伝説化
伝説化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/29 03:25 UTC 版)
「ジャービル・イブン=ハイヤーン」の記事における「伝説化」の解説
「バーティンの継承者という正統性を持った大魔術師ジャービル」という虚像は、10世紀前半には成立していたようである。根拠は『フィフリスト』である。10世紀末バグダードの書籍商イブン・ナディームの『フィフリスト』(987年ごろ成書)は、ジャービルについて言及した最も古い文献でもある。『フィフリスト』には、「ジャービルは自分たちのアブワブ(abwab)の一人であって、イマーム・サーディクのサハーバである」と主張するシーア派の一派がいたという記載がある。イブン・ナディームは、その記載に続けて「ジャービルは論理学と哲学に関する本を書いた哲学者の一人に過ぎないと主張する人たちもいる」と書いた。 『フィフリスト』における別のセクションでは、「仮にジャービルなる人物が実在していたのなら、正真正銘ジャービルが書いた本は كتاب الرحمة الكبير(Kitāb al-Raḥmah al-kabīr, 大いなる慈悲の書)のみだろうと主張するウラマーやワッラークもいる」という記載がある。彼らによると「残りの著作は、誰か別のものがジャービルの名前を騙って書いたに違いない」という。イブン・ナディームは、ジャービル非実在説に対して截然と反論した。 14世紀の知識人、ジャマールッディーン・ブン・ヌバタル・ミスリーは、ジャービルの作に帰せられているすべての文献が偽書であると言った。20世紀のアラビスト、パウル・クラウス(英語版)の1940年代の研究によると、3,000点以上に上るジャービルのすべての著作は、明らかに一人の人間の手によりなされたものではないという。
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