無所属の“徒”
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“屍拾い(しかばねひろい)”ラミー[Lamies] 声 - 清川元夢 “紅世の徒”。炎の色は深緑。初登場はII巻。 風格ある痩身の老紳士の姿をしている。この姿は自身の姿ではなく、寄生したトーチの姿である。 ある事件でこの世から失われた大切な絵を復元するため、膨大な“存在の力”を集めている。ただしフレイムヘイズの討滅対象になることを避けるため、人間を決して喰らわず、他の“徒”が作った消えかけのトーチのみを対象に“存在の力”を集め、またトーチに寄生することで力の消耗を抑え、この世のバランスに極力気を使っている。 なお、ラミーはただの“徒”であり、大規模な“存在の力”は統御できないため、長い年月をかけて集めた“存在の力”を毛糸玉に編み上げて持ち歩いている。彼を討滅すると逆に、集められた膨大な量の“存在の力”が制御を失い、世界のバランスを崩す可能性の方が高いとされる。 この世に渡り来た当初は他の“徒”と同様、餌として人間を喰らい遊び感覚で放蕩していたが、ドナートという人間と交友を深めた後、紆余曲折を経て、大切な絵を復元することを目的に行動するようになる。 性格は非常に思慮深く、シャナとの関係に悩む悠二に様々な助言を与えた。また、冷静沈着な性格でもあり、討滅するために現れたマージョリーに対しても大して動揺せず、シャナにマージョリーを討つ機会を与えるために自ら囮になったりした。 トーチから“存在の力”を集めたり、追跡を逃れるため多くのダミーを配置したり、わずかな動作で特定の人物だけを眠らせたり、と言った技巧に優れる自在師。 本編では、“徒”を無差別に討滅する『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーに追われつつ御崎市を訪れ、偶然から悠二と出会う。マージョリーをねじ伏せ自身を守ってくれたシャナと悠二に報いるべく、集めた“存在の力”で戦場を修復し、去っていった(II巻)。 アニメ版から登場していた。 番外編では坂井悠二から「師匠」と呼ばれている。 死骸を掘り出して喰らうラミーという同名の悪魔が存在する。“螺旋の風琴(らせんのふうきん)”リャナンシー[Leannán-Sídhe] 声 - 浅倉杏美 実は“屍拾い”ラミーの名と姿は、正体を隠すための仮のもの。その正体は、『封絶』をはじめとする数多くの自在法を編み出した、“紅世”最高の天才自在師“螺旋の風琴(らせんのふうきん)”リャナンシー。少女の姿をした女性の“徒”で、統御できる“存在の力”の量は少ないが、異常に高効率な自在法を、望むままに即座に構成することが可能。その名と能力は“徒”に広く知られており、ある“紅世の王”に捕らえられてその能力を操る鳥籠に入れられ、宝具『小夜啼鳥(ナハティガル)』にされていた時代もある。 彼女が正体を隠しているのは、こうした過去によるものであった。 御崎市を去った後、年が明けてから[仮装舞踏会]の本拠地『星黎殿』に招かれ(XVI巻)、予定外の不安要素を内包した『大命詩篇』の解明を任される(XVII巻)。 リャナンシー自身は世界の行く末にも[仮装舞踏会]とフレイムヘイズ陣営の戦争にも興味がなく、大切な絵を復元すること、そのために莫大な“存在の力”を平穏に集めることだけを考えている。[仮装舞踏会]への協力も、世界最大規模の組織に逆らって睨まれるよりも、非常時に協力することで普段の行動を見逃してもらえる方が目的のために都合がいいからである(XVII巻)。また『大命』成就の暁には、その副産物である莫大な“存在の力”の一部が、彼女への報酬として約束されていた(XXI巻)。 [仮装舞踏会]対フレイムヘイズ兵団戦の最中、『星黎殿』の機密区画で旧友ヴィルヘルミナと再会し、彼女へ警告を与えつつ、僅かな友誼で司令室への通路に誘導した(XVIII巻)。 御崎市決戦では、『真宰社』の機関大底部にある『吟詠炉』で新世界『無何有鏡』創造の作業の補佐(『調律』の逆転印章の起動)を行う傍らで、吉田一美と語り合う。そして、『真宰社』がカムシンの『儀装』によって倒壊しかけた直後に、吉田一美から「遺言」を託される(XXI巻)。その後は、やって来たマージョリーが『吟詠炉』に保存されていた『大命詩篇』のバックアップを改変するのを黙過しながら成り行きを見守っていたが、“徒”が新世界『無何有鏡』へ旅立った際に置いていった莫大な“存在の力”を使って、念願の自在法を起動。それによって再生したドナートの板絵を抱き、リャナンシー本来の姿に戻って悠二にかねてからの約束である遺失物を復元する自在式を手渡し、悠二の持つ『アズュール』に刻まれた『転生の自在式』を条件付きで発動するようにし、悠二固有の自在法を『グランマティカ(文法)』と名付けて、新世界『無何有鏡』へ旅立った(XXII巻)。 第三期アニメで、リャナンシー本来の姿に戻って再生した板絵の感想を呟くのは、原作と違って悠二固有の自在法を『グランマティカ』と名付けた後になっている。 欧州の伝承に、芸術家に才を与える代償に夭折させるというリャナンシーという同名の妖精が存在する。 “愛染自(あいぜんじ)”ソラト[Sorath] 声 - 白石涼子 男性の“紅世の徒”。炎の色は山吹色。III巻およびIV巻に登場。妹のティリエルと合わせて『愛染の兄妹』と呼ばれる。 人化の自在法による姿は金髪碧眼の美少年。本性の姿は不明(漫画版ではアニメ版とは服装が異なり、通常時は黒いブレザーにショートパンツ、戦闘時は鎧を纏った戦闘服)。 その中身は幼児に等しく、欲望のままに行動し、特に興味を持った物に異常な執着を見せる物欲の権化のような性格。純粋ゆえに他者への配慮を知らず冷酷。その他の面では意志薄弱で、妹に依存する言動が特徴。 “存在の力”を込める事で刃に触れていた者に傷を付ける能力を持つ片手持ちの大剣型宝具『吸血鬼(ブルートザオガー)』の使い手。また、戦闘時は鎧を一瞬にして装着する。高い身体能力とシャナに匹敵する一流の剣の腕を持つ反面、自在法は不得手で、初歩的な自在法である封絶や達意の言もまともに使えない(台詞は全てひらがなとカタカナで、漢字が一文字もない)。数少ない力として、欲するものを、見なくとも在処を感じることができる自身の存在の本質『欲望の嗅覚』を持ち、その力はどんなに離れていても、邪魔があっても、存在そのものと繋がり感知するため、通常の探索の自在法では全く感知できない『秘匿の聖室(クリュプタ)』に隠蔽された『星黎殿』さえ感じ取ることが出来る。 『贄殿遮那』を狙って御崎市に来訪しシャナを襲撃、ティリエルのサポートもあり一時はシャナを圧倒するものの、戦いの末ティリエルに続いてシャナに討滅された。 討滅後、『吸血鬼』はマージョリーが持ち帰り、マージョリーが現実を知らせる為佐藤と田中に与え、彼らの手に余ったためマージョリーからシャナに譲られた後、最終的にヴィルヘルミナとの戦いを経て悠二の手に渡った。 太陽を司る同名の悪魔が存在する。 “愛染他(あいぜんた)”ティリエル[Tiriel] 声 - 田村ゆかり 女性の“紅世の徒”。炎の色は山吹色。III巻およびIV巻に登場。兄のソラトと合わせて『愛染の兄妹』と呼ばれる。 人化の自在法による姿は「フランス人形」と形容される金髪碧眼の美少女で、ソラトと瓜二つの顔をしている。本性の姿は幾枚もの山吹色の花弁でできたケープ。 兄・ソラトに強い愛情を持ち、その欲望を叶える事と、彼に自分を依存させ助け守ることに、至上の喜びを感じている。兄にはとにかく甘く、それ以外の物には辛辣でそっけない二面性を持つが、自分と同じように愛で動く者には、兄とは比べ物にならないにせよ、好ましく思っているような態度を見せる。 なお兄が他の女性に心を向けることは絶対に許せず、兄が他の女性の名を一言口にしただけで、愛する兄を殺しかねないほどの力で「反省を促す」と言った、非常に嫉妬深い一面も持つ。自身の欲望が自身ではなく、全て兄という「他者」に向けられ、それに依存していることを除けば、「己の欲望に忠実極まりない、まったく“徒”らしい“徒”」である。 固有の自在法として、『揺りかごの園(クレイドル・ガーデン)』を使う。『揺りかごの園』は封絶と似た力を持つが、内部の気配を外部に洩らさないという性質を持つ。そのためいかなる“徒”でもフレイムヘイズに気配を気付かれないでいる事が可能である。通常は身に纏うサイズに縮小して気配隠蔽に使うが、人間を喰う時には通常の封絶のように拡大させる。また、人間に組み込むだけで高度かつ複数の機能を秘めた植物型の“燐子”『ピニオン』を作り出す自在式を編み上げることができる巧緻な自在師でもある。 これに加えて、一種類に限るが自在式を自動で維持し続ける宝具『オルゴール』を使うことで、あらかじめ用意しておいた多数の『ピニオン』を起動・維持させ、『揺りかごの園』を街1つを覆うほどの巨大な規模に拡大させる。その際は他者を逃がさない隔離空間としても機能し、さらに『ピニオン』が拡大した『揺りかごの園』の維持、ティリエルの武器である蔦の精製に加え、周りの“存在の力”を奪い兄妹に“存在の力”を供給し続けるため、力をほぼ好き放題に振るえる。 他者(彼女の場合は兄)に尽くし、そのためには自分の命さえも厭わない彼女の存在の本質は『溺愛の抱擁』とも呼ばれ、自在法『揺りかごの園』の根源的な精神になっている。なお人間に自在式を打ち込んで多機能な“燐子”ピニオンを作り出すという行為は、『他者のために全てを捧げる』というティリエルの本質を他者に移殖するという行為であり、すなわちピニオンはティリエルの分離体である。 ソラトの欲望を叶える為に共に御崎市を訪れシャナを襲撃し、自身の“存在の力”の全てを兄のために最後まで使い、シャナの炎に飲み込まれて消滅した。この2人の互いにすがるような愛情表現にシャナは反感を覚えるものの、同時に愛するもののためならば自らの命を賭すことも辞さないその姿に大きな感銘を受ける。 水星を司る同名の天使が存在する。 “纏玩(てんがん)”ウコバク[Ukobach] 声 - 津田健次郎 男性の“紅世の徒”。炎の色は爛れた赤銅色。0巻『オーバーチュア』に登場。 己の本来の醜い姿を極端に嫌い、理想的な美しい人間型の姿を作る為に人攫いや写真撮影を行っていた。 他の“徒”と比較しても格段に弱力で、“徒”が持つ独特の違和感ですら、人間に紛れて気づかれない程度。自在法の技術も未熟で、顕現は不安定で炎が洩れ、“燐子”は作れるもののトレーラーの運転と写真撮影の手伝いといった雑用しかこなせない稚拙なもの。相手を閉じ込め停止させる泡を放つ金属の輪型宝具『アタランテ』が唯一の武器。 御崎市に程近い田舎町である寄木市(OVA「S」シリーズより)で『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)と交戦し、討滅された。 ウコバクという同名の下級の悪魔が存在する。 “穿徹の洞(せんてつのほら)”アナベルグ[Annaberg] 声 - 真殿光昭 男性の“紅世の徒”。炎の色は鉛色。S巻『マイルストーン』に登場。 トレンチコートとソフト帽を身に纏い、火掻き棒のような手と丸型メーターの顔を持つ。 人間が作り出す文明や優れた物に心酔しているが、曰く「文明の加速」のため、それらの破壊を目的に活動している。これは、優れた物を破壊する事で「壊れた物を糧に、より優れた新たな物を作る」という人間の活動を促進させるという事。 固有の自在法は気配や“存在の力”をぼやかす蒸気を放つ事。この蒸気により奇襲や気配の誤魔化しなどが行えるが、敵味方問わず気配を混淆させてしまうため、フレイムヘイズの奇襲に“徒”が気付きにくくもなるという欠点もある。蒸気は袖口などから噴出させ飛行や姿勢制御にも使う。切り札として、発射した炎弾の任意爆破もできる。それなりにフレイムヘイズとの交戦経験があり、幾人か倒してもいる模様。 1930年代、対[革正団]戦でフレイムヘイズ達がニューヨークから離れた隙に、エンパイア・ステート・ビルの破壊を目論んで、護衛の“千変”シュドナイと共に渡米。同時期に渡米していた『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーと戦闘になり、乱入してきた『魑勢の牽き手』ユーリイ・フヴォイカに討滅された。 第2期アニメにも登場し、アニメでは顔(にあたる圧力計)の表面に『ANNA BERG』というロゴを確認できる。 ドイツに、鉱山を守るとされる同名の悪魔アナベルグが存在する。 “澳汨肢”(おうこつし)ラハブ[Rahab] “紅世の徒”。炎の色は腐った藻のような暗い緑色。S巻『マイルストーン』に登場。 巨大な蛸のような姿。 総称して「海魔(クラーケン)」と呼ばれる、海洋上で人を襲う“徒”の一体。 1930年代にヨーロッパからアメリカに向かう移民船を襲撃したが、“虺蜴の帥”ウァラクと契約した直後のユーリイ・フヴォイカにわずか一撃で討滅された。 第2期アニメではユーリイの回想の中で姿だけ登場した。 ユダヤ教の伝承に、ラハブという同名の海の怪物が登場する。 “駆掠の礫(くりゃくのれき)”カシャ[Kasha] 声 - 松原大典 男性の“紅世の徒”。炎の色はアイボリー。SII巻『ゾートロープ』に登場。 薄手のジャケットにスラックス、首には洒落たストリング・タイという姿の青年。 使用者の意思のままに空中を自在に飛び、自在式を自由に込めることができる数十もの指輪型宝具『コルデー』に爆破の自在式を込めて武器とする他、踝に炎の車輪を発生させ、移動に使う。 ゾフィー・サバリッシュ曰く「逃げ足に定評がある」とのことだったが、ゾフィーに師事していた『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)により討滅された。宝具『コルデー』は、その後シャナが保管しており、御崎市決戦において重要な役割を果たすこととなる。 第2期アニメでは、『ゾートロープ』の話は無かったことになっている。「売り出し中」ということで名を売るために御崎市に住むシャナに戦いを挑み、近衛史菜が人間かどうかを判断するために利用された挙句、あっけなく討滅された。 日本に、火車という同名の妖怪が存在する。 “羿鱗(げいりん)”ニティカ[Nitika] 男性の“紅世の徒”。炎の色は鼠色。SII巻『ゾートロープ』に登場。 巨体は翼竜とも見え、体中に鱗のように金貨を貼り付けている。 金貨を得る事を享楽としており、古美術商店の金庫を漁っていたところを『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)の襲撃を受ける。移動式の封絶を使ってシャナの動揺を誘い逃亡を図るが、シャナを監督していたゾフィー・サバリッシュにより討滅された。 真名が雑誌連載時(鯨鱗)と文庫版及びDVD初回特典付属の冊子(羿鱗)で異なっている。 古代ギリシアの書物『ヌクテメロン』に、宝石を司るニティカという同名の人物が登場する。 “戯睡郷(ぎすいきょう)”メア[Mare] 声 - 小林沙苗 女性の“紅世の徒”。炎の色は朱鷺色。作者原案・監修のPS2版ゲームにオリジナルキャラクターとして初登場した。その後本編でもXIII巻にてサブラクの会話の中で言及されており、以後本編では「既に討滅された“徒”」として、外伝では存命の時の状態で登場している。 ゴスロリ風の衣装と日傘という上品ないでたちの、頭部に二対の太い角を生やした少女。この姿は寄生しているトーチの姿だが、頭部の角はメアに寄生された証であり、また顔もメア自身のもの。本性の姿は仮面を付けた道化で、仮面の下にはメアの素顔が隠されている。 ちっぽけな自身に強いコンプレックスを持つ、若く弱小な“徒”。休む事も決して出来ない“紅世”をその弱さから地獄と感じ、運任せで両界の狭間を越えて渡ってきた。自らを「蝶」と例えており、「本質の顕現」では蝶のような光を放つ等、蝶の性質を持っている模様。 気配を抑えて敵から逃れるために“ミステス”に寄生し、寄生している“ミステス”の蔵する宝具も使える。現在寄生している“ミステス”の蔵する宝具は、振るう事で炎弾を雨霰と放つ神楽鈴型宝具『パパゲーナ』。 また固有の自在法として、『ゲマインデ』を使う。『ゲマインデ』は周囲の者の意識を取り込み、取り込んだ者の記憶で構成された夢の舞台を作り出し自在に操る特殊な自在法。 『ゲマインデ』で作り出した夢の世界そのものがメアのようなもので、基本的に内部ではメアは無敵であり、本来メアには使えないはずの高度な自在法や攻撃を行う事もできる。しかし、夢の世界での出来事は現実世界の肉体には影響を与えず、また『ゲマインデ』が解けた時点で忘れ去るため精神的な影響もなく、夢の世界で過ごす時間も現実世界では一瞬に過ぎないため時間稼ぎもできず、また対象が夢であることに気づくと夢の主導権を奪われた上、夢から引き剥がされメア本体だけがダメージを受け『ゲマインデ』も解けるなど、欠点が多い。 『ゲマインデ』の主な対象は寄生先となる“ミステス”だが、対象以外の人間やトーチ(ミステス)、“徒”、フレイムヘイズも夢の媒介として同時に取り込むことができ、夢の主導権を奪われるのを防ぐため、保険として通常は複数の者を同時に取り込む。これは、夢の世界が取り込んだ者の記憶から作り出された世界であるため、1人の記憶では「知っていること」だけしか起きない世界に違和感を覚えるが、お互いしか知らない事を組み合わせる事で、違和感を出来る限り少なくする意味もある。 対象や媒介の意識に干渉することもできるが、メアより強い者の意識には干渉できず、フレイムヘイズや“徒”に対しては直接的には「夢で遊ばせる」だけの力しか持たない。しかしメアは夢の世界で相手の攻撃手段や防御力などを探り、現実世界で逃走する際に手助けとなる情報集めの手段としている。 意識に干渉を行えるトーチ(ミステス)や人間に対しては、“ミステス”に掛けられた『戒禁』を侵食し、取り込んだ者の記憶や力の軌跡などから抽出した情報を元に『敵』として組み換え、それを夢の世界に取り込んだ者に破壊させることで“ミステス”を守る『戒禁』を解かせる、『戒禁』破りの自在法として使用可能で、メア曰く「共に見る滅びの夢」。弱小な“徒”であるメアが『戒禁』を破るための唯一の方法であり、メアの生命線とも言える。通常は戦闘用宝具を宿した“ミステス”に使われるが、相手が戦闘用宝具を宿していないのに『戒禁』に守られているような例外の場合は、フレイムヘイズも夢に取り込み『敵』を倒させる。 本編開始の二年前、中央アジアで[百鬼夜行]の運行バスを利用していたが、[百鬼夜行]を追跡するフレイムヘイズとの戦闘を避けて途中下車(SII巻『ヤーニング』)。そのままカシュガルに向かう途中で、フレイムヘイズ『燿暉の選り手』デデに討滅されかけるが、偶然通りがかった“壊刃”サブラクに助けられた(外伝『ジャグル』、XIX巻)。以降、サブラクに同行するようになる。 出会う以前からサブラクの噂は聞き及んでいた。己の弱さゆえに、強大な力を持つサブラクを畏れ、羨みながら恨み、自身を恥じていた。彼に自分を見て、気にかけて貰いたいとの想いから、サブラクにも気後れせず突っ掛かっていた模様。 サブラクから『零時迷子』のミステスに関する情報を聞くと、彼と並んで歩くことが出来る「誰からも無視されない存在」になるべく、様々な陰謀が絡む『零時迷子』のミステスに寄生することを決意。サブラクと再会を約束して別れ、本編開始後の8月ごろに御崎市に現われた。 寄生対象である悠二、『敵』を倒させるための戦力および媒介としてシャナ(とアラストール)、夢を引き剥がされた時の保険として一美の三人の意識を『ゲマインデ』に取り込み、敵の姿をした『戒禁』をシャナと悠二に送りつけながら、『戒禁』を倒し解除していく彼らの様子を観察していたが、悠二の洞察力から夢の世界の違和感を気付かれて夢から引き剥がされ、“存在の力”への鋭敏な感覚から悠二の内部で『戒禁』を侵食し変換していたメア本体の位置を看破され、シャナにより悠二ごと本体を斬られたことで外部に引きずり出されて討滅された。『ゲマインデ』の崩壊と共にシャナたちからはその存在は忘れ去られ、夢の中のことも感情を伴った記憶が断片的に残ったのみであった。 DSゲーム版のみ搭載されているバトルモードをクリアした際には、喜びを真っ先にサブラクに伝えようとするなど彼女のサブラクへの思いの一端が見られる。 第2期アニメでは登場する時期が9月に変わっており、『ゲマインデ』も夢を操るところは共通するが、夢の中での出来事が現実にも作用したり、『戒禁』破りの自在法ではなく解除されても記憶が残るなど概要が大幅に異なる。また『零時迷子』に掛けられた『戒禁』の存在も知らず、『戒禁』に掛かっている。 名前に似た単語に、夢魔を意味するナイトメアという語がある。 “気焔の脅嚇(きえんのきょうかく)”ギヴォイチス 声 - アニメ版ドラマCD 樋口智透 “紅世の徒”。炎の色は苔色。 人化した姿は大柄な男で、本性の姿は直立する一本角の蜥蜴。腰帯に華美な装飾の剣『スクレープ』を帯刀していたが、ギヴォイチスはこの『スクレープ』を宝具だと他の乗客たちに吹聴していた(真相は不明)。 本編開始の二年前に、[百鬼夜行]中央アジア便のバス型“燐子”『温柔敦厚号』の乗客として登場し、「『大戦』に従軍して、敵陣に単騎突撃する“大擁炉”モレクと共にフレイムヘイズを数多斬り伏せ、『万条の仕手』を討ち取った」「『破約事件』に襲撃犯として関わった」などと大法螺を吹きまくった挙句、乗り合わせた客の一人と諍いを起こしてゼミナに実力行使で鎮圧された。その後、[百鬼夜行]が逃亡する際に、運賃と称して時間稼ぎの捨て駒としてヴィルヘルミナへ差し向けられた刺客たちの一人になった。対峙したヴィルヘルミナに向かって剣『スクレープ』を指して「『万条の仕手』をも屠った名剣」と口上を述べたことで、ものの見事に本人の顰蹙を買い、他4体の“徒”とまとめてヴィルヘルミナにあっさり討滅された。 スラヴ神話に登場するトカゲの姿をした守護精霊にギヴォイティスがいる。
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