あまのじゃく
「あまのじゃく」とは、本心とは逆の行動や言動を取ってしまう人のことを意味する表現である。
「あまのじゃく」とは・「あまのじゃく」の意味
あまのじゃくは、本心とは正反対のことを言ったり、正反対の行動をしてしまったりする人のことを指す言葉だ。元は「天邪鬼(あまのじゃく)」という妖怪を指す言葉であったが、現代では人の性質を表す場合がほとんどである。地域によっては、「あまんじゃく」と表記されることもある。あまのじゃくは、一般的に使用されている言葉だ。「具体的にどんな人?」と訊ねられた場合、素直ではない人やひねくれている人と答える人が多い。実際に、自分に素直になれず、本心とは異なる態度を取ってしまう人が、あまのじゃくである。ただ、全ての人が意識的に、本心とは異なる態度を取っているとは限らない。生まれ持った性格として、無意識に本心とは異なることを言ってしまう人も多い。恋愛において、相手が好きであるにもかかわらず、嫌いだと言ったり、一緒にいて楽しいと感じているのに、退屈そうにしたりする人もいる。
あまのじゃくの性格 原因は、主に幼少期にあると考えられている。親を始めとする周囲の人から、十分な愛情を得ることができなかったり、否定され続けてきたりした場合、本心をさらけ出すことに抵抗感を抱きやすくなる。その結果、本心をさらけ出すのを避けるために、本心とは正反対の発言をしたり、行動を取ったりしてしまう形だ。
なぜあまのじゃくな態度を取ってしまうか、その具体的な理由は、個人や状況によって異なる。自分の弱い部分を隠すために、わざと強がるパターンや、緊張のあまり自分をコントロールできず、素直になれないパターンなどがある。いずれの場合も、相手を混乱させてしまうことが多い。そして、「あまのじゃくな性格 恋愛」というキーワードを使って、解決法を探る人も少なくない。
あまのじゃくな性格は、恋愛 女性に多く見られる。相手の男性を試したり、からかったりする目的で、本心とは異なる言動をする女性は珍しくない。そのようなあまのじゃくな女性 扱い方としては、相手をとりあえず受け入れることが望ましいとされる。本心ではないことを指摘したり、否定したりすることは、あまり効果的ではない。時間をかけて受け入れるようにすれば、やがて本心をさらけ出してくれるようになる可能性は高い。
あまのじゃくは、ボーカロイド、略してボカロの曲のタイトルとしても知られている。正式には「天ノ弱」という表記であり、天邪鬼と、天性の弱虫という2重の意味が込められているタイトルだ。天ノ弱の歌詞では、意中の相手に対して強い気持ちを抱いているにもかかわらず、素直になることができない心境が表現されている。また、神奈川県の天王町にある飲食店の名前としても、天邪鬼は有名だ。横浜にありながら、広島のお好み焼きを楽しめる場所として、大勢の人から親しまれている。飲食店を指す場合は、「あまのじゃく」ではなく「あまんじゃく」の表記となる。
「あまのじゃく」の語源・由来
「あまのじゃく」の元となったのは、日本神話に登場する女神「女神天探女(あまのさぐめ)」だとされている。女神天探女は、人の心を読むことができ、その心とは逆の行動をする女神であった。そして、神の意思に従わなかったため、天の邪魔をする者という意味の「天邪鬼(あまのじゃく)」として扱われるようになった。そのため、本心とは異なる行動や言動をしてしまう人を指す言葉として、女神天探女の別名である、あまのじゃくという言葉が定着した。「あまのじゃく」の熟語・言い回し
じゃくじゃくあまのじゃくとは
「じゃくじゃくあまのじゃく」は、NHKのEテレ枠「おかあさんといっしょ」で使用された楽曲である。本心とは異なる言動をしてしまうあまのじゃくの性質を、鬼である天邪鬼を取り上げながら、幼児にわかりやすいよう解説している楽曲だ。
特性あまのじゃくとは
「特性あまのじゃく」は、ゲーム作品のポケットモンスターシリーズに登場する用語である。ポケットモンスター、ポケモンには、特性という固有の能力が与えられている。その特性のひとつに、「あまのじゃく」というものがある。特性あまのじゃくを持っているポケモンは、能力を変化させる技を使用した際、逆の効果を受けることになる。例えば、「こうげき」パラメータを2段階上げる技を使った場合、特性あまのじゃくを持っているポケモンに限り、「こうげき」が2段階下がる。
「あまのじゃく」の使い方・例文
「あまのじゃく」は原則として、人の性格や、言動の性質を表すための用語として使われる。例文にすると、「彼はあまのじゃくな性格をしているため、彼を嫌う人は少なくない」
「彼女は、酔っ払ったときだけ、あまのじゃくな性格になるのが厄介である」
「先日、彼にあまのじゃくな言動をしてしまったことを後悔している」
「彼は、恋人があまのじゃくな態度を取ることに悩んでいるようだ」
「あのアイドルは、あまのじゃくな性格のキャラクターとして有名である」
「彼は誠実そうな人に見えた。初対面だからといって、あまのじゃくなことを言わなくても良かったのではないだろうか」
「彼女の創作落語には、しばしばあまのじゃくな人物が登場する」
「あなたはあまのじゃくな性格だが、付き合ってみると悪人ではないことがわかった」
「私は常日頃から、あまのじゃくな性格を治したいと思っている」
「自分では気づいていないかもしれないが、君は大勢の人から敬遠されるタイプのあまのじゃくだ」
という風になる。
あまのじゃく
「あまのじゃく」とは、「何かにつけて他人や世間に逆らうようなことをする」「他人の意見を素直に聞き入れない」「本心を隠して裏腹なことを言う」といった性格の人のことである。ひらたく言えば「素直でない人・素直になれない人」のことである。つむじ曲がり・へそ曲がり・鼻曲がり・偏屈・ひねくれ者などともいう。
「あまのじゃく」は漢字では「天邪鬼」と表記する。もともとは、神話や伝承や仏教美術における、悪さをして懲らしめられる悪鬼のことである。妖怪として扱われることもままある。
恋愛においては「自分の気持ちに素直になれず、好きな人に対して冷たい態度やそっけない態度を取ってしまう人」を「あまのじゃく」と呼ぶことがある。
「あまのじゃくな性格」の主な原因・要因
「あまのじゃくな性格」は、精神疾患のような異常な傾向というわけではないが、「難儀な性格」であるため治したいと考える人は少なからずいる。性格が「あまのじゃく」になる原因は、低い自己肯定感によるものが多く、親からの愛情不足や過干渉、過保護などが背景にある。また、人に裏切られて傷付いたという経験を持つケースもあり、それらのことから自分に自信を持つことができず、人に対する不信感を抱き、人と繋がることを恐れているという心理が働いている。
あまのじゃくの治し方としては、認知行動に働きかける精神療法が一般的である。自己肯定感を高めるためにも自分で自分を褒めたり、前向きな言葉を普段から使うようにしたりするなどの方法が用いられる。しかし、あまのじゃくは精神的な病でもなければ心の病気でもない、マイナスの感情で形成された性格である。よって、ありがとうやごめんなさい、などの言葉を素直に伝えることができないため、周りの人に感謝や謝罪の言葉をかける、自分の本当の気持ちに目を向けて本音を伝えることも有効である。
あま‐の‐じゃく【天の邪▽鬼】
あまのじゃく 【天邪鬼】
天邪鬼
天邪鬼
(あまのじゃく から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 17:42 UTC 版)

天邪鬼(あまのじゃく、あまんじゃく、てんじゃき)は、悪鬼神もしくは小鬼、また日本の妖怪の一種とされる。「河伯」、「海若」とも書く。
由来
仏教では人間の煩悩を表す象徴として、四天王や執金剛神に踏みつけられている悪鬼、また四天王の一である毘沙門天像の鎧の腹部にある鬼面とも称されるが、これは鬼面の鬼が中国の河伯(かはく)という水鬼に由来するものであり、同じく中国の水鬼である海若(かいじゃく)が「あまのじゃく」と訓読されるので、日本古来の天邪鬼と習合され、足下の鬼類をも指して言うようになった。
日本古来の天邪鬼は、記紀にある天稚彦(アメノワカヒコ)や女神天探女(アメノサグメ)に由来する。天稚彦は葦原中国を平定するために天照大神によって遣わされたが、務めを忘れて大国主神の娘を妻として8年も経って戻らなかった。そこで次に雉名鳴女を使者として天稚彦の下へ遣わすが、天稚彦は仕えていた天探女から告げられて雉名鳴女を矢で射殺する。しかし、その矢が天から射返され、天稚彦自身も死んでしまう。
天探女はその名が表すように、天の動きや未来、人の心などを探ることができるシャーマン的な存在とされており、この説話が後に、人の心を読み取って反対に悪戯をしかける小鬼へと変化していった。本来、天探女は悪者ではなかったが天稚彦に告げ口をしたということから、天の邪魔をする鬼、つまり天邪鬼となったと言われる。また、「天稚彦」は「天若彦」や「天若日子」とも書かれるため、仏教また中国由来の「海若」と習合されるようになったものと考えられている。
江戸時代の百科事典である『和漢三才図会』では『先代旧事本紀』からの引用として、スサノオが吐き出した体内の猛気が天逆毎という女神になったとあり、これが天邪鬼や天狗の祖先とされている[1][2]。
説話
民間説話においては前述のように、人の心を察して口真似などで人をからかう妖怪とされるが[3]、地方により伝承が異なる。
秋田県平鹿郡、茨城県稲敷郡、群馬県邑楽郡、静岡県田方郡などでは、人の声を真似ることから木霊や山彦が「アマノジャク」と呼ばれ[4][5]、山中の声の反響はアマノジャクが声を真似しているなどという[6]。栃木県芳賀郡、富山県西礪波郡、岐阜県加茂郡では山姥を指して天邪鬼と呼ぶ[4]。
神奈川県箱根や静岡県伊豆では、天邪鬼は巨人のようなものとして伝えられており、かつて天邪鬼が富士山を崩そうとして失敗し、そのときに運び出した土がこぼれてできたのが伊豆大島だという。岡山県久米郡中央町(現・美咲町)では、天邪鬼が二上山を高くしようとして石を積み上げたが、完成間近で夜が明けたために失敗し、兵庫県多可郡では天邪鬼が山々の間に橋を造ろうとしたが、同様に失敗したといい、これらの地方では山の上に自然石が転がっている場所や、製作者のわからない石垣などは天邪鬼によるものとされている[2]。
岩手県九戸郡では天邪鬼が炉の灰の中にいるといい、東北地方では天邪鬼は蛹のこと、秋田県仙北郡角館ではチャタテムシのこととされる。また、同県の平鹿郡(現・横手市)での俗信では、嬰児はアマノジャクが子守をして泣かせないと言われていた[6]。
長野県南佐久郡の小海の奥の「カッポウ」という所に天邪鬼がいた。大きな体をしており、一気に一山越えて手桶をついたので、その跡がある。また付近には天邪鬼の足跡も残っている[7]。
転用
「人の心を見計らって悪戯をしかける子鬼」とされることから転じて、現代では「他者(多数派)の思想・言動に逆らうような言動をする"ひねくれ者"、"つむじ曲がり"」を指して、「あまのじゃく(な人)」と称されるようになった[8]。
映像作品上のキャラクターとして転化される際にもこの性格が押し出されることが多く、一例として特撮作品『ぐるぐるメダマン』では仲間内に対立を招くキャラクターとして、『忍者戦隊カクレンジャー』では人々を意地悪にして騒動を起こす敵役として登場している[9]。
脚注
- ^ 寺島良安 著、島田勇雄他 訳『和漢三才図会』 6巻、平凡社〈東洋文庫〉、1987年、344-345頁。ISBN 978-4-582-80466-9。
- ^ a b 村上 2005, pp. 19–21
- ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 52頁。
- ^ a b 山崎 1977, p. 26
- ^ 民俗学研究所編『民俗学辞典』東京堂、1951年、11頁。 NCID BN01703544。
- ^ a b 大藤 1955, pp. 47–48
- ^ 『佐久口碑伝説集限定復刻版』長野県佐久市教育委員会昭和53年11月15日発行全351P中145P。
- ^ 天邪鬼 - コトバンク
- ^ 村上健司他編著『百鬼夜行解体新書』コーエー、2000年、13頁。 ISBN 978-4-87719-827-5。
参考文献
- 大藤時彦他 著、民俗学研究所 編『綜合日本民俗語彙』 第1巻、柳田國男監修、平凡社、1955年。 NCID BN05729787。
- 村上健司編著『日本妖怪大事典』角川書店〈Kwai books〉、2005年。 ISBN 978-4-04-883926-6。
- 山崎雅子他 著、稲田浩二他 編『日本昔話事典』弘文堂、1977年。 ISBN 978-4-335-95002-5。
関連項目
あまのじゃく(天邪鬼)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/15 21:03 UTC 版)
「ポケットモンスターの特性一覧」の記事における「あまのじゃく(天邪鬼)」の解説
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