猫の皿とは? わかりやすく解説

猫の皿

(猫の茶碗 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 04:25 UTC 版)

猫の皿』(ねこのさら)は、古典落語の演目。同題は主に東京落語で用いられる。このほかに『猫の茶碗』(ねこのちゃわん)の演題もある[1][2]。東京落語・上方落語の両方で演じられる。

旅人が、旅先で立ち寄った茶店で店主を言いくるめて、ある名品の皿(『猫の茶碗』の場合、小鉢)を買い叩こうとするが、実は店主の方が一枚上手で、旅人のほうを騙していたという滑稽噺。月尋堂・作の浮世草子『子孫大黒柱』所収の「一休和尚」や「爪かくす猫の食器」に原型がみられる[3][注釈 1]。また、滝亭鯉丈の『大山道中膝栗毛』三編下巻(文政4年・1821年)に、猿と鎖が登場する同一のシーンが見られる[1][2]

あらすじ

旗師(はたし)という、無店舗の古美術仲買人を営んでいたある男は、地方に出かけて骨董品を見つけては所有者を言葉巧みに騙して、それを安値で買い叩き、高値で都市(江戸ないし大坂)の蒐集家に売りつけて生計を立てていた。

男は宿場町へ通じる街道沿いの茶店で、茶を飲みながら店主と世間話をしていた。ふと店の隅で餌を食べる飼い猫を見ていると、猫が食べている餌受け皿が名品の「絵高麗の梅鉢」(演者によっては、他に「柿右衛門の逸品」などとする)であることに気づいた。男はこれを買い叩こうと企み、何気ない風を装って猫を抱き寄せ、「ご亭主の飼い猫がどうにも気に入った。3で是非私に引き取らせてはくれないか」と持ちかけた。

店主が承諾すると男は、「猫は、皿が変わると餌を食べなくなると聞く。この皿も一緒に持っていくよ」と、何気なく梅鉢を持ち去ろうとした。店主はそれを制し、「猫は差し上げますが、これは捨て値でも300両、という名品でございますから売るわけにまいりません」と告げた。

驚いた男が「何だ、知っていたのか。これが名品とわかっていながら、何でそれで猫に餌をやっているのだ」と尋ねると、店主いわく、

「はい、こうしておりますと、時々猫が3両で売れます」。

バリエーション

猫や皿の価格、通貨単位は演者によって変わる。

3代目桂米朝は時代設定を現代に近くし、郊外のバス停近くの食料品店を舞台として演じた[要出典]

宿場町を特定する演じ方がある。熊谷宿川越宿など[要出典]

脚注

注釈

  1. ^ 武藤禎夫によると、「爪かくす猫の食器」は『子孫大黒柱』巻一の第4話(宝永6年・1709年[2]

出典

  1. ^ a b 東大落語会 1975, pp. 354–355.
  2. ^ a b c 武藤禎夫 2007, pp. 341–342.
  3. ^ 二村・中込 2002, p. 131.

参考文献





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