クッとは? わかりやすく解説

巫俗

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/07/29 23:34 UTC 版)

巫俗
韓国の巫女
各種表記
ハングル 무속
漢字 巫俗
発音 ムソク
日本語読み: ふぞく
ローマ字 Musok
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巫俗(ふぞく、ムーソク、무속)は、祖霊信仰などと結びついた「クッ(굿)」といわれる儀式を中心とした朝鮮半島固有の信仰である。新羅などの古代国家では国家宗教的な位置づけを有し、李氏朝鮮による儒教国教化後も民間信仰の一つとして祭礼・民俗行事の中で受け継がれた。

信仰形態

歌や舞、供物によって祭神に祈りを捧げる「クッ(굿)」といわれる儀式が中心である。巫俗に関わる者を「ムソギン(巫俗人、무속인)」というが[1]、儀式を執り行う者は「ムーダン(巫堂、무당)」と呼ばれる[2][3]

「クッ」の祭神は、山神、土地神、祖先神、屋敷神などと多岐にわたり、各神に合わせた歌や舞が存在する[2][4]。クッで願うものとして、家業の繁栄や豊穣を願う吉事クッ・財数クッ、病気の治癒や安産を願う祈願クッ・憂患クッ、死者の霊を慰める死霊クッがある[5][6]

ムーダンの出自は、神霊との対話や降神などの神秘的な体験を経た降神巫と世襲巫に大別され、役割や社会的地位も異なる[5][6]。降神巫が神託を告げる霊媒者的な役割が強いのに対し、世襲巫は司祭者的な役割が強い[5][6]。朝鮮半島南部では世襲制のムーダンを有していた村落があり、全羅南道には日本の檀家制度に似た信徒を持つタンゴルといわれる家系が存在した[2][7]。また、視覚障害者の生計手段としても機能していた[2]

クッで用いられる祭具は時代・地域にとって異なりがあるが、音色によって悪霊を祓うとする、善神を迎えるものとしての役割が大きいことは共通する[2][8]。このほか、龍王や日月聖神を描いた巫図、三つ又の穂先を持つ槍、鏡などが用いられる[8]

ムーダンにはクッの司祭者としての役割の他にも、民間療法の施術者、神話などの口承文学の伝承者といった顔も持つ[5]。現代の大韓民国においては、占い師としてのイメージが強く、ソウルなどの都市部には占い店を構えるムーダンがいる[9]。2010年代において韓国全土で数十万人規模でムーダンが存在すると推測されており、規模の大きいムーダン団体として、公称会員数30万人の大韓敬信連合会、同11万人の韓国民俗芸術研究院がある[9]

歴史

魏志東夷伝』にも古代朝鮮の諸国家の祭礼が記されており、新羅の王は巫俗の権威も兼ねるなど、国家宗教的な位置を占めていた[2][10]高麗時代以降は朝鮮半島内で儒教の影響が強くなり、李氏朝鮮期には儒教が国教とされたが、巫俗も庶民層の信仰として残り続ける[2][10]。また、天文・暦の分野ではムーダンの任用も残った[9]

李氏朝鮮の末期からは国家の近代化に向けた社会運動として巫俗の廃絶を目指す迷信打破運動朝鮮語版が始まる[11][10]。同運動は、1910年の日韓併合後も引き継がれたが、生活習俗・民俗行事と一体化していたこともあり、祭礼・儀式そのものではなく、ムーダンによる民間療法や占い行為の取締りに留まった[10]。また、同時期には、朝鮮総督府や取締りを行う警察当局との折衝のため、ムーダンの組織化・団体結成が進んでいく[10]

1948年の大韓民国樹立後も迷信打破運動は続いたが、1970年代以降は、朝鮮半島の基層文化として巫俗を捉え、クッで唄われる巫歌や演じられる仮面劇(タルチュム)などを朝鮮文学民俗学の研究対象とする動きも高まっていく[12][13]。一方で、ムーダンは聖職者であると同時に賤民が就く仕事とも扱われてきたことから、ムーダンのコミュニティや信者との関係についての研究は行われにくい傾向が続いている[9]

民俗行事・文化財

朝鮮半島でいわゆる村祭に相当する「洞祭」にも儒教ルーツの儒礼風と巫堂ルーツの巫覡風がある[14]。後者に属する洞祭で仮面劇が演じられることがあり、古代からの伝統が色濃く残る河回村の仮面劇(河回別神グッタルノリ)が同国の無形文化財、これに使われる仮面(河回仮面朝鮮語版)が国宝となっている[14][15]。祭具やムーダン個人が地域レベルで文化財指定を受けることもあり、2012年には、ムーダンが集う一角として知られるソウル市城北区の彌阿里占星村の街並みがソウル未来遺産朝鮮語版制度による保存対象となった[13]

脚注

  1. 이승연 (2026年7月27日). 尹부부, 2013년부터 건진법사 친분…법원 "승려 아닌 점술적 인물"”. 연합뉴스. 2026年7月28日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 韓国 朝鮮を知る事典 2014, pp. 228–229.
  3. 崔 1984, pp. 30–31.
  4. 崔 1984, pp. 46–48.
  5. 1 2 3 4 韓国 朝鮮を知る事典 2014, pp. 536–537.
  6. 1 2 3 金 2005, pp. 204–206.
  7. 青野 2018, pp. 121–124.
  8. 1 2 吉村 2023, pp. 203–208.
  9. 1 2 3 4 吉村 2023, pp. 11–19.
  10. 1 2 3 4 5 青野 2018, pp. 36–45.
  11. 崔 1984, pp. 7–8.
  12. 崔 1984, pp. 18–21.
  13. 1 2 吉村 2023, pp. 219–223.
  14. 1 2 金 2005, pp. 221–224.
  15. 3大学合同調査-2 韓国河回村を事例として 5-仮面劇”. 神戸芸術工科大学紀要 芸術工学2007. 神戸芸術工科大学. 2026年3月27日閲覧。

参考文献

  • 青野正明『植民地朝鮮の民族宗教』法藏館、2018年。ISBN 978-4-8318-5557-2 
  • 伊藤亜人ほか 編『新版 韓国 朝鮮を知る事典』平凡社、2014年。 ISBN 978-4582126471 
  • 金渙『韓国の伝統文化 日本文化とのかかわりの中で』風媒社、2005年。 ISBN 978-4-8331-0527-9 
  • 崔吉城『韓国のシャーマニズム』弘文堂、1984年。 ISBN 978-4-335-57030-8 
  • 吉村美香『現代韓国占街巡礼 巫者密集地域の民俗誌』春風社、2023年。 ISBN 978-4-86110-884-6 

関連項目


クッ

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ソッタ」の記事における「クッ」の解説

役がない場合は、2枚の月の合計の1の位で比較する。これを「クッ(끗)」という。合計の1の位が9の場合を「カボ(가보)」といって、もっとも強い。0の場合は「マントン(망통)」という。

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