医師との関係性及び受験資格をめぐる問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 15:59 UTC 版)
「公認心理師」の記事における「医師との関係性及び受験資格をめぐる問題」の解説
「 (連携等)第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。 (経過措置等)第四十五条2 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。 」 —法案第四章 義務等 上述のように、2014年6月に第186回通常国会へ提出した公認心理師法案は、同年秋の第187回臨時国会において継続審議を行うため、衆議院で閉会中審査が議決された。審議においてはいくつかの論点がある中で、法案提出前の各党の文部科学・厚生労働部会等での法案審査や、超党派の法案実務者協議の中で特に反対意見や修正要求が具体的に指摘されることになったのが、法案の第四十二条「連携等」における「医師との関係性」に関する記載についてで、さらに、各関係団体が主張を見解や声明としてリリースしたほか、SNS上においても活発な議論が行われていたことも踏まえ、これらの論点を下記にて整理する。 第186回通常国会 保留基本的立場医師からの指示を受ける範囲を医療機関の外部にまで拡大しようとする記載になっていることについて、正当性を吟味する 主な関係機関衆議院文部科学委員会(委員長:小渕優子、説明者:山下貴司)公認心理師法案提出者(提出者:河村建夫、鴨下一郎、山下貴司、古屋範子、稲津久、柏倉祐司、井坂信彦、青木愛、吉川元)超党派の公認心理師法案実務者協議各党の文部科学・厚生労働部会等での公認心理師法案審査自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟(会長:河村建夫)」 ↑↑↑ ↑↑↑ 賛成(法案文の現状維持) 反対(法案文の記載変更)基本的立場医療分野以外の全分野でも心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受ける 各分野共通で医師とは連携、医療機関内のみ医師からの指示 主な関係機関衆議院法制局厚生労働省文部科学省精神科医系団体(精神科七者懇談会) 三団体日本臨床心理士資格認定協会日本臨床心理士養成大学院協議会都道府県臨床心理士会 主な論点他職種(医療系)の法的根拠との整合性論公認心理師の法案文における医師からの指示と、他職種の法文における医師からの指示とは意味合いが異なっており、業務独占となる「医行為」や「診療の補助行為」として指示を規定するものではないので、問題はない 三団体が要望している「医療機関内のみ医師からの指示」という記載に関しては、医療機関などの施設ごとに指示の要不要を規定する「場の限定」は、日本の法制的に不可能なので、整合性を図るため、医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受けなければならない 保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、救急救命士などの法文で医師からの指示が規定されているのは、業務に「医行為」や「診療の補助行為」に当たる部分があるという位置付けをされているためだが、心理的支援については、「医行為」であるとか、「診療の補助行為」というような位置付けをなされたことはないため、指示を規定しようとする正当性がない 公認心理師と他職種の法文(法案文)において、「指示」という言葉は同一であるにもかかわらず、意味だけは異なるというのは、法的根拠としての整合性がない 傷病者や精神障害者を基本的な対象者としている精神保健福祉士や管理栄養士の法文であっても、強制力のある指示ではなく、治療方針を情報提供する形としての指導が規定されているので、公認心理師の法案文において指示を規定しようとするのは矛盾している 社会福祉士も公認心理師と同様に汎用性があり、多岐にわたる活動領域(医療分野を含む)を持っているが、法文においては他職種(医師を含む)との連携は規定されているが、医師からの指導も指示も一切規定されていないため、法制的に「場の限定」ができないのであれば、公認心理師も同様の特性を持つ社会福祉士のように、「各分野共通で他職種(医師を含む)とは連携」と規定するのが整合的である 対象者(患者)の保護論教育・産業等の分野における医療との関係については、精神・身体疾患の有無の判断と責任のあり方について明確にする必要がある※精神科医系団体(精神科七者懇談会)の主張 医師法、保健師助産師看護師法上は対象になっていない、あるいは、「医行為」であるとか「診療の補助」に当たらないからといって、対象者(患者)の心身に与える肉体的、心理的負担及び影響が軽微であることとは限らない場合もある そのため、医療機関を受診中などの心理状態が深刻な対象者(患者)に対しては、公認心理師が主治医の治療方針に反する心理行為を行って心理状態を悪化させることがないように、医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受けなければならない 身体疾患に伴う心理相談でも医師の指示が必要になる等により、対象者(患者)が心理相談を利用することを著しく阻害し、対象者(患者)の益に反する※日本臨床心理士養成大学院協議会の主張 対象者(患者)の保護を第一に考えるのであれば、高度な専門性と倫理観を教育・訓練するため、現行の臨床心理士や米国臨床心理士と同等に養成課程を大学院修了レベルに統一設定することが必要であるが、精神科医系団体がこれまでの歴史において要望してきたのは、現行よりも低い学部卒業レベルの心理職国家資格であるため、対象者(患者)の保護論として一貫性がない 学部卒業で心理職現任者となっている者については、一定期間は救済する形の経過措置を別途設ければ良いので、現行の臨床心理士や米国臨床心理士と同等に養成課程を大学院修了レベルに統一設定することは現実的に可能である すなわち、入口のハードルを下げて中で縛りをかけるのではなく、入口のハードルを上げて中で裁量を持たせた方が、高度に専門的な人材を養成でき、なおかつ各現場に即した活動ができるため、対象者(患者)の保護に効果的である また、医師の指示は民間資格だけを持つ心理の専門家にはかからないことから、実効性がない。患者がより能力、経験の不十分な心理の専門家にかかる可能性が高まることから、悪影響が懸念される 心理学・心理行為と医学・医行為との同異論心理行為は医行為と区別できない業務が多い、または、医療分野における心理行為の多くは医行為に含まれるものの、名称独占の業務として規定させるため、医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受けなければならない※精神科医系団体(精神科七者懇談会)の主張 心理行為が原則として医行為ではないことは、既に厚生労働省が見解を表明している 心理行為=医行為と判断された判例は、これまで1件も存在しない 心理行為=医行為と解釈するならば、例えば心理学の研修を受けた教師や弁護士などが日常業務として行っている教育相談や犯罪被害者等に対する支援相談なども医行為と位置付けられる恐れがあることに加え、各地方自治体・行政機関やNPO・民間ボランティアなどが行っている心理相談窓口の開設や東日本大震災被災者に対するメンタルケア活動も医行為として制限を受けることになるため、現実的ではない そもそも、心理相談などは様々な分野・職種で行われている業務であるために、公認心理師のみの業務独占にはできずに名称独占とする経緯があるので、心理行為=医行為と解釈するとなると、様々な分野・職種が医行為を行っていることになるので、妥当な解釈ではない 医師からの指示に対する省令などでの制限担保論法文において、医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受けると記載されていたとしても、実際の運用や各臨床現場での判断は省令なども基準にするため、法案第四十五条第二項の規定を踏まえ、省令などで医師からの指示の影響の制限を担保すれば、問題はない 法令には「優劣関係」の概念によって効力の有無が規定されており、優劣関係では、「法文(法律)>政令>省令」と位置付けられているため、下位の省令などによって上位の法文(法律)の制限を図るのは妥当性がない 法文(法律)において強制力のある指示を規定する一方で、省令などによって指示の制限や例外などを担保すると、かえって各臨床現場が混乱をきたす恐れがあるため、現実的ではない 法文(法律)では大枠として「各分野共通で他職種(医師を含む)とは連携」を規定し、運用上の留意事項がある事例(症例)に関してのみ、省令などにおいて特に取り上げて詳細を規定するのが現実的である 医療分野の事情優先論医療分野においては、「診療報酬」という特殊なシステムがあり、その診療報酬システム上に国家資格として組み込まれることが医療分野での活動においては不可欠であるので、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない 国家資格として診療報酬上に組み込まれれば、対象者(患者)は心理行為による治療を「保険診療」として利用できるようになり、医療機関側にとっても保険診療の算定による採算性が生まれるため、医療分野の心理職の待遇改善や雇用促進につながることが期待でき、結果的に、対象者(患者)、医療機関、心理職の全者にメリットとなるので、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない 心理職国家資格創設によって、医療分野の診療報酬上の運用だけでなく、様々な分野において必置資格や配置基準などに規定される可能性があり、雇用の受け皿の拡大が期待できるので、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない 現在の診療報酬上には「臨床心理技術者等」という規定があり、特定の精神(心理)療法や心理検査の算定基準になっているが、多くの臨床現場で実際に臨床心理技術者等として活用されているのは現行の臨床心理士であるため、実質的には、既に診療報酬上の運用自体は行われている 確かに心理職国家資格創設によって、現在の診療報酬上の「臨床心理技術者等」よりも算定基準の規定を拡大できる可能性はあるが、現実の手続きとしては、様々な利害関係が絡んだ政治的な交渉の場である中央社会保険医療協議会での審議を経て、心理職に有利な形での診療報酬改訂を勝ち取る必要があり、その結果として、対象者(患者)には保険診療の恩恵がもたらされ、医療機関側にとっては採算性が向上する、というステップを要するので、心理職国家資格創設という段階的な事柄と、待遇改善や雇用促進などの実利実益を直結させるのは早計である 一方で、公認心理師の候補生の養成課程は現行の臨床心理士よりも低い学部卒業レベルを含むため、大学院修了レベルのみの給与体系よりも低賃金化する懸念がある上に、臨床心理士以外の心理職現任者への経過措置適用も並行して行われるため、新規的・継続的に供給され(続け)る心理職の人数は現行の臨床心理士のみの場合よりもさらに増大するのは確実であるのに対し、需要側である雇用の受け皿の拡大は確定的ではなく流動的なので、確率的には、医療分野の心理職の待遇改善や雇用促進よりも、むしろ全分野の心理職の雇用条件が悪化する恐れの方が高いにもかかわらず、その上で心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示まで受け入れるとすれば、公認心理師の創設においては、デメリットを上回るメリットの想定が困難である 例えば現行の臨床心理士には、教育、医療・保健、福祉、司法・矯正、労働・産業、学術・研究など非常に多岐にわたる活動領域がある中で、医療・保健分野に勤務している者は28.3%との調査報告があるが、約28%の一分野の特殊な事情を優先して、残りの70%以上にまで影響を及ぼすような条件を看過することは不自然であり、多岐にわたる心理職国家資格の活動を発展・深化させることとも医療分野以外で関わる対象者の利益に直結することとも確実視できないので、法案文の記載変更を要望するのには正当性がある 心理職国家資格の創設優先論心理職国家資格創設をめぐっては、心理学界内部や、医学界との間などに見解の相違があり、これまでの歴史において数々の紆余曲折を経てようやく今回は法案提出にまでこぎ着けた経緯があるので、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない 2005年に頓挫した「臨床心理士及び医療心理師法案」から今回提出した公認心理師法案まで10年を費やしたことを踏まえると、もしも今回成立しなければ、良くて次の機会がまた10年後にやってくるか、悪ければ金輪際実現不可能になるかもしれないので、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない もしも現状の法案文にある、医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受ける記載について頑なに反対し、「各分野共通で医師とは連携」、「医療機関内のみ医師からの指示」との記載変更を要望し続けると、公認心理師法案を成立させまいとする妨害行為と受け取られかねず、心理学界は心理職国家資格の創設を本当に望んでいるのかという疑念や不信感を議員や官僚に持たれる恐れがあるので、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない 法案の附則第四条には、法律施行5年経過後の再検討が規定されており、その時点で具体的な支障が生じていれば改めて要望を行えば良いので、現段階では、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならない 確かに心理職国家資格創設をめぐっては長らく難航したが、そのような中でも現行の臨床心理士は支援活動を蓄積させてきたことで、内閣府、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、防衛省、警察庁、海上保安庁、地方自治体、およびそれらの所管機関をはじめとして資格要件化や公的な活用が進んでいる現実があり、それらを踏まえた創設必要性を議員や官僚とも共有しているので、拙速な妥協は、心理職国家資格創設にとって建設的ではない 「医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受ける」という記載は、そもそもとして、三団体の「要望書(2011年版)」とも精神科医系団体の「心理職の国家資格化に関する提言(2013年版)」とも食い違いがあり、どの関係機関の要望にもないものが突然に、2014年に入ってから公認心理師法案要綱骨子(案)として出てきているので、段取りとして筋が通っておらず、受け入れられる理由がない 法律施行5年経過後の再検討が規定されているのであれば、現段階で「各分野共通で医師とは連携」、「医療機関内のみ医師からの指示」と規定しておき、5年後の時点で具体的な支障が生じていれば医師からの指示の範囲も含めて再検討するという順番もあり得るので、現段階では心理的支援の対象者に主治医がいる場合に限り、医療分野以外の全分野での医師からの指示を受け入れてでも心理職国家資格の創設を優先しなければならないというのは、一方的である 心理職国家資格の必要性認識の有無有 ※補足厚生労働省社会援護局精神・障害保健課による「支援対象に主治の医師があるかどうかを常に確認しなければならないかどうかについて」の説明(2014年4月23日付け)は、下記の通りである。 「 1、この定めの趣旨としては、心理状態が深刻であるような者に対して公認心理師が当該支援に係る主治の医師の治療方針に反する支援行為を行うことで状態を悪化させることを避けたいということ。2、公認心理師は心理の専門家としての注意義務がある。病院では当該支援に係る主治の医師があることが当然想定されるのでその医師を確認して指示をうけることが必要。 一方、病院以外の場所においては、要支援者の心理状態が深刻で、当該支援に係る主治の医師があることが合理的に推測される場合には、主治の医師の有無を確認することが必要であろう。しかし、それ以外の場合では当該支援に係る主治の医師があるとは必ずしも想定されず、また、当該支援に係る主治の医師の有無を確認することについては、心理支援を要する者の心情を踏まえた慎重な対応が必要。したがって、このような場合、心理の専門家としての注意義務を払っていれば、必ずしも明示的に主治の医師の有無を確認しなかったとしても注意義務に反するとは言えない。なお、心理職が行っている心理的支援は、その業務を行う場所にかかわらず、業務独占となる医行為や診療の補助ではなく、今後、公認心理師が行うこととなる業務も現状と同様と考えている。また、指示とはその業務を診療の補助とするという意味を含まない。 」 —厚生労働省による「主治医の指示(第42条第2項)」補足説明 ※参考(補足) 「 医療関係職種の業務における3つの行為類型(案)[行為の特性]①○医師の医学的判断をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)○医師が自ら行うか、医師の指示の下に看護師等の有資格者が診療の補助として実施する行為②○患者に対する医行為の実施等につなぐ行為○患者に対する医行為と患者の療養生活の間に位置付けられる行為③○患者に対して直接実施しない等、患者に危害を与えるおそれのない行為 」 —厚生労働省第23回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ○資料6 医療関係職種の業務における行為の類型について(案)議事録 また、臨床心理士関係4団体の組織概要と倫理、国家資格化への態度等を下記に示す。関係4団体の間で最後まで意見が分かれたのは、法案の第四十二条「連携等」における「医師との関係性」及び第七条「受験資格」についての記載である。 (社)日本心理臨床学会(財)日本臨床心理士資格認定協会(社)日本臨床心理士会日本臨床心理士養成大学院協議会設立年1982年 1988年 1989年 2001年 性格学術団体 資格認定団体 職能団体 養成学校連絡協議団体 業務執行理事11名以内 4名以内 4名 なし 理事34名以内 15名以内 21名以内 20名以内 会員約2万7千2百名・社※2015年4月現在 なし 会員=約1万9千6百名団体会員=47都道府県臨床心理士会※2015年度末現在 168大学院※2016年4月現在 倫理 倫理基準(他専門職との関係)第8条 会員は、自分の担当する対象者への援助が心理臨床活動の限界を超える可能性(例えば医学的診断と処置)があると判断された場合には、速やかに適切な他領域の専門職に委託し、又は協力を求めなくてはならない。 臨床心理士倫理要綱<専門職との関係>第6条 他の臨床心理士及び関連する専門職の権利と技術を尊重し、相互の連携に配慮するとともに、その業務遂行に支障を及ぼさないように心掛けることとする。 倫理要綱第2条 秘密保持1 秘密保持業務上知り得た対象者及び関係者の個人情報及び相談内容については、その内容が自他に危害を加える恐れがある場合又は法による定めがある場合を除き、守秘義務を第一とすること。第4条 インフォームド・コンセント4 自他に危害を与えるおそれがあると判断される場合には、守秘よりも緊急の対応が優先される場合のあることを対象者に伝え、了解が得られないまま緊急の対応を行った場合は、その後も継続して対象者に説明を行うよう努める。第5条 職能的資質の向上と自覚6 自分自身の専門的知識及び技術では対応が困難な場合、又はその際の状況等において、やむを得ず援助を中止若しくは中断しなければならない場合には、対象者の益に供するよう、他の適切な専門家や専門機関の情報を対象者に伝え、対象者の自己決定を援助すること。なお、援助の中止等にかかわらず、他機関への紹介は、対象者の状態及び状況に配慮し、対象者の不利益にならないよう留意すること。 なし 第186回通常国会へ提出した公認心理師法案への最終的な態度理事会で賛成を機関決定※平成26年6月21日 業務執行理事会は、日本臨床心理士養成大学院協議会理事会と連名で、医師の「指示」を撤廃または「指導」にするよう要望※平成26年8月18日 理事会で支持を機関決定※平成26年7月26日 理事会は連名で、医師の「指示」を撤廃または「指導」にするよう要望※平成26年8月18日 第189回通常国会へ提出した公認心理師法案に対する活動三団体と日本臨床心理士会との連名に基づいた早期実現の要望を推進※平成26年9月吉日 業務執行理事会は、日本臨床心理士養成大学院協議会理事会と連名で、2点[受験資格(第7条)と主治医の指示(第42条第2項)]の声明を踏まえて審議されることを要望※平成27年8月5日 5団体の連名に基づいた早期実現の要望を推進※平成26年9月吉日 2団体の連名で、2点の声明を踏まえて審議されることを要望※平成27年8月5日 「 (受験資格)第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者二 学校教育法に基づく大学]おいて心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者 」 —法案第二章 試験 与野党協議の結果、衆議院文部科学委員会提出の法案では、附則に下記の条項を追加し、また、衆参両院で下記の附帯決議を採択し、全会一致で成立した。 「 (受験資格に関する配慮)第三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。 」 —法案附則 「 心理専門職の活用の促進に関する件 今日、心の問題は、国民の生活に関わる重要な問題となっており、学校、医療機関、福祉機関、司法・矯正機関、警察、自衛隊、その他企業をはじめとする様々な職場における心理専門職の活用の促進は、喫緊の課題となっている。しかしながら、我が国においては、心理専門職の国家資格がなく、国民が安心して心理的な支援を利用できるようにするため、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた専門職が必要とされてきた。 今般、関係者の長年にわたる努力もあり、「公認心理師」という名称で、他の専門職と連携しながら、心のケアを必要とする者に対して、心理的な支援を行う国家資格を創設する法律案を起草する運びとなったところである。政府は、公認心理師法の施行及び心理専門職の活用の促進に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。 一 臨床心理士をはじめとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培ってきた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生じさせないように配慮すること。 二 公認心理師が臨床心理学をはじめとする専門的な知識・技術を有した資格となるよう、公認心理師試験の受験資格を得るために必要な大学及び大学院における履修科目や試験の内容を定めること。 三 公認心理師法の施行については、文部科学省及び厚生労働省は、互いに連携し、十分協議した上で進めること。また、文部科学省及び厚生労働省を除く各省庁は、同法の施行に関し必要な協力を行うこと。 四 受験資格については、同法第七条第一号の大学卒業及び大学院課程修了者を基本とし、同条第二号及び第三号の受験資格は、第一号の者と同等以上の知識・経験を有する者に与えることとなるよう、第二号の省令を定めるとともに、第三号の認定を行うこと。 五 公認心理師が業務を行うに当たり、心理に関する支援を要する者に主治医がある場合に、その指示を受ける義務を規定する同法第四十二条第二項の運用については、公認心理師の専門性や自立性を損なうことのないよう省令等を定めることにより運用基準を明らかにし、公認心理師の業務が円滑に行われるよう配慮すること。 六 同法附則第五条の規定による施行後五年を経過した場合における検討を行うに当たっては、保健医療、福祉、教育等を提供する者その他の関係者との連携等の在り方についても検討を加えること。 右決議する。 」 —衆議院文部科学委員会 平成二十七年九月二日 「 公認心理師法案に対する附帯決議 政府は、本法の施行及び心理専門職の活用の促進に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一、臨床心理士を始めとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培ってきた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生じさせないように配慮すること。 二、公認心理師が、臨床心理学を始めとする専門的な知識・技術を有した資格となるよう、公認心理師試験の受験資格を得るために必要な大学及び大学院における履修科目や試験の内容を適切に定めること。 三、本法の施行については、文部科学省及び厚生労働省は、互いに連携し、十分協議した上で進めること。また、その他の府省庁も、本法の施行に関し必要な協力を行うこと。 四、受験資格については、本法第七条第一号の大学卒業及び大学院課程修了者を基本とし、同条第二号及び第三号の受験資格は、第一号の者と同等以上の知識・経験を有する者に与えることとなるよう、第二号の省令の制定や第三号の認定を適切に行うこと。 五、公認心理師が業務を行うに当たり、心理に関する支援を要する者に主治医がある場合に、その指示を受ける義務を規定する本法第四十二条第二項の運用については、公認心理師の専門性や自立性を損なうことのないよう省令等を定めることにより運用基準を明らかにし、公認心理師の業務が円滑に行われるよう配慮すること。 六、本法附則第五条の規定による施行後五年を経過した場合における検討を行うに当たっては、保健医療、福祉、教育等を提供する者その他の関係者との連携等の在り方についても検討を加えること。 右決議する。 」 —参議院文教科学委員会 平成二十七年九月八日
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