地球温暖化 地球温暖化の概要

地球温暖化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/11 02:36 UTC 版)

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1940年–1980年の平均値に対する1999年から2008年の地表面の平均気温の変化
1990年–2010 年9月22日年の平均値に対する2070年から2100年の地表面の平均気温変化量の予測

概要

地球の歴史上、気候の温暖化や寒冷化は幾度も繰り返されてきたと考えられている。地球全体の気候が温暖になる自然現象を単に「温暖化」と呼ぶこともあるが、近年観測されており、将来的にも百年単位で続くと予想される「20世紀後半からの温暖化」の意味で用いられることが多い。この記事では20世紀後半からの温暖化について説明する。

現状の科学的理解

世界の年平均気温の偏差の経年変化(1891~2010年)[1]

地球表面の大気海洋の平均温度は「地球の平均気温」または「地上平均気温」と呼ばれ、地球全体の気候の変化を表す指標として用いられており、19世紀から始まった科学的な気温の観測をもとに統計が取られている。地球の平均気温は1906年から2005年の100年間で0.74(誤差は±0.18°C)上昇しており、長期的に上昇傾向にある事は「疑う余地が無い」と評価されている[2][3]。上昇のペースは20世紀後半以降、加速する傾向が観測されている[2]。これに起因すると見られる、海水面(海面水位)の上昇や気象の変化が観測され、生態系人類の活動への悪影響が懸念されている[2]

この地球温暖化は自然由来の要因と人為的な要因に分けられる[注釈 1]。20世紀後半の温暖化に関しては、人間の産業活動等に伴って排出された人為的な温室効果ガスが主因とみられ、2007年2月に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発行した第4次評価報告書 (AR4) によって膨大な量の学術的(科学的)知見が集約された結果、人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は9割を超えると評価されている[注釈 2]。このAR4の主要な結論は変わっておらず、より多くのデータを加えた第5次評価報告書の作成が進められている[4]

AR4によれば、2100年には平均気温が最良推定値で1.8–4°C(最大推計6.4°C)上昇すると予測される[注釈 3]。地球温暖化の影響要因としては、「人為的な温室効果ガスの放出、なかでも二酸化炭素メタンの影響が大きい」とされる[注釈 4]。その一方で太陽放射等の自然要因による変化の寄与量は人為的な要因の数%程度でしかなく、自然要因だけでは現在の気温の上昇は説明できないことが指摘されている[注釈 4]。一度環境中に増えた二酸化炭素などの長寿命な温室効果ガスは、能動的に固定しない限り、約100年間(5年–200年[5])にわたって地球全体の気候や海水に影響を及ぼし続けるため、今後20–30年以内の対策が温暖化による悪影響の大小を大きく左右することになる[注釈 5]。理解度が比較的低い要因や専門家の間でも意見が分かれる部分もあり、こうした不確実性を批判する意見も一部に存在する。ただし、AR4においてはそのような不確実性も考慮した上で結論を出しており、信頼性に関する情報として意見の一致度等も記載されている[注釈 6]

地球温暖化は、気温や水温を変化させ、海面上昇降水量(あるいは降雪量)の変化やそのパターン変化を引き起こすと考えられている[注釈 7]洪水旱魃酷暑ハリケーンなどの激しい異常気象を増加・増強させる可能性や、生物種の大規模な絶滅を引き起こす可能性も指摘されている[注釈 7]。大局的には地球全体の気候生態系に大きく影響すると予測されている[注釈 7]。ただし、個々の特定の現象を温暖化と直接結びつけるのは現在のところ非常に難しい。 こうした自然環境の変化は人間の社会にも大きな影響を及ぼすと考えられている。真水資源の枯渇、農業漁業などへの影響、生物相の変化による影響などが懸念されている[注釈 7]。2–3°Cを超える平均気温の上昇が起きると、全ての地域で利益が減少またはコストが増大する可能性がかなり高いと予測されている[注釈 8]。温暖化を放置した場合、今世紀末に5–6°Cの温暖化が発生し、「世界がGDPの約20%に相当する損失を被るリスクがある」とされる(スターン報告)。既に温暖化の影響と見られる変化が、世界各地で観測され始めている[注釈 9]

このように地球温暖化のリスクが巨大であることが示される一方、その抑制(緩和)に必要な技術や費用の予測も行われている。スターン報告AR4 WG III、IEA等[6]の報告によれば、人類は有効な緩和策を有しており、温室効果ガスの排出量を現状よりも大幅に削減することは経済的に可能であり、経済学的にみても強固な緩和策を実施することが妥当であるとされる。同時に、今後10–30年間程度の間の緩和努力が決定的に大きな影響力を持つと予測されており[注釈 10][6]、緊急かつ現状よりも大規模な対策の必要性が指摘されている[6]

このような予測に基づき、地球温暖化の対策として様々な対策(緩和策)が進められているが、現在のところ、その効果は温暖化を抑制するには全く足りず、現在も温室効果ガスの排出量は増え続けている[6]。これらの対策に要するコスト等から、このような緩和策に後ろ向きの国や勢力も少なくない。しかし対策に投資しなければ後にその数倍の出費を強いられると見られることなどからこれ以上対策を遅らせるのは経済的にも誤りであると指摘されている。[要出典]

対策としては京都議定書が現時点で最も大規模な削減義務を伴った枠組みとなっている。現行の議定書は、議定書目標達成に成功した国々もある一方、離脱・失敗した国々もあるなど、削減義務達成の状況は国により大きく異なり、議定書の内容に関する議論も多い。しかし温暖化が危険であり、対策が必要であることは、既におおむね国際的な合意(コンセンサス)となっている[7]。対策費用増加を含めた今後の被害を抑制するため、現状よりもさらに強固な緩和策が必要であると指摘されている[6]

歴史的経過

地球の気候に関しては、1970年代には「地球寒冷化」の可能性が取りざたされたこともあった。しかしこの寒冷化説は根拠に乏しく[8]、科学的に調べていく過程で、実は地球が温暖化していることが明らかとなっていった。一般の間でも寒冷化説が広まっていたが、1988年アメリカ上院の公聴会におけるJ.ハンセンの「最近の異常気象、とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい」という発言が、「地球温暖化による猛暑説」と報道され、これを契機として地球温暖化説が一般にも広まり始めた。国際政治の場においても、1992年6月の環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)にて気候変動枠組条約が採択され、定期的な会合(気候変動枠組条約締約国会議、COP)の開催が規定された。研究が進むにつれ、地球は温暖化しつつあり、人類の排出した温室効果ガスがそれに重要な役割を果たしているということは、議論や研究が進む中で科学的な合意(コンセンサス)となっていった。このコンセンサスは2001年のIPCC第3次評価報告書(TAR)、2006年のスターン報告、2007年のIPCC第4次評価報告書(AR4)などによって集約された。問題提起から約20年を経て、その対策の必要性は国際的かつ学術的に広く認められるに至っている[要出典]

温暖化の主因と見られる[注釈 11]人為的な温室効果ガスの排出量を削減するため、京都議定書が1997年に議決され2005年に発効し、議定書の目標達成を目処に削減が行われてきた。欧州では順調に削減が進み、目標達成の目処が立っている。しかし主要排出国の米国が参加しておらず、また先進国のカナダが目標達成をあきらめたり、日本が削減義務達成に失敗しそうな情勢になっている。途上国の排出量を抑制する道程も定まっていない。その一方で、温暖化の被害を最小にするには、京都議定書より一桁多い温室効果ガスの排出量削減率が必要とされる。2007年のハイリゲンダムサミットにおいては「温室効果ガスを2050年までに半減する」という目標が掲げられたが、具体的な削減方法や負担割合については調整がつかず、2007年12月の温暖化防止バリ会議(COP13)においても数値目標を定めるには至っていない。しかし、国際政治の舞台では温暖化問題あるいは温暖化対策が主要な議題とされることが多くなってきているのは明白である。[要出典]




注釈

出典

  1. ^ 世界の年平均気温の偏差の経年変化、気象庁
  2. ^ a b c IPCC第4次評価報告書 統合報告書 概要 日本語訳
  3. ^ Climate Change 2007: Synthesis Report
  4. ^ Intergovernmental Panel on Climate Change
  5. ^ 温室効果ガスに関する基礎知識 気象庁。
  6. ^ a b c d e IEA, World Energy Outlook 2011 日本語エグゼクティブサマリー
  7. ^ 第15回気候変動枠組条約締約国会議#コペンハーゲン合意を参照
  8. ^ Peterson, Thomas & Connolley, William. “The Myth of the 1970s Global Cooling Scientific Consensus(1970年代の地球寒冷化の科学的な一致に関する伝説)”. American Meteorological Society. 2008年4月12日閲覧。
  9. ^ Stern Review Archived 2006年12月9日, at the Wayback Machine.
  10. ^ IPCC SREX Summary for Policymakers, IPCC, 2011 CLIMATE EXTREMES AND IMPACTS
  11. ^ “世界で異常気象深刻”報告書、NHK、2011年11月19日
  12. ^ 温暖化影響総合予測プロジェクト報告書”地球温暖化 日本への影響-最新の科学的知見-”国立環境研究所など14機関、2008年5月29日(温暖化影響総合予測プロジェクト(環境省)の前期三年間の成果報告書)
  13. ^ 日本沿岸の海面水位の長期変化傾向、気象庁、2007年2月13日
  14. ^ Table10.7, Figure 10.33
  15. ^ A new view on sea level rise,Stefan Rahmstorf,6 April 2010
  16. ^ UNEP, Bloomberg, Frankfurt School, Global Trends in Renewable Energy Investment 2011(要登録)、Figure 24.
  17. ^ Petroleum Geologists Award to Novelist Crichton Is Inappropriate (AGU)
  18. ^ Q&A ココが知りたい温暖化国立環境研究所
  19. ^ 環境問題のウソと正解安井至、日経エコロミー、2007年7月
  20. ^ 『私たちの選択』ランダムハウス講談社、p150-167。


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