エカテリーナの愛人たち
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「エカテリーナ (テレビドラマ)」の記事における「エカテリーナの愛人たち」の解説
セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・サルトゥイコフ公爵 - リナール・ムハメトモフ エカテリーナ第一の愛人。エカテリーナより3歳年上で、パーヴェル・ペトロヴィチ大公(後のパーヴェル1世)の父親ではないかと噂されている。 ロマノフ家の血を引く名門貴族の出身で豪放磊落な遊び人。エリザヴェータに「私に欲情した事は?」と問われ「罪な事ですが、何度も」と答えるつわ者である。 ドイツからペテルブルクへ向かっていた馬車の横転事故からエカテリーナを救出、彼女に「王子様が助けてくれた」と勘違いされる。フョードロヴィチの友人でもある。 その後結婚し、ロシア大使としてウィーンに駐在していたが、7年後に帰国。エリザヴェータ主催の仮面舞踏会で酒を飲みながらエカテリーナにモーションをかける。皇太子妃とはいえ、未だ処女で純真だったエカテリーナは本気で受け止め、胸をときめかせる。その後、何としてもエカテリーナに跡継ぎを産ませようと策略を巡らせるエリザヴェータに呼ばれ、エカテリーナと肉体関係を持つよう、遠まわしに命じられる。そしてエカテリーナを馬車で郊外に連れ出し「あなたに一目惚れしていました」と言葉巧みに誘惑、初めての経験に夢見心地になったエカテリーナを横転事故の時の宿に連れ込む。処女を捧げたエカテリーナはすぐに妊娠し、待望の男児・パーヴェル・ペトロヴィチ大公を出産する。するとエリザヴェータによって今度はハンブルク駐在を命じられてロシアを離れることになり、取り縋るエカテリーナを突き放して立ち去った。 ハンブルクで妻と暮らしながらエカテリーナと「息子」の事を少しは気にしていたようで、妻が語るロシアから伝わってくるゴシップに関心を見せていた。 エカテリーナがクーデターで勝利した際に帰国し、エカテリーナの前に現れる。パーヴェルが眠るベッドの傍らで、オルロフとの息子・アレクセイの揺り籠を揺らしながら「なぜ来たの?」と問う白い夜着姿のエカテリーナに「私の居場所はあなたと息子の側です」と復縁を求めるような事を言うが、「7年遅すぎよ!あなた"臣下"でしょ?"臣下"は命令に従うものよ!」と険のある言葉で拒絶され、黙って立ち去る。6年後、エカテリーナは彼の死を親戚筋の者から偶然耳にするのだった。 それでもエカテリーナにとってサルトゥイコフは特別な存在であったらしく、彼のミニチュア肖像画が入ったロケットペンダントを即位後も持ち続けていたことがシーズン2で明かされる。エカテリーナがソフィアに語った話では、エリザヴェータは侍女とサルトゥイコフを結婚させ、新婚であるのに彼とエカテリーナを煽ったという事である。その際ソフィアはパーヴェルはフョードロヴィチによく似ているが、見た目はサルトゥイコフに似ており、結局は両方に似ていると言った。エカテリーナは、サルトゥイコフは15年間連れ添った妻との間に子供が一人も生まれなかったと言い、パーヴェルの父親はフョードロヴィチである可能性も否定できない事を匂わせた。 スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキ公爵 - アレクセイ・ヴォロビヨフ(シーズン1) → マルティン・ステック(シーズン2) エカテリーナ第二の愛人。エカテリーナより3歳年下で、ペテルブルク駐在のポーランド公使。若さもあって、やや向こう見ずな性格。 アンナ・ペトロヴナ大公女(ロシア語版、ポーランド語版)の父親。後に最後のポーランド国王アウグスト2世(在位:1764年~1795年)となる。 エカテリーナ第一の愛人だったセルゲイ・サルトゥイコフ公爵がハンブルクに去った2年後、サンクトペテルブルク駐在のポーランド公使として赴任したところ、宰相アレクセイ・ペトロヴィチ・ベストゥージェフ伯爵の目に留まり、彼の紹介でエカテリーナと出会う。 まだ若い彼はエカテリーナに稚拙な恋文を送り、メイドの制止にも関わらずエカテリーナの私室に入り込んで関係を持つ。翌朝、「新鮮なキュウリのように元気さ」と発言すると、エカテリーナも"私のキュウリさん"と呼んで嬌声をあげる。その様子をエカテリーナの寝室に隣接した隠し部屋から目撃していた秘密警察長官・シュヴァーロフの手下は報告書に"Е(エカテリーナのイニシャル)+キュウリ氏"と書いて報告したが、キュウリ氏としていたポニャトフスキの正体が分からず、上司の怒りを買った。その後もエカテリーナと逢瀬を重ねていたが、エリザヴェータの差し金で帰国させられる。エカテリーナは彼の子を妊娠しており、クーデター関与の嫌疑やフョードロヴィチによる暴力をくぐり抜け、アンナ・ペトロヴナ大公女(ロシア語版、ポーランド語版)を産む。しかしアンナは僅か2歳で夭逝してしまい、エカテリーナは悲しみに打ちひしがれる。 エカテリーナの即位後、ポーランド国王としてロシアを訪問。向こう見ずな性格はそのままに、強引に宮殿に乗り込んで来る。歳を重ねたせいか気障さに磨きがかかっており、エカテリーナに馴れ馴れしく甘い言葉を囁いて復縁を迫る。亡きアンナの墓に花を供えさせて欲しいとも言い、エカテリーナの胸に過去の悲しみを一瞬かすめさせるが、ポーランド軍の緩慢な戦いぶりと、オスマン帝国と密約を交わした事を首を絞めて咎められ、「嘘をついたらあなたの王冠を取り上げて私の便座の上に置くわよ」と強制的な退位まで示唆される。そこへ戦場から帰還したオルロフが現れ、酷い侮辱を受けたことから、彼が皇帝になれば全てを失うと危機感を持つ。そして、密かに近づいてきたパーニンから、金と引き換えにオルロフの即位阻止に協力しても良いと提案される。金はあるが秘書のクシシュトフが目を光らせているため難しいと言うと、パーニンは「秘書はやがて行方不明になるだろう」と暗殺を暗示する。程なくして、人里離れた橋の上から黒布で包まれた遺体と思しき物体が男たちによって投げ捨てられる。それはパーニンの命を受けた手下によって暗殺されたクシシュトフの遺体だった。 その後、国内の反乱に手を焼き、エカテリーナに援軍を要請するが、ロシア軍がポーランドに駐留する口実を与えてしまい、やがてポーランドはロシア・プロイセン・オーストリアの3カ国によって分割統治され、滅亡への道を辿る事になる。 グリゴリー・グリゴリエヴィチ・オルロフ中尉(後に伯爵) - セルゲイ・ストレリニコフ(シーズン1) → セルゲイ・マリン(シーズン2) エカテリーナ第三の愛人で彼女が連隊長を務めていたイズマイロフスキー近衛連隊出身の将校。 エカテリーナより5歳年下で、後のアレクセイ・グリゴリエヴィチ・ボーブリンスキー(ロシア語版)伯爵の父親である。 ベツコイが作成した家系図でオルロフ家はリューリク朝とチンギス・カンの末裔であるとされているが、パーニンは作り話だと否定する。 豪胆かつ美男だが激情的で思い込みが強い野心家。幼少期に父親から教えられたボクシングが一番役に立っていると言い、相手を威嚇する際は拳を握って見せる。 エカテリーナがイズマイロフスキー近衛連隊の連隊長となった際に出会う。その際、秘密警察(諜報局)長官アレクサンドル・イヴァノヴィチ・シュヴァーロフ(英語版、ロシア語版)伯爵の愛人を寝取ったとして、秘密警察によって逮捕されるが、エカテリーナはシュヴァーロフと対立するベストゥージェフ宰相の協力を得てオルロフを釈放させる。 対プロイセン戦争での自身の英雄的な活躍ぶりを知ったエカテリーナと肉体関係を持ち、エカテリーナをして"あなたの息子が欲しい。力強くて逞しい息子が欲しいの!"と言わしめた。一旦はシュヴァーロフの密告を受けたエリザヴェータの差し金で前線送りとなるが、エカテリーナとの関係は続き、エカテリーナが望んでいた息子のアレクセイ(ロシア語版)を儲ける。 女帝エリザヴェータの死後、皇帝ピョートル3世として即位したフョードロヴィチの暴政ぶりを見たエカテリーナがクーデター(ロシア語版)を敢行した際に大活躍し、用済みとなったピョートルに退位宣言への署名を強要した後、弟のアレクセイが彼を殺害するのを黙認する。 エカテリーナの即位後はクーデターでの功績が認められて伯爵の爵位や名だたる勲章、金銀財宝や年金を与えられて特権と権勢をほしいままにしていたが、後に「誰のお陰でお前は玉座に即けたと思っているんだ!」と衆人環視の中でエカテリーナに怒声を浴びせる事になる程の自負があり、重臣たちを公然と侮辱するなど専横な振る舞いが目立っていた。その上、「悪党と無能ばかりの大臣を全員追い出す」と、自分に更なる権力を与えるようエカテリーナに迫るのだった。 しかし、南方でのオスマン帝国軍との小規模な戦闘で頭部を強打したことをきっかけに事態は一変する。怪我の後遺症に苦しめられ、目眩や睡魔にも襲われた結果、寝室でのセックスでエカテリーナの欲望に応えられなくなったのだ。性的能力を何とか取り戻そうと奔走し、昵懇の娼婦から媚薬 を手に入れる。だがそれは一度しか効果の無い薬であり、根本的な回復法を求めて「何でも治す」と巷で評判の医師・ピンクスを訪ねる。ピンクスからは快楽を取るか、子孫を残す事を取るかの二者択一を迫られ、前者を選択する。それは年齢的な制約から一日も早く皇太子パーヴェルに代わる新たな後継者を産むことを望んできたエカテリーナへの背信行為であった。 不能になった事と治療を受けた事を隠し、地方視察から帰ってきたエカテリーナとのセックスに臨む。治療による性欲の異常な亢進に助けられる形で一晩中セックスを続けてエカテリーナを喜ばせる。久しぶりのセックスで快楽を味わったエカテリーナは「なんて素晴らしいのかしら。こんなに気持ちのいいセックスは初めてよ。幸せ過ぎて死にそう。グリゴリー。あなたなしではとても生きていけないわ!(中略)男は疲れるけど女は元気になるわ。セックスには理解できない秘密があるのね」と喜びを語り、満ち足りた気持ちに包まれながら引き上げて行くが、脳に障害を持ったままの過度なセックスで奔放なエカテリーナを肉体的に満足させた代償はあまりにも大きく、ベッドから出ようとしたところで失神して倒れてしまう。それはさらに深刻な症状が出始める予兆であった。 後にエカテリーナは彼が生殖能力を失っている事実を把握し、距離を置き始める。さらに、治療にかまけてエカテリーナを放置していた間に彼女に近づいたかつての部下・グリゴリー・ポチョムキン中尉の存在に焦り、オルロフとアレクセイを宮廷から遠ざけたい宰相兼外相ニキータ・パーニン伯爵の仕掛けた罠に嵌る。エカテリーナが地方視察に出かけている間に彼と話し合いを持ち、彼を宰相に推薦する代わりに結婚に協力してもらうという取り引きをし、事実上の宰相となったパーニンから友情の証として彼が違法に手に入れたポチョムキン宛のエカテリーナの手紙を渡されたのだ。手紙を読み、強い危機感を持った弟・アレクセイに教唆されて、彼と共謀してポチョムキンを暴行、片目を失明させる重傷を負わせた。この行為が、既にポチョムキンに心惹かれながらもオルロフとの関係を漫然と続けていたエカテリーナの逆鱗に触れて失寵。アレクセイも海外留学を理由にイギリスに追放され、帝位継承権を失う。一人息子への仕打ちに驚き猛抗議するが、エカテリーナは一蹴、目を合わせようともしなかった。 オスマン帝国との戦争を控え、海軍大将に任命されたばかりであったが、ポーランドで起こった反乱の鎮圧に手こずった国王のポニャトフスキがロシアに援軍の派兵を要請したことを受けてポーランド遠征軍に異動させられ、海軍中将だったアレクセイが海軍大将に起用されることになった。表向きには通常の人事異動のように見えるが、それはポーランドの反乱鎮圧に名を借りたエカテリーナによるリンチ事件の懲罰人事だった。しかし途上で体調を崩してペテルブルクに帰ってしまったため、前線指揮官だったアレクサンドル・スヴォーロフ将軍から「贅沢と特権を手に入れて勇気を失った」と無能呼ばわりされ、対プロイセン戦争の英雄としての名声は地に落ちてしまうのだった。 帰還後も重臣の一人として宮廷に残り続けていたが、エカテリーナとはもはやセックスを交わすこともなく、個人的な面会にも応じてもらえなくなり、私的な手紙に対するエカテリーナの返答も途絶えてしまう。さらには外交戦略でエカテリーナが言った冗談を真に受けてしまうなど、元からパーニンが「下半身だけの男」と評していたように、政治的な才能は皆無であった。また、脳の障害がそうさせたのか、御前会議で突然大声を出し、一同を驚かせる。 その後、露土戦争の功労者を叙勲する式典でエカテリーナから広大なガッチナ宮殿と周辺一帯の領地を褒美として与えられるが、褒美というのは建前でしかなく、実態は体のいい宮廷からの即時追放であった。 宮廷から遠ざかってから数年たった1776年、いとこの少女カーチャ・ジノヴィエヴァ(12歳)に対する性的暴行事件を起こしたという報告をシェシコフスキーから聞き、激昂したエカテリーナは宮殿に彼を召喚し、最後の対面をする。しかしエカテリーナが再会した彼は認知症が疑われるような行動、つまりエカテリーナの顔も判らず、言葉も喋れず、ただひたすら大理石の胸像に縋り付くのだった。侍従たちに両脇を抱えられ、修道院送りにされるために連れ去られる彼の後ろ姿を見送るエカテリーナの胸を、皇太子妃と中尉だった頃の美しい思い出がよぎるのであった。 グリゴリー・アレクサンドロヴィチ・ポチョムキン中尉(シーズン3では公爵、中将) - ウラジーミル・ヤグリッチ 女帝として栄華を極めたエカテリーナ第四の愛人で隻眼の軍人。エカテリーナより10歳年下である。エカテリーナが最も愛し、魂を捧げた男。愛称はグリーシャ。 近衛騎馬連隊(Лейб-гвардии конный полк)の中尉として従軍中、オルロフの命を救い、自らも深傷を負いながらオルロフの書簡を携えてエカテリーナの前に現れる。 精悍な風貌、勇敢でありながら控えめな性格の若い将校。オルロフからは「勇敢だが運の無い男で、30近くなって未だ中尉だ」と評される。 実家は貧しい地方貴族で、早くに父親を亡くしながらもモスクワ大学に進む。軍務の傍ら、ヴァシリエフスキー島に安い貸部屋を持ち、家賃収入で生計を立てているという。 クーデターにイズマイロフスキー近衛連隊の将校として参加していた彼をエカテリーナは覚えていた。特別に宮殿内のエカテリーナの居室近くでフョークラが付き添い、看護される事になるが、投薬治療を拒否したために傷が悪化、生死の境を彷徨う容態に陥る。侍医ロジャーソンが呼ばれ、このまま明け方まで意識が戻らなければ危険だというその夜、エカテリーナの呼びかけで意識を取り戻す。一命を取り留め、心配するフョークラを振り切って戦場に戻ろうとしていたその時、エカテリーナから直々に引き止める手紙が届き、宮殿内で軍服改良事業の監査役に就く事になった。 宮廷の舞踏会ではさっそく恋多き未亡人でエカテリーナ付き女官のソフィア・ステパノヴナ・チャルトリスカヤ公爵夫人に目をつけられ、個室に連れ込まれて誘惑されるが頑なに拒否する。不審に思ったソフィアから理由を質されると、想い人がいるのだと言って部屋から出ていこうとするが、納得できないソフィアに「その幸せな女性は誰なの?言わないなら帰さないわ!」と引き止められる。そこで意を決し、手の届かない存在の女性に一目惚れしてしまい、会話すらままならない現実に苦悩する胸の内を明かす。相手の名を口にすることは無かったが、内容からその女性が主君エカテリーナであると察したソフィアは嬉々としてエカテリーナに報告する。 程なくエカテリーナから身近で寝起きしていた頃を懐かしむ手紙が届き、束の間ではあったが散歩に同伴する事が許される。そこでエカテリーナへの秘めた思いは一層燃え上がるのだが、エカテリーナと結婚し自ら帝位に即こうという野心も併せ持つオルロフに対し、エカテリーナを一人の女性として愛するポチョムキンにとって、彼女が女帝であることは障害に他ならず、隠し通すと心に決めていた。だが、想いが募るにつれて苦しい胸の内が言葉の端々に出てしまう。宮殿内で職務に従事しながらエカテリーナに目通りが叶う機会を待つ日々を送るが、待ちきれないなら手紙を、とエカテリーナから求められ文通を始める。やがてエカテリーナからの手紙にも恋心を仄めかすような言葉が記され始める。 エカテリーナと二人で話し合っているところを目撃し、さらに自分の代役でアレクセイ、エカテリーナと共にラフタ海岸へ行った事を知ったオルロフから「誰のお蔭で宮廷に出入りできるようになれたと思っている!お前には感謝の念が無い。辞表を書いて宮廷から出て行け!」と恫喝されるが、脅しに屈する事は無かった。しかし、宰相兼外相のパーニンがエカテリーナからの手紙を違法に奪い、オルロフ兄弟に渡した事から、ポチョムキンの存在を脅威に感じたオルロフ兄弟の弟・アレクセイ・グリゴリエヴィチ・オルロフ伯爵が実力で排除する事を提案。ビリヤードに招かれ、そこでオルロフ兄弟からエカテリーナの手紙を見せられる。そして、「陛下(エカテリーナ)と寝たら褒美を与えてやる!」などと挑発される。繰り返される侮辱に怒り、オルロフの頬を平手打ちした事から、二人から激しいリンチを受けて片目を失明させられた上、肋骨を骨折する重症を負う。さらに無実の罪で陥れようと画策されていたところを、自宅に駆け付けたベツコイによって急遽南方の前衛部隊へ異動させられ、危機から脱出する。エカテリーナへは途上のルーツィクから手紙を送るが、そこには事件については触れず、自身の希望で戦場に向かうこととエカテリーナへの別れの言葉が書かれていた。 突然の別れの手紙を受け取ったエカテリーナは動揺するが、この事件が決定的となり、息子のアレクセイ共々オルロフを遠ざける事になる。 やがてロシアはオスマン帝国との全面戦争に突入、苛烈な野戦の日々の中で戦況報告を綴った手紙を戦地からエカテリーナへ送り、エカテリーナからも無事を案じる手紙が届くのだった。それは眼前に広がる凄惨な光景を前に、憤怒で荒みかける心を照らす希望の光であった。 アレクサンドル・スヴォーロフ将軍の下で奇襲攻撃を提案、自ら陽動作戦の囮を買って出るなど勇敢に戦い、勝利を収めた1773年、愛の告白と共にエカテリーナが大佐の地位にあるプレオブラジェンスキー近衛連隊の中佐として任務に当たるよう命じたエカテリーナ直筆の手紙が届く。それを受け、ひとりペテルブルクへと馬を走らせる。5年前、負傷の身でオルロフの書簡を携えエカテリーナの元へ向かった同じ道を。 出迎えたエカテリーナから、秘密のままにしておけない、とフョードロヴィチとの結婚以降の全てを告白され、一緒になって欲しいと求愛される。急な求めに自制心を働かせたが、エカテリーナの「頭の中ではもう何年も一緒にいた」という言葉に彼女の求愛を受け入れ、白夜の中でついに肉体関係を持つ。エカテリーナから「もうあなたなしでは生きて行けないわ。今まで誰にも捧げなかった魂をあなたに」と愛を誓われ、公私に渡り欠かせぬ伴侶となる。 2年後、帝国南部の都市計画に尽力したいと望むが、一時も傍らから離れる事など考えられないエカテリーナは「あなたの子供が欲しい」と言って涙を流し、「都市建設事業は宰相パーニンの管轄下にある」として最初はこれを許さなかった。しかしやがて折り合いがついたらしく、「エカテリーナの栄光」を意味する新しい都市・エカテリノスラフの建設に取り掛かる。建設計画をベツコイらと共に徹夜で検討しながら朝を迎えたところにエカテリーナが夜着姿で現れて驚く。目覚めた時、ポチョムキンが傍らにいない事に驚き、メイドに聞けば「昨夜は来なかった」との事でさらに驚き、宮殿内をポチョムキンの姿を探して走ったエカテリーナは裸足で寝間着姿のままだった。一緒に寝室へ行こうと無理を言うエカテリーナを宥めるのに苦労するが、エカテリーナは拗ねてしまう。 3年後の1778年、エカテリーナと二人だけで密かに結婚式を挙げる。祭壇の前に共に佇み、司祭から祝福を受けてエカテリーナの夫となった。式を終え、教会の前で白夜の明かりの静寂の中、エカテリーナに「愛しき妻(Жена)」と呼びかけるのだった。 以後、軍人として政治家として手腕を発揮、ロシア帝国の発展に大きく寄与していく事になる。
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