宝
『黄金虫』(ポオ) ルグランはサリヴァン島の浜辺で、胡桃の実ほどの大きさの黄金色の甲虫に咬まれる。彼は、甲虫をつかまえるために木の葉でもないかと捜して、砂に埋もれた羊皮紙を見つける。羊皮紙に書かれた暗号を解き、死んだ甲虫を用いて、ルグランは海賊キッドの財宝を発見する。
『宝島』(スティーブンソン) 海賊フリントが財宝を埋めた、そのありかを記す地図を手に、「わたし(少年ジム・ホーキンズ)」はスモレット船長やリヴジー医師たちとともに、宝島へ向かう。一本足のジョン・シルバーが船員たちと反乱を起こし、恐ろしい戦いの末に、「わたし」たちは莫大な財宝を見つける。反乱に失敗したジョン・シルバーは、金袋1つだけを盗んで姿をくらます。
『トム・ソーヤーの冒険』(トウェイン)第33章 トムとハックは、インディアン・ジョーが隠した宝を探して洞窟の迷路に入り、岩壁に油煙で描かれた十字架の下から、1万2千ドルの金貨を発見する。
『モンテ・クリスト伯』(デュマ) 無実の罪でシャトー・ディフ(悪魔島)の牢獄に送られたエドモン・ダンテスは、そこで出会ったファリア神父から、モンテ・クリスト島に旧貴族の隠した莫大な財宝があることを教えられる。神父の死後、ダンテスは脱獄して財宝を手に入れ、モンテ・クリスト伯と名乗って、自分を陥れた悪人たちに復讐する。
★2a.失った・あるいは奪われた宝を、取り戻す・捜し求める。
『江談抄』第3-52 一条院の時に、名笛小蚶絵がなくなった。祈請したところ、35日ほどたって、御湯殿の下にあるのが見つかった。
『江談抄』第3-58 玄上の琵琶は、昔なくなったまま所在不明だった。朝廷で二七日の修法をしたところ、朱雀門の楼上から鬼が琵琶の頸に縄をつけて降ろした〔*『今昔物語集』巻24-24の類話では、村上帝の代に玄象の琵琶が失せたが、ある夜、源博雅が玄象を弾く音をたどって清涼殿から羅城門まで到り、楼上の鬼に玄象を返してもらった、とする〕。
『古事記』上巻 ホヲリ(山幸彦)は、兄ホデリ(海幸彦)に借りた鉤(つりばり)を海に失う。兄に責められたホヲリは海神の宮に到り、海神の娘トヨタマビメと結婚して3年過ごした後に、鉤をなくしたことを打ち明ける。海神は大小の魚を呼び集めて問い、鯛の喉から鉤を見つけ出して、ホヲリに渡す〔*『日本書紀』巻2神代下・第10段に類話〕。
『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』(トールキン)第1部「旅の仲間」2 遠い昔、冥王サウロンは強大な魔力を有する指輪を造ったが、エルフや人間たちとの戦争でサウロンは敗れ、指輪は川底に沈んだ。しかし、やがてサウロンは力を回復し、世界を支配するために、失われた指輪の探索を始めた。その時、指輪はホビット族のフロドの手中にあった→〔旅〕6d。
*→〔海〕7b。
『どろろ』(手塚治虫) 百鬼丸は、目・耳・口・手・足など身体の48の部分が失われた状態で生まれた。彼は義眼・義手・義足をつけ、48匹の魔物と戦う。魔物を1匹倒すたびに、百鬼丸の器官が1つずつ身体にもどる。彼は、男装の女児「どろろ」とともに諸国を旅し、魔物たちとの戦いを続ける〔*20匹あまりの魔物を倒したところで、百鬼丸は「また会おう」と言って「どろろ」と別れ、物語は終わる〕。
★3a.家宝などを割る。
『沙石集』巻8-11 稚児が「和尚様御秘蔵の水瓶を誤って割ったので、死んでお詫びしようと毒を食べたが死ねなかった」と言う。毒というのは実は飴で、稚児はまず飴をなめて、言い訳のためにその後にわざと水瓶を割ったのだった。
『番町皿屋敷』(講談)第10~12席 江戸番町の旗本青山主膳は、女中お菊を口説いて拒絶されたため、彼女を憎むようになった。正月2日、肴をくわえて逃げる猫を追おうとして、お菊は主膳秘蔵の皿10枚のうち1枚を取り落とし、割ってしまう。主膳は罰として、お菊の10指のうち右中指1本を切り捨てる。その後お菊は一室に押し込められ、正月15日を過ぎたら嬲(なぶ)り殺し、と決まる〔*『番町皿屋敷』(岡本綺堂)では、お菊が相愛の主人青山播磨の心を試すため、わざと皿を1枚割る〕。
*家宝の硯を割る→〔子殺し〕1の『撰集抄』巻6-10・〔追放〕1aの『今昔物語集』巻19-9。
『あいごの若』(説経) 二条蔵人清平の後妻・雲居の前が、継子・愛護の若に恋着する。愛護の若は「父清平に訴える」と言って、拒絶する。雲居の前の侍女・月小夜が、家宝の太刀・唐鞍を盗み、その夫がこれを町中で売って、罪を愛護の若に着せる。清平は怒って愛護の若を縄で縛り、桜の古木に吊り下げる。
『うつほ物語』「忠こそ」 一条北の方が、愛人橘千蔭の息子、すなわち継子にあたる忠こそに恋着するが、拒絶される。怒った北の方は、橘千蔭の持つ先祖伝来の石帯を盗み、博徒にそれを売らせて罪を忠こそに着せる。しかし橘千蔭は息子忠こそを咎めず、北の方のたくらみは不発に終わる〔*後、北の方のさらなる讒言(ざんげん)によって橘千蔭は忠こそを疑い、忠こそは悲嘆して家を出、剃髪する〕。
『ニーベルングの指環』(ワーグナー)「ジークフリート」 巨人ファゾルトとファフナーの兄弟が、指環(=世界を支配する魔力を持つ)と財宝の所有を巡って、争う。ファフナーはファゾルトを殺し、指環と財宝を独り占めする。ファフナーは大蛇に変身して森の奥の洞窟に住み、指環と財宝を守る。しかし恐れを知らぬ英雄ジークフリートが来て、自ら鍛えた名剣ノートゥングで、大蛇を刺し殺す。
『ベーオウルフ』 人里離れた地の古塚に、多くの宝が納められ、龍が3百年に渡ってその宝を守っていた。英雄ベーオウルフがイェーアト族(=スウェーデン南部を支配)の王となって50年に及んだ時、ある男が塚に入りこんで黄金の杯を盗んだ。龍は怒り、火を吐いてイェーアトの国土を焼き払った→〔龍〕1a。
*→〔眠る怪物〕2の『アルゴナウティカ』(アポロニオス)第4歌。
*金銭を守る蛇→〔僧〕3aの『今昔物語集』巻14-1・〔僧〕3bの『夜窓鬼談』(石川鴻斎)上巻「蛇妖」。
『蛇』(川端康成) 44歳の稲子は、知らない家を訪れる夢を見た。座敷に、黒・赤・縞模様など、それぞれ色の違う5匹のきれいな蛇がいた。旧知の女性が、いろんな宝石でできた髪飾りをはずして、「買って頂戴よ」と言う。それは小さい蛇だった。庭にも蛇が20匹くらいいた。稲子は夢を判じようとはしなかったが、心に残った。
*蛇の夢を見る女→〔腹〕4の『かげろふ日記』中巻・天禄2年4月。
★5.宝くらべ。
『あいごの若』(説経)初段 嵯峨天皇が紫宸殿で宝くらべを催し、二条蔵人清平の「やいばの太刀」と「唐鞍」が、もっとも優れた宝と認められる。清平は勢いに乗じて六条判官行重を侮辱するが、後日、行重の奏聞によって子くらべが催され、子のない清平は無念の涙をのむ〔*清平夫婦は長谷寺の観音に子を請い、一子愛護の若を授かる〕→〔申し子〕3a。
『ブラック・ジャック』(手塚治虫)「シャチの詩」 漁場を荒らすシャチが傷ついて海辺にいたので、ブラック・ジャックが手当てをする。2~3日後、シャチは真珠1粒をくわえて来る。以後シャチは何度も怪我をし、ブラック・ジャックの治療を受けては、返礼に真珠や珊瑚や金貨をもたらす。漁民たちがシャチ狩りをして、瀕死の重傷を負わせる。シャチは毎日真珠をくわえて来て、ブラック・ジャックに治療を請う。しかし、もはや手の施しようがなく、幾粒もの真珠に囲まれて、シャチは死ぬ。
*傷ついた動物が、治療してくれた人間に珠をもたらす→〔玉(珠)〕4。
*象が、ささった杭を抜いてもらった返礼に、宝のある場所を教える→〔象〕3の『今昔物語集』巻5-27。
*犬が宝のありかを教える→〔隣の爺〕1の『花咲か爺』(昔話)。
★7.身体から出る宝。
ハイヌウェレの神話 アメタが椰子の木から見出して育てた娘ハイヌウェレは、高価な陶器や鐘などの宝物を大便として出したので、アメタはたちまち富裕になった(インドネシア・ウェマーレ族の神話)→〔寸断〕3。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第1日第1話 アントゥォーノが鬼からもらったロバは、「くそったれ」と叫ぶと、真珠・ルビー・エメラルド・サファイァ・ダイヤモンドなどを排泄する。
*→〔口〕5cの『仙女たち』(ペロー)・〔金(きん)〕・〔金貨〕に関連記事。
★8a.水に沈む宝。
『四つの署名』(ドイル) 4人の悪人が殺人を犯して、インドの王族(ラジャ)の財宝を得る。財宝は別人に横取りされるが、4人のうちの1人ジョナサン・スモールがそれを取り戻して、テームズ河を船で逃げる。しかしホームズらに追われたため、ジョナサン・スモールは財宝をすべてテームズ河に捨てる。箱ごと河に放りこんだのでは簡単に見つけられるので、彼は多くの宝石をバラバラに捨てた。
*海に沈む宝→〔海〕7a・7b。
*大切な鏡を海に投ずる→〔鏡〕7の『土佐日記』2月5日の条。
『地下室のメロディー』(ヴェルヌイユ) 老ギャングのシャルルと不良青年フランシスが、カジノから10億フランを強奪する。翌日フランシスはホテルのプールサイドにすわり、シャルルに渡すための札束入りのバッグ2つを、足元に置く。カジノの男が警察に「犯人のバッグを覚えている。見ればわかる」と話す声が聞こえるので、フランシスはあわててバッグをプールに沈める。プールの底でバッグが開き、札束が次々と水面に浮かび上がる〔*『地下室のメロディー』と同じくアラン・ドロンが主演した→〔にせもの〕1の『太陽がいっぱい』では、プールではなく海から、札束ではなく死体が、引き上げられる〕。
『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』(河竹黙阿弥) 信田家より小山家へ縁組のしるしとして贈られた胡蝶の香合を、悪人どもが奪う相談をしているので、小山家の千寿姫が身につけてこれを守る。しかし千寿姫は、信田の小太郎に扮した弁天小僧にだまされ、胡蝶の香合を弁天に預ける。暗闇の中、弁天小僧・忠信利平・南郷力丸・赤星十三郎らが出会い、絡み合ううちに、香合は赤星十三郎の手に入る。赤星はこれを道具屋に売り、道具屋の手を転々としたあと、道具屋市郎兵衛から与九郎がこれを奪うが、南郷と取り合いになる。落ちた香合を悪次郎が持ち逃げし、弁天が悪次郎を殺して香合を取り戻すものの、捕手らに囲まれて立ち回りのうち、香合が落ち、捕手はそれを滑川に投げ入れる。青砥藤綱の命を受けた人夫が川から拾い上げ、浜松屋の宗之助が香合を持つ。宗之助の育ての親幸兵衛は、もと小山の家臣であり、胡蝶の香合は小山家へもどることになる。
『月長石』(コリンズ) 11世紀。ヴィシュヌ神が3人のバラモンの夢枕に立ち、「月神像の額のダイヤモンド月長石を、人類の世代の続く限り守れ」と命じた。3人のバラモン及びその後継者たちは、世代から世代へと月長石を守り続ける〔*一時、月長石は蒙古兵に奪われたり、回教徒の手に渡ったりした〕。1799年、イギリス人ハーンカスル大佐が、バラモンたちを殺して月長石を手に入れる。大佐は姪レイチェルに月長石を贈り、それを恋人フランクリンが盗み出して、従弟ゴドフリーに渡す(*→〔夢遊病〕2)。ゴドフリーは3人のバラモンに殺され、月長石は月神像の額にもどった。
『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)』(河竹黙阿弥) 源頼朝から安森家に預けられた短刀庚申丸を、伝吉が盗み出す。犬に吠えられ、伝吉は庚申丸を川へ落とす。人足が庚申丸を拾い上げて研屋与九兵衛に売り、与九兵衛はこれを木屋文里に売る。海老名軍蔵が金貸し太郎兵衛から百両を借りて、文里から庚申丸を買い取る。しかし軍蔵は殺され、太郎兵衛が百両の代償に庚申丸を取る。お嬢吉三が太郎兵衛から庚申丸を奪って所持する。やがて庚申丸にまつわる因縁を知った三人吉三は、庚申丸を八百屋久兵衛の手に託す。庚申丸は、安森家の若党弥次兵衛に届けられ、ふたたびもとの安森家にもどる。
『ニーベルングの指環』(ワーグナー) ラインの河底の黄金を3人の乙女が守っており、その黄金から指環を作ると世界を支配する力が得られる。小人アルベリヒが黄金を奪って指環を作る。主神ヴォータンが指環を取り上げるが、すぐ巨人ファフナーに指環を与えざるをえなくなる。ファフナーは後に大蛇に変身し、ジークフリートに退治されて、ジークフリートが指環を得る。彼はブリュンヒルデに愛を誓い、指環を彼女の指にはめる。しかしジークフリートは薬を飲まされてブリュンヒルデを忘れ、自分のしていることの意味を悟らぬまま、彼女から指環を奪い返す。ハーゲンがジークフリートを殺して指環を抜き取ろうとするが果たさず、ブリュンヒルデが指環を自分の指にはめてラインの河底に沈み、結局指環は3人の乙女の手にもどる。
★9b.ある人にとっては貴重な宝も、別の人の手に渡れば、無価値なものとして扱われる。
『勲章』(渋谷実) 戦後10年近くたった頃。元陸軍中将岡部は再軍備促進団体の会長に祭り上げられ、はりきって活動を始める。息子の憲治はこれに反発し、父が戦前・戦中に得た数多くの勲章を家から持出して、愛人に与える。愛人は勲章を、飼い犬の首にぶら下げ、カーテンの飾りにし、洗濯ばさみで吊り下げる〔*再軍備運動は頓挫して、岡部は財産を失う。岡部は憲治を射殺し、その後に自殺する〕。
『今昔物語集』巻26-13 上緒の主が夕立を避けて1軒の小家に入る。腰かけた平石を見ると銀である。小家の嫗はこれを知らないので、上緒の主は着ていた衣と引き換えに巨大な銀塊を手に入れる〔*『宇治拾遺物語』巻13-1では、銀ではなくて金〕。
『炭焼き長者』(昔話)「初婚型」 貧しい炭焼き五郎の所へ来た嫁が、「米を買って来てほしい」と頼んで小判を渡す。五郎は小判の価値を知らないので、池の鴨を取ろうとして小判を投げ、小判は鴨に当たらず池に沈む。嫁が「大事なお金を捨ててはいけない」と言うと、五郎は「こんなものは炭窯のわきにいくらでもある」と言う(鹿児島県薩摩郡下甑村手打)→〔長者〕1a。
『日本永代蔵』巻4-2「心を畳込む古筆屏風」 財を失った貿易商の金屋が、一生の遊びおさめに長崎・丸山の花鳥太夫を揚げる。部屋に定家などの古筆を貼った枕屏風があったので、その値打ちを知らぬ花鳥からこれを譲り受け、大名家に献上して、金屋は多額の金を得る〔*再び大商人となった彼は、花鳥を請け出してその恋人と結婚させる〕。
★10b.宝の持ち主がその価値を知らないように見えたが、実は知っていた。
『猫の茶碗』(落語) 茶店の親父が、時価3百円もする絵高麗の梅鉢茶碗で、飼い猫に餌をやる。骨董商の男が、「親父は茶碗の値打ちを知らぬのだ」と思い、茶碗をだまし取ろうとたくらむ。男はまず猫を3円で買い、「猫の餌用にその茶碗をくれ」と言う。すると親父は「3百円もする茶碗だから、だめだ」と断る。男が「なぜそんな高いものを猫の茶碗にするのだ」と問うと、親父は「こうすると、時々猫が3円で売れます」。
★10c.賊が、人の宝を奪い取るが、その価値を知らず捨ててしまう。
『黄金』(ヒューストン) 3人の男が、金鉱を探してメキシコの山奥へ入る。彼らは多量の砂金を手にするが、仲間割れが起こり、砂金を独り占めした男は山賊に殺される。しかし山賊は、袋に詰まった砂金の値打ちを知らず、その場に捨てる。砂金は塵と化し、強風に吹かれて再び山に還る〔*→〔二者同想〕2の『カンタベリー物語』「赦罪状売りの話」あたりが、発想源かもしれない〕。
玉屋の椿の伝説 長者の玉屋徳兵衛は、48の蔵に納めた金銀が泥棒に盗まれるのではないかと恐れ、裏の竹薮にある椿の木の下に、金銀をすべて埋めた。すると徳兵衛の目には、椿の枝が白銀(しろがね)、葉が黄金(こがね)に見えた。徳兵衛は「椿が金銀の精を吸い取った」と思い、病臥した。臨終の時、「椿の下に金銀を埋めた」と妻に打ち明けたが、掘ってみると何もなかった(新潟県)。
★11b.宝の持ち主が、宝を失うのではないかと心配し続け、失ってかえって安堵する。
『水屋の富』(落語) 水屋が、富札で当てた千両を床下に隠す。「泥棒に盗まれはしないか」と水屋は心配して、朝晩かかさず点検する。近所の遊び人がこれを見て、水屋の留守に千両を盗む。金がなくなったのを知った水屋は「これで苦労がなくなった」と安堵する。
★11c.宝の持ち主が、宝を失うのではないかと心配し続け、失って嘆き悲しむ。
『イソップ寓話集』(岩波文庫版)225「守銭奴」 守銭奴が金塊を城壁の前に埋め、しょっちゅう出かけて行って点検する。近所の職人がこれに気づき、金塊を盗む。金塊がなくなったのを知った守銭奴は、嘆き悲しむ。ある人が慰めて言うには、「同じ場所に石を埋め、それを金塊だと思えばよい。金塊があった時でも、それを使わなかったのだから」。
★11d.宝のごとく大切な若妻を失うのではないかと心配し続け、失ってかえって安堵する。
『新月』(木々高太郎) 50代の細田圭之助氏は、20代の若妻斐子(あやこ)を熱愛するが、斐子には若い恋人がいた。ある夜、斐子は箱根の湖で泳いでいて、細田氏の目の前で溺れる。細田氏の心の奥底には、「ここで斐子が死ねば、斐子を若い男に奪われるのではないかという心配はなくなる」との思いがあり、救いを求める斐子を、無意識のうちに見殺しにする。
*→〔二人夫〕4の『白痴』(ドストエフスキー)で、ロゴージンがナスターシャを得た直後に刺殺したのも、同様の心理であろうか。
*夫の愛を失うことを恐れ、幸福なうちに自殺してしまう→〔理髪師〕4の『髪結いの亭主』(ルコント)。
『黒蜥蜴』(三島由紀夫) 女賊黒蜥蜴は、宝石商岩瀬氏の娘早苗を誘拐し、113カラットのダイヤ「エヂプトの星」を奪う。しかし名探偵明智小五郎に捕らえられ、黒蜥蜴は毒を仰ぐ。黒蜥蜴は明智への恋心を告白し、「でも、あなたの心は冷たい石ころ」と言って死んで行く。明智は岩瀬氏に「これからも贋物の宝石を売買して繁栄なさい」と言う。岩瀬氏「贋物だと?」。明智「本物の宝石は、もう死んでしまったからです」。
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