ヨーグルト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/16 05:56 UTC 版)
世界のヨーグルト
地域毎に原料乳や製法が異なるため、様々な特徴をもつヨーグルトが存在している。
- ブルガリアのヨーグルトは先住民のトラキア人により始まり、支配者が変わってスラブ人に引き継がれ現代に続いている。ブルガリアでは聖ゲオルギの日である5月6日に家畜の放牧を始めるとともに、家々でヨーグルトを作り始めている[4][24]が、近代的な工場で大量生産された製品も多く流通し、現在でも常時どの家庭でもヨーグルトを料理などに使っている。また、ヤギの乳を使ったヨーグルトなどいろいろなものが販売されている。素焼きの入れ物に入れて作り、そのまま素焼きの器ごと販売する地域が多いのは、菌がバランスを崩さずに生きるのを助けるためである。この場合、常温のまま販売される。また、素焼きの器は多孔質なので、水分が適度に抜けてヨーグルトがほどよく濃縮されるという効果がある。
- 凡例
- 地域名:ヨーグルトの名前 - 使われる乳のタイプ
- 特徴など。
- インド/パキスタン:ダヒ(dahi、ヒンディー語)、ドイ(doi、ベンガル語)、タイール(thair タミル語)、カード(curd、英語) - 牛乳、山羊乳、水牛乳
- 地方によっては、素焼きの器に入れて作られそのまま売られている。また、地方により味が違う。工業的に作られる物よりも、地方で自家製のものが多く販売されている。
- ネパール:ダヒ(dahi、ネパール語)
- 西スマトラ:ダディ(dadih、インドネシア語) - 水牛乳
- スリランカ:カード(curd、英語) - 牛乳、水牛乳
- 硬く濃厚な味。素焼きの器に入れて作られて売られる。地方で自家製のものが多く販売されている。
- 中国(青海省):スアンナイ(酸奶) - 牛乳、ヤク乳[25]
- モンゴル:アイラグ - 馬乳
- 中央アジア:クーミス - 馬乳、ラクダ乳
- アフガニスタン:マースト(māst、ダリー語)
- イラン:レーベン/マースト(māst、ペルシア語) - 牛乳、山羊乳
- イラク:リバン(liban、لبن アラビア語)
- シリア、レバノン、パレスチナ:ラバン(laban、لبن アラビア語)
- エジプト:ザバディ(zabadi、アラビア語) - 牛乳、山羊乳、水牛乳
- グルジア:マツオーニ(matsoni、グルジア語) - 牛乳、山羊乳、羊乳
- アルメニア:マツン(matsun、アルメニア語)
- ギリシャ:ヤウルティ(giaurti、ギリシャ語)
- トルコ:ヨウルト(yoǧurt、トルコ語) - 牛乳、ヤギ乳、羊乳
- ブルガリア:キセロ・ムリャコ(Кисело мляко、kiselo mljako、ブルガリア語) - 牛乳、羊乳
- ロシア:ケフィール(kefir) - スメタナ(Smetana-ロシア語) -牛乳
- 北スペイン:クァハダ(cuajada)/マミヤ(mamiya) - 牛乳、山羊乳
- スカンジナビア半島:テッテ - 牛乳、脱脂乳
- より濃厚なヨーグルト。素焼きの器に作られ売られる。普通のヨーグルトとは区別されて売られている。
カルグルト
カルグルトは、皇室で食されるヨーグルトで、発酵には皇室専用の菌を使い、牛乳はジャージー種とホルスタイン種の低温殺菌牛乳をミックスさせて作られ、水で割って飲まれている[26]。
- ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
- ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
- ^ “Standard for Fermented Milks (CXS 243-2003)” (PDF). 食品規格委員会. 2020年11月3日閲覧。
- ^ a b c d e f 堀内啓史、ヨーグルトの温故知新 ― ブルガリアの伝統的なヨーグルトを科学することで生まれた研究成果 ― 日本乳酸菌学会誌 2012年 23巻 3号 p.143-150, doi:10.4109/jslab.23.143
- ^ 牧野聖也、池上秀二、ヨーグルト乳酸菌が産生する菌体外多糖の利用と培養条件の影響 日本乳酸菌学会誌 2013年 24巻 1号 p.10-17, doi:10.4109/jslab.24.10
- ^ 小学館『国語大辞典(新装版)』1988年
- ^ 岩波書店『広辞苑』第五版 1998年
- ^ 三省堂『大辞林』第三版 2006年
- ^ 後藤真生、「腸内常在菌は腸管免疫系にどのように影響するか?」『化学と生物』 2000年 38巻 4号 p.248-249, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.38.248
- ^ 瀧口隆一、鈴木豊、乳酸菌の人工消化液中での生残性 腸内細菌学雑誌 2000年 14巻 1号 p.11-18, doi:10.11209/jim1997.14.11
- ^ 神戸保、「ヨーグルト」『生活衛生』 1983年 27巻 4号 p.224, doi:10.11468/seikatsueisei1957.27.224
- ^ a b 寺田厚、原宏佳、長部康司 ほか、ヨーグルトの投与が糞便菌叢および腐敗産物生成量に及ぼす影響 食品と微生物 1993年 10巻 1号 p.29-34, doi:10.14840/jsfm1984.10.29
- ^ 夏目幸明、「ヨーグルトは身体に良い」はウソだった!? ダイヤモンドオンライン 2016年7月22日
- ^ 佐藤基佳 ほか、「乳牛と新生子牛の血中ビタミンB1、B2、B6およびB12濃度」『動物臨床医学』 2003年 12巻 2号 p.93-98, 動物臨床医学会, doi:10.11252/dobutsurinshoigaku.12.93
- ^ 石井智美「内陸アジアの遊牧民の製造する乳酒に関する微生物学的研究」(PDF)『「酒をめぐる地域間比較研究」JCAS連携研究成果報告』第4巻、2003年、103-122頁、CRID 1570291225293707520。
- ^ 村尾周久, 井垣和美, 長谷部広子, 金子勉, 鈴木英毅「乳糖不耐症者による牛乳とヨーグルト飲用後の呼気中水素と腹部症状の相違」『日本栄養・食糧学会誌』第45巻第6号、日本栄養・食糧学会、1992年、507-512頁、CRID 1390001206292290688、doi:10.4327/jsnfs.45.507、ISSN 02873516。
- ^ Corliss, Julie (2024年5月1日). “Practical pointers about protein” (英語). Harvard Health. 2024年5月24日閲覧。
- ^ 佐々木泰子「ヨーグルトを造る乳酸菌共生発酵研究の最近の知見」『日本乳酸菌学会誌』第26巻第2号、日本乳酸菌学会、2015年、109-117頁、CRID 1390282679445707648、doi:10.4109/jslab.26.109、ISSN 1343-327X。
- ^ a b 村上和保「家庭で作られるケフィールの細菌汚染状況」『日本家政学会誌』第46巻第9号、日本家政学会、1995年、881-883頁、CRID 1390001206332500224、doi:10.11428/jhej1987.46.881、ISSN 0913-5227。
- ^ 野白喜久雄ほか 『改訂醸造学』 1993年3月。ISBN 978-4-06-153706-4
- ^ a b 日本植物生理学会-みんなのひろば- 質問:樹木の枝に住む乳酸菌について
- ^ @nifty:デイリーポータルZ:牛乳に木の枝を入れるとヨーグルトになるらしい
- ^ 小項目事典,日本大百科全書(ニッポニカ), ASCII.jpデジタル用語辞典,デジタル大辞泉,栄養・生化学辞典,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,ブリタニカ国際大百科事典. “カード(かーど)とは - コトバンク”. コトバンク. 2018年11月6日閲覧。
- ^ 世界の人々の暮らし ~ブルガリア~ 日本成人病予防協会
- ^ 崔岱遠『中国くいしんぼう辞典』 川浩二訳 みすず書房 2019年、ISBN 978-4-622-08827-1 pp.193-196.
- ^ 横田哲治 『天皇家の健康食』 新潮社、2001年12月、18-21頁
- ^ 宮崎正勝『知っておきたい「食」の日本史』P213 角川ソフィア文庫
- ^ a b c 小田宗宏、身近で活躍する有用微生物II 食品と有用微生物 -西洋の食文化と微生物 (PDF) モダンメディア 2016年11月号(第62巻11号)
- ^ “【衝撃】明治ブルガリアヨーグルトをブルガリア人が食べた感想「ウマすぎてヨーグルトが好きになった」”. ロケットニュース24 (2018年11月7日). 2019年11月27日閲覧。
- ^ ヨーグルトの製造方法|ヨーグルトと乳酸菌飲料|乳と乳製品のきほん知識|一般社団法人日本乳業協会
- ^ 桐生高明, 木曽太郎, 駒大輔, 田中重光, 中野博文, 村上洋「食品用途に利用可能な機能性糖質ラクトビオン酸の生産法の開発」『日本食品科学工学会誌』第63巻第4号、日本食品科学工学会、2016年、137-141頁、CRID 1390282681384984064、doi:10.3136/nskkk.63.137、ISSN 1341-027X。
- ^ 新沼杏二『チーズの話』 新潮選書 P.107-108 ISBN 4-10-600238-8
ヨーグルトと同じ種類の言葉
- ヨーグルトのページへのリンク