乗降客数とは? わかりやすく解説

乗降人員

(乗降客数 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/08 14:00 UTC 版)

乗降人員(じょうこうじんいん)は、鉄道バス航空機などの公共交通機関において、各空港停留所などで乗降した人の数である。乗降客数(じょうこうきゃくすう)や乗降者数(じょうこうしゃすう)とも呼ばれる。各所での乗車数である乗車人員と降車数である降車人員の和で表される。 

なお、本記事では、利用人数を表すもう一つの数値である通過人員(つうかじんいん)についても説明する。

鉄道における例

基本的には、において改札を通過した人員、あるいは異なる鉄道事業者の路線へ乗り通した人員を表す。同じ事業者の路線、あるいは列車相互での乗り換えは含まれない。例として、東京駅上野駅大阪駅などの同一事業者の路線が集まる駅で多数の乗客が改札を通過せず乗り換え利用する場合、あるいは東京地下鉄(東京メトロ)などの地下鉄路線で多くみられる改札外乗り換えであっても同一事業者の同一駅扱いである場合、その乗客は乗客人員に含まないため、駅が終日混雑しているのにもかかわらず乗降人員が少なかったり、逆に泉岳寺駅代々木上原駅など異なる事業者が直通運転を行う場合の結節点となる駅では、駅の改札の通過はおろかホームに降りることすらしない直通列車をそのまま利用する乗客(直通人員)が乗降人員に計上される場合があり[1]、さほど駅が混雑していないようでも極端に乗降人員が多いといった乖離(かいり)が見られる場合があり、必ずしもその駅の重要性・混雑具合を示す数値とはならない。

事業者によって、公表している数値が乗車数のみの乗車人員の場合と降車数も含む乗降人員の場合があり、両者を比較する際は注意が必要である。この場合、乗車人員の方を2倍にして乗降人員として比較することもある。また、利用客数利用者数などの表現の場合、その値が乗車人員か乗降人員であるか不明確であり、注意が必要である。

乗車人員

乗車客数、乗客数とも呼ばれる。各駅で販売された乗車券の枚数を基に、片道乗車券は1枚、往復乗車券は2枚、回数券は使用可能枚数として集計され、定期乗車券(定期SuicaICOCAなど、IC定期券なども含める)は、購入期間(月)×60枚(1日1往復×30日)として集計する。途中下車や定期券での内方乗車、フリーきっぷによる乗降などは集計されない。このため、いわゆる秘境駅のように利用客のほとんどがフリーきっぷあるいは途中下車制度を利用した乗車・下車の場合、日時によっては駅構内に多数の乗客が存在するにもかかわらず乗車客数には反映されなくなる(小幌駅宗太郎駅など)。

降車人員

降車客数、降客数とも呼ばれる。定期券は乗車人員と同様に、定期外は着札調査によって乗駅から降駅ごとの着駅分布率を割り出して算出する。

通過人員

乗降人員はそれぞれの駅における利用人数を表すが、通過人員はある駅と隣の駅の間の利用人数を現し、これをつなげることにより、ある路線や区間の利用人数の変動を連続して捉えることができる。

路線による立地条件の違いで見た場合、たとえばインターアーバン(都市間連絡鉄道)式の通過人員は、始発駅付近と終着駅付近が高く(始発駅より終着駅がやや低い)、両駅間の中間が一番低くなる。大都市圏の駅が始発駅側にしかない鉄道(インターアーバンのようなはっきりした名称が確立されていないが、たとえば「郊外鉄道」「遠距離各停形」などと呼ばれる)では始発駅付近がインターアーバンより高く、終着駅付近ではインターアーバンよりはるかに低い数値を出す例がほとんどである。

なお、ある程度規模の大きい他の路線に接続している乗り換え駅では、利用客のほとんどが終着駅まで乗車するのでなく、その乗り換え駅で一定量が降りるという例が見られる。こうした例は乗降人員で見てみても、該当する乗り換え駅の乗降人員はかなり高いため識別可能である。だが、通過人員では始発駅に向かって上がり続けてきたグラフが、乗り換え駅で大きくダウンするので(この型を「段落ち」と呼ぶ)、よりわかりやすい。例は多数あるが、京成船橋駅京急本線横浜駅山陽明石駅などはよく知られている駅である。

乗降人員は、優等列車の停車駅の選定基準(この区間ではこの駅の乗降人員が多いから、急行をこの駅に停めよう)の一つとして、通過人員は急行や準急などの優等列車がどこから各駅停車にするか、あるいは区間運転の列車をどこから途中折り返しにするかの選定基準(この駅から向こうの区間では通過人員がかなり減るから、この駅から列車本数を減らそう)の一つとして使われるが、先述の通り乗降人員は必ずしも実態が反映されているとは限らず、例えば近隣人口が少ないがレジャー施設の最寄り駅のように休日のみ混雑する駅は、数値上の乗降人員が他の優等列車駅より極端に少ないのにもかかわらず優等列車が停車したり[2]緩急接続の都合上、乗降人員が比較的少ない駅でも、待避設備を完備している場合には優等列車を停車させ、一方で隣の乗降人員が多い駅は優等列車を通過させるといった例[3]もあり、乗降人員のみで測れない側面もある。

こうした乗降人員や通過人員は、例えば大都市近郊の私鉄では「鉄道ピクトリアル」などの雑誌の私鉄特集、または各社が発行している会社要覧などで目にすることができる。

日本の鉄道駅の乗降人員ランキング

駅別・路線別乗降客数のランキングを以下に示す。駅の各路線を合算した場合では、上位から新宿駅、池袋駅、渋谷駅、横浜駅、東京駅であった (2023年)[4]

日本の駅別・路線別乗降客数ランキング (2023年)[4]
駅名 運営会社 路線名 備考 乗降客数(人/日)
1 新宿駅 東日本旅客鉄道 中央線 山手線を含む 1301204
2 新宿駅 京王電鉄 京王線 京王新線、東京都・10号線新宿線・12号線大江戸線を含む 1050497
3 渋谷駅 東急電鉄 東横線 田園都市線、東京地下鉄・11号線半蔵門線、東京地下鉄・13号線副都心線を含む 1036352
4 池袋駅 東日本旅客鉄道 山手線 赤羽線を含む 979866
5 東京駅 東日本旅客鉄道 東海道線 東北線・総武線・京葉線・東北新幹線を含む 807662
6 大阪駅 西日本旅客鉄道 東海道線 大阪環状線を含む 734838
7 横浜駅 東日本旅客鉄道 東海道線 根岸線を含む 724696
8 渋谷駅 東日本旅客鉄道 山手線 628118
9 品川駅 東日本旅客鉄道 山手線 東海道線を含む 548442
10 横浜駅 東急電鉄 東横線 横浜高速鉄道・みなとみらい21線を含む 506105
11 池袋駅 東京地下鉄 4号線丸ノ内線 8号線有楽町線・13号線副都心線を含む 500694
12 大宮駅 東日本旅客鉄道 東北線 高崎線・川越線・東北新幹線・上越新幹線を含む 488786
13 目黒駅 東急電鉄 目黒線 東京地下鉄・7号線南北線、東京都・6号線三田線を含む 455428
14 新宿駅 小田急電鉄 小田原線 439840
15 新橋駅 東日本旅客鉄道 東海道線 438226
16 秋葉原駅 東日本旅客鉄道 総武線 東北線を含む 423996
17 池袋駅 西武鉄道 池袋線 419228
18 梅田駅 大阪市高速電気軌道 1号線(御堂筋線) 414792
19 池袋駅 東武鉄道 東上本線 408382
20 大阪梅田駅 阪急電鉄 神戸線 宝塚線を含む 402947
21 北千住駅 東武鉄道 伊勢崎線 東京地下鉄・2号線日比谷線を含む 401218
22 名古屋駅 東海旅客鉄道 東海道線 関西線・中央線・東海道新幹線を含む 397411
23 北千住駅 東日本旅客鉄道 常磐線 387496
24 中野駅 東日本旅客鉄道 中央線 東京地下鉄・5号線東西線を含む 386657
25 大崎駅 東日本旅客鉄道 山手線 東京臨海高速鉄道・臨海副都心線を含む 375884
26 川崎駅 東日本旅客鉄道 南武線 東海道線を含む 374620
27 綾瀬駅 東京地下鉄 9号線千代田線 東日本旅客鉄道・常磐線を含む 372622
28 西船橋駅 東京地下鉄 5号線東西線 東葉高速鉄道・東葉高速線を含む 372090
29 中目黒駅 東急電鉄 東横線 東京地下鉄・2号線日比谷線を含む 363724
30 名古屋駅 名古屋市 1号線東山線 6号線桜通線を含む 359960
31 高田馬場駅 東日本旅客鉄道 山手線 351420
32 京都駅 西日本旅客鉄道 東海道線 山陰線・奈良線を含む 329424
33 上野駅 東日本旅客鉄道 東北線 東北新幹線を含む 325110
34 横浜駅 相模鉄道 相鉄本線 314649
35 大手町駅 東京地下鉄 4号線丸ノ内線 5号線東西線・9号線千代田線・11号線半蔵門線を含む 312041
36 小竹向原駅 東京地下鉄 8号線有楽町線 13号線副都心線、西武鉄道・西武有楽町線を含む 301371
37 立川駅 東日本旅客鉄道 中央線 青梅線・南武線を含む 301256
38 横浜駅 京浜急行電鉄 本線 293173
39 渋谷駅 京王電鉄 井の頭線 285759
40 溝の口駅 東急電鉄 田園都市線 大井町線を含む 276715
41 名鉄名古屋駅 名古屋鉄道 名古屋本線 272061
42 日吉駅 東急電鉄 東横線 271898
43 高田馬場駅 西武鉄道 新宿線 264763
44 天王寺駅 西日本旅客鉄道 関西線 264102
45 九段下駅 東京地下鉄 5号線東西線 11号線半蔵門線、東京都・10号線新宿線を含む 258062
46 代々木上原駅 小田急電鉄 小田原線 東京地下鉄・9号線千代田線を含む 257017
47 町田駅 小田急電鉄 小田原線 254478
48 浜松町駅 東日本旅客鉄道 東海道線 253334
49 西船橋駅 東日本旅客鉄道 総武線 京葉線・武蔵野線を含む 251910
50 船橋駅 東日本旅客鉄道 総武線 251068
51 有楽町駅 東日本旅客鉄道 東海道線 251064
52 吉祥寺駅 東日本旅客鉄道 中央線 250254
53 蒲田駅 東日本旅客鉄道 東海道線 242214
54 恵比寿駅 東日本旅客鉄道 山手線 242206
55 博多駅 九州旅客鉄道 鹿児島線 九州新幹線を含む 239124
56 田町駅 東日本旅客鉄道 東海道線 238712
57 天王寺駅 大阪市高速電気軌道 1号線(御堂筋線) 2号線(谷町線)を含む 238194
58 品川駅 京浜急行電鉄 本線 233916
59 難波駅 大阪市高速電気軌道 1号線(御堂筋線) 3号線(四つ橋線)・5号線(千日前線)を含む 233520
60 北千住駅 東京地下鉄 9号線千代田線 232109
61 三ノ宮駅 西日本旅客鉄道 東海道線 231870
62 京橋駅 西日本旅客鉄道 大阪環状線 片町線・JR東西線を含む 228988
63 柏駅 東日本旅客鉄道 常磐線 228204
64 難波駅 南海電気鉄道 南海本線 217969
65 銀座駅 東京地下鉄 2号線日比谷線 3号線銀座線・4号線丸ノ内線を含む 217244
66 五反田駅 東日本旅客鉄道 山手線 215278
67 武蔵小杉駅 東日本旅客鉄道 南武線 東海道線を含む 215118
68 押上駅 京成電鉄 押上線 東京都・1号線浅草線を含む 209421
69 日暮里駅 東日本旅客鉄道 常磐線 東北線を含む 204286
70 豊洲駅 東京地下鉄 8号線有楽町線 202030
71 千葉駅 東日本旅客鉄道 総武線 201050
72 本町駅 大阪市高速電気軌道 1号線(御堂筋線) 3号線(四つ橋線)・4号線(中央線)を含む 200963
73 藤沢駅 東日本旅客鉄道 東海道線 200928
74 淀屋橋駅 大阪市高速電気軌道 1号線(御堂筋線) 199417
75 国分寺駅 東日本旅客鉄道 中央線 197982
76 町田駅 東日本旅客鉄道 横浜線 196614
77 戸塚駅 東日本旅客鉄道 東海道線 196090
78 栄駅 名古屋市 1号線東山線 2号線名城線を含む 196034
79 武蔵小杉駅 東急電鉄 東横線 195349
80 泉岳寺駅 東京都 1号線浅草線 京浜急行電鉄・本線を含む 195118
81 新橋駅 東京地下鉄 3号線銀座線 194374
82 新宿駅 東京地下鉄 4号線丸ノ内線 193170
83 錦糸町駅 東日本旅客鉄道 総武線 187830
84 三軒茶屋駅 東急電鉄 田園都市線 186743
85 博多駅 福岡市 1号線(空港線) 3号線(七隈線)を含む 186439
86 東京駅 東京地下鉄 4号線丸ノ内線 186253
87 赤羽駅 東日本旅客鉄道 東北線 赤羽線を含む 183284
88 東京駅 東海旅客鉄道 東海道新幹線 182987
89 目黒駅 東日本旅客鉄道 山手線 181204
90 上野駅 東京地下鉄 2号線日比谷線 3号線銀座線を含む 180282
91 渋谷駅 東京地下鉄 3号線銀座線 179645
92 仙台駅 東日本旅客鉄道 東北線 仙山線・仙石線・東北新幹線を含む 178924
93 大船駅 東日本旅客鉄道 東海道線 横須賀線・根岸線を含む 177992
94 浦和駅 東日本旅客鉄道 東北線 176426
95 松戸駅 東日本旅客鉄道 常磐線 176400
96 西日暮里駅 東日本旅客鉄道 東北線 176278
97 神田駅 東日本旅客鉄道 中央線 東北線を含む 175758
98 津田沼駅 東日本旅客鉄道 総武線 175640
99 押上駅 東武鉄道 伊勢崎線 とうきょうスカイツリー駅を含む 174863
100 押上駅 東京地下鉄 11号線半蔵門線 東武鉄道・伊勢崎線を含む 174863

脚注

  1. ^ 小竹向原駅和光市駅など。
  2. ^ かつての東急田園都市線南町田駅(現・南町田グランベリーパーク駅)のように、近隣施設の利用客が増える土休日のみ優等列車を停車させるといった方法もあるが、ひらかたパークの最寄り駅である京阪本線枚方公園駅は平日ダイヤにおいても急行停車駅となっている。
  3. ^ 例として、東武野田線(東武アーバンパークライン)の急行は柏駅 - 新鎌ヶ谷駅間において、同区間の中間駅のうち、比較的乗降人員が少ないが緩急接続が可能な高柳駅にのみ停車する。
  4. ^ a b 国土数値情報 駅別乗降客数 2023年度(令和5年度)版』(レポート)国土交通省。S12https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-S12-2023.html 

関連項目

外部リンク


乗降客数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 01:47 UTC 版)

ブロード・チャンネル駅」の記事における「乗降客数」の解説

ブロードチャンネルの人口3000未満であり、これを影響して2016年では営業中の地下鉄駅で最も利用者数が少ない駅であった1985年平日1日平均利用者数は224人だった。2016年現在でも同利用者数は310に過ぎない。なお、駅はA系統とロッカウェイ・パーク・シャトルとの重要な乗換駅となっているため、時折混雑する

※この「乗降客数」の解説は、「ブロード・チャンネル駅」の解説の一部です。
「乗降客数」を含む「ブロード・チャンネル駅」の記事については、「ブロード・チャンネル駅」の概要を参照ください。

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