部室の薬品金庫にあることを知る。現部室に金庫はないため、奉太郎とえる、古典部に入部した摩耶花は、供恵の在籍時に部室として使われ現在は壁新聞部の部室である生物講義室を訪れる。しかし壁新聞部部長の遠垣内は部室に文集はないと言い張り、部室の詮索を嫌う素振りを見せる。その態度に不審なものを感じた奉太郎たちは無理を押し切り部室を見せてもらうが文集は見当たらない。益々態度を荒らげる遠垣内を前に、遠垣内の秘密を察した奉太郎はやんわりと脅迫し、文集を古典部部室に持ってこさせる約束を取り付ける。そんな顛末の末、文集『氷菓』のバックナンバーを入手した古典部だが、その『氷菓』こそえるの思い出せない過去に繋がる鍵となっていた。 栄光ある古典部の昔日 32年前の古典部員・郡山養子が『氷菓 第二号』に記した記述で、33年前の出来事で関谷純が「英雄」として神山高校を去ったことを知った奉太郎とえる。しかし、その詳細が書かれていると思われた創刊号のみバックナンバーから欠けていた。打開策として里志と摩耶花にも協力を仰ぎ、古典部一行は千反田邸でそれぞれ持参した資料から33年前に関谷純に何が起きたのかの推論を検証していくことに。えるは『氷菓 第二号』が示す10月の文化祭に文化祭荒らしと争って退学したという説を、摩耶花は『氷菓 第二号』と同時期に発行された『団結と祝砲』から関谷純が指導者として6月に生徒たちが権力主義者(おそらくは教師)に暴力行使を行ったとそれぞれ自説を展開、里志は壁新聞『神高月報』のバックナンバーから摩耶花説を間接的に否定するだけに留まった。『神山高校五十年の歩み』を資料として持参しながら思い違いから何の自説も用意してこなかった奉太郎はこれまでの資料と説を元に推理し、33年前の出来事の全容を導き出す。 歴史ある古典部の真実 幼いえるが泣いた理由を謎に残しつつ、33年前の事件の真相を解いた奉太郎。そんな中、ユーゴスラヴィアにいる供恵からの国際電話で、供恵が33年前の出来事を「悲劇」と形容したことから、奉太郎は自身の推理に欠けていた部分があることに気付く。千反田邸での検証会から翌日、奉太郎は招集した古典部一行と共に33年前の出来事の全てを知る人物・郡山養子の下で関谷純の真意そして『氷菓』の意味を確かめていく。 未来ある古典部の日々〜サラエヴォへの手紙 33年前の出来事に纏わる真相を知った後、古典部は文化祭を目前にして『氷菓』の作成に追われ、その一方でえるも関谷純を完全に弔っていた。奉太郎はいつものようにえるの好奇心に付き合わされる日常を送る中、サラエヴォにいる供恵にこれまでの近況と心情を綴った手紙を送る。
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各章ストーリー
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「ふたりの距離の概算」の記事における「各章ストーリー」の解説
一章 入部受付はこちら 新入生勧誘週間の時期、前日に里志の話術で新入生に向けての部活のアピールを乗り切った後の最後の金曜日、校舎前の前庭で割り振られたテーブルの下で最後の勧誘活動を始めた奉太郎とえる。だが古典部のテーブルに立ち寄る新入生は誰もおらず、退屈な時を過ごす中、製菓研究会のテーブルに目を向けたえるがテーブルに置かれたカボチャを見て違和感を覚えたことから、奉太郎とえるはその違和感の謎について推理していく。やがて一部始終を聞いていた大日向も謎解きに加わり、製菓研究会の勧誘の裏を読み解いていった。 マラソンで摩耶花と合流した奉太郎。摩耶花から大日向の発した言葉について具体的に聞くと、大日向が言ったのは「千反田先輩は菩薩みたいに見える」ということだった。 二章 友達は祝われなきゃいけない 姉・供恵が購入し、リビングの蛍光灯の点灯用に改造された招き猫が置かれた折木家で、供恵から午後2時半まで留守番するように指示された奉太郎。奉太郎がその時間まで家にいると、突然えると里志・摩耶花・大日向が、大日向の提案で奉太郎の誕生会を開くために家に遊びにやってきた。誕生会では、摩耶花と大日向のチーズ嫌いの話から、誰も奉太郎の家まで来たことがないのにどうやって来られたのかということに話題が向けられる。奉太郎は誕生会の間中、未だに鎮座する招き猫が示す真実が公にならないかが気がかりとなっていた。 マラソンで総務委員として監督役で見回りをしている里志と合流した奉太郎は、「外面(げめん)は菩薩の如くなら、内心は夜叉」と聞かされる。 三章 とても素敵なお店 大日向に差し出された県外の珍しいスナック菓子を食した条件として古典部一行は大日向の従兄が開店を控える喫茶店のモニター役を引き受けることに。週刊誌に載っていた「水筒社事件」という詐欺事件の話題に触れたり、ジャムとクリーム付きのスコーンを食べたりする中、所用で遅れてやってきたえるの一言から、工事の関係で看板が掛けられていなかった喫茶店の名前は何なのかという疑問が浮かび上がり、そこから店主からのヒントを頼りに奉太郎達は喫茶店の名前当てに興じていった。その中で、大日向はえるに阿川を知っているかと質問し、えるが1年A組の阿川佐知だと答えると、なぜか大日向は黙り込んでしまった。 このときのことを走りながら思い出す奉太郎は、ここでの出来事で一つおかしいと思うところに気付いていく。 四章 離した方が楽 坂道を下って陣出に差し掛かった奉太郎は、バス停でえるが来るのを待ちながら、大日向にとっての最後の藁となったえるとの昨日の出来事の回想に取り掛かる。 その日、部室に向かった奉太郎は、空き教室の桟にぶら下がっている大日向に出くわした。しばし言葉を交わして2人がえるのいる部室に入ってしばらく経った頃、文庫本に夢中になっていた奉太郎は、えるが「はい」という一言を発してから、大日向が部室からいないことやえるが不思議な動作をしていたことに気付く。そして摩耶花から大日向が入部しないと聞かされる。 えると合流した奉太郎は、えるが昨日取った行動を読み解いた上で、えるの誤解を解いていく。その後、えるが大日向と最後に交わした、摩耶花が漫研を辞めたことに関する会話を聞く。 五章 ふたりの距離の概算 える・里志・摩耶花に事実確認をしながら大日向と過ごした出来事から1つの推理に辿り着いた奉太郎は、大日向と対峙する。マラソンコースの抜け道の中、奉太郎はその推理を元にえるとの行き違いの原因、そして大日向の抱えている問題に触れていく。
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第一章 煎餅屋の娘 初出:『小説現代』2004年8月号 煎餅屋「あまから」を営む上川家の面々に2人の捜査一課刑事と加賀が、保険外交員の田倉が昨日何時頃に訪問したのかを尋ねてくる。田倉は先日発生した小伝馬町の殺人事件の被害者宅を訪ねており、その後「あまから」へ寄り午後6時40分に退社したと犯行当時のアリバイを主張するが、彼が午後6時10分に退社したという証言の存在から、田倉が退社後に犯行が可能な空白の30分が浮上したことで重要容疑者として疑われていた。「あまから」への聞き込みは田倉の正確な退社時刻を調べるためのものだった。懇意にしている田倉の無実を信じる上川家の面々を余所に、加賀はこの暑い時期にサラリーマンが羽織るスーツに着目し、曖昧なアリバイの真相に気付く。上川菜穂…煎餅屋「あまから」の娘。美容学校に通っている。母が早くに他界し、父と祖母に育てられた。 上川聡子…「あまから」を切り盛りする先代の妻で菜穂の祖母。頑固な性格で口煩い。先日まで動脈瘤の手術前に胆管炎による発熱により一時は生死の境をさまよっていた。 上川文孝…「あまから」現店主で菜穂の父親。30年前、20年間和菓子屋だった店を煎餅屋に鞍替えしたという。 田倉慎一…新都生命保険外交員。江戸っ子気質の約束を守る性格で、菜穂を始めとする上川家に慕われている。 第二章 料亭の小僧 初出:『小説現代』2005年6月号 料亭「まつ矢」の見習い・修平は、加賀と刑事2人が3日前に人形焼を買ったことを聞かれる。人形焼は「まつ矢」主人・泰治に極秘に頼まれ購入しており、泰治との秘密を守るため修平は人形焼は自分で食べたと主張する。その後、3日前に小伝馬町の殺人事件で殺された女性宅に人形焼が残っていたことを知った修平は殺された女性が泰治の愛人と思しき女性ではと疑心と不安を抱き、「まつ矢」に一人食事に現れた加賀からの質問に対して頑なに口を閉ざす。だが、加賀の真意は別の所にあり、現場に残された人形焼には意外な特徴があった。修平…料亭「まつ矢」見習い・給仕役。去年高校を辞めて、父の伝手で「まつ矢」で働き、憧れだった料理人を目指す。 頼子…「まつ矢」女将。気が強くさっぱりとした気性の女性。従業員には厳しく、客に修平が見惚れるほどの笑顔でてきぱきと店を切り盛りする。 泰治…頼子の夫で「まつ矢」主人。頼子とは対照的に放蕩で、小伝馬町に囲っているという噂の愛人への手土産なのか、修平に何度か人形焼を買うように頼んでいる。 克也…修平の2年先輩。修平が「まつ矢」に雇われた今年の春に厨房の手伝いを任された。 アサミ…銀座のクラブで働く女性。子供がいる。 第三章 瀬戸物屋の嫁 初出:『小説現代』2005年10月号 瀬戸物屋「柳沢商店」を営む柳沢家では、店主の鈴江とその息子・尚哉の嫁である麻紀との間で嫁姑問題の真っ只中にいた。そんな中、「柳沢商店」にやってきた加賀が、麻紀に小伝馬町の殺人事件の被害者・三井峯子について聞いてくる。麻紀は1週間前に峯子が商品を注文したことを証言するが、尚哉は加賀がなぜ麻紀を事前に知っていたのかを疑問に思う。その後も加賀は峯子が刃物専門店「きさみや」でキッチンバサミを買ったことや、柳沢家でもキッチンバサミを調査する。加賀の不可解な捜査は峯子が自前のものを持っていながらキッチンバサミを購入したことが発端だった。後に相手に頼まれて買ったことが判明するが、その相手が麻紀だった。柳沢尚哉…大手ゼネコンのサービスマン。六本木のキャバクラで働いていた麻紀に入れ上げ、結婚にまで漕ぎつけた。仲が悪くなった麻紀と鈴江の板挟みで悩む。 柳沢麻紀…尚哉の妻。明るく表情豊かだが、元来気の強い性格。小学生の頃から好きなキティちゃんのタオルを雑巾に使われたことに腹を立て、鈴江と言い争う。 柳沢鈴江…尚哉の母で瀬戸物屋「柳沢商店」店主。麻紀に負けじと気の強い性格。歯が弱く、固い食べ物は避けている。現在、小唄の会の人達との伊勢志摩巡りを楽しみにしている。 第四章 時計屋の犬 初出:『小説現代』2008年1月号 「寺田時計店」を訪ねてきた加賀は主人の寺田玄一に6月10日の午後6時頃に峯子と会った時のことを尋ねる。その時間、愛犬・ドン吉の散歩をしていた玄一は峯子と浜町公園で会ったと証言するが、後日加賀は玄一に本当に峯子と浜町公園で会ったのかを再三確認しに現れる。浜町公園に集まる愛犬家たちの中で玄一のことは見かけたものの、峯子を見た者は一人もおらず、峯子がパソコンで誰かの小犬の頭を撫でていたと綴った文面も相まって、証言に食い違いが生じていた。しかし、この不一致の謎を知る鍵を握っていたのはドン吉だった。寺田玄一…時計屋「寺田時計店」主人。古い時計を修理させたら天下一品といわれる腕を持ち、こだわりも強いが、頑固で喧嘩っ早い性格で周囲と揉め事が絶えない。高校卒業後に自身が反対していた相手と駆け落ちした娘の香苗を許せず、その香苗の話はタブー扱いとなっている。 米岡彰文…本章の視点人物。「寺田時計店」の従業員。子供の頃から機械時計が好きだったことから今の職業を志した。寺田家とは親しい付き合いで、玄一の腕を尊敬している一方で彼からのとばっちりはなるべく避けようとする。 寺田志摩子…玄一の妻。玄一と同じくらいの大柄な体型のため、彰文には心中で玄一と共に巨漢夫婦と呼ばれている。玄一と違い、娘の香苗には他意はなく、結婚も支持している。 第五章 洋菓子屋の店員 初出:『小説現代』2008年8月号 絶縁状態の父・直弘から母の峯子が自宅のマンションで殺されたことを知らされた劇団員の清瀬弘毅。突然の母の死に衝撃を受ける弘毅だが、心中には母がなぜ自分の住む浅草橋に近い小伝馬町で暮らしていたのかという疑問が広がっていた。その後、峯子が住み、殺されてしまったマンションに赴いた弘毅は現場保全を任された加賀に現場を見せてもらうことに。そこでも峯子が小伝馬町に移住した理由は解らなかったが、加賀の話などから峯子の周囲で妊娠している女性がいるらしいことが推察されていた。美雪…洋菓子店「クアトロ」の女性店員。2か月前から常連となった峯子から優しく接せられていた。健一という恋人がいる。 青山亜美…弘毅の1歳上の恋人。福島出身。デザイナー志望で、喫茶店「黒茶屋」でバイトをしながら専門学校に通っている。弘毅とは観に行ったミュージカルで席が隣同士だったことから知り合う。 第六章 翻訳家の友 初出:『小説現代』2009年2月号 峯子の友人で彼女の遺体の第一発見者となった翻訳家の吉岡多美子。犯行は多美子が峯子と会う時間をずらしてもらった後に行われたため、多美子は峯子の死を自分のせいだと罪悪感を感じていた。さらに峯子とは仕事の件でしこりを残していたことも心に暗い影を落としていた。そんな中、多美子の証言の確認に来た加賀は事件当日、峯子に公衆電話で電話を掛けた人物を探していた。だが、多美子の婚約者のコウジにも聞き込みの手を伸ばした加賀は一つの真実を見つけ、多美子の心を救済していく。吉岡多美子…翻訳家。峯子の大学時代からの友人で、離婚する前の峯子から家庭の愚痴をよく聞いていた。離婚後も翻訳家として独り立ち出来るまでは仕事を世話することを峯子と約束していたが、自身の婚約で反故にしてしまった経緯もあり、峯子が殺された後に自分が幸せになることに自責の念を感じている。 コウジ タチバナ…多美子の3歳下の婚約者。元々は日本人だが、父の仕事の都合でロンドンに移住し英国籍を取得した日系英国人。職業は映像クリエイター。1年前に出版関係者達との夜桜の花見の席で多美子と知り合い交際を開始、最近多美子にプロポーズをし、仕事の拠点とするロンドンに来てほしいと申し出る。 第七章 清掃屋の社長 初出:『小説現代』2009年5月号 峯子の元夫で清掃会社社長の清瀬直弘は、愛人と噂される女性・宮本祐理を秘書として雇っていた。その祐理に加賀は直弘から貰った手作りの指輪やアクセサリーについて質問していた。一方、峯子が小伝馬町に越してきた理由を知り、自分が母親に何もしてやれなかったと痛感して峯子の生活ぶりを知りたいと思い至った弘毅。峯子と親しい弁護士の静子や加賀から話を聞く中で、諸事情から峯子が離婚時の財産分与以上の金を直弘に請求しようとしていたことや祐理の存在を知り、父が祐理との関係を理由に母を殺したのではと疑念を持つ。祐理に直弘との関係を質す弘毅、直弘と直接対面する加賀。そこから直弘と祐理のもう一つの一面が明らかになる。宮本祐理…清掃会社社長である直弘の秘書。以前は直弘の行きつけの銀座のクラブのホステスで、直弘が社長秘書として雇ったことから直弘の愛人と噂されている。直弘からのプレゼントであるアクセサリーと手作りの指輪を着用している。 高町静子…「高町法律事務所」弁護士。峯子と直弘の離婚協議の際の峯子側の弁護士。協議後も峯子とはメールでやり取りをしていた。 第八章 民芸品屋の客 初出:『小説現代』2009年6月号 民芸品屋「ほおづき屋」の主人・藤山雅代は加賀から最近独楽を買った客がいるかを聞かれる。さらに後日、独楽を売ったアルバイト店員の菅原美咲を尋ねた加賀が店の独楽を全部購入したことから、購入日が発生から後だとはいえ、店の独楽が小伝馬町の事件と関係しているのではと不安になる。やがて雅代は加賀が独楽に目をつけた意図を察していく。そんな中、加賀は上杉とともに直弘の顧問税理士・岸田の息子夫妻の元にも聞き込みを行っていた。藤山雅代…民芸品屋「ほおづき屋」の店主。伝統工芸品に魅せられ、24年前に実家の呉服店の系列店として「ほおづき屋」を出店した。店の商品の材料は国産で自ら現地に赴いて選んでこだわっている。 菅原美咲…「ほおづき屋」のアルバイト店員。1つしか歳が違わないこともあり、「ほおづき屋」と同じ並びにある「あまから」の一人娘である菜穂と仲が良い。 岸田玲子…克哉の妻。克哉とは高校時代から5年以上交際歴を重ね、後に克哉と結婚するため計画的に妊娠し結婚に漕ぎつけた。子育ては実家の若い母にも助けて貰い、友人と遊んだり夫とのクレジットカードで買い物を楽しんだりと贅沢している。 岸田克哉…要作の息子。建設コンサルタントの会社で経理部として勤務している。 岸田翔太…5歳。克哉と玲子の息子。要作の孫。 佐川徹…約20年前から玩具屋を営んでいる男性。 第九章 日本橋の刑事 初出:『小説現代』2009年7月号。最終章となるこの章ではこれまでの章で点として描かれた謎や事項を線として繋げ、上杉の視点から事件解決までの流れを描いている。 捜査一課の上杉博史は当初、峯子殺害事件の犯人探しは難航すると踏んでいたが、いくつかの謎と事件の関連性の有無や、犯人の目星となりうる手掛かりが判明していった捜査の過程に、加賀の力添えを知らない上杉は疑問を覚えていた。そんな中、直弘と祐理の関係を洗う任についた上杉は自分についてこようとする加賀と組んで捜査をすることに。そして2人は、加賀の関心の示す方向性の元で真犯人へと迫っていく。しかし、犯人には自らの殺害動機以上に隠したい秘密があった。
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