ウェイト版の寓意画の解釈
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「コイン (タロット)」の記事における「ウェイト版の寓意画の解釈」の解説
ウェイト版タロットでは、何かしらの意味を持った寓意画が各番号で描かれている。一般的な解釈は以下の通り。 コイン全般 コインは、別名ペンタクル(pentacle、五芒星)とも呼ばれ、これは人間の頭と両手両足を模式化したものだと捉えられる。すなわち、コインが意味するのは人間に直結する事柄であり、人間の生活・生態を表現している。 1 雲から突き出た右手が1枚のコインを持っている。地面にはユリやバラが咲き乱れている。 単体のコインを下から支えていることは、そのコインの価値を安定して保持できていることを意味している。地面に咲く花々は、そのコインの価値によって繁栄が確保されていることを示唆している。 2 大道芸人と思しき人物が∞字の輪の中に2枚のコインを収めている。背景には荒波の中進む船が描かれている。 ∞字は、大アルカナの魔術師 (タロット)や力 (タロット)でも登場しており、安定や調和を意味する。2枚のコインが輪でつながっていることは、2人の人物のコミュニケーションを暗喩しており、背景の船も手紙やメールでの意思伝達を暗示する。大道芸人は片足を上げ、コインの扱いに余裕すら見せており、これは状況が円滑であることを窺わせる。 3 教会を建設する石工と、その教会の司祭や信者がやり取りをしている。信者と思しき人物の手には設計書のようなものが見られる。 コインの枚数もカード内の人数も3であることから、しばしば三位一体と関連付けられる。3人は話し合いながら教会を建てており、各々に役割が与えられ円滑に作業が進められている。また、コインのカードの中で唯一コインに色がついていないことは、まだこの教会が未完成であることを示唆し、一層協力の大切さを説いている。 4 街を背景にして一人の男性がコインを大事そうに持っている。彼の足には2枚のコインが踏まれ、頭上にも1枚のコインが掲げられている。 1枚のコインを奪われまいとする男性からは、確固たる意志の強さが窺える。しかし、その視線は監視するように一点を見つめており、彼がコインに執着しているとも考えられる。足元にはまだ2枚のコインが残されており、それすらも自分のものにするために彼は身動きが取れなくなってしまっている。 5 雪の中、布切れ一枚で歩く女性と松葉杖を使って歩く男性が描かれている。背景には5枚のコインがあしらわれたステンドグラスがある。 コインの輝きは室内の温かさを暗示しており、安息の地であることを窺わせる。雪の中の2人がこの中に入ることができないのは、それが目に入っていないのか、それとも追い出された身であるのか定かでない。もし後者であるならば、2人の身には過去に何らかの因果があったと考えられる。 6 天秤を持った一人の人物が、跪く人々に金貨を与えている。 天秤はこの人物が平等な視点を持っていることを表しており、だれに対しても手を差し伸べる存在であることが示唆される。金貨の重さを天秤で測り、分け隔てなく人に接する彼には、羨望の眼差しが与えられている。このことは逆に、過剰に得たものは不足しているものに使うべきだという、カードからのメッセージとも受け取れる。 7 一人の青年が、自身の畑からとれた農作物を前に、何やら浮かない顔をしている。 よく見ると農作物には実が実っておらず、青年はこれらが大した利益にはならないだろうことを予想している。このことは、青年が常にマイナス思考であり、実際よりも価値を卑下してしまうことを暗示している。この作物らを売って少しでも利益を得るか、それとも期待以下の結果に失望して何もしないかは彼に委ねられている。 8 硬貨の職人が8枚目のコインを作ろうとしている。 コインの大きさは不揃いであり、これは職人の腕がまだ未熟であることを示している。一方で、一心不乱にコインを作り続けるその姿勢からは、自分のしたいことへの情熱が窺える。あるいは、いつか日の目を浴びられるように、今はまだ修行に身を励んでいる勤勉な姿とも受け取れる。 9 ブドウが生い茂る中でたたずむ一人の女性が描かれている。その手には鳥が止まっている。 このカードはコインの7と対照的にきちんとブドウの実が成っており、女性の優雅な様子からも成功や豊穣を窺わせる。身にまとっている衣服は華美であり、この成功が長期的なものであることを示唆させる。手に留まる鳥は、女性への警戒心の無さを示しており、彼女の心がいかに平穏かも表している。 10 門らしき場所に、1組の夫婦とその子供を老人が後ろから見守っており、その周りには2匹の犬が描かれている。 この老人は、夫婦のどちらかの父親であると解釈される。彼の豪華な衣装や2匹の犬を飼っていることから、老人の経済的な安定性を窺わせる。彼の資産は子供に直接的に受け継がれ、パートナーや子供ができていることから、次の世代やその先も安泰であろうことが示唆される。これは10枚のコインの配置が、永遠の命を確約する生命の樹に酷似することからも暗示される。 ペイジ ペイジの立場の男性が、1枚のコインを両手に持ち、顔の前に掲げている。 彼の表情はほくそ笑んでいるようにも見え、このコインをどう使おうか画策している最中であると予想される。背景には広がる自然が描かれており、彼の計画の可能性は多岐にわたることを窺わせる。また、このコイン次第で青年の将来が決まるかもしれなく、人生の岐路に立たされているとも考えられる。 ナイト コインを持った騎士が、漆黒の馬に乗っている。 ソード (タロット)のナイトとは対照的に、馬は立ち止まっており、騎士は行く先をしっかりと見据えている。これは彼の性格が地に足をつけるような、慎重な性格であることを示している。コインを両手で持っていることも付随して、彼が安定性を求めていることを示唆している。 クイーン 庭園らしき場所で、コインを両手に持って俯いている女王が描かれている。 女王の口は固く結ばれ、前かがみな姿勢からも、コインに対しての思索を巡らせていることが窺える。ただ、同じ思索を巡らせるペイジとは異なり、経済には受け身な姿勢を持っていることが表現されている。背景は植物に囲まれており、ここが平穏な場所であるとともに、彼女自身の内面も物静かであることを示唆させる。 キング ブドウ畑の中の椅子に、豪華な衣装を身に纏った王が描かれている。 周囲の状況とは裏腹に、王の目は下を向いており、苦難の表情を浮かべている。その視線がコインに向けられていることから、いかにその財産を手に入れるまで苦労したかが窺える。現在に至るまで長い年月を費やしたことから、地位は安定しており、信頼のおける部下が多数存在することが考えられる。
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ウェイト版の寓意画の解釈
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「ワンド (タロット)」の記事における「ウェイト版の寓意画の解釈」の解説
ウェイト版タロットでは、何かしらの意味を持った寓意画が各番号で描かれている。一般的な解釈は以下の通り。 ワンド全般 ワンド(棒)は、体を支える杖の役割を持つだけでなく、それだけで住居などを作ったり、松明の元になる。すなわち、様々な用途に用いることが出来る原始的な力を意味する。 エース 雲から右手が出ており、1本の新芽付きの棒を握っている。 新芽は新しい生命を意味し、それ自体が生命力や、新たなことへの情熱を示唆させる。また、力強く握る手には、対象への確固たる自信を窺わせる。 2 地球儀と棒を持った若者が、遠くを見つめている。壁にはもう一本の棒ががっちりと固定されている。 遠くを見つめる視点は、未来への展望を強く意識していることを示唆させる。また、壁に固定された棒は、その地位・立場が安定していることを意味する。 3 黄金色に輝く背景に向けて、カードから背を向けている人物が描かれている。また後ろには船が見られ、エースでも描かれた山が描かれている。 船は交易の対象であり、視点がカードの外の世界に向けられており、グローバル化を視野に入れていることを意味する。また、後ろを向く人物はこの船の所有者と解釈され、自身の計画を見届けていると考えられる。 4 4本の棒と草花によってによって門が作られ、奥にはこちらを歓迎しているかのように手を挙げる2人の人物が見られる。 いわばこのカードを手にした者自身が、何かしらのパーティ、日本文化でいえばハレの舞台に呼ばれたものだと解釈できる。すなわち、カードを持つものは歓迎されており、休息へと向かおうとしていると考えられる。 5 5人の若者が、各々持った棒を振り回している。その棒が誰に向けられているのかは、棒の向きがバラバラであることから、はっきりとは分からない。 その服装から、ここで描かれている人物たちは、ワンドの4までとは異なり、ごく一般の人間であることが考えられる。棒の向きがバラバラであることは、不特定の人間に自らの意見を発信しているとも考えられ、棒自体がその人の発言を意味しているとも言える。各人の服装が異なることは、各々が別々の価値観や個性を持っていることを意味している。 6 白馬に乗り、月桂樹の冠を被った人物が凱旋をしている。その手には杖が握られ、残りの5本の棒は後ろに配置されている。 もちろん、このカードの見た目通り、「勝利者の帰還」として、皆から祝福を受けている場面であることもイメージできる。ただ、(意図的か否かは不明だが)白馬にたてがみが無いことに違和感が見られる。これは白馬自体がハリボテであり、この状況が本物の凱旋ではなく、何らかの芝居の一場面であるともとれる。 7 崖下から伸びた6本の棒が、1本の棒を持った男性を追い詰めている。まだ棒達は届いておらず、男性は防御の準備をしている。 男性の靴は左右で異なっており、何らかの理由で履物を揃える余裕すらなかったことが窺える。6本の棒は男性に届いておらず、追い詰められながらもまた一定の余裕があるだろう。この男性がその場から逃走するか、毅然と立ち向かうかは、まだ彼自身に委ねられている状況だと言える。 8 ワンドの中では唯一人物が登場せず、8本の棒が並行に右下がりに伸びている。棒たちの下には川が見られる。 この棒たちは伸びているとも考えられるし、端が描かれていないため空中を飛んでいるとも受け取れる。棒自体は、人間の複数のタスクを意味し、それを混交させることなく正確に捌いている、と解釈できる。 9 棒を持った、包帯だらけの男性が不安そうに左を見つめている。残りの8本の棒は長さが不揃いのまま、境界線に垂直に伸びている。 外的な傷を負った男性は、これからも来るであろう襲撃に怯えているとも、身構えているとも考えられる。その両手には棒をしっかりと握っていることから、何か1つのものをしっかりと守ろうとしていることが窺える。 10 10本の棒を束にして抱え、右奥にある街へと向かっている人物が描かれている。その背中は曲がっており、相当な徒労があったことを示唆させる。 10本もの棒は、最早この人物が抱えきれないであろう事象の量であると考えられる。抱えきれないほどの棒は、彼自身のストレスとも言えるし、当初は自信があって取り組んでいたが、結局は達成できず重なっていった結果とも言える。 ペイジ 若者が棒を真っ直ぐに持ち、先端を見つめている。 そもそもペイジとは使い者を意味していることから、この若者はその目上の立場にあたる人物(王・女王など)から、何らかの使命を持たされたと考えられる。その視線は真っ直ぐであることから、彼が意欲的にその使命に取り組もうとしていると言える。 ナイト 荒馬に跨った騎士が、砂漠の中を駆けて行く様子が描かれている。 この馬の荒々しさは、乗っている騎士の性格そのものを表している。これから向かおうとしている場所に、血気盛んに行かんとしていることから、若々しさを多分に感じられる。 クイーン 向かって左手に棒を、右手にヒマワリの花を持ち、椅子に鎮座している女王の姿が描かれている。 ヒマワリの花は太陽をイメージさせることから、この女王がおおらかで陽気な性格であることを隠喩している。また、女王という立場にいることから高いリーダーシップ能力も兼ね備えている。この2つの性格により、彼女が部下達から慕われる立場であることを窺わせる。 キング 棒を持った王が、椅子に座っている様子を横から描いたものである。 王の姿勢はやや前のめりであり、まるでカードの外にいる誰かに熱弁を奮っているかのように見える。また、その姿勢は同時に行動を積極的に起こそうとしていることも暗喩している。このことから、彼が非常にエネルギッシュな性格であり、カリスマ性を持っていることを示唆している、
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ウェイト版の寓意画の解釈
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「カップ (タロット)」の記事における「ウェイト版の寓意画の解釈」の解説
ウェイト版タロットでは、何かしらの意味を持った寓意画が各番号で描かれている。一般的な解釈は以下の通り。 カップ全般 カップは水を入れる容器であり、その水は人間の感情の揺らぎや生命の豊かさの象徴である。大アルカナの節制や星にも出ており、調和を意味することもある。また、「聖杯」という言葉からもわかるように、大事な儀式や婚礼でも使われてきたものである。 1 雲から出た右手が1つのカップを持っている。そこからは、水が噴水のように噴き出、下の水面へと流れている。 カップからあふれる水は、自己の外に向けての感情を示している。カップの上の聖体やハトはそれが神聖なものであることを意味している。また、流れる水はまっすぐであり、静かな水面に流れていることから、平穏で実直な感情を比喩している。 2 1つずつカップを持った2人の男女が向き合っている。 描かれている男女は単純なコミュニケーションの最中とも、恋愛関係にあるともいえる。間にあるケーリュケイオンから、その関係は順調であることが窺える。背景の町とは境界線があり、これが2人が隔離された関係にあることを暗示している。 3 3人の女性が、囲みあってカップを上に掲げている。 さながらそれは乾杯しているようにも見え、地面に実った作物や、3人が出会えたことへの喜びや感謝を表している。その足取りから、ステップを踏んでいるようにも見え、3人が健康であり、陽気な性格であることを示している。 4 木のそばであぐらをかいている男性が、3つのカップを前に腕組みをしている。傍らではもう1つのカップが雲から差し出されている。 男性の視点はカップに向かれているが、その表情から、これだけでは足りず何か不満があるようである。そんな中、雲、すなわち天から差し出されたカップには気づいておらず、せっかくのチャンスをふいにしてしまいそうである。彼は視点が狭く、現実にしか目を向けられていないともいえる。 5 黒い装束の人物が、後ろを向いてうなだれている。地面の5つのカップは、2つは立っているが、残りの3つは転がっている。 精神世界において、左は過去、右は未来を示している。男性は左を向きそこには倒れたカップしかないことから、過去に対して悲しみに暮れていることが暗示される。背後のまだ立っているカップは、希望の未来が示されているが、振り向いてそれに気づくかは彼次第である。 6 年上の子供が、花を生けたカップを少女に渡している。 この二人は、この場面で再会したとも、別れなければならないとも捉えられる。描かれているのは子供であることから、ここが自らの原点であることを暗示している。他のカードに描かれているのが大人であることから、これが過去の思い出であるとし、大人になった時にそれに浸っているとも考えられる。 7 男性の顔・布・蛇・月桂樹など様々なものが乗った7つのカップが、1人の人物の前に現れている。 7つのものは現実世界にある魅力的なものである。しかし、その中の1つである布には、何かが隠されているようで、光り輝いている様子からも、この人物が一番必要なものであると考えられる。しかし、他の6つの誘惑に負けそうになり、迷っていることも事実である。また、これらが雲の上にあることから、まだ今では届かない、理想的なものであるともいえる。 8 月が出る中、一人の男性がマントを羽織り、右側に行こうとしている。手前には積み重なった8つのカップがある。 右方向は未来の象徴であり、川を渡り切った直後であることから、彼が未来への第一歩を踏み出したと考えられる。手前にあるカップらは過去の未練や重荷になっていたものに比喩され、彼が心機一転している様子が窺える。しかし、行先の山は険しく、新たな困難が待ち構えているかもしれない。 9 9つのカップを背にしてどっしりと構えた人物が描かれている。 カップらは彼の所有物であり、笑顔の表情からも、彼がこれに満足している様子が表れている。カップと人、それと幕以外には何も描かれていないことからも、彼が他のものには興味がなく、現状に喜んであることが窺える。 10 虹のように架かった空の10個のカップの下に、家族が描かれている。 虹は奇跡の象徴であり、天空にある様子はさながら未来を示しているようである。それを見た夫婦は手を上げ、その子供たちは輪を描いて踊っている。これらから、家族が幸せであることと、未来が安泰であることを直に示している。 ペイジ カップを手に持った青年が、そこから顔をのぞかせている魚と目を合わせている。 背景の海は「母なる海」という言葉かあるように霊的な力と生命力を暗喩する。青年はいたずらそうな瞳で魚を見ており、彼は魚に強い関心を寄せている。いたずらそうなその瞳には、彼の中にまだ幼さが残っていることを表している。 ナイト カップを持った騎士が、白馬に乗ってゆっくりと歩みを進めている。 馬は頭を垂れており、これは騎士の誠実さ・優しさを表している。立ち止まらず、ゆっくりと前進する様子は、彼が突発的な行動を避け、分析的な行動を好むことを表している。右側の山は彼の目標を表しており、行動が間もなく完了することを予感させる。 クイーン 装飾がされたカップを見つめ、水辺の椅子に座る女王が描かれている。 女王の服の裾は水に触れており、大地と水、2つの大きなものを同時に受け入れる包容力を持っていることが窺える。カップを見つめるその眼には真剣さがあり、まるでカップの価値を見定めているようである。このことから、鋭い美的センスも持っていることが予想される。 キング 周りを水に囲まれた中、椅子に鎮座する王が描かれている。 王の表情や姿勢はゆったりとしており、穏やかな気持ちでいることを表している。このことは、海を連想させる水や王という立場とも相まって、非常に寛大な心を持っていることを示唆させる。一方で、波に揺られて動くこの椅子は、彼の行くままの人生を自身が受け入れているとも考えられる。
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ウェイト版の寓意画の解釈
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「ソード (タロット)」の記事における「ウェイト版の寓意画の解釈」の解説
ウェイト版タロットでは、何かしらの意味を持った寓意画が各番号で描かれている。一般的な解釈は以下の通り。 ソード全般 人間の研鑽によって作られた剣は、技術と知恵の象徴として扱われる。また、大アルカナの正義のカードにも剣が描かれていることから、権力の象徴としても扱われる。 1 雲から出た右手が、剣をまっすぐに持っている。剣先にはオリーブとヤシの葉が付いた王冠がかぶせられている。 カードの下側には険しい山が描かれており、これは現在の状況を表している。また、オリーブは過去の平和を、ヤシは未来の勝利を表している。つまり、現在が厳しい状況であっても、明るい未来が確約されている、と捉えられる。逆に、剣が権力の象徴である王冠を突き刺しているように見えることから、剣の持つ暴力性や残酷さを暗喩している。 2 三日月が出ている中、目隠しをして白い装束を身にまとった人物が2本の剣をV字に交差させている。背景には海が描かれている。 注目すべきなのは、この人物の目隠しは少し上にずれており、完全に視界が遮られていないという点である。この人物はカードの中央に位置し、ほぼ左右対称であることから、精神を均衡させている状態であることがうかがえる。しかし、その目隠しの状態から、完全に無心には至れず、まだ現実への甘えが残っていることが考えられる。 3 雨が降る中、心臓の象徴である赤いハートを3本の剣が貫いている。 これは絵の通り心が痛みや悲しみで傷ついていることを意味している。3本もの剣が刺さっていることや、背景が分厚い雲に覆われていることから、その悲しみはすぐに晴れることはなく、しばらくは感傷に浸ることになることが示唆されている。 4 ステンドグラスの窓と3本の剣が壁にかかっている室内で、黄金に光る人物が手を合わせ仰向けで眠っている。その傍らには4本目の剣が横たわっている。 この人物は本物の人間ではなく、石棺のふたに彫られた彫像である。眠りにつくこの像は、いささかストレスからの解放のために休憩しているようにも見える。そして、いずれかは再び目覚め活動を再開したり、棺の中の人物が復活を遂げる可能性を暗喩している。 5 巻雲の中、2本の剣を片手に持った人物が薄ら笑みを浮かべている。地面には1本の剣が刺さり、残りの2本は捨てられたように転がっている。その後ろには、背を向ける人物が2人描かれている。 笑みを浮かべている人物は、背を向けている2人を打ち負かしたと考えられる。そしてこの2人はこの場面の直前に負け、剣を捨てて逃げている最中である。ギザギザしている雲は、勝利した者のおごり高ぶった感情と、敗北者の荒んだ心を同時に暗示している。 6 6本の剣が刺さったボートを、マントをかぶった人物と子供を乗せて船頭が漕いでいる。ボートの奥側の水面は静かであるのに対し、手前側は波が立っている。 ボートは右側に向かって進んでおり、この方向は精神世界では未来の方向を指す。波立つ水面はボートの乗客である2人の心情および乗船前の場所の荒れた状況を暗喩している。しかし、ボートは波が平穏なほうへと向かっていることから、将来的には穏やかな生活を送れるだろうことが示唆されている。ただ、行く先は船頭に任されるため、想像とは違う生活が待っている可能性もある。 7 5本の剣を両手に持った人物が、2本を残して立ち去ろうとしている。彼の目は、名残惜しそうに残った剣のほうを向けている。 後ろの背景には軍事演習のようなものが開かれており、おそらくこの人物はそこで使うはずの剣をこっそりと奪っているのだろう。剣を2本残したのは、確実に持ち帰れるだけの分を盗んだのかもしれないし、もう一度ここに戻ってきて残りも奪うのかもしれない。金属製の剣は、売れば高い金になるため、彼の心の中は目先の利益でいっぱいになっているだろうことが考えられる。 8 8本の剣が刺さっている場所に、目隠しをしたボロボロの人物が立っている。身体には布が巻かれ、腕を動かせない状態である。後ろには城らしき建物が見られる。 一番左の剣はやや手前に位置しており、まるでこの人物は剣に囲まれているようである。だが、向かって右側は空いていることから、この人物はまだ歩ける余地はある。しかし、目隠しをされているこの人物は、周りがどうなっているかを確認できず、身動きができないである。そのため、この人物はとりあえず何もしないでおくことを選択したと考えられる。 9 真っ暗な部屋の中で、ベッドから起き上がった人物が目を覆っている。壁には9本の剣が横に並んで掛かっている。 部屋が真っ暗なことは、この人物の心情を表している。上半身だけ身を起こした彼は、起きたばかりで、夢と現実の区別がまだつかないで混乱している。目を覆っていることは、その夢が悪夢であったことを示唆している。壁にかかった剣はまるでブラインドのようで、一層この空間の閉塞感や孤独感を強調している。 10 地面に人が横たわっており、その背中には10本の剣が突き刺さっている。暗闇から朝日が出始め、夜明けを迎えようとしている。 剣が刺さっている人物は死をイメージさせ、命の終わりを迎えようとしている。だが、時間は夜明けになっており、必ずしもここが最悪な状況ではないことを示唆している。むしろ、この剣たちは自分の精神に向かって刺さっており、この人物が強い自責の念に駆られていると考えられる。肉体的には死んでいないこの人物には、夜明けの背景もプラスして、まだ成功のチャンスが残されていることを暗に示している。 ペイジ 荒野の中、剣を持った青年が悠々とたたずんでいる。 地面の荒野は、今置かれている状況が厳しいものであることを暗示している。それとは対照的に、剣を構えて遠くを見つめる青年には、これから来る困難にも真正面から立ち向かおうとする姿勢が窺える。そして、その困難にも立ち向かえるほどの実力を備えていることが、リラックスした姿勢から見える。 ナイト 剣を振りかざし、鎧に身を包んだ騎士が、白馬に乗って颯爽と駆けていっている。 スピード感あふれるこの騎士は、もはや誰の制止も振り払い、目標に向かって一直線に進もうとしている。地面は炎のように赤々と燃えるように描かれ、彼の情熱がいかにゆるぎないかを示している。ただし、猪突猛進になるあまり、他の対象に対して無関心になったり、周りが見えなくなる危険性もはらんでいる。 クイーン 剣を持った女王が、椅子に腰掛け、訪問者を迎え入れている。 自分のもとに相談にやってくる者が存在するこの女王は、人の話に耳を傾け、適切なアドバイスをできる優しさと聡明さを兼ね備えている。背もたれまで腰掛けリラックスしている彼女は、突然の客にも悠然と対応できる受容力も兼ね備えている。一方で、椅子の造りはがっしりとした石のようにも見え、自分に対しては厳しく、重役としての責任感を自認している。 キング 向かって左手に剣を持ち、右手に握りこぶしを作った王が、椅子に座っている。 まっすぐに持ったその剣と、固く握った拳から、彼が強い意志を持っていることを想像させる。一方で、深長な面持ちをした表情からは、冷静さが窺え、分析的な判断を行える人物であることも窺える。その表情は逆に、人々からは畏怖の対象として見られ、近寄りがたい雰囲気も醸し出している。
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