ネガティブレイン
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「サイケまたしても」の記事における「ネガティブレイン」の解説
黒田ユメヲ率いる能力保持者集団の組織。主な活動内容は、能力を悪用する者を探し出し、ボスであるユメヲの『能力消去』で能力を消し去ること。メンバーは十数名を数え、大型のヘリを所有しているなど資金力もある。『ネガティブレイン』は『ネガティブ』と『ブレイン』を合わせた『マイナス思考』の意味がある。 黒田ユメヲ(くろだ ユメヲ) 『ネガティブレイン』のボス。超が付くネガティブ思考の持ち主。普段は、普通のサラリーマンとして働いているらしい。『ネガティブレイン』のメンバーは彼が直に勧誘して引き入れた者たちで、仲間となった者には全面的な信頼を置く一方で、離反者が出た場合には即座に姿をくらますという、両極端に徹底したやり方をとっている。白髪だが、これはストレスによるもので地毛は黒髪であり、後に元に戻っている。 妹のミユキが何者かの能力によって昏睡状態に陥ってしまったことで能力を嫌悪するようになり、ミユキを救うためもあって強硬に能力保持者を襲い続けていた。サイケとの初邂逅時には、『時間逆行』を「失敗から学ぶ人の成長を消してしまう悪魔の能力」と断じて『能力消去』で消去しようとしたが、激痛にも折れないサイケの意志を汲み取り、サイケと氷頭を見逃す形で撤退した。サイケの協力でミユキを救出してからは、能力を悪用しない者には手を出さないことを約束し、サイケ達とは付かず離れずの関係を保っている。ヨハンが突如裏切り、ウィルによってメンバーが洗脳されたことで殆どのメンバーが彼から離反してしまったが、時間経過とともに洗脳の解けたメンバー達は逐次彼の元に集結している。 本作の連載前(2010年)に、彼を主人公に据えた本作の数年前の過去に当たる読切『ネガティブレイン』がビッグコミックスピリッツに掲載されている。そこで描かれた人物像は現在と変わらないマイナス思考の他、世の中のリア充への羨望と敬意を抱いており、人は変われることを身を以って証明しようとするなど現在よりは前向きな部分も散見された。この時点で既に『余地夢』の能力を持っており、いくつかの悲劇を回避していた。余地夢(よちむ) 「感知種(センス)」。発動条件は眠ってる時に夢を見ること。未来を夢として見る能力のために自発的に使うことは出来ず、ネガティブな未来しか見えない。見えた映像は絶対不可避の事象として必ず起こってしまうが、見えた通りにするならば改変して回避する『余地』がある(例:『刃物に刺されて大量の出血をする』映像が見えた場合、血糊や赤ワインを仕込んで出血の代わりとなる赤い液体が噴き出すようにしなければ、どんな防御手段で防いでも必ず出血してしまう)。また映像の周囲を観察、記憶することで発生する時間帯や場所なども割り出せるので、本人の細工能力や想像力が高ければより生存率も高くなる。 能力消去(オラクルデバッグ) 発動条件はユメヲが対象の頭に触れたうえで、対象が自ら能力を手放すと承認すること。ユメヲの持つもう一つの能力で、文字通り対象の能力を永久に消去できる。能力を消すには対象に「能力を放棄する」と言わせる必要があるため強制力がないが、発動の際には正気を失うほどの激痛と出血が対象を襲うため、それらの発言を引き出すことは容易い。今までこの力に耐え抜いた能力者はサイケ以外に存在していない。「眠らせ魔」逆神に対抗する能力を求め、ヒ号に接触されたことで発現した。 八乙女研二(やおとめ けんじ) 『ネガティブレイン』メンバーの一人。グラサンに短パン、素肌にカラフルなシャツという妙な服装をした、チャラい言動の男。騙されやすい性格らしい。手柄を立てれば後に建国するユメヲ王国での地位を得られるという、あからさまな仲間の嘘を信じていたが、単純に騙されやすいのか、『説得力』の効果によるものであったのかは不明。アナとサイケ達の戦いに突然割り込む形で参戦し、氷頭とのタイマン勝負に持ち込んだ。能力を得たことで自由を得たと標榜しつつ能力を使用することを楽しみ、地形を利用し有利に立ち回っていたが、氷頭に地形を逆用されてしまいカウンターを叩き込まれて敗北した。とにかく言動がチャラいため、一見すると信用の置けない人間に見えるが、アナの転落を身を以て助けるなど非常に義理堅いタイプ。サイケに命を救われるも「助けたことを後悔するんだな」と言い残し逃走するが、ユメヲにはサイケ達の詳細な情報までは伝えなかった。理由は不明だがヨハン達の洗脳は受けておらず、以降は長らく消息を絶っていた。実は氷頭と同じく「力の煙」を見ることができ、そして氷頭より教え上手だったため、久しぶりに戻ってきた際に、能力者探しのために仲間たちに「力の煙」を見るコツを教えることができた。タイヤ化 「変質種(チェンジ)」。発動条件は物体に触れること。物体や自身の身体をタイヤ化し高速移動する。タイヤの加速力はかなりのモノで、投げ付けられた電柱を遥か上空に蹴り飛ばすほどの脚力を生み出したり、目にも止まらぬスピードで縦横無尽に走り回れる。壁などの垂直方向にも移動できるため、場所によっては地形に左右されない動きが可能。 十条魔胡(じゅうじょう まこ) 『ネガティブレイン』メンバーの一人。9歳の少女。主に、能力を活用した諜報活動を行っている。ユメヲが探していた「眠らせ魔」逆神の所在を報せるが、その結果、ユメヲ達は返り討ちに遭ってしまう。打つ手がなくなった彼女はサイケに助けを求め、サイケの協力者としてサポートに回ることで逆神の打倒に成功した。ヨハンの裏切りと共にメンバーが洗脳された際も、諜報活動により単独で行動していた彼女は洗脳を免れてたため、全編を通してユメヲの元にいる。諜報活動時以外ではユメヲと行動することが多い。ハムスター化 「変質種(チェンジ)」。発動条件は対象物を掌で包むこと。物体を彼女の思い通りに動くハムスターに変化させる能力だが、生み出されるのはただのハムスターではなく、広域探査やヒマワリの種を利用した狙撃を行うなど、かなり多機能な能力を有している。 ヨハン・ディートリッヒ 『ネガティブレイン』最古参のメンバーである、涼やかな美貌の青年。若くして考古学の教授をしていたドイツ人。突如ユメヲを裏切り、ウィルの『説得力』でメンバーの殆どを自分の勢力に引き入れた。能力を進化の証、能力保持者を『次の人間(ネクスト)』と呼称し、「能力保持者達のヒーロー」として新たな世界を造るべく活動を開始。能力を持たない旧人類はいずれ能力保持者である自分達に牙を剥くと語りつつ、すべての人間を能力保持者にすることで「世界を平らにする」のが目的と語る。友情をバカにしながら友情ごっこの芝居でサイケを手に入れようと画策するなど下劣な行いを繰り返しており、サイケからは洗脳でしか仲間を作れない最低のクズだと軽蔑された。 かつては「能力の起源」を知ることを夢見てシルヴァと共に研究に励む純真な若者だったが、同志として出会った初恋の人・三色スミレの非業の死をきっかけに、現在の思想や性格に至ってしまった。その思想はスミレが能力保持者だったことが影響しており、能力保持者を守るという目的は偽りではない。サイケとの複数回にわたる戦いの末に「ヒーロー」としての敗北を認め、そしてスミレの遺志を知ったことで改心し、本性を露わにしたウィルとの最終決戦には仲間として同行した。その中で、拘束を脱するためにバックスの能力で子供に若返ったため、以降は外見年齢相応の子供として生活している。回転(ロンド) 物体を回転させる能力。主な使い方は、攻撃を逸らす、円を描くように超高速移動する「回転移動(スピログラフ)」、金属片を掌の中で回転させ、手を払うだけで近距離の物体を切断する「回転刃(テンソー)」、鉄球を手元で周回させ、弧を描く軌道で放つ「公転(レボリューション)」といったもので、非常に高い戦闘力を発揮できる。有効な対策を取るのは難しい能力だが、ヨハンは能力が露見しないように注意を払っており、劇中で内容が明らかになったのはかなり後のこととなった。主な使い方が示すように直接触れていない物体でも回転させ続けることができるようで、上空にある無人のヘリのプロペラを回転させて飛行させたことすらあるため、効果範囲はかなり広いと思われる。 ウィル・クルーニー 『ネガティブレイン』メンバーの一人。無邪気な子供のように振る舞っているが、能力で他人の心を操ることに躊躇がなく、ヨハンの真の目的を知りながらも協力するなど善良とは言い難い人物。夕日が海に落ちるのを見るのが好き。 実年齢は120歳。アメリカ・ペンシルバニア州生まれで、あらゆる面において平凡な人間であったが、能力に目覚めたことで全てを思うままにして人生を謳歌するも、洗脳した人間にどれだけ自分を持て囃させても虚無感は拭えなかった。バックスに出会ったことで自分を6歳の子供の状態に留め置かせることを思いつき、大人相応の技能を子供の立場で披露して「神童」として持て囃されることで欲求を満たしている。しかし脳の酷使による寿命が迫っているため、その解決策を探し求め、ヨハンが所有していた「箱」の中身である『万物の記録』を掠め取るために協力していた。記録そのものには全く関心がなく、入れ物としての「超大容量の記憶媒体」という性質のみを利用し、生き長らえることを目論む。これまで通りに過ごして、永遠に「神童」として他者から持て囃され続けることだけが目的であり、そのためにあらゆるものを利用し、「普通じゃない」人間に嫉妬して思うままに貶めて愉悦を得るなど、野望こそ小さいが肥大化しきった邪心の持ち主。説得力(ハートブレイカー) 「操作種(コントロール)」。発動条件は相手と握手しながら話すこと。どんなウソでも信じ込ませられる能力。洗脳された者は信じ込んだ内容に基づいた自己欺瞞を行うようになるため、論理の矛盾を突かれても聞く耳を持たず、他者の干渉で洗脳を解除することは極めて難しいが、親しい者の死を目の当たりにするなどして精神に強いショックを受けると解除される。また、ウィルが近くにいない状態で5日経つことで自然に解除される。 カリム・クリスタンヴァル 『ネガティブレイン』のメンバーの一人。フランスの名家に生まれた美少年。なにかにつけて状況をロールプレイングゲームのテキストのように解説し、自分を「勇者」に喩える。家柄に縛られた人生に嫌気が差して15歳の時に出奔し、能力に目覚めてからはゲーム感覚で能力者狩りをすることを唯一の生き甲斐にしており、ヨハン・ウィルのそれぞれの裏切りの際にはその欲のため自分の意思でそちらについている。自分を倒した氷頭の言葉の数々を一度は拒絶したものの、心中には変化があり、後にウィルに敗れて死亡したサイケらを救うために2つ目の能力を使用し、ウィルへの協力を放棄してその場を去った。鎖化 発動条件は不明。体の様々な部位や持っているものが起点となり、複数同時に出すこともできる。離れたところから鎖を操作して敵を拘束したり、自分の髪の毛を鎖に変えて前方の壁に突き刺し、身体を勢い良く引っぱることでワイヤーアクションのように猛スピードで突進することも可能。 勇者の特権(セーブ&コンティニュー) ヒ号捜索時に噛みつかれたことで発現した、サイケと同じ時間逆行能力。氷頭に敗北して「コンティニューする限り勇者である自分に負けはない」と念じていた時のことであったため、このような能力となった。発動時から1,2,3時間前のいずれかを選んで巻き戻ることができる。発動条件は特にないと思われる反面、一度の発動で寿命を年単位で消費する。発動する際にはゲーム機のコントローラーが現れてそれを操作し、ロールプレイングゲームのコンティニュー画面を模したような選択肢が表示される。 峰岸マサムネ(みねぎし マサムネ) 『ネガティブレイン』メンバーの一人。東雲とは高校の同級生。ウィルに洗脳されてヨハンの下についた一人で、モグラ池で戦闘となり、記憶を取り戻してループしたサイケによって能力の発動条件を見破られ、氷頭に殴り倒されて敗北した。その後、軟禁されたことで時間経過で洗脳が解け、同じく正気に返った優子ともどもユメヲとサイケらに土下座で平謝りして『ネガティブレイン』に復帰する。植物操作 「操作種(コントロール)」。発動条件は眼鏡に触れていることで、頻繁に眼鏡を持ち上げる動作をするのがそのカモフラージュになっている。物体に植物を生み出す能力で、植物の成長速度は凄まじく早く、人体を容易く貫通する『蔓矛(バインランス)』、植物を巻き付けて拘束する『芽吹きの春(スプリングデイズ)』など、植物のバリエーションは複数あり、地中に根を張って半径200mの振動を聴き分けるといった芸当も可能。 無敵優子(むてき ゆうこ) 『ネガティブレイン』のメンバーの一人。カチューシャを付けた少女。『説得力』でアナ達が裏切ったと思い込まされてヨハン側につき、戦闘になった。アナと戦う際には彼女に裏切られたことを涙を浮かべて糾弾するなど、仲間意識が強い。アナに敗北して拘束された後、マサムネともどもユメヲとサイケらに土下座で平謝りして『ネガティブレイン』に復帰した。万力(アックス) 「加減種(プラマイ)」。発動条件は特になし。1日の中で3分間だけ身体能力を数倍に強化する。一度発動すると残り時間を使い切るまで解除不可能。 椎名町雪(しいなまち ゆき) 『ネガティブレイン』メンバーの一人。テンション低めの話し方をする、かなりスタイルの良い女性。ウィルに洗脳されてヨハンの下についた一人で、「癒やし神」奪取のためにヨハン、東雲とともにネパールを訪れ、『静寂の濃霧』で氷頭、アナをまとめて無力化した。サイケの決死のループの後、アナに能力の強力さから来る慢心を突かれ『静寂の濃霧』の特性を逆手に取られて、敗北。東雲とともにヨハンに置き去りにされたため、時間経過で正気に返った。その後は『ネガティブレイン』に復帰して、再びユメヲらと行動をともにしている。静寂の濃霧(サイレントミスト) 「世界種(ワールド)」。発動条件は不明。周囲を濃い霧が包み視界を閉ざすと同時に音もかき消してしまう能力。気配の察知などの第六感的な知覚すら無力化する。椎名町本人と彼女に触れている者だけは、霧の影響を受けない。霧は物質的なものであるため、風で吹き飛ばされると効果が失われてしまう。 東雲静丸(しののめ しずかまる) 『ネガティブレイン』メンバーの一人。額に大きな傷がある、常に笑顔の青年。マサムネとは高校の同級生。元はプロからスカウトが来るほどのピッチャーだったが、事故で引退を余儀なくされた過去がある。その際にはマサムネの言葉に励まされたことで立ち直っており、恩義を感じている。「癒やし神」奪取のためにヨハン、椎名町とともにネパールを訪れ、『巨像化』で街中を混乱に陥れた。サイケの決死のループの後、氷頭にフードを発泡スチロール化して引き裂かれたことで能力を封じられ、敗北。椎名町と同じく、置き去りにされたため洗脳が解けて『ネガティブレイン』に復帰している。巨像化(ギガント) 発動条件は何かで自分の頭(特に顔)を覆うこと。彼が常にフードを被っているのは、この条件を即座に満たすためである。身体が衣服もろとも数階建てのビル並に巨大化し、膂力や頑丈さもサイズに見合った強靭さに向上する。発動中は自我を失い、「発動してから最初に自分に命令した者」の命令のみに従って動くようになる。ただし、命令を遂行するための判断力や知識は発動中も健在。 ウーズラ 『ネガティブレイン』のメンバーの一人。フランケンシュタインの怪物を髣髴とさせる顔の傷跡が特徴的な、カタコトで喋る大男。片手で人間を掴み上げる腕力を持っている。プロペラ化 「変質種(チェンジ)」。発動条件は対象に触れること。自身や他者の身体、無機物を問わずにプロペラを生やす。プロペラの回転によって巻き起こる風は『静寂の濃霧』を吹き飛ばす、『万力』の前進を押し留めるなど、かなり強力。 チャン・ミンミン 『ネガティブレイン』メンバーの一人。中国人らしき幼い少女。悪人というほどではないがずる賢い性格。死亡遊戯(ミンミンワールド) 「世界種(ワールド)」。発動条件は特になし。解除条件はミンミンが気絶するか閉園を宣言すること。1日に1回だけ、異空間『ミンミンワールド』を開園し、開園宣言時に射程距離内にいた人間を引き込める。園内では敵への攻撃は無力化され、ミンミンが指定する遊戯で勝負しなくてはならない。敗者にはマスコットであるピエロの『イトーちゃん』が制裁を加えてくる。劇中で行ったのはあっち向いてホイで、ミンミンが「初期微動」を見抜くことを得意としているため、真っ当に勝負する限りは一方的に勝利できる実力がある(ただし、ジャンケン部分に関しては人並み程度)。 シルヴァーノ・ダ・ヴィンチ 『ネガティブレイン』のメンバーの一人。愛称はシルヴァ。眼鏡をかけた大柄な青年。寡黙で常に冷静、メンバーからも非常に頼りにされているが、両生類が大の苦手で、蛙が1匹目の前に現れただけで気絶するほど。 ヨハンの大学時代からの友人で、彼の暴走を止められる可能性を持つと見込んだサイケをヨハンの罠から救出し、ヨハンから離反する。ただ、それもヨハンへの友情から出た行動であり、ヨハンがこれまでの贖罪のために生きることを決めてからは、再び彼と行動を共にしている。魚化(ダイビングフィッシュ) 「変質種(チェンジ)」。発動条件は一枚布で自分の体全体を覆うこと。自分の体を覆う布を魚に変化させ、壁や地面に水中のように潜行して高速で自在に泳ぎ回ることができる。地中にいても正常に視界を発揮できるため、遺跡探索においてはそれを活用して発掘対象の目星をつけていた。なお、魚に変化しているのはあくまでも体を覆った布であり、シルヴァ自身は、元の姿のまま魚の体内に身を潜めている状態である。自分以外の人間も自分と一緒に覆うことで、魚の体内に潜ませることができるが、その定員は1名まで。
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