夕日
夕日の一般的な意味
夕日とは、15時~18時ごろの夕方の時間帯の空で沈んで行く太陽、またその光を意味する表現。夜になる間際の日没近くになって、夕日で西の空が赤く染まる現象は「夕焼け」と呼ばれる。「夕日」と書いて「せきじつ」と読むこともある。英語では夕日のことを「setting sun」と表現し、中国語では「夕阳(xīyáng)」と言う。夕日と夕陽(せきよう)の違い
「夕日」は常用漢字表に記載された読み方であるが、「夕陽」と書いて「ゆうひ」と読む場合の「ゆうひ」は常用漢字表には載っていない読み方にあたる。「夕陽」は基本的な読み方は「せきよう」で「ゆうひ」という読み方もある。「夕日」と「夕陽」の間に意味的な違いはないものの、文学作品・詩・漫画などをはじめとした芸術や創作においては「夕陽」と書いて「ゆうひ」と読むことによって、「話者の心情」や「真っ赤に染まった西の空や街並み」など、言外の感情や情景を表現している場合もある。夕日はいつの季語か?
「夕日」はどの季節の季語にも該当しない。ただし「夕焼け」「夕暮れ」は夏の季語、「秋夕日」「夕霧」なら秋の季語、「夕時雨」なら冬の季語にあたる。夕日を含む地名
豊中市の「夕日丘」、京丹後市にある温泉「夕日ヶ浦温泉」、伊豆の「夕日ヶ丘キャンプ場」といった具合に、地名や建物名の一部に「夕日」が使われることもある。夕日で有名な観光地
宍道湖、釧路、真玉海岸、江ノ島、淡路島、宮古島など、夕日に染まった美しい景色と情景を見ることができることで知られる観光地は全国各地にある。『三丁目の夕日』『四丁目の夕日』
『三丁目の夕日』は1974年から連載されている西岸良平の漫画、および、それを原作としたアニメと実写映画作品のことである。また『四丁目の夕日』とは、1985年~1986年にかけて連載された山野一の漫画のことである。「夕日」という名前
なお、特に女の子の名前として「夕日」と名付けられることもあり、この場合は「ゆうひ」「ゆうか」「ゆか」などと読ませることが多い。せき‐じつ【夕日】
ゆう‐ひ〔ゆふ‐〕【夕日/夕▽陽】
夕日
夕日
夕日
夕日
夕日
姓 | 読み方 |
---|---|
夕日 | ゆうひ |
夕焼け
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夕焼け(ゆうやけ)は、日没の頃、西の地平線に近い空が赤く見える現象。
夕焼けの状態の空を夕焼け空、夕焼けで赤く染まった雲を“夕焼け雲”と称する。日の出の頃に東の空が同様に見えるのは朝焼け(あさやけ)という。
原理
太陽からの光(可視光線)は地上に届くまでに、大気の成分である酸素や窒素などの気体分子や微粒子などを通過するとき散乱を受ける。空の色に関係するのは気体分子による散乱で、粒子の半径よりも可視光線の波長のほうが数桁大きいためレイリー散乱が生じる[1][2]。
レイリー散乱は波長が短いほど強く、波長の短い青い光が強く散乱されることが主な理由となって、太陽が上方にある日中の空は青く見える[1][2](空#色と明るさ参照)。
夕方になると太陽の光は大気を斜めに通過する。大気中をより長い距離通過するため、また水滴やちりが多い大気の下層を通過するため、波長が短い青や緑の光は減衰し、波長が長い橙(オレンジ)や赤の光が多く地上まで届く。朝も同様で、この逆の変化をする[1][2][3][4][5]。
水滴やちりを通る光が起こすミー散乱によって、太陽そのものだけではなくまわりの空も赤く照らされて見える。また、水滴やちりは大気の下層に多いため、夕焼け・朝焼けは空の全体には広がらず、太陽の方向の空に強く現れる(ミー散乱の前方散乱の光が見えている)[4][5]。
夕焼け・朝焼けにより雲もオレンジや赤に色づいて見える。巻雲や高層雲など高い雲のほうが鮮明な色になりやすい。低い雲ほど光が減衰するため暗い色味になるが、大気が清浄な地域では低い雲も鮮やかに色づいて見える傾向がある[3]。
なお、火星においては大気による短波長の散乱よりちりによる長波長の散乱が卓越するため、ピンクの空と青い夕焼けが見られる。
微粒子増加による変化
大気にちりや煙霧などの微粒子(エアロゾル)が多いとき、夕焼けや朝焼けはピンク色や黄色に変わることがある。微粒子の大きさが均一のときに特定の色が生じやすい。次第に減衰するためこのような色味は地上では暗く、上空で航空機などから見ると鮮やかになる[1][3]。
火山噴火による鮮やかな夕焼けは、成層圏にまで達したちりや硫酸塩成分が原因である。地平線に近い遠くの空に現れるが、太陽が出ているときにはほとんど見えず、太陽が地平線下の薄暮になってから色が最も濃くなる特徴がある。また、同時に対流圏に大量の微粒子が浮遊することで、地上の夕焼けはベールがかかったように薄暗く色もくすんで見える傾向がある[3]。
1991年のピナトゥボ山(フィリピン)の大噴火の後に観測されており、噴火後約1年半に亘って続いた[3]。1883年のクラカタウ火山の大噴火の後にも観測されている。
また1998年や2003年には、アメリカ、カナダ、中国での大規模な山火事の煙が影響し、夕焼けの色が薄くなったことが観測されている[3]。
夕焼けに関する諸現象
光学現象
- 非常に稀だが、見通しの良い場所で、夕焼けや朝焼けの太陽の上端が緑色に光るグリーンフラッシュという現象がみられることがある。
- 夕焼けや朝焼け時に「太陽の蜃気楼」(Sunset Mirage) と言われる現象に、太陽が“だるまさん”に見える、だるま夕日・朝日(達磨太陽・達磨朝日)がある。
アーベントロート
登山者の間では、夕焼けが山肌に反射して山が赤く見える現象を、「アーベントロート」(Abendrot)とドイツ語で呼ぶ習わしがあるが(朝焼けの場合は「モルゲンロート」(Morgenrot))、これは日本近代登山黎明期の大学山岳部以来の伝統である。
観天望気
日本には「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」[6]や「夕焼けの次の日は晴れ」[7]ということわざがある。夕焼けの発生は西には雲がない状態と考えられ、日本では特に春から秋にかけて移動性高気圧と温帯低気圧が交互にやってくることが経験則となったものである[6]。この傾向は世界の中緯度地方に共通のもので、同じようなことわざもみられる[3]。
また、「夕焼けの翌日は晴れ」から派生したことわざとして「夕焼けに鎌を研げ」がある。これは夕焼けがでると晴れるため、翌日の農作業に備えよという意味である。
文化
イメージと関連作品
沈みゆくもの
夕焼けは空や山々、町並みを赤く染めあげて美しいものであるが、明るい昼間の時間が終わり暗い夜がやって来る合図でもあり、比較的短時間で終わってしまう現象である。そのため夕焼けの情景は文学や楽曲、映像作品において儚さや切なさなどをあらわすものとして用いられる。
ノスタルジー
また「子供の頃友達と遅くまで夢中になって遊んでいて、帰宅する時に夕焼けを見た」といった共通体験から、子供時代を懐かしむときの表現としても多用される。
例としては三木露風の童謡の『赤とんぼ』や中村雨紅の『夕焼小焼』がある[注釈 1]。
また西岸良平の一連の作品に冠せられたタイトル『夕焼けの詩』(三丁目の夕日)など、まさに郷愁の象徴であるところからの命名であろう。
一日の終わり、安息

前近代において日の出とともに起きて働き日没とともに一日の活動を終えていた。夕焼けは一日の労働の終わりを象徴するものでもある。
秋の夕焼け
秋の空は空気が澄み夕焼けが美しく、また日の長かった夏から徐々に日没が早くなっていくため夕焼けをとくに意識しやすい。
清少納言も『枕草子』のなかで「秋は夕暮れ 夕日のさして山の端いとちかうなりたるに、からすのねどころへ行くとて三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり」と記している。 ちなみに俳句においては、「夕焼け」は「朝焼け」とともに夏の季語であり、秋の夕暮れを詠むときは「秋の夕焼け」などとする。
夕焼け・夕日の名所
夕焼け、特に日没時は短時間ながら叙情的な光景であり、日本全国に多数の名所がある。日本の夕陽百選も選定されている。
ギャラリー
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 小倉義光 『一般気象学』(第2版補訂版) 東京大学出版会、2016年、第2版。ISBN 4-13-062706-6 pp.124-126.
- ^ a b c 岩槻秀明 『最新気象学のキホンがよ〜くわかる本』第2版、秀和システム、2012年 ISBN 978-4-7980-3511-6 pp.242-244.
- ^ a b c d e f g Stephen F. Corfidi (2014年9月). “The Colors of Sunset and Twilight”. Norman, Oklahoma: Storm Prediction Center, National Weather Service. 2023年3月11日閲覧。
- ^ a b 小石眞純 (2001). “マテリアルサイエンスにおけるミクロ構築技術の流れ”. 色材協会誌 (色材協会) 74 (3). doi:10.4011/shikizai1937.74.142.
- ^ a b 籔内一博 (2007). “講座:光と色と物質 空が見せる多彩な色 -光の進み方を理解する-”. 化学と教育 (日本化学会) 65 (1). doi:10.20665/kakyoshi.65.1_28.
- ^ a b “5.雲と天気の変化”. 啓林館. 2019年10月26日閲覧。
- ^ “マリンレジャー安全リポート 第63号”. 第七管区海上保安本部. 2019年10月26日閲覧。
関連項目
外部リンク
夕日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 14:06 UTC 版)
賢島大橋は日本の夕陽百選に選定されており、橋の上から見る夕日や対岸の埋め立て地から見る橋と夕日が美しいとされる。対岸では1月下旬から2月上旬と11月に夕日を撮影する人が多く集まる。橋の上からは真珠の養殖筏が浮かぶリアス式海岸の英虞湾が見られる。 2007年(平成19年)に朝日新聞社が自社の会員サイト「アスパラクラブ」で実施したアンケート調査では、賢島大橋の夕日が日本全国で7位に入った。2016年(平成28年)5月10日に使用を開始した阿児賢島郵便局の風景印には、賢島大橋に沈む夕日が、アコヤガイを模した輪郭の中に描かれている。 橋の近くに駐車場はない。
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夕日
「夕日」の例文・使い方・用例・文例
- 夕日は空を赤く染めていた
- こんな場面が想像できる.浜辺に僕ら2人だけ,夕日を眺めている
- 燃えるような夕日
- 夕日に照らされて岩山は輝く
- 沈む太陽,夕日
- 私たちは上甲板から美しい夕日を楽しんだ。
- 花は春の夕日の色のようだ。
- それはとても素敵な夕日だった。
- とても美しい夕日でした。
- ここで夕日を見れますか?
- ここからは美しい夕日が見れます。
- 彼女は夕日に照らされ、輝いていた。
- あの日の夕日がとっても美しかった。
- あの日の夕日がとても美しかった。
- あの日の夕日がとても綺麗だった。
- 私はあなたと海に沈む夕日を見る。
- 私は海で泳いだり、夕日が沈むのが見える喫茶店で本を読んだりしていました。
- 今日の夕日はとても綺麗でした。
- 砂漠の夕日
夕日と同じ種類の言葉
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