導きの神と眷属
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“覚の嘯吟(かくのしょうぎん)”シャヘル[Shahar] 声 - 甲斐田裕子 女性で、『喚起』と『伝播』の権能を司る“紅世”真正の『導きの神』。炎の色は純白。この色は「全てを掻き消す忘我の色」とも称される。神意召喚の儀式名は“嘯飛吟声(しょうひぎんせい)”。 実体を持たない神霊として眷属の間を漂う、神としての権能のみに特化した「それだけの存在」(ゆえに神「威」ではなく神「意」召喚となる)。 『喚起』と『伝播』の行使に値する導きなくば儚く失せる、新たな灯火を見出した時のみ神意召還を行使して「導く」、他の神が受動的に神威召喚を執り行うのに対して能動的に行う神。実体を持たないため単独では見聞きすることが出来ず、創造神により眷属というシステムが生まれた後は探知に長け好奇心旺盛な“徒”たちを眷属に任命し、彼らの耳目を通して、導くに値する物事を探している。神意召喚に応じた眠りに就くこともなく同じ真正の神であるアラストールや“祭礼の蛇”から見ても特異な神格の持ち主。“祭礼の蛇”からはその在り様を「珍しがり」と形容されていた。眷族が見聞きした中に神託に値する物事を発見すると、霊告『知らしむるべし』をその眷属に降ろし生贄として神意召喚を行い、全世界の“徒”(及び“王”を身に宿すフレイムヘイズ)に他心通(神託)を行う。なお、この神託は“ミステス”にも聞こえる他、何らかの理由で自在法の影響下にある場合は人間にも影響する。 召喚の執行者である眷属がそのまま儀式の生贄でもあるという性質から、召喚の儀式たる“嘯飛吟声”の内実や神託の基準などは眷属以外には全く知られておらず、同じ真正の神であるアラストールでさえ権能のことしか知らなかった(ゆえに自分達の試みを「広めてもらう」ための作戦が立てられており、当然のごとく失敗した)。 彼女が神託を降ろすべしと判断する事象は、新たな事柄でありながら「今あるままに放っておいても成るもの」「既にその流れができあがっているもの」は含まず、「放って置いては消えるもの」「大きな流れの始まりの端緒に過ぎないもの」でしかないため非常に少なく、眷属が数千年を空しく彷徨い続けることも珍しくはない。“徒”がこの世に渡り来てからの数千年間に神託が行使された事例は、作中で明かされている限りでは両界渡り・宝具・人化・封絶・表明思想・フレイムヘイズの生成がある。しかし、前代未聞の事象が世界規模で告知されかつ忘れられることがない(しかもどういう偶然か、振り回される方にとって最悪のタイミングで神意召喚が起きる)という性質上、振り回される当事者にとっては災難以外の何物でもないため、言葉だけで多くの者を唆し物事を変質させる神として、他の多くの“徒”から忌み嫌われて(一部では実在すら疑われて)いる。温厚な性格のストラスをして「導きの名で他者を誑かす、口先だけの神」と称するほどである。 神託が為される際、聞く方にはシャヘルの声が「耳元で叩かれる割れ鐘のように異様なまでに明瞭な、記憶に刻む痛みさえ伴い、遠くから途切れ途切れに響いて来る、聞くものの総身を劈く声」として聞こえる。神託は距離の遠近、因果を断絶させる封絶の内外、聞くつもりの有無に関わらず、強制的に「聞かされ」て、神託を受けている間は禄に身動きも取れなくなる。容易には忘れられない強烈な印象を聞く者に刻み付けるが、その内容を強制する性質は持たない。 新世界『無何有鏡』の創造を行うべく創造神の神威召還『祭基礼創』が発動したとほぼ同時に、『約束の二人』により『両界の嗣子』が生成されようとしているのを眷族たる“笑謔の聘”ロフォカレが発見したことで彼を生贄に神意召喚を行使。御崎市決戦において新世界の創造を巡る戦いと興奮に最中にあった“徒”とフレイムヘイズたちに強制的に『両界の嗣子』生成の神託を聞かせて行動を中断させ、そのまま去った(XXII巻)。しかしこの神託は、新世界『無何有鏡』では「人が喰らえない」という理を組み込んだままの創造を“徒”たちに受け入れさせる一因となった模様。 第三期アニメに登場した。 ウガリット神話に、明けの明星の神としてシャヘルの名が存在する。 “笑謔の聘(しょうぎゃくのへい)”ロフォカレ[Rofocale] 声 - 藤田圭宣 男性の“紅世の徒”。炎の色は常磐色。初登場はXIII巻。“紅世”の導きの神“覚の嘯吟”シャヘルの眷属。 大きな三角帽に襟を立てた燕尾服で顔を隠した男で、古風なリュートを抱える。 自称「楽師」。「他者を以って己を表現する」という芸術家的な一面を持ち、そのためミカロユスのような同類には一定の敬意を示す。自称のとおり、事あるごとにリュートを爪弾いては詠っており、何かを語る時も合いの手代わりにリュートを鳴らし、詩を吟ずるかのように語る。導きの神の眷族としての使命に従い、この世を見聞するため様々な場所を渡り歩いているが、彼が訪れた場所、身を寄せた者達はどういうわけか大きな事件の中心になったり、苦難に際して振り回されているため、それを知る一部からは敬遠されていた(ストラス曰く「あ奴が姿を見せると碌なことにならない」)。 眼によらず遠く離れた場所を見ることが出来る『千里眼』という自在法を使用し、優れた探知・索敵能力(本人曰く感受性)を持つ。 眷属としての使命を果たす機会を得るべく『星黎殿』に向かう途中シュドナイ率いる軍に同行し、索敵の形で協力していた。年が明けてからは『星黎殿』に居付いており、なぜか“祭礼の蛇”坂井悠二とヘカテー、ベルペオルらの散策に同席することを許されていた(というより空気のように扱われていた)特殊な存在。 『大命』第二段階でも、“祭礼の蛇”坂井悠二らと共に『久遠の陥穽』へも同行するが、やはりそのことも空気のように扱われ、触れられていない。そして『詣道』の最奥部である『祭殿』にて、“祭礼の蛇”神体の覚醒と復活を見届けた。そして、追いついて来たシャナたちの妨害を撥ね退けて、“祭礼の蛇”神体と共にこの世に帰還した。そして戦場から退転し、北の山中へ歩いていく姿を『星黎殿』直衛軍の兵に目撃されていた。 その後、天山山脈を歩きながら『千里眼』により御崎市決戦の様子を見ていたが、ミカロユス・キュイが事前に仕掛けていた『パラシオスの小路』によって捕捉された。そして現れたフリーダーたちに導きの神の「神託」を依頼されるが、「神託」の特性からその依頼を断り、その理由をフリーダーたちに説明した。しかし、『千里眼』で『両界の嗣子』ユストゥスとなる歪んだ球形のフラスコを発見し、その存在を「知らしむるべし」と判断したシャヘルが霊告を降したため、眷族の悲願たる神意召喚を執り行う栄誉に歓喜しながら『先触れの歌』を吟じ、生贄となって消滅した(XXII巻)。 第三期アニメに登場した。 地獄の宰相にルキフゲ・ロフォカレという同名の悪魔がいる。
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