橋架結社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 08:01 UTC 版)
「とある魔術の禁書目録の登場人物」の記事における「橋架結社」の解説
アリス=アナザーバイブル ルイス=キャロルが著した世界的な知名度を誇る童話『不思議の国のアリス』に登場する少女。その童話はカバラを十分に習熟したものが目を通せば全く違った意味に見えてくるとされ、クロウリーはゴーティアや金枝篇などと共に魔術への習熟を深める上での必読書として勧めたと言われる。 歳は12歳くらい、動物の耳のように巻いて尖らせた長い金髪に白い肌、宝石のような青い瞳の少女。青系の半袖ワンピースの上から、真っ白なエプロンを重ねた仮装臭い格好をしている。純粋で無邪気だが気まぐれで残忍で凶暴なので、誰にも次の行動を読めない。言っている事が意味不明かつ不条理で何も読み解けないらしく、極彩色の不思議の国に一切疑問を持たず球技大会や裁判に真面目な顔で付き合っていた辺りが本物だという。 変則カバラ式創作ブリッジ連結作業「ライブアドベンチャーズインワンダーランド」という、「冒険」して新たな順路を開拓する事で、辻褄を無理にでも合わせて、あらゆる法則や定義を繋ぎ合わせて意味を与え、全世界へ波及させるという特殊な術式を使う。こじつけや屁理屈に100%確かな力を与える奇跡のような力で、理論と理論に直接の共通項を見つけてロジックで結ぶ必要もなく、破綻が見られるようなら周辺の理論と無理矢理繋ぎ合わせて強度を増し、ありえない仮説や理論を安定化させ、問題なく「走る」理論へと変換する。これによって最適以上の現実を創る事ができ、12色の絵の具で時間を全部支配したり、死人を蘇らせるような理論ですら実現させる。また、避けられない攻撃はクリケットで使うフラミンゴのバットやハリネズミのボールをエプロンの下から取り出して弾き返し、敵対者はボロボロの黒い布を纏う透き通った骨の「処刑人」を自らの影から呼び出して斧剣で首を刎ねさせるが、これらは自分の身を守るのが目的ではなく、行動を邪魔された事にイラついて反撃しているに過ぎないため(特に前者は相手を殺さないための配慮である)、「アリスの力」の本質とは程遠い。数字のスペックではなく根本的な部分でアンナ達超常の魔術師でも絶対に勝てないとされ、癇癪を起こして手当たり次第に陶器のポットやお茶菓子を投げつけただけで、数千光年先の惑星で水や生命の痕跡が発見される、というような事態を引き起こす。 現在はアリスの興味に合わせて熱帯雨林のど真ん中にある水没したスタジアムに浮かぶ豪華客船を拠点としている。アンナから上条の冒険の話を聞かされて興味を持ち、12月29日の朝、拠点の豪華客船を抜け出し上条の部屋の彼が眠るユニットバスに潜り込む。上条を「せんせい」と呼び不自然なまでに慕い、彼と小萌の補修授業後に「オペレーションネーム・ハンドカフス」で逮捕された「暗部」達の脱走劇に巻き込まれる。そこで上条のために「ライブアドベンチャーズインワンダーランド」を使い、黒子や妖宴と協力して「倒しやすい強敵」として暴走するフリルサンド#Gを救うというイージーモードのシナリオを見せたが、幸運が連発しすぎて違和感を覚えた上条に現実ではないと看破され、自分が死んでも自力で決着をつけたいという彼の願いに応じて、脱走劇が始まった時点まで時間を戻す。そして事件解決を側で見届けると、迎えに来たアンナに連れられて拠点へと帰還する。 アンナ=シュプレンゲル 詳細は「#アンナ=シュプレンゲル」を参照 アラディア ある魔女術を紹介する有名な魔道書『アラディア、あるいは魔女の福音』の中に登場する「あらゆる魔女の神」である、月と光の魔女。足首まで届く巨大なウィンプルを頭に被り、背徳的である事に意味を持たせた、裸足にへそ出し、鍵の形をした「純金の飾り」をつけ、変則ビキニのような踊り子衣装を装束とする、17か18歳程度の銀髪の少女。 ディアナとルシファーの娘にして、富める十字教から真に貧しき民を救うために肉の体に宿って現世に降り立つ、昏き夜に輝く女神と言われ、世界中で行われるサバトは全て彼女を拝み、富める者からの迫害から抗う術を授かるための儀式的学習集会とされている。魔道書以外にはどこの神話にも登場せず、大仰な出自も含めて全部魔女側が取材者の顔色を見ながら即興で組み立てた作り話だったという説が濃厚で、遠い過去に本当に存在したかどうかは検証も証明もできない。「あらゆる魔女の擁護者」である事を期待されているので、十字架の力に常に懐疑的な目を向けているが、口で言うほどには十字架に固執していない。 根がマジメで、だからこそ爆発しやすいが、追い詰められるとエキセントリックな離れ業は捨てて、基本の積み重ねでミスのない堅実な物量を用意して安心したがる所があるので、ボロニイサキュバスからは「公務員としては成功するけど、賭け事としてはじり貧で負けていく性格」と評されている。 善行であれ悪行であれ、魔女が使った魔術は必ず3倍の強さで使用者に戻ってくるという、「魔女の3倍返し」の鉄則を応用した実践魔女の術式「三倍率の装填(リロードスリータイムス)」を扱う。本来なら自滅のリスクも大きく扱いにくい術式だが、善行と悪行は見方次第で変わる事を利用し、常に自分が善玉とみなされる視点と解釈を確立して制御に成功しているので、善行を繰り返せたと判断を下される状況を作るだけで、「装填」の連鎖によって3の累乗されて延々とリスクが上がっていき、魔神でも超絶者でも瞬殺できるほどの力を膨らませられる。魔術を「装填」する「武器本体」に相当する霊装は足元の「影」で、金の金具をパレットに保管・粉末化した薬品を自分の裸足から分泌される汗や皮脂と混ぜ合わせ、魔女の「膏薬」を作っている。ゴミを1つ拾った程度の善行でも人1人殺すには十分な身体能力を得る事が可能で、巨大なキスマークの閃光、ホーミングするガラス片の弾丸、爆発に似た暴風を生み出す、といった攻撃手段に加えて、1940年5月にドイツという国家そのものを呪おうとサバトを行ったイギリスの魔女達が保温と防御を兼ねて用意した「熊の脂肪」を利用し、肌の上の雑菌やバクテリアなどで作られる「小さな生態系」のパターンを識別して対象を「検索」、「寒さから保護すべき対象」として人の肌に飛びかかるよう設定した腐ったバターのような黄色い獣の脂肪に追跡させる術式も持つ。本気を出せば宇宙塵を利用した二酸化炭素吸着で地球温暖化を解決し、世界を救う力を3倍にした莫大な力で相手をすり潰す事もできるなど、非常に強力ではあるが、余計なハーブを無遠慮に混ぜられると弾詰まりを起こすので一旦「浄化」を行う必要がある、水分と相性が悪く、特に金属粉末ごと薬品を除染する大量の放水に弱い、光源の位置を無視して常に足元の地べたに張り付いている影そのものを粉砕されると力を失う、などの弱点もある。また、自前の奥義を無償で授ける事については一切躊躇しない大盤振る舞いの女神なので、中世のサロンで横行したサバトの要領で一体感を生むために、「影の書」となる白紙のルーズリーフや自分と同じ魔女の衣装、秘密の合言葉を共有させる事で「布教」を行い、負のカリスマ性で集団をカルト化させて魔女の根城をごく短時間で作り上げる事も可能。アラディア本人から知識や奥義を一時的に分け与えられた魔女達は、使いこなせないまでも「三倍率の装填」くらいなら普通に使って魔術攻撃してくる。 あらゆる救済の仕組みから爪弾きにされ長い歴史の中で虐げられてきた魔女達を救い、差別や偏見から守って安住の地を与えるために「橋架結社」に参加している。アリスとは一番親しく、彼女の特殊な術式で自分の目的を達成すべく誘導しようとしていた。R&Cオカルティクス本社ビルの壊滅後、世界の片隅でアンナと対話した後、資格者の一人として迎え入れた。だが、アンナの誘導でアリスが上条に強い関心を抱いた事で計画の変更を余儀なくされ、アンナだけでなく上条にも怒りを覚える。12月31日、上条殺害派の筆頭として来日し、2度に渡って上条に致命傷を負わせるが、救出派の介入で失敗し、彼を助けるボロニイサキュバスと渋谷で全面衝突することとなる。一度は「コールドミストレス」に翻弄されて敗北するが、上条がとどめを刺さずに目を話した隙に逃走、超絶者としてのプライドを砕かれた事で本気を出し、「布教」で10万人の魔女を仕立て上げて人海戦術に乗り出す。上条を逃すため囮になったボロニイサキュバスを退け、彼女を治療させるため一人残った上条と激突、「幻想殺し」で魔術を打ち消される事すら前提とした攻撃で彼を追い詰めたが、大量のハーブ類を積んだキッチンカーを自ら破壊してしまったために「膏薬」に不具合が生じ、さらには魔女の弱点とされる水や擬似的な「撃墜術式」によって逆に追い込まれる。最後は三相女神としての本質を出したが、「幻想殺し」によって切り札の超絶魔術を打ち消されて敗北した。 ボロニイサキュバス 「馬鹿馬鹿しい(ボロニイ)」という意味の名前を冠する「時の政府公認」の悪魔。とある男がサキュバスだけを集めた娼館を運営した罪で死刑を執行されたという、1466年ボローニャ地方の公的な裁判記録の中に残された存在。 年齢感は女子大生くらい、ふわふわした金髪を引き裂くように山羊のような形のピンク色をしたツノが2本、背中からはコウモリのようなピンク色の巨大で薄い翼、尻からは鏃のような薄いピンクの尻尾を生やし、レース繊維で彩られた薄いピンク色のワンピースコルセット、ストッキング、アームカバーを着用する、洋モノの女悪魔そのものの外見をしている。共通トーン作成によって日本語を話しているが、極東域海上圏とアルタイ語族の併用だけでは追い切れないので、老人語に日本各地の方言が混ざったような奇妙な口調になる。日本語の文字も、象形文字からの派生という事である程度は理解している。超人ではあるが格好や言動からして変態側で、特に憧れる方向性に人間性が尖っている訳ではない。一方で暖かく心優しいお節介焼きな性格をしている。 使用する術式「コールドミストレス」は、宗教裁判でインキュバスやサキュバスと寝た罪人から拷問で無理矢理引き出された自白証言が、この世のものとは思えないほど気持ち良いか、痛くて冷たくて苦しいかの2パターンであるという記録を利用し、「あらゆる快の信号を丸ごと苦痛に置き換える」事で、ありとあらゆる動物的な欲望を否定し封殺する魔術。痛みで集中力を削いで「揺さぶり」をかけるだけでなく、拒食症や不眠症を発症させて人を自由に殺す事も、意識の水面下で原因不明の不調を訴えさせてイライラに支配させ、少なくとも渋谷全域を瞬時に集団ヒステリーに陥れる事さえも可能で、例え苦痛を堪える事に慣れたとしても、いきなり魔術を切って感情を制御できなくさせる事ができる。「橋架結社」の中で唯一アリスと相性全開で戦える可能性を持った強力な魔術だが、最初からネガティブな感情だけで行動すれば「変換のきっかけ」を失うので、直接的な致命傷にならないという弱点がある。また、10代の少年一人くらいなら抱えたまま空を飛んで運ぶ事も可能。しかし、3×10万人規模の強大な攻撃魔術を正面から凌ぐだけの力はなく、人間への輸血は可能だが、血液型を持つ人間の血を輸血して貰うことはできないなど、防御面ではアリスやアンナほど超越しているとは言えない。 「サキュバスだけの娼館を運営した罪」という世界で最も馬鹿げた死刑判決文に存在や行動の軸足を置き、あらゆる冤罪被害者の名誉の回復を目指す。アリスの変心後は冤罪被害者となった上条を守るために救出派に所属。12月31日、殺害派のアラディアから上条を守るために来日し、渋谷で彼に接触してアラディアからの逃走を手助けする。一度はアラディアを退けたもののとどめを刺すのに失敗し、上条を10万人の魔女達から逃がそうと「コールドミストレス」で魔女狩りを起こした上で囮になるが、上条への2度の輸血と内臓に受けたダメージ、2度目の会戦で受けた10万人分の騒乱を収束して3倍した一撃により瀕死の重傷を負う。だが、上条がアラディアの相手をしている間に、芹亜の主導で完全人工物による輸液が行われた事で「復活の調合法」が間に合い、一命を取り留める。 旧き善きマリア 聖母マリアではなくその名を借りて素性を隠す誰か。足元まで広がる長い金髪の若奥様風で、マタニティ系のロングワンピースを着て、大きな帽子の鍔で目元を隠し、雑に体に巻いたベルトにキャンプ系のキッチングッズをいくつも提げている。一人称はママ様。優越の表れなのか、おちょっくっているかと思うほどに、意外と律儀に言う事を聞いてくれる。 聖母に引けを取らない奇跡を出力する錬金術を使う。透明な器の中に小さな宇宙を創り、1世紀か3世紀に失われたというあらゆる調合法を駆使する。奇跡をメモ書きの合成法に置き換えて操り、いったん完全に死んだ人間を、心停止状態0秒の傷一つない綺麗な体に修繕して蘇生させる術式「復活の調合法」を使う事ができる。ただし、心肺蘇生は別に必要で、流れ出た血は戻らないので、失血を繰り返すと意識が再起動しなくなるなど、決して万能ではない。 組織では救出派に所属。12月31日にはボロニイサキュバスと共に来日して、2度に渡って致命傷を負った上条を治療し、失血はボロニイサキュバスからの輸血で補った。ボロニイサキュバスが瀕死になると上条に助けを求められ、芹亜やインデックスと共にボロニイサキュバス近くの美容整形クリニックに搬送して治療を行った。
※この「橋架結社」の解説は、「とある魔術の禁書目録の登場人物」の解説の一部です。
「橋架結社」を含む「とある魔術の禁書目録の登場人物」の記事については、「とある魔術の禁書目録の登場人物」の概要を参照ください。
- 橋架結社のページへのリンク