市場
「市場」とは、「売り手(供給者)と買い手(需要者)が商品、サービス、証券などを売買する場所」のことを意味する表現である。有形の施設を指す場合もあれば、抽象的な概念を指す場合もある。「販路」の意味で用いられる場合もある。
「市場」の読み方は「いちば」もしくは「しじょう」である。「市場(いちば)」には「大規模な売り買い所」といったニュアンスを伴う場合が多く、「市場(しじょう)」には金融分野あるいは抽象的な「場」の概念を指す場合が多い。ただし「卸売市場」のような複合語では「大規模な売買所」を指して「しじょう」と読むことも多々ある。
「市場」の基本的な意味
公正取引委員会ウェブサイト内のコンテンツ「私たちが安くて良い商品を買えるワケ。」では、「市場」を次のように規定している。以下引用。
市場とは多くの売り手(メーカーや小売店)と多くの買い手(消費者)が「自由にさまざまな商品を売り買いする場」のことをいいます。 ――「市場経済とは?」公正取引委員会
「市場」は簡単にいえば「商品の売買を行う場所」のことである。特に「定期的に人が集まり物が取引きされている場所」という意味合いを伴う。生鮮食品を専門に扱う市場もあれば、食品や日用品を売買する商店街にも似た市場もある。証券を売買する証券取引所も「市場」に分類される。
マーケティングの分野における「市場」は、「商品やサービスに対する需要がある(または潜在的需要がある)見込み顧客」を指す意味で用いられる。商品やサービスを売り、そして買ってもらう、抽象的な「場」の概念である。ほぼ「販路」と同義である。
「市場」の語源・由来
「市場」は、かつては「市(いち)」といった。「市」が「市場」という呼び名に転じて定着した時期や理由は判然としない。
現代でも朝市・闇市・蚤の市という風に「市場」を「市(いち)」と呼ぶことはある。
現代中国語にも「市場(市场)」という語彙はあるが、これは日本語から逆輸入された言葉とされる。中国語では「集市」または「墟市」と呼ばれることが多い。
英語では「市場」は「market」という。
中国語でも「市場(というか集市)」は古くは「市(shì)」といった。「市場」の意味で「市」の語が用いられている古い例としては「易経」が挙げられる。「易経」は、成立年代が紀元前8世紀頃とも紀元前10世紀頃ともいわれる超古代の書物である。
「市場」を含む様々な用語の解説
市場前駅(東京江東区の駅)
「市場前駅」は、豊洲市場の開業を見越して2006年に設置された駅の名称である。つまり「市場」とは「豊洲市場」のことである。
市場前駅は、豊洲市場が開場するまでは、年間乗降客数が東京23区の中で最も少ない部類であった。豊洲市場が開場して以降は乗降客数が飛躍的に増加したという。
市場調査
「市場調査」とは、マーケティング分野における活動のひとつで、市場の動向や商品やサービスの認知度および利用者の需要(ニーズ)を調査することである。利用者や見込み顧客のニーズを把握し、商品やサービスの改善や開発に繋げるわけである。市場調査の方法としてはアンケートが一般的といえる。アンケートを取る方法としては、郵送、電話、FAX、あるいは街頭調査や覆面調査などもあるが、近年はインターネットを通じたアンケートが主流である。
市場規模
「市場規模」とは、主に経済学において用いられる用語で、市場での経済活動の規模を意味する。特定の市場においての年間売上総額のことを指し、官公庁や業界団体がまとめている業界ごとの調査レポートで把握することが可能である。market
「market」とは、物が売り買いされている場所である市場・証券取引所や市場で売買が発生するために必要な需要のことを意味する英単語。
「market 」の基本的な意味
毎日あるいは定期的にものが売り買いされていれば基本的にmarketと呼ぶことができるが、現在では証券取引を行う場のことをmarketと呼ぶのが一般的だ。具体的にmarketに当たるのは、証券取引所(金融証券取引所)・商品取引所・中央卸売市場となる。日本で有名な証券取引所としては、東京証券取引所・名古屋証券取引所・札幌証券取引所・福岡証券取引所などが挙げられる。以前には大阪証券取引所というものもあったが、現在では東京証券取引所に統合されている。marketはラテン語のmerxを由来としている言葉である。merxの意味は、品物・財産だ。ラテン語は多くの変化を持つ言語として有名だが、merxも多くの変化形を持っている。その変化形の中の1つに賃金を意味するmercesがあるのだが、この変化形こそがmarketの直接の語源となっている。
「market cap」とは
market cap(マーケットキャプ)はmarket capitalizationを略したもので、時価総額を意味する言葉である。時価総額は通常株価に発行済み株式数を掛ける形で計算され、企業の規模を知る時に用いられる。東証株価指数を算出する際に使われる時価総額は、上場株式数の中の安定株主を除いた形で求められている。企業の規模がわかれば投資先を見つける時に容易になるため、時価総額の求め方は知っておいて損はないだろう。また国別の経済力を測る際にも、時価総額が用いられることがある。「market place」とは
market place(マーケットプレイス)とはものを売り買いする場のことを指し、marketとほぼ同じ意味の言葉である。経済用語でmarket placeという場合、バイヤーとサプライヤーが取引するインターネット上の取引市場のことを指す。この意味で用いられる場合は、企業間電子商取引を実現するためのもので、e-market placeと言い換えることも可能だ。インターネット上の電子商取引は多様化しており、今までの1対多の取引から多対多の取引が主流になることでmaket placeの言葉の意味も変化してきたのである。多対多の取引になることで、システムの構築や運用コストが抑えられるというメリットがある。market placeは企業が協力して構築することが多く、その結果部材の調達コストを下げることに成功している。「market 」を含むその他の用語の解説
ここではmarketが含まれている他の用語について、解説を行っていく。ここで解説する用語とは、market capitalization(マーケットキャピタリゼーション)・market segmentation(マーケットセグメンテーション)・target market(ターゲットマーケット)の3つである。「market capitalization」
market capitalizationとは、時価総額という意味の経済用語でこの言葉を略したものがmarket capとなる。market capitalizationから派生した言葉には、market capitalization rateやmarket capitalization valueなどが存在する。market capitalization rateは市場資本化率という意味で、MCRと略されるのが一般的だ。市場資本化率は将来のフローを、現在のストックに置き換える時に用いられる割引率のことを指す。market capitalization valueは株式の時価総額のことで、MCVと略される。market capitalization valueが用いられる場合は、市場全体の時価総額を意味するのが一般的だ。
「market segmentation」
market segmentation(マーケットセグメンテーション)とは、市場細分化という意味の経済用語である。特定の商品やサービスを他の商品とは別の市場で取引する際に、市場細分化が行われる。自動車業界などで使われることが多いが、人口統計や地理・消費者心理などの分野でも使われることがある。
「target market」
target market(ターゲットマーケット)は日本語で標的市場と翻訳することができる。製品またはサービスの市場全体の中の部分のことを指す時に、この用語が用いられる。標的市場はtarget segment(ターゲットセグメント)と言い換えることも可能だ。同じくらいの特性を持つ消費者によって、この市場は構成されている。ターゲットマーケットが特定されることで、企業はニーズと期待を念頭に調整することができる。典型的な消費者の動機あるいは購入習慣などの洞察を得るために、ターゲットマーケットを対象に消費者調査が実施されることもある。適切なターゲットマーケットを選択することは難しい決定だと言える。そのためこの決定を支援するために数多くのヒューリスティックが開発されている。
いち‐ば【市場/市▽庭】
し‐じょう〔‐ヂヤウ〕【市場】
市場
市場(しじょう)
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
市場
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市場(いちば、しじょう、英: market、マーケット)とは、定期的に人が集まり商いを行う場所、あるいは、この市場(いちば)における取引機構に類似した社会機構の概念を指す。「市(いち)」「市庭(いちば)」とも言う。
証券・為替など金融関係では「しじょう」と読まれる。また、施設の名称も「しじょう」となっているところが多い。
市場は経済的には、売り手と買い手、さらに取引対象となる商品を3つの基本要素としている[1]。
しかし、市場が成立するためにはこれだけでは不十分であり、取引の行われる場としての時間と空間、さらに取引を可能にしている貨幣などの技術的・制度的取引手段が市場の構成要素に含まれる[1]。
概要
市場は学術的な用語も含め複数の概念を表すために用いられている[1]。
- 具体的市場(concrete market)
- 抽象的市場(abstract market)
- 多くの売り手と買い手が交渉する抽象的な意味での市場、需給の相会する場(価格の形成や商品の移動が行われる場)としての市場を意味する[1]。
- 販路(outlet)
市場現象の研究は、一般に需給の相会する場としての市場(抽象的市場)を対象としている[1](後述)。自由市場経済とは、市場からの情報(市場情報)を反映して、企業家が独自に生産計画、販売計画、仕入計画等々の生産活動を行う一方、消費者も独自に消費計画や購買計画等の消費活動の決定を行う経済モデルをいう[2]。
語源
日本語における「市」という語は、中国の『易経』繋辞下伝にある神農の伝説「日中為市、致天下之民、聚天下之財、交易而退、各得其所」[3]に由来するとも言われている。古代中国では、官庁のある都市の特定の区域以外での商売は禁じられており、そこを「市」と称した。
英語の「マーケット(market)」はラテン語で「商いする」を意味する「mercari」が語源とされる[4]。
学問
市場が学問の対象として取り上げられる場合、日常語である具体的市場(concrete market)では意味が狭すぎるため通常は用いられない[1]。また、販路(outlet)を意味する市場も、主に政策的な調査研究のほかは一般的に研究対象とはなり得ない[1]。
市場現象の研究は、需給の相会する場としての市場(抽象的市場)を対象としている[1]。需給の相会する場としての市場(抽象的市場)の機能には、価格形成の機能と商品流通の機能があり、経済学的な観点では前者に主眼を置き「価格形成の場」、商業学的な観点では後者に主眼を置き「商品流通の組織」として捉えられる[1]。
経済学上の市場
| 経済学 |
|---|
| 理論 |
| ミクロ経済学 マクロ経済学 数理経済学 |
| 実証 |
| 計量経済学 実験経済学 経済史 |
| 応用 |
| 公共 医療 環境 天然資源 農業 開発 国際 都市 空間 地域 地理 労働 教育 人口 人事 産業 法 文化 金融 行動 |
| 一覧 |
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| 経済 |
| |
市場は経済学上は価格形成の場として市場現象が把握される[1]。理論経済学でいう市場には二つの意味があり、第一に売り手と買い手が財とサービスを交換する一般的条件に関するもので、理論経済学上の完全競争、独占的競争、寡占、独占などの概念はこの文脈で用いられる[5]。第二は市場の範囲の問題や地理的境界の問題をいう[5]。
なお、経済人類学者のカール・ポランニーは市場を、場所、供給する人、需要する人、習慣または法、単一価格からなる市場諸要素の連合体と定義した[5]。ポランニーはバザールに並ぶ財には複数の価格があり近代的市場とは異なるとし、西欧で価格形成市場が展開するのは市場が目に見える形で出現してから2000年ほど後のことだったと指摘している[5]。
商業学上の市場
市場は商業学上は市場現象のうち特に商品の流通を強調して把握される[1]。商業学では流通過程のどの段階に位置する市場かが最も重要な問題であり、経済学における価格形成上の特徴による分類を市場形式ないし形態(marketform)というのに対し、商業学における流通過程上の位置による分類を市場類型(type of market)という[1]。
例えば、米国ではトムセンが農産物市場について、産地集荷加工市場、地区集中加工市場、中央・第一次ないし終点市場、沿岸市場、第二次加工市場、分散卸売市場、小売市場に分類している[1]。
学術団体について、日本では、1951年4月21日、日本商業学会が慶應義塾大学教授向井鹿松を初代会長として設立された[6]。
市場の歴史
起源
フィリップ・ジェイムズ・ハミルトン・グリァスンは沈黙交易の研究を通して、市場の成立について以下のような類型を示唆した[7]。
- 姿を見せぬ交易(Invisible trade)
- 姿を見せる交易(Visible trade)
- 客人の招請(Guest friendship)
- 姿を見せる仲介者づきの交易(Middleman trade)
- 集積所(Depo)
- 中立的な交易
- 武装市場(Armed market)
- 定市場(Regular market)
グリァスンは、人間集団が平和に交流できる中立的な場所として市場を定義した。また、市場の存在によって特定の場所に平和が保存され、それが市場への路や人物にも広がることで、さらに平和の範囲が進展すると述べた[8]。
カール・ポランニーは、市場制度が発達する起源として、対外市場と地域市場(対内市場)の二つをあげる。対外市場は貿易など共同体の外部からの財の獲得に関係し、地域市場は共同体での食料の分配に関係する。地域市場は、さらに二つの形態に分かれる。第1は物資を中央に集めて分配する形態で、灌漑型の国家に顕著に見られる。第2は地域の食料を販売する形態で、古代ギリシアの小農経済や叢林型経済に顕著なものとなる[9]。
古代メソポタミア・西アジア
シュメールやバビロニアでは食物をはじめとする必需品を貯蔵し、宮殿や都市の門において分配した。またペルシア語のバザールにあたる市場では手工業品の販売を行なった。地域市場とは別に対外用の貿易が行なわれていたが、対外市場は存在しなかった。このためキュロス2世はギリシア人の市場制度を理解せず、非難した[9]。やがて灌漑型国家の分配制度が衰えてイスラームの商業が浸透すると、バザールは地域の食料市場も兼ねるようになった。
古代ギリシア・ローマ
古代ギリシアのポリスにおいては、集会に用いる広場であるアゴラが市場としても用いられた。地域市場と対外市場が分かれており、地域市場にはアゴラ、対外市場にはエンポリウムが存在した。エンポリウムでは遠征した軍隊のために補給や戦利品の処分も行なった。メソポタミアやエジプトのように広大な灌漑農地を持たないギリシアは穀物確保が重要であり、価格が変動する初の国際市場として、アレクサンドロス3世の家臣であるナウクラティスのクレオメネスが運営した穀物市場も存在した[9]。古代ローマはギリシアのアゴラの制度をフォルムとして引き継ぎ、エンポリウムは商品を積み替える場所の名称としても用いた。
中国
唐の時代に市制の整備が進み、商業は厳しく管理された。市籍に登録された者が取引を行い、市籍人は商品の種類ごとに区画が決められて「行」という同業組合に属するよう定められてしまった。長安では東西、洛陽では南北西に市が置かれており、各地からの行商人は市籍人を通じて取引を行った。貿易が行われる都市には市令・市丞という役人がいた。統制が緩むにつれて往来の多い地域に墟市(草市)という市場も開かれて日用品を扱うようになった。その他に、経済的要地を守る「鎮」という軍のもとに発展した鎮市、寺院の前に開かれる廟市などがあった。
イスラーム王朝
アラビア語でスーク、ペルシア語でバザールと呼ぶ市場が開かれた。当初はキャラバンの到着などに合わせて市が開くたびに店舗を設置していたが、やがて常設店舗が現れた。アッバース朝の都市では新月の日に定期市が開かれ、これに祭礼ごとの市も加わり、多様な市場によって商業が盛んになった。大都市では各地の商人が集まる大市場と街区の小市場に分かれ、小売商は職種ごとに同じ地区で店を開いた。市場の治安を維持するためにムフタスィブと呼ばれる監督官が不正を取り締まった。
中世ヨーロッパ
ローマ帝国以来の諸都市や、城、修道院で市が開かれ、北ヨーロッパにはヴィクと呼ばれる交易地があった。イングランドをはじめ北ヨーロッパではマーケットタウンが建設され、地域の市場が開かれた。定期市としてはサン=ドニ修道院の市やスターブリッジの市などの国際的な年市や、十人組の民会にともなう週市などが存在した。十字軍以降は南北の交流が盛んになり、中でもシャンパーニュの大市は大規模なものだった[10]。
西ヨーロッパでは初期の市場は修道院、城、王宮の近くで発展した。修道院や貴族は、モノとサービスの両方に対するかなりの需要を――奢侈品も必需品も――生み出し、商人や仲介業者にもある程度の保護を提供した。これらの交易の中心地は売り手を引き付けた。1086年のドゥームズデイ・ブックには、イングランドの50の市場が記載されているが、多くの歴史家は、この数字が当時の実際の市場の数よりも過小だと考えている。イングランドでは、1200年から1349年の間に約2,000の新しい市場が設立された[11]。1516年、イングランドには約2,464の市場と2,767の見本市があり、ウェールズには138の市場と166の見本市があった[12]。
12世紀から、イングランド王は、町や村の市場や見本市を設立するため、地元の領主に特許状を与えた。特許状は年貢と引き替えに町の取引の特権を認めた。特定の開催日を特許された市場があると、近隣のライバルの市場は同じ日には開催できなかった[13]。
見本市(フェア)は普通は年次開催であり、概ね地域の祭典と関連していた[14]。見本市は高価な商品を扱い、一方、毎週または隔週で開催される市場は生鮮品や必需品を主に扱っていた[15]。見本市の主な目的は交易だったが、通常はダンスや音楽や試合(トーナメント)といった娯楽要素も含まれていた。市場の数が増え、開催される町同士は競合をされるためにある程度の距離をとっていたが、それでも地元の生産者が概ね日帰りできる程度の距離(約10キロメートル)のものだった[16]。
一部の英国の野外市場は、12世紀から継続的に開催されているものもある。
日本
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日本では7世紀には、飛鳥の海石榴市(つばいち)や軽市、河内の餌香市(えがのいち)や阿斗桑市(あとのくわのいち)などに一種の統制市場があったことが『日本書紀』の記述からわかる。また『風土記』からは、常陸国高浜や出雲国促戸渡のような漁民や農民が往来する場所や交通の要所で貨幣発行以前から市が成立していたことがわかる。
古代国家においては、中国の制度を参考にしつつ、大宝律令の関市令によって市制を整備した。都には東西市が設置されて市司という監督官庁が置かれ、藤原京・平城京・難波京・長岡京・平安京などに官営の東西市が運営された。この統制市場は正午に開き、日没に閉じ、品物の価格は市司が決定した。また商業施設だけではなく、功のある者を表彰したり、罪を犯した者を公開で罰する場所としても使用された。当初は特定区域外での商業は禁じられていたが、律令制の弛緩とともに交通の要所など人が集まる場所に定期市が形成されるようになった。近畿地方を中心として荘園では地方市場が生まれ、行商人が活動した。定期市の立つ日(市日)としては「八の日」が多く、「三斎市(さんさいいち)」が多い。市日が「八の日」であれば、8・18・28日に市が立つ。市を開く時間によって、朝市・夜見世・夜市・夕市などと呼ばれた。15-16世紀には、月6回の「六斎市」が生まれる。
古い市としては、五城目(秋田県南秋田郡)、横手(秋田県横手市)、温海(あつみ、山形県西田川郡)、陸前高田(岩手県陸前高田市)、大多喜(千葉県いすみ市)、勝浦(千葉県勝浦市)、高山(岐阜県高山市)、輪島(石川県輪島市)、珠洲(すず、石川県珠洲市)、越前大野(福井県大野市)などが江戸時代まで遡る。また、三重県四日市市や旧・滋賀県八日市市(現東近江市)、広島県廿日市市、旧・千葉県八日市場市(現匝瑳市)などの名称に昔の名残がみえる。
日本の法令における市場
卸売市場
卸売市場(おろしうりしじょう、英語: wholesale market)とは、『生鮮食料品等の卸売のために開設される市場であって、卸売場、自動車駐車場その他の生鮮食料品等の取引及び荷さばきに必要な施設を設けて継続して開場されるもの』のことである。日本では、政令で定める農畜水産物を現実空間で競売取引する場を卸売市場法によって規定している。同法では、国すなわち農林水産大臣(農林水産省)が認可・監督をする「中央卸売市場」と、地方すなわち都道府県知事(都道府県)が認可・監督をする「地方卸売市場」とを規定している[17][18]。開設者となれるのは、中央卸売市場の場合は「都道府県、人口20万人以上の市、またはこれらが加入する一部事務組合もしくは広域連合」すなわち一定規模以上の地方公共団体に限定されるが、地方卸売市場の場合は自治体・民間企業・組合・第三セクターいずれでもよい[17][18]。2011年(平成23年)3月31日に策定された「第9次中央卸売市場整備計画」により、大規模なものは「拠点市場」に規定することになり、大規模な中央卸売市場は「中央拠点市場」、大規模な地方卸売市場は「地域拠点市場」に分類されている[19]。
小売市場
公設の小売市場は、1918年(大正7年)4月15日に大阪府に開設された「大阪市設小売市場」が最初とされる[20]。現在、小売市場は小売商業調整特別措置法[21]によって規定されており、同法施行令[22]によって、小売市場の規制を行う都市[注釈 1]や品目が指定されている。小売市場が多数存在する大阪府では、小売市場の施設名は「○○市場」「○○専門店」「○○ショップ」「○○マーケット」「○○ショッピングセンター」「○○デパート」などとなっており[23]、名称のみで他の商業施設業態との差異は認識しづらい現状である。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 齋藤一夫「市場についての覚書」『農業綜合研究』第8巻第2号、農林省農業綜合研究所、1954年、149-195頁、ISSN 0387-3242、 NAID 40003119907、2022年12月19日閲覧。
- ^ 後藤昭八郎「<I-S>分析と経済政策」『政經論叢』第60巻第1-2号、明治大学政治経済研究所、1991年、1-36頁、 ISSN 0387-3285、 NAID 110000243068、2022年12月19日閲覧。
- ^ 訳「(神農は)昼に市場を開き、民衆を呼びよせた。市場ではあらゆる商品が集まり、人々が交易して帰ると、それぞれは望む物を手に入れていた。(これは易経の卦を参考に行ったのだろう。)」全文『周易・繋辞伝下』第二章 - Wikisource
- ^ 「ウノウ創業者の新会社コウゾウ、フリマアプリ「メルカリ」のiPhone版を公開」 CNET Japan、2013年7月23日。
- ^ a b c d 小野進「準市場経済(quasi-market economy)と市場経済:「準市場経済(quasi-market economy)の経済学」の定立と関連して」『立命館経済学』第37巻第1号、立命館大学経済学会、1988年、1-44頁、 hdl:10367/2309、 ISSN 02880180、 NAID 40003736436、2022年12月19日閲覧。
- ^ “学会HP”. 日本商業学会. 2022年1月23日閲覧。 個人会員1,072名,賛助会員11社・団体,購読会員32件 (2019年7月現在)
- ^ 中村勝 「市場史研究の人類学的方向-H・グリァスンに学ぶ-」(『沈黙交易』収録)
- ^ 『沈黙交易』第40項
- ^ a b c 『人間の経済2』
- ^ 『市場と流通の社会史』1巻
- ^ “Shops and Shopping in Britain: from market stalls to chain stores”. University of Dartmouth (2011年). 2019年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月28日閲覧。
- ^ “Gazetteer of Markets and Fairs in England and Wales to 1516”. archives.history.ac.uk. 2019年12月28日閲覧。
- ^ Dyer, C., Everyday Life in Medieval England, London, Hambledon and London, 1994, pp 283-303
- ^ “Gazetteer of Markets and Fairs in England and Wales to 1516”. archives.history.ac.uk. 2019年12月28日閲覧。
- ^ Casson, Mark; Lee, John S. (2011). “The Origin and Development of Markets: A Business History Perspective”. Business History Review (Cambridge University Press) 85 (1): 9-37. doi:10.1017/S0007680511000018.
- ^ Nicholas, David M (2014). The growth of the medieval city: from late antiquity to the early fourteenth century. Routledge. p. 182
- ^ a b “卸売市場法(昭和四十六年法律第三十五号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2018年6月22日). 2019年12月28日閲覧。
- ^ a b 中央卸売市場と地方卸売市場の主な相違点及びメリット・デメリット (PDF) (東京都中央卸売市場)
- ^ 卸売市場情報(農林水産省)
- ^ 創世期から戦後の回復期(大阪市中央卸売市場本場)
- ^ “小売商業調整特別措置法(昭和三十四年法律第百五十五号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2014年6月13日). 2019年12月28日閲覧。 “2016年4月1日施行分”
- ^ “小売商業調整特別措置法施行令(昭和三十四年政令第二百四十二号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2015年1月30日). 2019年12月28日閲覧。 “2016年4月1日施行分”
- ^ 連合会会員名簿(大阪府小売市場総連合会)
参考文献
- 安野眞幸『楽市論 : 初期信長の流通政策』法政大学出版局〈叢書・歴史学研究〉、2009年。 ISBN 9784588250552。 NCID BA8982436X。全国書誌番号: 21602361。
- 石原潤 『定期市の研究 : 機能と構造』 名古屋大学出版会、1987年。
- 佐藤次高・岸本美緒編 『市場の地域史』 山川出版社、1999年。
- フィリップ・ジェイムズ・ハミルトン・グリァスン 『沈黙交易 異文化接触の原初的メカニズム序説』 中村勝訳、ハーベスト社、1997年。
- 中村勝 『市場の語る日本の近代』増補改訂版 そしえて、1989年。
- フェルナン・ブローデル 『物質文明・経済・資本主義―15-18世紀』全6冊 村上光彦・山本淳一訳、みすず書房、1985年-1999年。
- カール・ポランニー 『人間の経済2―交易・貨幣および市場の出現』 玉野井芳郎・中野忠訳、岩波書店〈岩波モダンクラシックス〉、2005年。
- 山田雅彦・原田政美・廣田誠編 『市場と流通の社会史』 全3巻 清文堂出版、2010年-2011年。
関連項目
- タイトルに「市場」を含むページの一覧
- タイトルに「マーケット」を含むページの一覧
- 市場経済
- 人工市場
- 金融市場
- 卸売・小売
- 競売(競り)
- 場所による市場の種類
- 扱い対象による市場の種類
- 魚市場
- 農産物直売所・ファーマーズマーケット
- 蚤の市(骨董市)
- 開場日時による小売市場の種類
- 中央卸売市場 - 日本の中央卸売市場(公設)の一覧
- 地方卸売市場 - 日本の地方卸売市場(公設・民間)の一覧
- 公設市場 - 日本の公設小売市場の一覧
- ターミナルマーケット(ターミナル市場) ‐ 大都市圏で農産品などの商品を集積・取引する場。
- その他の市場の種類
市場
出典:『Wiktionary』 (2021/12/14 06:50 UTC 版)
名詞
翻訳
- アイスランド語: markaður 男性
- アイルランド語: margadh 男性
- アラビア語: سوق (sūq)
- アルバニア語: pazar 男性, treg 男性
- イタリア語: mercato 男性
- インターリングア: mercato
- インドネシア語: pasar
- ウェールズ語: marchnad 女性
- ヴォラピュク: maket
- ウクライナ語: базар 男性
- 英語: market
- オランダ語: markt 男性, marktplein 中性, beurs
- カタルーニャ語: mercat 男性
- カンナダ語: Marukatte
- クロアチア語: trg 男性
- スウェーデン語: torg 中性
- スペイン語: mercado 男性
- スロヴァキア語: trh 男性
- スワヒリ語: soko
- セルビア語: trgovina
- セルビア語: трг 男性
- タジク語: бозор (bozor)
- チェコ語: trh 男性
- 朝鮮語: 시장 (ko) <市場> (shi.jang)
- テルグ語: విఫణి (viphaNi)
- デンマーク語: handel 通性
- ドイツ語: Markt 男性
- トルコ語: çarşı
- ノルウェー語: marked 中性, torv 中性
- ハンガリー語: piac
- フィンランド語: markkinat
- フランス語: marché 男性
- ブルトン語: marc'had 男性 -où 複数, koc'hu 男性
- ベトナム語: chợ
- ポーランド語: targowisko 中性
- ポルトガル語: mercado 男性
- マラヤーラム語: ചന്ത (chantha), അങ്ങാടി (angaati)
- ラテン語: macellum 中性, forum 中性
- ルーマニア語: târg 女性 and 男性, piaţă 女性
- ロシア語: торговля (torgóvl'a) 女性
- ロジバン: lo suvyve'u
「市場」の例文・使い方・用例・文例
- 弱気市場
- 強含みの市場
- その会社はコンピュータソフトの市場を独占している
- その会社はかつてビールの市場を支配していた
- ニューヨーク株式市場の株価大暴落
- 市場経済
- 株式市場は一定の割合で値上がりしてきた
- 彼らは世界市場に鋭い関心を向けている
- その会社は日本市場で確固たる足場を築いた
- 中国製品が市場にあふれた
- 市場のすき間,すき間市場
- 市場に安い模造品が出回った
- 彼が株を売らないうちに株式市場が暴落した
- その会社は国内市場での売上を大幅に伸ばした
- 市場調査もなしに新しい事業を始めるのは無茶だ
- 魚市場
- 牛市場
- 市場に買い物に行く
- 小麦市場
- 労働市場
「市場」に関係したコラム
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金取引には、現物取引と先物取引の2つの取引があります。金の現物取引は、ロンドン金市場で1日に2回取引が行われ、価格が決定されます。これをフィキシングプライスといいます。一方、金の先物市場は、ニューヨー...
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株式の信用取引における三市場残高とは、東京証券取引所(東証)、大阪証券取引所(大証)、名古屋証券取引所(名証)の3つの証券取引所の発表する信用取引残高をまとめたものです。ここでは、株式の信用取引におけ...
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そもそもFX(外国為替証拠金取引)には、証券取引所や先物取引所のように取引所がなく、インターバンクという仮想(バーチャル)の取引所を通じて取引が行われています。取引を行う市場をインターバンク市場と呼び...
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小麦は、米やトウモロコシと並んで世界の三大穀物として世界各国で消費されています。次の図は、小麦の生産量をグラフに表したものです(アメリカ合衆国農務省調べ)。EU27か国、中国、インド、アメリカ合衆国の...
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飲用として流通しているコーヒーの木には、「アラビカ種」と「ロブスタ種」の2つの品種があります。アラビカ種は世界のコーヒー生産量のおよそ80%を占めています。一方、ロブスタ種は世界のコーヒー生産量のおよ...
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ココアは、カカオ豆から作られる食品です。チョコレートもカカオ豆から作られます。カカオの生産は、赤道の南緯20度、および、北緯20度以内の高温多湿な地域で栽培されます。カカオの主な生産地域は西アフリカや...
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