聖杯戦争に参戦したマスター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 11:06 UTC 版)
「Fate/stay night」の記事における「聖杯戦争に参戦したマスター」の解説
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(Illyasviel von Einzbern) 声 - 門脇舞以身長:133cm / 体重:34kg / スリーサイズ:B61/W47/H62 / イメージカラー:銀 バーサーカーのマスター。愛称はイリヤ。「雪の妖精」を思わせる小柄な少女。基本的には素直で無邪気で天真爛漫な性格だが、聖杯戦争のためだけに育てられたため一般的な常識や倫理観が乏しく、殺人に抵抗がない(ただしあくまで敵として認識した相手に対してであり、無関係な民間人を手にかける残忍さはない)。夜に出会えば危険極まりないマスターであるが、昼の商店街に現れたときは人との触れ合い方を知らない臆病な面も見せる。魔術師としてはあまり洗練されていないが、肉体が魔術回路そのものであり特別製の令呪仕様のため、最高のマスター適正と魔力を持つ。士郎を「お兄ちゃん」と呼んで慕い、戦争開始直後より執着する。バーサーカーは最強の従者であると共に、冬の城で孤立したイリヤにとっての父親のような存在でもあり、普通のサーヴァントとは一線を画す絆がある。普段の立ち居振る舞いは幼いが、魔術師・貴族の姫として威厳のある一面もあり、「妹」ではなく「姉」としての顔を垣間見せる時もあるなど、様々な側面を併せ持つ。 衛宮切嗣とアインツベルンのアイリスフィールとの間に生まれた実娘で、実年齢は18歳であり、士郎にとっては非血縁の姉にあたる。母のアイリスフィールはアインツベルンの錬金術が生み出したホムンクルスであり、彼女もまた母の胎内にいる時からアインツベルンより様々な魔術的調整を施されており、その影響で肉体の成長が二次成長で止まっている。切嗣は第四次聖杯戦争終了後に何度かイリヤに会いに行こうとしたが、アインツベルンの結界に阻まれて会えなかったにもかかわらず、ユーブスタクハイトの偏った入れ知恵により、切嗣が自分と母を捨て最後の最後でアインツベルンを裏切ったと吹き込まれたことで切嗣を憎んでいるが、故人と知った時に悲しむなど内心複雑な模様である。士郎のことは最後の家族としても見ており、彼を失い再び孤独になることを何よりも恐れている。士郎を直接手に掛けないのは、自分自身で最後の家族を消すのが怖いためである。 今回の聖杯戦争の聖杯であり、同じく聖杯である桜をどことなく苦手としている。アインツベルンから失われた第三魔法「魂の物質化」、"天の杯(ヘブンズフィール)"に至るための器(願望機)の身体(正確には心臓部分)でもあり、魂を取り込むことで魔術は理論を省略して「結果」のみを現出でき、それがイリヤの魔力で叶うことならば、イリヤ自身はそのために必要な魔術理論を知らなくとも行使できる。 本来は専用ルートがあったが、時間の都合でカットされたという経緯がある。バッドエンド後のお助けコーナー「タイガー道場」の弟子一号「ロリブルマ」としても登場する。 テレビアニメ第2作では両親が冬木へ向かった後の過去やバーサーカーとの信頼の確立の過程が詳しく描写され、切嗣の帰りを待ち続けながらも母の殻を被った聖杯の泥から切嗣によって聖杯が破壊されたことを知らされ、更にユーブスタクハイトに吹き込まれた話を信じて切嗣への憎悪を募らせる。その後は器とマスター、両方のための調整に苦しむ中でこれまで破棄されたホムンクルス達からアインツベルンの妄執とも言うべき悲願と自分が負けたらユーブスタクハイトが研鑽を打ち切るという結末を聞かされ、自分というものが無いホムンクルスとしての出自や多くのホムンクルスを捨ててきたアインツベルンとユーブスタクハイトにも憎悪を向ける片鱗を見せた。 アインツベルンの妄執を知ってからはセラとリーゼリットにも気を許さず、当初はバーサーカーも只の道具としか見なしていなかったが、かつての母と同じく、ユーブスタクハイトによって狼と怨霊のいる吹雪の森に放り込まれ、狼に襲われたところをバーサーカーに救われてからは「世界で誰よりも一番強い」と絶対的な信頼を寄せる。 間桐慎二(まとう しんじ) 声 - 神谷浩史(幼少期 - 小市眞琴)身長:167cm / 体重:57kg / イメージカラー:群青 間桐桜の兄で弓道部副部長。士郎とは同級生で、中学からの数年来の友人。一見秩序と公平を重んじる優等生であり、女生徒にも優しいので人気があるが、実際にはプライドが高く他人をすぐに見下す悪癖があり、口も悪い。士郎のことも何かと馬鹿にし、時には便利屋同然に扱うも、家に士郎を頻繁に招くなど彼なりの一本筋や友情を持っている。士郎は慎二の性格をそれなりに理解しており、交友関係が今に至るも続いているのは彼が「歪んではいても腐ってはいない」ためらしい。後輩部員をイジメで退部させるなどの問題を起こしているため、部長の美綴には悩みの種の一つである。漫画版の番外編では、士郎にこっそりと協力する形で、桜をいじめていた先代の弓道部主将を、取巻きを脅迫して懐柔するなどして追い込んでいる。 桜から偽臣の書(本の形をした仮の令呪)によってライダーへの命令権を借り受け、ライダーの仮マスターとして聖杯戦争に参加した。間桐の家は数代前に魔術師として枯れており、彼自身に魔術回路はないので、ライダーに命じて学校に結界を張らせ、無差別に生徒や教師から生命力を奪おうと画策する。偽臣の書で借りた桜の影を魔術として行使するが、威力は弱い。士郎や凛などの聖杯戦争参加者と比較すると実力や思慮深さは明らかに劣っていて、無茶な命令を令呪で強制してライダーを消滅させかけたりするほか、窮地に陥ると戦意喪失するなど、臆病な面も見受けられる。UBWルートでは、自身の脱落をライダーのせいにして、自分の非を全く認めない点を綺礼から内心呆れられ、更にセラからも小物扱いされている。もっとも、乗せやすい性格であったために綺礼からはギルガメッシュの上辺だけのマスターとして良いように扱われ、最終的には凛の代わりにイリヤの心臓を植え付けられて聖杯の器になる。その結果、「出来損ないの核による出来損ないのサーヴァント」が顕現する。 テレビアニメ第1作ではセイバールート同様にバーサーカーに殺害されたが、漫画版では生存する。 士郎と出会った頃は歪んでおらず、魔術回路を持たずとも由緒正しい魔術師の家系に生まれ、魔術に関する知識を持っていることを誇りにしており、義理の妹となった桜のことも気にかけていた。しかし、養子に来た桜こそが次期後継者だと数年前に知ってしまい、彼にない魔術素養を全て持っていたことと、彼が桜に向けていた憐みは実際は桜から向けられていたと思い込んで以降、強い劣等感や強迫観念を抱きながら歪んでいき、桜に虐待を行うようになった。 言峰綺礼(ことみね きれい) 声 - 中田譲治身長:193cm / 体重:82kg / 誕生日:12月28日 / 血液型:B型 / イメージカラー:黒 冬木の言峰教会の神父。今回の聖杯戦争の監督役を務め、神秘の隠匿や退場者の保護などを行い聖杯戦争を円滑に進める役目を持つ。聖堂教会の人間でありながら魔術師でもあり、凛の兄弟子かつ第2の師にしてその後見人である。不遜かつ余裕ぶった態度で、他人の心の傷を炙り出し、いたぶることを好む。心霊医術と八極拳の達人であり、以前は代行者 として活動していた。ゆえに代行者を象徴する概念武装、「黒鍵」と呼ばれる魔力で編まれたレイピア状の退魔の投擲剣を愛用する。近所の中華料理店「紅洲宴歳館・泰山」の激辛麻婆豆腐が好物である。 教会の思惑を受けて10年前の第四次聖杯戦争に参加しており、その最中に監督役の父から保有していた預託令呪と監督役を受け継いだ後、自らの師であり共闘関係にあった凛の父・遠坂時臣を裏切って殺害している。衛宮切嗣と最後まで争い、彼に心臓を撃たれるも、契約していたサーヴァントを通して流れ込んだ聖杯の中身を心臓代わりに蘇生した。当時の出来事に関しては『Fate/Zero』を参照のこと。 物心ついた頃から善より悪を好み、万人が美しいと感じる事象を愛せず、万人が醜いと感じることにしか“幸福”を感じられない欠陥者であり、表に出ない部分では様々な悪行を行っている。かつては欠陥者でありながら道徳を信じ、善であることが正しいとする良識を持っていたため、常識から外れた自分を正し、人並みの幸福を得ようとひたすら苦行や試みを繰り返していたが結局どうあっても正すことはできず、主の教えに決別した時に悪しか愛せない自身を受け入れ、悪を行うことで快楽を求めながら、同時に悪である自身が生まれた理由を探すようになる。 表向きは真っ当な監督役を装っているが、前回の聖杯戦争でサーヴァントとなった ギルガメッシュを今も現界させており、今回の聖杯戦争ではランサーのマスターは知人であり魔術協会所属の魔術師バゼット・フラガ・マクレミッツ(Fate/hollow ataraxiaを参照)と知り、魔術協会に聖杯の真実を知られるのが厄介という理由で騙し討ちによって令呪を奪い、2体のサーヴァントを使役して暗躍する。彼自身は聖杯にかけるべき願いを特に持ち合わせていないので、自分の嗜好にあった願望者が聖杯を使うことを望んでいるが、悪として生まれついた自身と「この世全ての悪(アンリマユ)」とを重ねて見ており、"Heaven's Feel"シナリオにおいては、自身や聖杯では出せない「答え」を「この世全ての悪」が出すことを願ってその誕生を見届けようとする。アーチャーとは違った方向から衛宮士郎の歪みを暴く人物である。 劇場版アニメHFの放送後には、奈須きのこは彼の歪みに「他人が堕落したり、足踏み外したりするところを見たいと思っているわけではなくて、それでしか生の実感ができない人。基本的には、正しい修行をしてまともな道徳観念や精神性を持ち合わせている聖人だが、彼の最大の傷は、世界が苦しまないと自分の実感が持てないことなんです。それに関しては、衛宮士郎も同じで。」と述べられている。 次回の聖杯の体現により絶命する。その状態は"Heaven's Feel"のラストで現れ、『hollow ataraxia』でどんなことをしても逃れられない絶対の事柄だと語られている。詳しくは『Fate/hollow ataraxia』を参照。 葛木宗一郎(くずき そういちろう) 声 - 中田和宏 / てらそままさき(テレビアニメ版第2作)身長:180cm / 体重:70kg / イメージカラー:無色 士郎たちが通う学園の社会科教師。生徒会顧問。実直、寡黙な人物で生徒からの評判は悪くない。柳洞寺に居候している。 キャスターのマスター。魔術師ではなく、聖杯戦争に関係のない人間だったが、柳洞寺の前で行き倒れていたキャスターを助け、突飛な彼女の話を信じて自ら依り代を引き受け、それ以降は彼女に頼まれるままに力を貸すことになった。ただし彼は魔術回路を持たないために令呪は授かっておらず、正規のマスターというわけではない。余りに現実離れした話をする血塗れの女を助け、それを信じた上に自らマスターとなったその寡黙且つ誠実な有り様は、故郷へ帰ることを望むキャスターに「かつて得られなかった女としての幸せ」を思い出させた。 親はなく、とある暗殺集団にただ一度の暗殺だけのための凶器として育てられた。暗殺達成後は即自決するよう命じられていたがそれをせず、冬木市に流れてきたところを柳洞寺の住職に気に入られそこに居候し、暗殺のために与えられた教職という地位を利用して普通の生活を送っていた。しかし、訓練により「感動する心」はなくなっている。 特殊な軌道を描き幻惑する奇襲必殺の暗殺術・"蛇"の達人で、キャスターに魔術で拳を「強化」して神秘を付与してもらうことにより、サーヴァントであっても彼の技を初見する相手であれば互角以上に戦うことができる。ライダーのように個人の戦闘力が優れていない相手ならば殺すことも可能で、UBWルートではライダーをそれによって抹殺し、初見のセイバーすら戦闘不能にしている。ただし、あくまで通用するのは初見の相手に限られ、2度目以降は相手が達人クラスであれば容易に見切られてしまう。彼の背景や能力は、『月姫』と本作が同一世界であることを示す演出の一つである。 また、魔術回路こそ持たないが、彼の呼吸自体が魔術回路の役割を果たす特殊な呼吸法であり、外界と内界を接続して「オド(小源)」を生み出している。この呼吸法を後天的に身に付ける場合、通常ならば一生をかけて習得する必要がある。このことからも彼の生まれの特殊性が伺える。 只成り行きでマスターとなった身でありながらも、キャスターのことを真摯に案じ、故郷へ帰りたがっている彼女の心情を察すると共に、テレビアニメ第2作ではキャスターの願いや互いのあり方などについて問われたことでアーチャーに語っている。 衛宮切嗣(えみや きりつぐ) 声 - 小山力也身長:175cm / 体重:67kg / 誕生日:11月11日 / 血液型:AB型 / イメージカラー:灰色 故人。衛宮士郎の養父で、士郎は彼の雰囲気から「じいさん」と呼んでいる。大河とも親しかった。10年前に士郎を災害から救い、身寄りのない彼を養子に迎えた。その際に自分を魔法使いと名乗っている。実際に魔術師であり、士郎に魔術の知識を与えた。『Fate/Zero』で士郎を救出した際の「助ける事が出来た」と言う彼の安堵の表情は、士郎曰く「まるで救われたのは自分の方だ」というもので、その後の「正義の味方」についての士郎との会話などから、士郎に「自分が正義の味方になる」と決意させることとなる。 往時には名高い「魔術師殺し」で、機械文明を嫌う傾向のある魔術師としては珍しく、銃器を好んで自らの魔術礼装 とし、「固有時制御(タイムアルター)」という自らの肉体に流れる時間の速さを外界のそれと切り離して制御する特殊な魔術を駆使した殺し屋であり、己の正義のためには手段を選ばない「反英雄」的存在だった。 士郎は知らなかったが、10年前の聖杯戦争に参加した魔術師の一人である。アインツベルンに雇われる形でマスターとなり、セイバーのサーヴァントとしてアルトリアを召喚した。最終的に勝者となったが、聖杯の危険性に気付き、セイバーに令呪で命じて強制的に聖杯を破壊させた。セイバー召喚の際に使用した「全て遠き理想郷(アヴァロン)」を、火事で瀕死の重傷を負った士郎を救うために彼の体内へ埋め込んでいる。聖杯から溢れた泥を直接身に浴びたことで「この世全ての悪(アンリマユ)」に肉体を蝕まれ、5年後(本作開始の5年前)に士郎に看取られながら他界する。詳細と活躍については『Fate/Zero』を参照。 元々一般人である士郎に魔術を受け継がせる気などなく、せがまれて仕方なく教えたが「いつでも辞めていい」と言うなど、本気では指導していない。また、士郎の魔術自体もいびつで彼には把握できず、単純にセオリーに基づいただけの投影を無駄と評し、強化の魔術を習得する方を勧めた。ある程度の期間魔術を教えたにもかかわらず、一番の基本かつ肝心な部分で命の危険を伴う魔術回路については造ることしか教えていないのがなぜなのかは、本編では語られていないが、士郎に魔術を教えると決める前に大河と剣道を例え話にして問答したことがあり、その際大河から「わざと出鱈目を教えて、役に立たないから辞めたいと思うように仕向ける。それでも気づかずに続けるならその態度は立派で、その努力は最終的に剣道とは違う道に昇華するだろう」とアドバイスされており、その一環としてなのかもしれないとされている。ほかにも、武術の真似事などを教えている。 遠坂時臣(とおさか ときおみ) 声 - 辻谷耕史(テレビアニメ第1作)身長:177cm / 体重:68kg / 誕生日:6月16日 / 血液型:O型 / イメージカラー:深紅 故人。遠坂凛の父。前回の聖杯戦争で凛に家のことを任せて戦いへ赴き、そのまま帰らぬ人となった。凛はもちろん、言峰綺礼にとっても魔術の師匠である。凛の召喚の不備の原因である家中の時計が1時間早まってしまった現象は時臣の仕業で、「この程度の身近な狂いに気が付かないようなら聖杯戦争に参加するのはまだ早い」という趣向らしい。 10年前の聖杯戦争における本来のアーチャー(ギルガメッシュ)のマスターであり、実は弟子であった綺礼の騙し討ちに遭って殺害された。詳細と活躍については『Fate/Zero』を参照。 間桐臓硯(まとう ぞうけん) 声 - 津嘉山正種(青年期 - 立花慎之介)身長:145cm / 体重:43kg / イメージカラー:群青 "Heaven's Feel"シナリオのみ姿を現す、慎二・桜兄妹の祖父にして間桐家の当主。本名はマキリ・ゾォルケン。500年の時を生き、現在まで永らえてきたマキリ初代当主である。日本に根を下ろして以来、表の姓として名前のマキリを日本語に置き換えて間桐として名乗るようになる。 蟲を操る大妖術師で、元の肉体はとうに捨てており、仮初の不死を実現するため、人の肉を喰らわせた蟲たちで自分の体を形成している。本体である魂を宿らせた蟲を桜の心臓に寄生させているために、例え胴体を真っ二つにされても肉さえ確保できれば再生できる怪物であり、言峰からもその点を「妖怪」と称される。蟲による陵辱によって桜の肉体を作り替え、さらには聖杯に仕立て上げた張本人である。 冬木聖杯戦争を創始した当事者の一人で、英霊を使い魔にするサーヴァントシステムや令呪の考案者でもあった。元々はこの世の悪を根絶するために第三魔法を再現しようとし、魂の物質化による真の不老不死を求めた。しかし永い時の中で魂は劣化し、想いは腐敗して、ただの外道にして前述のような化け物に成り果ててしまう。好々爺めいた言動もほとんど表面だけで、血縁者含む他人の命を平然と自身の目的のために利用する悪辣な男である。同じ魔術師でもある士郎と凛にも嫌悪感を持たれ、さらに後述にある英霊への冒涜がセイバーの怒りを買うと共に、過去の経験に基づいたアーチャーも「妖物」と称して念入りに息の根を止めようとしている。 彼自身は今回の聖杯戦争は見送り、桜の子か孫の代で黒聖杯を完成させ、次回で勝負する考えであったが故に傍観者に徹し、"Heaven's Feel"シナリオ以外では表に出ることがないが、このシナリオでは黒聖杯の完成の兆しが現れたために好機とし、自らアサシンのサーヴァントを召喚して使役・暗躍する。このアサシンは上述の真アサシン(ハサン・サッバーハ)であるが、既にキャスターによって召喚された山門のアサシンを媒介とした、ルール違反にルール違反を重ねた非正規の召喚であるため、令呪は備わっていない。他にもサーヴァントシステムの考案者というだけあり、セイバーに倒されたキャスターの亡骸を能力をそのままにして利用するなどシステムの応用の技術は随一である。桜の命(心臓)を自分が握っているという自信から、彼女を利用して力を得ようと企む。 言峰とも因縁があり、『Fate/Zero』でそれが描写されている。出会った当時の言峰には頭を黒鍵で吹き飛ばされているが、前述した通り身体が蟲で構成されているために効果はない。 アトラム・ガリアスタ 声 - 福島潤 キャスターの召喚者にして、最初のマスター。年齢30代ほどの男性。生前の夫であるイアソンに似ているという容姿と人格がキャスターから嫌悪され、加えてキャスターの魔術師としての技量への劣等感から彼女と対立し、結果としてキャスターに殺害された。本編ではわずかに語られるのみだが、テレビアニメ第2作において初めて名前と、以下のキャラクター像が設定された。 魔術協会から派遣された魔術師。生贄を用いて魔力を生成するという魔術を得意とする金髪に褐色肌の中東系の青年で、かなりの資産家でもあり、魔術に文明機器を利用する。冬木においては高層ビルに工房を築き、常に多数の女魔術師を愛人としてそばに置いて、外部から持ち込んだ数十体の生贄用の少女と、複数の助手を率いて参戦した。自らの魔力結晶生成術に自信を持っており、それに裏打ちされたやや尊大な性格をしている。しかし太古の魔術を操るキャスターはそれを更に効率的な形で軽々とこなしてしまい、その劣等感からキャスターを切り捨てて新規にサーヴァントと契約し直そうと画策するが、キャスターには既に愛想をつかされており、あらかじめ宝具によって契約を断たれて令呪を無効化され、自らの工房で焼殺された。自らもキャスターを裏切ったにも拘わらず、死の間際に彼女を「裏切りの魔女」と蔑むなど、最期まで典型的な魔術師であった。 メディアの逸話を「恋敵を城ごと焼き殺した」と読んでいた。またキャスターには竜を召喚する宝具を期待していたが、彼女自身にはそういった逸話も竜の召喚と制御の知識も無いために「外れサーヴァント」と罵倒していた。『Fate/Zero』で聖杯戦争に「遊び半分で参加した」ケイネスと比較して自らを「真剣に勝ちに行く」と称していたが、協会で新参者である自らの家に箔を付けるという彼自身も動機の根本的な部分が同じであった。キャスターに竜召喚を期待していた件以外にもマナの生成で「ほかのマスターを圧倒する準備がある」と確信していたが、それ故にキャスターからは「始める前から結果を出そうとした」と死の間際に侮蔑された。 本作に繋がる世界軸の物語である『ロード・エルメロイII世の事件簿』にも登場し、作中人物に感心されるほどには魔術による戦闘力の良さが描かれており、ロード・エルメロイII世が参加を希望し、のちに辞退した第5次聖杯戦争の魔術協会からの参加枠を争っている。
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