資格者(シード)
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ヴェサリウスの妖魔憑依実験により、異能の力を手にした少年達(正確には、妖魔に喰われていく過程に「一時的にその能力を行使できる期間がある」にすぎない。力を授かったわけではない)。法の裁きを受けない上に、「自分は選ばれた特別な人間」と大半が思い込んでしまうため、好き勝手に暴れて他者を殺している。力を望めば望むほど、能力が強くなればなるほど、内なる魔性に自我を喰われ、最後は完全に妖魔によって肉体を乗っ取られ、自我を失い、姿形も変化してしまう(まれに半分だけ人の形を維持するものもいる)。憑依させられた妖魔は同一のもので、電子コピーとして複製されている。宿主と結合することで、その人間にあった能力を生み出すという特性がある(能力が同一でないのは、種となった妖魔が宿主と結びつくことで初めて開花するため、その宿主に合った能力になる。妖魔化後の形態も同じ理由で統一性がない)。妖魔の正体は、魔界の大公爵「無価値」のベリアル(後述)のコピーを電子化したもの。アニメでは「妖魔を宿し穢れきった魂はベリアルの生贄に最適」という理由も付け加えられている。 内海 浩助(うつみ こうすけ) 声 - 河相智哉 4巻と5巻に登場。聖凌学園の男子生徒で写真部に所属。16歳。二年生。 つぶれた蛙のような顔に肥満体形をしている。七瀬から「怪奇カエル男」と呼ばれた。一人称は「僕」で、常に他人の顔色を窺うような卑屈な性格をしている。しかし、妖魔を憑依されて資格者となり、法で裁けない「無敵の力」を手にしてから豹変。尊大な振る舞いをして常に他者を見下す人間となった(ただし本質は変わっておらず、その精神は脆弱で惰弱)。 学力は非常に低く進学できたのが奇跡と言われているが、彼の親が総合病院を経営する資産家なので学園への多額の寄付で落第を逃れたという噂がある(裏口入学したという噂もあるが、由香里によればデマとのこと)。 性格も外見通りで、写真部の取材という名目でテニス部女子のパンチラを狙って撮影したりなど、性欲に旺盛(特に七瀬を一番気に入っている)。それを七瀬に邪魔されたことを妬み、正当な仕返しとして女子の着替えを盗撮し、インターネットで流してそのアドレスを学園に広めようとしたが、これも失敗。逃走したところを七瀬に妨害され、更に女子たちから一斉に殴られリンチにかけられてしまった(入院するほどの重体ではない)。 その後、ヴェルンハルトの妖魔憑依実験により「資格者(シード)」となり、呪術を使用できるようになった。他、気合をためた一撃(作中ではか〇はめ波と書かれていた)を用いる。自分を嘲笑っていた女子生徒たちに呪術を使い、高熱を引き起こしたり、事故に合わせるなど災害に遭わせていた。更には脅迫して肉体関係を迫ってまでいた。 最後の獲物として七瀬を呼び出し、復讐しようとしたが不意打ちのスタンガンであっけなく撃沈。霧香たちに捕らえられ、能力を削除されそうになった。そこへヴェルンハルトの「メール」が届き、更なる力を望んだ彼は「YES」と答えてしまった。これにより、内海浩助は破滅への道を歩んでいくこととなる。 原作では挿絵にわずかに顔が映っているだけだったが、アニメではメガネをかけている設定。綾乃のパンチラまで撮るなど怖いもの知らず。笑う際は人を見下すようないやらしい表情を浮かべる。 第四階位の大魔術師については下記を参照。大魔術師(グラン・メイジ) 第四階位(フォースクラス)となり、本名と過去を捨てた内海浩助の姿。師匠とも言えるヴェルンハルトを殺害(したと思い込まされ)、以後は万魔殿の主を自称する。 能力として、相手を洗脳して命令を聞くだけの人形としたり、障壁を張って攻撃を弾き返すことができる。障壁に触れた者は反射により、重傷を負うような甚大なダメージを受けてしまう。また、魔法の杖を振ることで火の玉、電撃、氷のつぶてを放つことが可能。まさに性格が良く現れている能力であったが、和麻の風には遠く及ばず、バリアを紙のようにあっさりと破壊されて本来の臆病さを露わに泣き叫び、めちゃくちゃな攻撃を仕掛けていた。 その後、ラピスの口から、本物の「内海浩介」は妖魔によって精神を喰らい尽くされてベリアルの御許に捧げられていることが明かされた。自分はヴェルンハルトによって内海浩介の肉体に移植されただけの「精神コピー」でしかなく。そして、妖魔のコピーを移植されていただけの資格者とは違い、自分は原初の妖魔と融合を果たした唯一の存在だと思い込まされていたに過ぎなかった。本当の自分が死んでいることを知った彼は、精神の均衡が保てなくなり廃人と化した(耐えられるだけの精神力がないように設定されていたため)。最期は崩れ落ちる万魔殿と運命をともにし死亡した。ただし明確な死亡シーンは描写されていない。 アニメ版では魂は喰らい尽くされず内海本人が最後まで生き残っていたが、原作と異なりヴェルンハルトに敗北し、黄金の中に下半身を閉じ込められ拘束されていた。ベリアルに捧げる最後の生贄としてラピスに胴体を切断されて殺されるという結末になっている。 技一覧 気合をためた一撃(原作では「か〇はめ波) 資格者になった際に得た能力。気をへし折るだけの威力を持つ。ただし撃つまで時間が掛かるのが弱点。アニメでは「アーキーハーバーラー」の掛け声とともに放たれた他、かなり疲弊していた。真の力は呪殺でありこちらはオマケみたいなものらしい。 呪殺 資格者になった際に得た能力。相手に呪いをかけ災難に遭わせる。アニメでは女子生徒を車に轢かせるシーンが描かれた。第二階位になった際は和泉を苦戦させるだけの強力な呪詛を用いている。 障壁 第四階位になった「大魔術師」から行使するようになった力。触れた者を弾き飛ばし甚大なダメージを与える障壁を展開する。しかし和麻の風には簡単に破られた。 洗脳 七瀬と由香里の自意識を奪い人形にした。しかしすでに内海の人格はコピーに成り代わっていたため美少女二人を侍らすだけで満足していたという。 魔法 火の玉、雷撃、氷の礫を放つ。和麻に障壁を破られて狂乱した際に使用。 空間跳躍 万魔殿への帰還の際に使用。 ナンパ男 声 - 西前忠久 4巻の冒頭で和麻と一戦交えた資格者の青年。資格者の中では最初に登場した。街中で綾乃をナンパしたが、ごく自然に無視された上に、和麻との痴話喧嘩を見せ付けられ激昂してしまう。その後、綾乃から「引き際をわきまえない馬鹿ってイヤよね」と言われ、激怒して和麻との戦いに突入した。 能力は「身体能力強化」。怠惰と不摂生でたるんだ身体から、極限まで鍛え上げたようなボディビルダーを思わせる肉体に変化することが可能。常軌を逸したパワーは、和麻の返し技を以ってしてもさばくことができなかった。筋肉の塊を思わせる姿でも、そのスピードは常人では捉えきれないほど早く、「突然消えた」と錯覚させるほど。 自然治癒や耐久力まで強化されており、本来なら意識を失うほどの攻撃を受けてもすぐに立ち上がり、ぼやけていた意識も即座に回復していった。生半可な攻撃では通用しないため、「強烈なひざかっくん」で膝の靭帯を切断され、苦痛に仰け反ったところを後頭部に肘打ちを入れられて再起不能となった。 力を使った反動でミイラ化してしまうが、命に別状はない模様。その後、連絡を受けた霧香たちに保護された。 身体能力が強化されても、彼自身は武術の達人でもない戦いの素人。攻撃や動作には技術もなにもなく、勢いに任せてただ殴りかかってくるだけだった。そのため、人間をはるかに超えるパワーを手にしても超一流の和麻には遠く及ばなかった。 アニメではヒョロヒョロの身体にマッシュルームカットの男性で、綾乃に相手にされなかった腹いせに襲い掛かって来るがほぼ原作と同様の経緯で敗北した。また和麻に投げ飛ばされた後、「力を望む」ことで復活するシーンが追加されている。 高松 清志(たかまつ きよし) 声 - 風間勇刀 4巻に登場。逆立たせた髪をオレンジ色に染め、派手なコートをまとった青年。自らを<炎の支配者>(ファイア・マスター)と呼称し、自分を「最強」や「王」と見ている。元々は発火者(イグナイター)と呼ばれるクラスで、クラスチェンジによって炎の支配者となった。日常生活ではありえない格好をしているため花音や芹沢からは盛大にバカにされたが、配下の不良たちからはその稲生によって尊崇の念を集めている。 煉や花音の同級生である高松隆志の実兄で、それなりに弟思いの性格の模様。しかし、煉との対決に敗北した後は弟を見捨ててさっさと逃げ出してしまう。 ヴェルンハルトの妖魔憑依実験によって炎を顕現させる「魔法」を手にし、気に食わない人間や逆らう人間を焼き殺していた。弟の隆志の仇討ちとして、手下である不良たちを動員して煉、花音、芹沢を包囲。三人を焼き殺そうと攻撃を加えるが、炎術師である煉には遠く及ばず、数々の必殺技を披露した後に敗北する。妖魔を焼き尽くされて、ただの人間に成り果てた際には、煉という少年の存在に怯え、パンデモニウムに関する情報を教えた。 必殺技を放つ際には大声で技の名前を叫ぶ癖がある。弟の隆志も芝居がかった台詞や態度を取ったりする。 アニメでは容姿が若干ことなり、黒髪をバンダナで逆立たせている。また顔立ちも弟とそっくりで眉毛が太いのが特徴。 アニメ版では清志との戦いで初めて花音や芹沢に煉が術者であることが判明する展開になっている。 技一覧 ファイア・ブリット ソフトボール大の火球を二つ放つ。 フェニックス・ウィング 翼長3メートルの炎の鳥を放つ。 シャイニング・トルネード 未使用。地の文によれば白光の竜巻を生み出すとのこと。アニメでも未使用で名前も出ない。 究極奥義フレイム・ヴォルテックス 高熱を持った炎の渦を放つ。究極奥義だけあって威力は上記のものより高いが、煉にはまったく通用しなかった。 無意識のバリア(仮称) 煉の攻撃を防ぐ際に自動で発動した。アニメでは黒いモヤによる障壁として描かれた。無意識の発動と清志は思っているが、実際は妖魔が守ったに過ぎない。 コウ(ヘルハウンド/デビルサマナー) 声 - 酒井敬幸 4巻、5巻に登場。容姿は乱雑に伸ばした茶髪と、黒い革ジャンに膝の抜けたブラックジーンズ。両手には、メリケンサックの代わりになりそうなゴツい指輪をいくつもつけている。足元は安全靴で固めている。と、いかにもヤンキーらいしなりをした少年。 ヴェルンハルトが行った妖魔憑依実験により、デジタル化した妖魔の力を受けた青年。地獄の猟犬(ヘルハウンド)と名乗り、異界よりガルムという魔獣を召喚して人間を狩っていた。警察官である石動大樹に対しても「ブッ殺して首を持っていけば上級クラスになれる」としか見ておらず、平然と彼を殺そうとしていた。 コウ自身はただの人間のため、魔術が破られた際はその反動が本人にモロに跳ね返る。その反動を受け流す術は持っていないが、「まがい物の力」のため、召喚した魔獣が死亡しても命までは共にすることはない(ただし、吐血するなど肉体的なダメージは受ける)。一度は大樹の異能に敗れ、逃げようとしたところを和麻に半殺しにされ捕縛された。しかし隙を突いて逃亡し5巻にて再登場を果たした。その際は名前設定がつき、容姿に「あちこちにブラ下げた銀のアクセサリー」と付け加えられた。 第二階位「悪魔召喚師(デビルサマナー)」となり、ガルムを超える魔獣を複数召喚できるようになる。 同じく第二階位であるシンと戦い、その最中現れた和麻にリベンジしようとするが、残りの魔獣はハルパスと共に風の刃によって瞬殺されてしまった。 その後、コウは和麻の手袋によって無理やり記憶に干渉され、廃人になり果ててしまった(和麻曰く、強い心を持っていれば発狂するだけで済むらしい)。 アニメでは展開が若干変わっており、大樹を食い殺そうとするガルムは和麻に切り刻まれて倒されてしまい、自身も蹴りの一発で気絶。原作通りそのまま逃亡し、以後は登場しない。原作では続く5巻に登場したが、アニメでは後述のライがその役割を担当した。 魔獣一覧 ガルム 最初に使役していた魔獣。体格の大きい狼であり炎の属性を有する。口腔から火炎弾を放つ。原作では大樹の異能によって消滅し、アニメでは和麻の風の刃で倒された。 ハルパス 悪魔召喚師から使役し始めた魔獣。真紅の瞳をした鳩の姿をしている。魔術反射能力を持つ。シンのレーザーを跳ね返すが和麻の風の刃は跳ね返せず瞬殺された。アニメ版では魔術無効化能力に変更された。 フェンリル 悪魔召喚師から使役し始めた魔獣。巨大な狼の姿をしている。シンとの戦いで負傷したため異界へ帰された。 フレスベルグ 悪魔召喚師から使役し始めた魔獣。巨大な鷲の姿をしている。必殺技は上空から急降下するパワーダイブ。シンの光槍で撃ち抜かれ地面に激突して爆散した。 ファフニール 悪魔召喚師から使役し始めた魔獣。容姿は不明。呼び出されて間もなく和麻に瞬殺された。アニメ版では巨大な芋虫のような姿をしている。 ムシュフシュ 悪魔召喚師から使役し始めた魔獣。容姿は不明。呼び出されて間もなく和麻に瞬殺された。アニメ版ではトサカを持ったドラゴンのような姿をしていた。 ラクシャーサ 悪魔召喚師から使役し始めた魔獣。容姿は不明。呼び出されて間もなく和麻に瞬殺された。アニメ版では三つの頭を持った巨人として描かれた。 ライ 声 - 原沢勝広 アニメオリジナルキャラクター。ヘルハウンドことコウが退場したため、原作における5巻の役割をコウに代わって演じた。クラスはコウと同様「デビルサマナー」。外ハネの金髪で白いハットをかぶっている。また魔獣を召喚する際は携帯電話から呼び出していた。原作のコウと同じくシンとの戦闘中に乱入した和麻によって記憶干渉され廃人と化した。 魔法少女しーちゃん 声 - 新谷良子 アニメオリジナルキャラクター。紫の髪のツインテール。ミニスカート仕様のメイド服に身を包んだ女の子でかなりの巨乳。格好は派手だが顔は地味。武器はファンシーなステッキで、これを振ることで一般的な魔法少女が行うような「魔法」を使用する。「魔法」を使用する際は技名を述べ、可愛らしい声音に変えるという特徴がある。自称「魔法少女」で「スタープリンセス・ミラクルしー」と名乗る。街中でキャサリン・マクドナルドと交戦。綾乃に必殺技を破られた後、メタトロンの一撃で気絶させられ敗北。その後、警察に連行され取調べが行われ資格者に関する情報を語った。 必殺技は無数の星を手裏剣の用に放つ「ミラクルスター・シャイニングフラッシュ」。巨大な五芒星を前方に放つ「エターナルラブリー・シューティングスター・アタック」。また飛行能力も持っている。 シン 声 - 高橋研二 コウと対戦していた光の能力者。第二階位「閃輝(シャイニング)」。 ヴェルンハルトの妖魔憑依実験により、光をレーザーのようにして放つ力を手にした。コウとは違い、オカルトな知識を持っているため魔術が破られた際の反動についても知っており、それを「返りの風」と称している。 見た目は才知溢れる優男だが、自分の能力と存在を凄まじく過信しており、他者を見下す傾向を見せている(アニメでの容姿はメガネをかけ制服を着たいかにも真面目そうな優等生)。コウとの対戦中に追い詰められ、更なる力を望んだことで妖魔化が進行。金色の瞳と獰猛な牙という容貌に変化し、圧倒的に増強された視力によって簡易的な予知能力を手にした。アニメでは劣勢の余り恐怖をきたし戦場から逃げようとするが他の資格者に妨害され足蹴にされ、その屈辱から力を望み妖魔化が進行したという展開になっている。 その最中、和麻が乱入してきたことで彼と対決。「風よりも速い光」を扱うため勝利を信じて疑わなかったが、和麻の「光よりも速い風」を目の当たりにして絶望する(アニメではコウが倒された時点ですでに恐慌状態で応戦)。片腕を切断され、抵抗もできなくされてからゴミ扱いしていたコウと同じ末路を辿る(アニメではダメージ描写はなく、壁際に追い詰められたところを記憶に干渉された)。 基本戦法は、現存する資格者(シード)の中でも最速と呼ばれる「光」を使うこと。 必殺技は「光槍(ジャベリン)」。右手を突き出すことでレーザー光線を発射する。物理的な力だが、その熱量と速度は相手に視認する暇も与えず貫く。この技(スキル)で風使いを二人倒しているため、和麻のことも格下としか見ていなかった。 アニメではレーザー光線の色は真紅色。また二本の指から同時にレーザーを撃つという芸当もやっている。 原作ではシンとの戦いの後に和麻は大樹から内海の話を聞いて利用することを思いつくが、アニメではシンの記憶から情報を得て内海を利用することを思いつくという流れになっている。 烈牙(ファング) 声 - 上別府仁資 5巻に登場。ヴェルンハルトが放った刺客。能力を見せる前に倒されたので、どのような力を持っていたのかは不明。 和麻を倒せばさらなる力を与えるとの話を受け、公園に訪れた彼を始末するべく、仲間(あるいは手下)を連れて登場。和麻に何度も「死ね」と連呼し、人殺しになるのをためらう素振りを見せなかった。和麻の存在を「おれに経験値を寄越すためにだけ生まれた」と称し、「ボーナスキャラ」である彼を殺してクラスチェンジを果たそうとする。 一斉に和麻に襲い掛かるも、風圧で両足を折られてあっさり敗北。仲間(手下)共々半殺しにされ、記憶に干渉されコウたちと同様に廃人と化した。 アニメ版では和麻に一騎討ちを挑むが風で吹き飛ばされた後、足蹴にされ重傷を負った。容姿はオールバックの茶髪で、妖魔化が進んでいるためかシンのように人間離れした顔になっていた。能力は不明。
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