heuristic
「heuristic」とは、「学習者の発見を助ける」「自発的な研究を促す」「発見的な」といった正解に近い答えを導き出すことを意味する英語表現。
「heuristic」とは・「heuristic」の意味
「heuristic」は、「発見を助ける」「自発的な研究を促す」「発見的な」などの意味の形容詞になる。また、「heuristic」を複数形にし、「発見的教授法」を意味する名詞で使われることもある。「heuristic」は日常的に使われるようになっており、「ヒューリスティックに」を英語で表現する際、Heuristicallyが用いられる。「heuristic」は、IT用語でも多用されている。ヒューリスティック調査やヒューリスティック分析(Heuristic method / Heuristic evaluation method)は、Webサイト等の使用感やわかりやすさを評価する手法の一つで、サイトの制作者や専門家が、ガイドラインや自身の経験をもとに評価する。
ビジネスや経済学で登場するようになった言葉として「Availability heuristic」がある。「Availability heuristic」は、日本語では「利用可能性ヒューリスティック」といわれ、人間が意思決定する際に、よく見るものや印象に残りやすいものを基準として選択を行う思考方法のことを指す。
「heuristic(心理学)」とは
心理学でいう「heuristic」は、先入観や経験に基づく思考法のことである。「heuristic」の反対の言葉は、計算などにより論理的に問題解決する手段を指す「algorithm(アルゴリズム)」となる。
「heuristic(機械学習)」とは
AI開発などに用いられる機械学習においても「heuristic」という言葉が使われている。例えば、ヒューリスティックス解法は、解決すべき問題に関する知識を生かしながら、正解に近い値を得ることを目指す方法である。
「heuristic」の語源
「heuristic」の語源は、「見つけた」を意味するギリシャ語「eureka」である。「eureka」には、探し出したり、発見するのに役立つという意味もあり、「heuristic」につながっている。「heuristic」の発音・読み方
「heuristic」の読み方をカタカナで書くと、「ヒュゥアリィスティィク」となる。「ヒュゥ」は、続く母音と同じ口の構えで、息を吐きながら「ハ」の発音をし、日本語の「ヤ」行の音に加え、唇を丸く突き出しながら、軽く「ウ」と発音する。「ア」は、口をあまり開けず、弱くあいまいに音を発する。「リィ」は、舌先を内側にまき、口のどこにも触れずに「ル」と発音しながら、「エ」と「イ」の中間音を発する。「ス」は、舌の先を、前歯のすぐ裏の歯茎に近づけ、その間から「ス」と息を出しながら発音する。「ティィ」は、舌の先を、前歯のすぐ裏の歯茎につけ、息を止めた状態から急に「トゥ」と破裂させるように発音しつつ、「エ」と「イ」の中間音を発する。「ク」は、舌の後ろ部分を上げ、上あごを奥につけて息を止めた状態で、急に舌を離して「クッ」と破裂させる形で息を出す。音節を分けると「heu・ris・tic」となり、真ん中の音節にアクセントを置いて発音する。
「heuristic」と「method」の違い
「heuristic」は、問題解決や学習、発見のため、経験をベースとした解決方法を意味する。最適な方法とは保証されていないものの、スピードアップして意思決定したい場合によく用いられる方法である。一方、「method」は、何かを成し遂げるための方法ややり方のことで、規則性があり、体系化されたものを指している。単純な問題に対する解決方法に用いられることはなく、複雑な課題解決のために確立された「手法」を指して使われる。「heuristic」の使い方・例文
「heuristic」がよく用いられているのが、ITや特許などの分野である。These heuristics are enabled by default, since they are only effective for certain input files.
これらの発見的手法はデフォルトでは有効になっている。
This user interface enables the user to select heuristic to identify video clips from many images.
このユーザインターフェースでは、たくさんの映像からビデオクリップを見分けるための方法を選択することが可能である。
genetic algorithm using heuristic
ヒューリスティックを使った遺伝的アルゴリズム
Surely CYC is a system intended to integrate a very large knowledge base of real world facts and heuristics.
CYCは、まさに現実界の事実やヒューリスティックスの大規模な知識ベースの統合を思惑としたシステムである。(CYCは、人工知能へのアプローチの一種)
ヒューリスティック【heuristic】
ヒューリスティック
ヒューリスティック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/26 08:18 UTC 版)
ヒューリスティック(英: heuristic、独: Heuristik)または発見的(手法)[1] [2]:7 [3]:272とは、必ずしも正しい答えを導けるとは限らないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法である。発見的手法では、答えの精度が保証されない代わりに、解答に至るまでの時間が短いという特徴がある。「アルゴリズム」に対置する概念である[4]。
主に計算機科学と心理学の分野で使用される言葉であり、どちらの分野での用法も根本的な意味は同じであるが、指示対象が異なる。すなわち、計算機科学ではプログラミングの方法を指すが、心理学では人間の思考方法を指すものとして使われる。なお、論理学では仮説形成法と呼ばれている。人間の思考におけるヒューリスティックは、直観的な思考のショートカットであるが、認知バイアスに陥る危険性もある[5]。
計算機科学
計算機科学では、コンピューターに計算やシミュレーションを実行させるときに、発見的手法を用いることがある。たいていの計算は、計算結果の正しさが保証されるアルゴリズムか、または計算結果が間違っているかもしれないが誤差がある範囲内に収まっていることが保証されている近似アルゴリズムを用いて計算する。しかし、そのような方法だと、計算時間が爆発的に増加してしまうようなことがある。そのような場合に、妥協策として発見的手法を用いる。発見的手法は、精度の保証はないが、平均的には近似アルゴリズムより解の精度が高い。また、発見的手法の中でも、任意の問題に対応するように設計されたものは、メタヒューリスティックという。
発見的仮定
アルゴリズムの近似精度や実行時間を評価したいが、真面目に評価するのが困難な場合、アドホックな仮定(妥当な仮定に見えるものの、その正しさを証明できないような、その場しのぎの仮定)をおいて評価を行うことが多い。こうした仮定のことを「発見的仮定」と呼ぶ[6]:82。
アンチウイルスソフトウェア
情報セキュリティの世界では、ヒューリスティックな手法を利用すると誤検知の可能性が生じるものの未知のリスクにも対応できるようになることが知られている[7]。近年のアンチウイルスソフトウェアでは、ヒューリスティックエンジンを搭載したものが増加してきている。「静的ヒューリスティック検知」と「動的ヒューリスティック検知」があり、いずれもプログラムの動作に着目してウイルスと疑われるプログラムを検知する[8]。但し、検知した段階では100%の正確さは保証しないため、最終的には人間による個別の判断が必要な場合もある。フリーソフトにも搭載されており、その進展を見せている。ただし、経験則的なルールを適用するため、個々のソフトの発見的機能は名称として同じでも、利用するルールは異なっているものが多い。一般的には誤検知を少なくするために、既知のリスクだけを100%正確に検出するパターンマッチングを併用する[9]。
心理学
心理学における発見的手法は、人が複雑な問題解決などのために、何らかの意思決定を行うときに、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指す。これらは、経験に基づくため、経験則と同義で扱われる。判断に至る時間は早いが、必ずしもそれが正しいわけではなく、判断結果に一定の偏り(バイアス)を含んでいることが多い。なお、発見的手法の使用によって生まれている認識上の偏りを、「認知バイアス」と呼ぶ。認知バイアスは幅広い経験を積むことで軽減することが可能である。
発見的手法の例
- 利用可能性発見的手法[注釈 1]、想起発見的手法
- 想起しやすい事柄や事項を優先して評価しやすい意思決定プロセスのことをいう。
- 英語の訳語である検索容易性という言葉の示す通りの発見的手法である。
- 代表性発見的手法[注釈 2]
- 特定のカテゴリーに典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセスをいう。
- 代表的な例として、「リンダ問題」がある。
- 係留と調整[注釈 3]
- 最初に与えられた情報を基準として、それに調整を加えることで判断し、最初の情報に現れた特定の特徴を極端に重視しやすい意思決定プロセスをいう。
具体的な成功例
本節ではヒューリスティックによって問題解決に成功した例を示す。
USエアウェイズ1549便不時着水事故
USエアウェイズ1549便不時着水事故でパイロットがヒューリスティックを利用した結果として乗員・乗客全員の命が救われた事例がある。事故発生当時、USエアウェイズ便は離陸直後に雁の群れと衝突(バードストライク)し、エンジンが停止した。次の空港へ安全に着陸したいところであったが、飛行機が次の空港まで到達できるかは定かではない。パイロットは即座の判断を行うために、物理的な計算(軌道や風向など)を行わず、フロントガラスの外に見えるある一点に注目した。このとき、フロントガラスの一点は上昇していた、すなわち飛行機は既に墜落し始めていたのである。パイロットは、空港まで飛行機を飛ばさずハドソン川に着陸する選択肢を選んだ。これにより、乗客・乗員全員は無事だったという。視線ヒューリスティックを利用した短時間の判断が、合理的な判断(人の命を救う)を導いた例といえる[10]。
脚注
注釈
出典
- ^ 萩下 & 大崎 2008.
- ^ 竹原 2011.
- ^ 玉置 2007.
- ^ “ヒューリスティック | IoT用語辞典 | キーエンス”. www.keyence.co.jp. 2024年12月27日閲覧。
- ^ “認知バイアス”. ITパスポート試験ドットコム. 2024年12月26日閲覧。
- ^ 洪 & 高梨 1990.
- ^ “ヒューリスティックエンジンの原理とは - @IT”. atmarkit.itmedia.co.jp. 2024年12月26日閲覧。
- ^ “ヒューリスティック検知とは?他の方式との違いやメリットデメリットについて徹底解説|サイバーセキュリティ.com”. cybersecurity-jp.com. 2025年2月13日閲覧。
- ^ Trend, I. T.. “ウイルス対策の1種「ヒューリスティック検知」とは?概要を解説!|ITトレンド”. ITトレンド. 2024年12月26日閲覧。
- ^ “ヒューリスティック研究の歴史に見る合理性:認知と環境の相互作用から人の知性を探る”. 科学技術振興機構. 2025年2月13日閲覧。P.411、PDF-P.8、脚注4
参考文献
- 萩下敬雄、大崎純「発見的手法と非線形計画法の統合による離散構造の位相最適化」『日本建築学会構造系論文集』第73巻第633号、日本建築学会、2008年11月30日、1959-1965頁、doi:10.3130/aijs.73.1959、2019年8月25日閲覧。
- 竹原有紗「用語解説:第7回テーマ:ヒューリスティックアプローチ」『電気学会論文誌B』第131巻第5号、電気学会、2011年5月1日、5-7頁、doi:10.1541/ieejpes.131.NL5_7、2019年8月25日閲覧。
- 玉置久「最適化」『計測と制御』第46巻第4号、電気学会、2007年4月10日、268-273頁、doi:10.11499/sicejl1962.46.268、2019年8月25日閲覧。
- 洪起、高梨晃一「信頼性理論に基づく最適設計 : 強度の経年劣化を考えた構造物の荷重係数」『日本建築学会構造系論文報告集』第418巻、一般社団法人日本建築学会、1990年12月30日、81-86頁、doi:10.3130/aijsx.418.0_81、2019年8月25日閲覧。
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
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- 中島秀之、高野陽太郎、伊藤正雄『岩波講座 認知科学 8 思考』岩波書店、1994年、10,112頁。ISBN 9784000106184。
- 鹿取 廣人・杉本敏夫編『心理学』(第2版)東京大学出版会、2004年、174頁。 ISBN 9784130120418。
- 市川伸一「第六章 第一節 不確かな状況におけるヒューリスティックス」『考えることの科学-推論の認知科学への招待』(第2版)中央公論新社〈中公新書〉、1997年、110-113頁。 ISBN 9784121013453。
- T. ギロビッチ 著、守一雄・守秀子 訳『人間この信じやすきもの-迷信・誤信はどうして生まれるのか』新曜社、1993年。 ISBN 9784788504486。
関連項目
外部リンク
ヒューリスティック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 09:01 UTC 版)
「Q-Qプロット」の記事における「ヒューリスティック」の解説
比較分布の分位数については、式k /(n + 1)が広く使用されている。様々な異なる式が、アフィン対称プロット位置として使用または提案されている。そのような公式は、k /(n + 1)と(k-1)との間の範囲を与える、0から1/2の範囲内のある値について、(k-a)/(n + / 2)/ nとなる。 用いられる数式には以下のようなものがある (k − 0.3) / (n + 0.4) (k − 0.3175) / (n + 0.365) (k − 0.326) / (n + 0.348) (k − ⅓) / (n + ⅓) (k − 0.375) / (n + 0.25) (k − 0.4) / (n + 0.2) (k − 0.44) / (n + 0.12) (k − 0.5) / (n) (k − 0.567) / (n − 0.134) (k − 1) / (n − 1) nが大きい場合、これらの手法の結果はほとんど一致する。
※この「ヒューリスティック」の解説は、「Q-Qプロット」の解説の一部です。
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