ミステス
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「灼眼のシャナの登場人物」の記事における「ミステス」の解説
宝具をその身に宿した特別なトーチ。ミステスの消滅により宝具が無作為転移する様相から、「旅する宝の蔵」とも呼ばれる。宿す宝具によって、特異な能力を持つこともある。 坂井 悠二(さかい ゆうじ) 宝具『零時迷子』を核にするミステス。詳細は前述の坂井悠二の項を参照。 “天目一個”(てんもくいっこ) 声 - 菅生隆之 宝具『贄殿遮那』を核にするミステス。見た目は隻眼の鬼面を被った鎧武者。肉体を持たず鎧の中は空っぽ、フレイムヘイズと“徒”の“存在の力”を喰らって形態を維持するなど、“ミステス”の中でもかなり異質の存在。『贄殿遮那』の能力により、自身に対する自在法による干渉を無効化(攻撃は無効、防御は突き抜ける)し、気配を持たないという特性を持つ。自身に最低限の封絶を張っているため、人間には視認できない。 強者を求めて日本各地を彷徨い、行き遭った“徒”やフレイムヘイズを見境なく攻撃し、その“存在の力”を喰らって活動。尋常ならざる剣の達人であり、気配がないため実際に目にするまで存在に気付かれず、その間に突如として不意打ちを放ってくるため、相手の気配や力の流れを見極める感覚に優れた「強い」“徒”やフレイムヘイズほどその長所を生かせず危険になり、不意打ちを避けたとしても全ての自在法を無効化され白兵戦を強制されるため、弱い“徒”やフレイムヘイズでは到底敵わない。そうしたことから「史上最悪の“ミステス”」「化け物トーチ」「“紅世”に仇なすモノ」などの異名で半ば伝説化し、“徒”やフレイムヘイズからは行き会うことへの不運から一種の災害とすら認識され、その活動地域である日本を始めとした東アジア諸国は多くの“徒”から避けられていた。しかし“天目一個”が消えたことで近年の東アジアには再びフレイムヘイズが流れ込み始めるようになり、[仮装舞踏会]による本格的な攻勢が始まるまでは“徒”にとっては非常に物騒な地域となっていた。 これらの特性は、核となっている宝具『贄殿遮那』を託すに相応しい、白兵戦に優れた強者を探すためのものであり、その目的を果たすため『贄殿遮那』の製作者の一人である人間の刀匠が鎧兜と隻眼の鬼面、そして『贄殿遮那』を装備した上で存在の全てを打ち込み、自ら望んで“ミステス”と化した経緯を持つ。この関係で核となっている『贄殿遮那』には、トーチの組成に干渉した者を捕獲する『戒禁』がかけられている。そのため決定的な弱者である人間には見向きもしない(シャナは人間時代この特徴を逆手に取り、彼に頼んで「人間」である自分をアラストールの元まで運ばせている)。また誕生時からそうだったのか、時間経過によって変化したのかは不明だが、『刀匠』『大太刀 贄殿遮那』『鎧武者 天目一個』の3つの意識が混在している。 シャナがまだ人間だった頃、『天道宮』を隠す『秘匿の聖室』の割れ目から「強者」であるアラストールを感知、『天道宮』へ乗り込む。“琉眼”ウィネや“千征令”オルゴンも現れ『天道宮』が混乱する中、「強者と戦う」ためにシャナとアラストールの契約を助ける。そしてアラストールと契約した直後のシャナと戦い、攻撃の勢いを利用された頭突きを食らって鬼面を砕かれ、『贄殿遮那』を手放して敗北する(V巻)。 望みを果たした刀匠、役目を終えた鎧武者の意識はこの時点で消滅するが、『贄殿遮那』の意思総体は残っており、後に『星黎殿』に幽閉されたシャナの『贄殿遮那』を求める意思に応じ、残留していた“存在の力”で鎧武者の姿を再構成し、復活。シャナの許へ向かうだけの“存在の力”を確保すべく、『星黎殿』中枢部の本営構成員を片っ端から襲撃・捕食(この中で司令室に飛び込み、“嵐蹄”フェコルーに致命傷を負わせている)しつつ要塞内を進行してシャナと邂逅、再び『贄殿遮那』を託し消失する(XVIII巻)。シャナのことを自身の使い手として認めており、彼女を「主」と呼んでいる。 [宝石の一味]からヨーハンが奪った本に「極東のソードスミスが全存在を打ち込み、最初から並みの“王”を遥かにしのぐ力があった“ミステス”」として記されていた。 自在法にも最低限の適性はあり、19世紀にはシャヘルの神託を聞いて自ら封絶を張り始めている(行動律の問題で他者から自在法を覚える機会はなかったはずであり、2000年代で既に数百年放浪していたことなどから、最低でも14世紀には既に存在していたことになる)。 名の由来は日本神話の山神・鍛冶の祖神である、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)。 アニメ版では羽織を着ているなど外見が異なり、また気配がないのは使用している封絶が気配を遮断する特別な封絶だからということになっている。 ヨーハン 声 - 斎賀みつき 宝具『零時迷子』を核にするミステス。見た目は金髪黒眼の17歳の少年で、左耳の後ろに三つ編みがある。『零時迷子』の能力により、消耗した“存在の力”が午前零時に回復する特性を持つ。その特性から、通常のトーチやミステスと異なり“存在の力”が燃え尽きることがなく、永遠に17歳のままである。 両親からは育児放棄にも等しい扱いを受けていたが、父と交友があり気まぐれで人間の成長に興味を持った“彩飄”フィレスに赤児の頃から育てられる。いつしか互いに掛け替えのない存在となり、彼女と永遠に共に在りたいと望んで2人で『零時迷子』を創り、自ら“ミステス”となった。その後はフィレスと二人で『約束の二人(エンゲージ・リンク)』を名乗るようになる。“徒”やフレイムヘイズには『永遠の恋人』の通称で知られる。炎の色はフィレスと同じ琥珀色。 常に明るくあっけらかんとしており、多少の困難も楽しむ部分を持つ、風のように自由奔放で掴みどころのない性格。好奇心旺盛で頭が良く勉強家であり、冷静で客観的な価値観と優れた洞察力の持ち主でもある。愛するフィレスとは互いに尊重しあい基本的に相手を拘束するようなことはないが、行動の主体はヨーハンにあった模様。フィレスが駄々をこねるときは、彼女が納得するまで言い聞かせるなど(本人は苦にしていないが)苦労人でもある。 幼少時から“存在の力”が身近であったため、人間時代から“存在の力”を感知でき、また好奇心から自在法や宝具などについても深く研究していた。感覚的にしか自在法を使わない者が多い中で、“ミステス”となった後も自在法に研究を重ねている努力型の自在師で、その腕前はマージョリーやサラカエルも認めるほど。“壊刃”サブラクに狙われるようになってからは、サブラクの不破の自在法『スティグマ』を破る『スティグマ破りの自在式』を研究しており、後にヴィルヘルミナがそれを受け継いで完成させている。 本編開始の数年前から“壊刃”サブラクに狙われており、間違われて襲われ重傷を負った『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルを助けて友人となる。本編開始の直前まで3人で行動しサブラクを撃退していたが、ナムが管理していた外界宿[故崖窟]の廃墟の地下石窟に踏み込んだ際、サブラクの不意打ちを受けて瀕死の重傷を負い、緊急避難の為フィレスによって『零時迷子』に封じ込められる。しかし、サブラクが『零時迷子』に打ち込んだ自在式『大命詩篇』の影響で『零時迷子』から自力で抜け出すことは事実上、不可能となってしまう。 その直後、自身を封じた『零時迷子』が坂井悠二に転移。『大命詩篇』の影響で自我が断片化しており、自我が曖昧な状態ながらも残った自我をかき集め、変異の根源である『大命詩篇』を数十年単位で改造しようと目論む。そのため『零時迷子』に封じられた状態ながら、『零時迷子』の内側に走査と探索の網を常時展開する自在式を張り巡らし、フィレスが『零時迷子』にかけた『戒禁』と『暴君』の休眠していた吸収機能を掛け合わせ、“存在の力”が自身に統御できる分だけ流れ込むようにするなどの対策を採る。また宿主である“ミステス”坂井悠二を狙った“徒”の“存在の力”を吸収するため、悠二に鋭敏な感知能力を付与し“徒”に接近させようとしていたが、そうした対策が間に合わないほど事態は早く進行してしまい、ヨーハンはすでに自身の復活を諦めていた(XXI巻)。 文化祭終了間際、『零時迷子』を見つけたフィレスの干渉によって意識が活性化する。その直前にマージョリーが『零時迷子』に施していた走査の自在式を利用し、悠二の体を一時的に乗っ取って顕現、フィレスと再会し、彼女に三つの頼み事をする(XIII巻)。 翌年2月、御崎市決戦の最中に『ヒラルダ』の起動によって悠二の前にフィレスが出現。フィレスへの一つ目の頼み事「とある巨大で複雑な銀色の自在式の改変(XX巻)」を終わらせていたフィレスの助力と悠二が保持する膨大な“存在の力”を利用して悠二から分離する。悠二に愛について説いた後、二つ目の頼み事「[百鬼夜行]への仕事の依頼(XX巻)」により戦場から離脱。しかし自分が長く生きられないことを悟っていたため、最後の頼み事「死を唯一乗り越えられる生、子供を作る事」をフィレスに改変させた自在式によって為し、一緒に逃亡していた吉田一美へ『両界の嗣子』ユストゥスとなる捩れた球形のフラスコと遺言を託し、フィレスと共に消滅する(XXII巻)。 アニメ版では第2期から登場し、クリスマス・イヴに『零時迷子』の『戒禁』が弛んだほんの僅かな間だけ『ヒラルダ』を通じて吉田一美に語りかけることができ、悠二から『零時迷子』が抜き取られたことをヴィルヘルミナたちに伝えるように頼む。 名称不明 宝具『パパゲーナ』を核にするミステス。ゲーム版などの外伝で登場。“戯睡郷”メアの『ゲマインデ』により、防衛機構の『戒禁』を解除され寄生されており、既に人間の代替物としての意識は持っていない。金髪の少女の姿をしている。メアの顔に変化した状態でしか登場していないため、元々の顔は不明。ミステスになった理由やその他の詳細は明かされていない。しかし、戦闘用ということから無理やりミステスにされた可能性が考えられる。アニメ版第2期にも、メアとして登場している。 異形の戦輪使い 『零時迷子』を作り出す前のフィレスとヨーハンが[宝石の一味]から奪った本に記述されていた、戦闘用の“ミステス”。自在法への高い適性に目をつけられて“ミステス”に変化させられたが、製作者が反抗を封じるためにかけた制御の自在法を自力で破り反逆、自分を“ミステス”へと変えた復讐として戦い続け、消滅までに製作者を含む“王”を2人、道連れにしたとされる。その人物像や宝具についての詳細は不明。
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