隣の爺
『宇治拾遺物語』巻1-3 右頬に大きなこぶのある翁が、鬼たちの宴で上手に踊り、こぶを取ってもらう。左頬に大きなこぶのある隣の翁が、これをうらやんで、真似をして鬼に踊りを見せる。しかし下手な踊りだったので、鬼たちは「もうよい。この前あずかったこぶを返してやる」と言い、隣の翁の右頬にこぶをつける。隣の翁は、左右両頬にこぶのある翁になってしまった。
『地蔵浄土』(昔話) 爺が、ころがった豆を追って行く。地蔵が立っていて、豆を食べてしまう。地蔵は豆の返礼に、「夜になると鬼たちが博打をするから、鶏の鳴きまねをして脅せ」と教える。爺が「コケコッコー」と鳴くと、鬼たちは「朝が来た」と思って金を置いて逃げ、爺はそれを得る。隣の爺が真似をするが、人間であると見破られ、鬼たちに叩かれて帰る(青森県三戸郡田子町石亀)。
『雑談集』(無住)巻2-3「災難病患等ノ有ル事」 マメ祖が畠作りに疲れ居眠りをする。猿たちが見て「仏様だ」と思い、暑預・栗など多くの供え物をする。隣家のモノクサ祖が妻にせがまれ、マメ祖の装束を借りて畠で仏様のふりをする。猿たちが仏様を川向こうへ運んで供養しようとするが、モノクサ祖は途中で笑ってしまい、猿たちは「人間だったのか」と言って川へ投げ入れる。
『花咲か爺』(昔話) 愛犬シロが裏の畠でほえるので、正直爺が掘って見ると、多くの小判があった。隣の爺がシロを借りて畠を掘ると、犬の糞が出てくる。隣の爺は怒ってシロを殺し、榎樹(えのき)の下に埋める。正直爺が榎樹で臼を作って搗くと、餅がたくさん出る。隣の爺が臼を借りて搗くと、また犬の糞が出る。隣の爺は怒って臼を焼く→〔灰〕1。
『宇治拾遺物語』巻3-16 雀が、子供の投げた石に当たって腰を折り、婆が雀の手当てをする。回復した雀は、瓢(ひさご)の種1粒を落として飛び去る。瓢は美味な実をつけ、大きな瓢の中には白米が詰まっていた。隣の婆がこれをうらやみ、数羽の雀にわざと石をぶつけて、腰を折る。雀たちが落として行った種からは、苦い実がなり、瓢から虻・蜂・むかで・とかげ・蛇が出て、隣の婆を刺し殺した。
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