第401話 - 第500話
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「ゴルゴ13のエピソード一覧」の記事における「第401話 - 第500話」の解説
“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。 第401話 大地動く時 / 2000年12月 横須賀湾に岸河重工が建造した巨大な人工島「メガフロート」には、浮体空港という建造目的とは異なる裏の目的があった。島を自走させ、空母として活用する軍事転用計画であり、真の目的を知らずに制御プログラムを作りあげたプログラマーの佐野は、真相を知って衝撃を受ける。空母への転用に反対するが聞き入れてもらえず、やがて身の危険を感じるようになった佐野は、制御プログラムのコピーが入ったディスクを友人の深沢に託す。 第402話 一億人の蠢き / 2001年1月 中華人民共和国では、新興宗教の『金鵬来(こんぽうらい)』が勃興、急速に信者を増やし、推定1億人にも及ぼうとしていた。中国共産党の為政者たちはこの事態を快く思わず、金鵬来の弾圧に乗りだした。金鵬来の始祖の柴洪史(さいこうし)は、亡命先のニューヨークに隠れ住んでいる。人民解放軍の龍東民(りゅうとうみん)は、ゴルゴを雇い柴の狙撃を依頼する。 第403話 饒舌なコイン / 2001年2月 ロシアのチェリャビンスク核燃料コンビナートで放射能漏れ事故が発生し、それを日本人の記者が嗅ぎ付けた。ロシアでは、世界各国から、放射性廃棄物の貯蔵業を請け負う計画があったが、この事故が露見すると計画は台なしになるので、この日本人の記者を抹殺する。ところが、生前、この記者は五円硬貨を所持していた。この硬貨は漏れた放射線を浴びているため、事故の決定的証拠となる。この硬貨を巡って、ロシア内での異なる勢力が争奪戦を始める。 第404話 フィアレス / 2001年3月 正体不明のソルジャーたちが、ゴルゴ13に波状攻撃をかけてくる。それみな恐れを知らない捨て身の自爆テロであった。何者かが素人を洗脳し、ゴルゴ13を敵だと思い込ませ、次から次へと送り込んで来る。それらの者には共通の特徴があることにゴルゴ13は気づいた。過去に大事故に遭遇し、恐怖心が麻痺している、フィアレスと呼ばれる心理状態の者たちだったのだ。ゴルゴ13は、情報屋などを使い、背後の敵を見抜き、自ら対決に挑む。 第405話 静かなる草原 / 2001年4月 長い間、ゴルゴ13の存在をウォッチし続けた、著名ジャーナリストのマンディ・ワシントンはジャーナリストを引退し、ウィスコンシン州マディソン郡に隠遁した。近くには、経営不振の牧場主の一家が居り、ワシントンの友人となれそうであった。ワシントンは、ある日、野生動物の研究家と遭遇する。彼は、岩場で一人で訓練を続ける不審な東洋人を見たといい、撮影したビデオをワシントンに見せる。そこに映されていたのはゴルゴ13であったが、その中に不可解な行動も撮影されていたのだった。 第406話 遺伝子戦争 ゲノム・フロンティア / 2001年4月 バイオベンチャーのジム・ジーン社は、飛ぶ鳥を落とす勢いであった。社長のボーイは、高速の遺伝子解析技術を開発、それで解析した遺伝子の機能を分析し、それを片っ端から特許にして、その収入で潤っていた。一方、一時この会社の研究員であった日本人のエサカは、今はフィリピンに移って研究を継続し、稲の新品種を作り出すのに成功した。実は、この稲の原産地は中国のチベットで、改良種も知的所有権は中国が主張できるが、エサカはその点に口をつぐんだまま研究を続けていた。一方、ボーイもこの新品種の存在を知り、遺伝子配列を決定し、特許申請しようとする。 第407話 ミステリーの女王・2 / 2001年5月 147話の続編。かつてゴルゴを題材に本を書こうとし、ゴルゴに抹殺されたミステリー作家マッジ・ペンロース。彼女を匿っていたアイスランドの米軍ボスナフェルジュル基地はゴルゴによって基地の大部分を壊滅させられてしまい、事態を重く見た軍はマッジを匿った首謀者のみならず勤務していた軍人を全員解雇した。事件で全身に大火傷を負わされたマックスもその一人であり、軍をクビになった彼は新たに傭兵部隊を組織し、いつかゴルゴに復讐をする日を夢見て世界の紛争地を転戦していた。ある日米国の大手映画会社の女社長がゴルゴを題材にした映画の制作を考え、マックスの部隊にゴルゴとの対決を依頼してきた。マックスは図らずも転がり込んできた復讐のチャンスに発憤する。 第408話 殺人劇の夜 / 2001年7月 不動産業者のジャンセンから、かつて卑怯な方法で仕事を横取りした不動産王クランプへの復讐を依頼されたゴルゴ。その狙撃の条件は自分の目の前でクランプを殺害して欲しいとのことだった。芝居好きのクランプが近日劇場を貸し切りにして観覧をするという情報を得たゴルゴは、ジャンセンにその日にクランプと一緒に観劇できるように手配し、自分を秘書として同道するよう協力を求める。厳重な警備が布かれ武器も持ち込めないはずの状況下で、どのように狙撃をするのかとジャンセンは首をかしげる。 第409話 突然死の予兆 / 2001年7月 画期的なエイズ治療薬の開発に成功した米国の製薬会社・G&J社。その販売方法を巡って社長のジョーンズと対立した副社長のグールドは、ジョーンズの暗殺をゴルゴに依頼する。しかし、その依頼には証拠が残らぬようにあくまで自然死に見えるようにして欲しいという条件がついていた。腕利きのプログラマーのクラッキングでジョーンズが心臓疾患を患っていることを知ったゴルゴは、ジョーンズ宅の空調からシャワーの温度まで管理しているホームオートメーション・システムに目をつける。 第410話 イリスク浮上せよ / 2001年8月 ロシアの原子力潜水艦イリスクが新兵器の実験の強行により、沈没する。ロシア政府のアルキニス次官は西側と共同で回収作業に当たるが、軍部は真相の発覚を恐れ、妨害工作に出る。アルキニス次官はゴルゴに仕事を依頼する。 第411話 百人の毛沢東 / 2001年9月 かつて毛沢東と共に中国共産党設立に関わった漢卑将軍は、毛沢東の体細胞を培養してクローンを作るという驚天動地の計画を進めていた。培養した毛の体細胞から100人ものクローンを誕生させた漢卑は、さらに毛が育った幼少期からの生活環境を完璧に再現し、本物の毛の人生を追体験させて再び革命を起こす革命戦士としてクローンを育成していたのだった。教育で本物が持っていた欠点を矯正し、遺伝子操作で本物が抱えることになる疾患をも取り除いた、オリジナルを超えるクローン・毛沢東。各地で大規模デモが頻発し労働者の不満が爆発寸前の現下の体制をひっくり返し、漢卑はかつての理想だった真の共産主義国家を誕生させようと目論む。北京の政権中枢はこの情報をつかむが、中国人としては毛沢東のクローンを暗殺することは激しいためらいがある。そこでゴルゴ13を雇い、クローンの殲滅を依頼する。政権幹部は、成層圏で核実験を行わせ、電磁波爆弾の爆発のように電子通信システムを一時的に使用不能にする。その間にゴルゴは1人ずつクローンを暗殺していく。 第412話 ヨハネ伝十一章十節 / 2001年11月 とある修道女から、「インター・チルドレン財団」の副理事長ゴンドーフの狙撃を依頼されたゴルゴ。件の財団は、難民孤児を保護・養育し社会適応させる活動の一方で、一部の子供を臓器売買に利用するという闇の顔をもっていた。修道女の望む狙撃の条件は苛酷な環境を生き抜いてきた子供達に殺人現場を見せたくないということだったが、ゴンドーフは常に子供を傍らに置いていた。 第413話 剥がれた鍍金 / 2001年12月 度重なる打ち上げ失敗により、苦境に立たされている日本のロケット開発事業。後継機を打ち上げることができないため気象衛星「ひまわり」も耐用期間を超えての運用を余儀なくされており、宇宙開発事業団の理事はコンピューター技術者の佐藤と共に、国交省に顔のきく引退した大物政治家・天城の下に予算拡大の陳情に赴く。が、彼らは気づかなかったがその時天城の家にはゴルゴも訪れており、天城は偶然のことながら新しく打ち上げが予定されているH-IIAロケットにまつわる依頼をゴルゴに頼もうとしていた。 第414話 ホリデー・イン・ザ・パーク / 2002年1月 休暇で孫と一緒に遊園地を訪れた米国の石油王・ベネディクト。要人に万が一のことがあっては大変とボディガードのチーフ・コンラッドは気を引き締めるが、ガードを部下達に任せて一人で園内を見回っている最中ゴルゴの姿を見とめて驚愕する。ベネディクトを狙って現れたに違いないと思ったコンラッドは、遊園地の警備主任カーニーに協力を要請する。園内での麻薬の取引すら口止め料次第で見逃す悪徳警備主任のカーニーは、高額の成功報酬につられて協力を請け負う。 第415話 容疑者トウゴウ / 2002年1月 スイスの山奥の別荘に引きこもっている人物の狙撃を依頼されたゴルゴ。スキーヤーを装って別荘が見える雪山に登り滞りなく依頼を完遂させたものの、直後に雪崩に巻き込まれてしまう。ゴルゴは雪崩を目撃していた近くのホテルの宿泊客らに救出されるが、目を覚ますと何とそのホテルで殺人事件が起こっていた。被害者は宿泊客の一人でホテル外から狙撃されていた。窓に残った弾痕の直線上にはゴルゴが登っていた雪山がある。医師の見立てた被害者の死亡推定時刻にちょうど雪山の上にいたゴルゴは事件の容疑者と見なされてしまう。 第416話 いにしえの法に拠りて / 2002年2月 ドイツ、フランス、スペインの防衛企業3社が合併した防衛装備メーカーEADSの幹部から、BAE会長のジョンストンの狙撃を依頼されたゴルゴ。期限は1ヶ月以内であったが、同じ頃この依頼の情報を手に入れたMI5のカークは、レーザー光を使用してゴルゴを抹殺しようと企んでいた。狙撃直前のゴルゴはレーザー光の照射を受けて視力を奪われてしまうが、何とか脱出に成功し、眼科医の診断を受けることに成功する。自然治癒には時間を要することから依頼期限に間に合わないと判断したゴルゴは視覚障害者射撃の金メダリストを訪れ、その後ゴルゴは日本・秋葉原に来訪し、あるセンサーの開発を依頼する。 第417話 神の耳・エシュロン / 2002年3月 米国と英連邦五カ国が世界に張り巡らした「エシュロン・システム」は、電話や電子メール、果ては通信衛星の電波まで、地球上のありとあらゆる通信を傍受できる「神の耳」ともいうべき通信傍受システムである。米英がエシュロンを使って日本の要人達の通信を盗聴して経済交渉を有利に進めていたことを知った日本人銀行家の吉田栄三郎は、エシュロンにダメージを与えることと、その統括者のイギリス軍人・タッカーの殺害をゴルゴに依頼する。 第418話 装甲兵SDR2 / 2002年5月 ベトナム戦争以来の兵士たちの地上戦に対する強いアレルギーに頭を抱えていた米軍は、戦闘用ロボットの開発を急がせていた。研究員たちは日本の自動車メーカーが開発した二足歩行ロボットなどの技術を提供させ、人間が内部で操縦をする半戦闘用ロボット 「SDR2」を完成させる。開発計画を主導していた米軍将校は、その性能を軍上層部に理解させるために世界中の悪名高いテロリスト達を無人島に集めて殺し合いをさせ、SDR2を投入させる。ところが、そこへ近くの島で仕事を終えて逃亡中のゴルゴが乗った小型機が不時着し、テロリスト対SDR2の殺し合いに巻き込まれてしまう。 第419話 ヴィレッジ・ジャック / 2002年6月 クリミア半島ヤルタ近郊の小さな村のリゾートホテルが、チェチェンの武装グループに乗っ取られた。その狙いは、休暇に来ていた大企業の開発責任者クリスを人質に身代金を奪うこと。チェチェン活動家の抹殺を依頼され、地質学者に扮して訪れていたゴルゴは、クリスに救出を依頼される。 第420話 凍った炎(フローズン・ブレイズ) / 2002年7月 西側諸国の企業が、ある島で液化天然ガスの生産を行っていたが、裏ではそれを用いた兵器をアラブの某国に提供していた。また、住人への圧力も凄まじい。事態を重く見た自然保護団体は、経済原則のみに重点を置くコングロマリットへの警告の意味も含め、ゴルゴにこの設備の破壊を依頼。 第421話 バイルス・チェイス / 2002年8月 中山は、パソコン好きの若者で、ネットにウィルスが出回るとワクチンを開発し、シェアウェアとしてネットで提供していた。中山のワクチンソフトは優秀であり、NSAやCIAもその恩恵にあずかっていた。ところがその中山が誘拐され、サイバースペースではウィルスが蔓延し始める。また、ウィルスにより、サイバースペース経由でゴルゴに依頼する方法も断たれてしまう。米国大統領補佐官のミレットは事態を憂慮し、緊急の方法でゴルゴとコンタクトした。そして中山の奪還と敵の消去を依頼した。 第422話 ストレンジャー / 2002年9月 仕事にかまけてろくに家に帰ってこない父と、浮気ばかりして同じくろくに家にいない継母。そんな家庭になじめず友達も一人もいない少年・ボビーは、自殺を決意して死んだ母親との思い出のある山へと登っていった。ところがその山では狙撃事件の犯人として警察に追われていたゴルゴがいた。偶然遠目にゴルゴの姿を見つけたボビーは、巧みに追っ手を撒いて逃走を続けるゴルゴに驚嘆する。自殺願望など二の次になり、ボビーは興味を覚えてゴルゴの跡をつけていくが、突如山火事が発生する。 第423話 激突!AK-100vsM-16 / 2002年10月 テロ戦争の時代となるであろう21世紀において、ますますその重要性が増してゆくといわれる突撃銃。世界の突撃銃のシェアをロシアのAK-100で独占しようと望むロシア軍造兵廠のマカロフ大佐は、ゴルゴの存在がM16の性能を過大評価させていると考え、ゴルゴを葬ることによってM-16を突撃銃の市場から駆逐しようとする。一方、AKシリーズの生みの親カラジニフは、ゴルゴが自身の開発した銃でなくライバル銃のM16を使い続けていることを不可解に思っていた。そんな中、マカロフ大佐がウズベキスタンの砂漠にゴルゴをおびき出し、自分の部隊と対決させているという噂が飛び込んでくる。長年の疑問の答えを得られると思ったカラジニフは、自らもウズベキスタンへと向かう。 第424話 歪んだ車輪 / 2002年11月 タイで導入される地下鉄の商談において、岸河商事が仮契約を結んでいたものの、タイ側から破棄され、ドイツのメーカーのシステムへの発注が決まった。ドイツ側の提示した金額は異様に安かったが、それは安全性を無視し、中国製の粗悪部品を多用した結果であった。岸河商事はゴルゴを雇い、ドイツ社の安全を軽視したシステムを暴き、事業受注の巻き返しを狙う。 第425話 龍への供物(くもつ) / 2002年12月 東京大田区の町工場で働く中国人の若者の正体は、中国の産業スパイたちのリーダーだった。技術の流出を防ぐため、公安(公安警察、国家公安委員会なのかは不明)はゴルゴにこの若者の殺害を依頼。狙撃の際、ゴルゴはフレシェット弾を使用した。 日本の産業構造の問題点なども取り扱った社会派作品。 第426話 宴の終焉 / 2003年1月 米国最大のエネルギー会社・シェンロン。かねてより賭博的な投機を繰り返して巨額の損失を抱えているとの噂のある企業だったが、内部告発により粉飾決算が明らかになり米会計検査院は騒然となる。シェンロンは米国の法律の及ばない金融特区であるケイマン諸島に無数の子会社を作って不正を行っていた。真実を暴露しようとして殺されたシェンロンの副社長の旧友達は、かつてケイマン諸島に存在した悪徳銀行BCCIの資料を公開して世論を喚起することを思いつく。ケイマン諸島を利用して不正を行っていたのはシェンロンに限らず、多くの企業に共通する問題だった。 第427話 爆弾魔 / 2003年2月 愛知県警国際捜査課の小畑は、甥がネット掲示板で見つけた書き込みから名古屋で爆弾テロが計画されていることを知る。小畑はハイテク犯罪対策室の友人・沢村と共に捜査を進めるが、やがて元IRAの爆弾テロリストの存在が浮かび上がり、標的が米自動車会社WAモータースの会長であることを突きとめる。WAモータースに連絡を取るとはたして小畑達の推測通りテロリストからの犯行予告を受けていたが、意外にも応対した会長秘書は協力の申し出を断った。せせら笑うようにして小畑の申し出を断ったその理由は、「会長を守るために真のプロフェッショナルを起用した」ということであった。 第428話 極限標的 / 2003年3月 米大統領専用狙撃部隊所属のマックレガー中佐は、かつて要人警護の最中、ゴルゴに遙か後方から自身の頭越しに要人を狙撃されてしまった苦い過去があった。ゴルゴの仕事先のスイスへ先回りしたマックレガーは現地で連続狙撃事件を起こし、狙撃銃を持ち込めずスイスで各家庭に配備されているライフル銃・STGW90を使わざるを得ない状況を作り出す。STGW90の射程はせいぜい350mであり、狙撃ポイントは標的の潜む山荘の周囲の山に限定される。かくしてマックレガーの狙い通りのポイントに、STGW90を持ったゴルゴが姿を現した。ゴルゴの遙か後方でカスタム銃を構える自身の存在を仮に気取られたにしても、STGW90の射程では物理的に弾が届かない。仇敵を絶体絶命の状況に追い込み、マックレガーは勝利を確信する。 第429話 真のベルリン市民 / 2003年4月 英国在住の細菌学者ヨセフ・マインは、ドイツ情報局局員・カンプの招きでドイツのコッホ細菌研究所を訪れる。久しく離れていた故国に戻った彼を待っていたのは、かつてドイツを震撼させた悪性ウィルス「マールブルク・ウィルス」に感染した患者だった。患者の感染は細菌兵器化したウィルスによるものであり、それを精製したのは軍で細菌兵器の研究をしていた亡き父オットーだと聞かされ、ヨセフは衝撃を受ける。オットーは東西冷戦時にベルリンに密かに存在したとある組織に所属し、組織のためにこのウィルスを利用する計画を持っていたという。「真のベルリン市民」という名のその組織は、東西のイデオロギーを無視してただ故郷ベルリンの統一を望む生粋のベルリン市民達による秘密組織であった。 第430話 香りの宝石 / 2003年6月 「香りの宝石」とも称される至高の香木・伽羅。青年グエンはベトナムでも指折りの伽羅ハンターを父にもっていたが、父が死んだ後に身を持ち崩し、麻薬王クンサの支配下の土地でケシ栽培を監督する下働きをしていた。ある日偶然川底で伽羅を見つけ、この地域に極上の伽羅が豊富に眠っていることを知ったグエンは、地域一帯を自分に任せてもらうようクンサに頼み込み、一応はクンサの了解を得る。が、手下にグエンの身辺を探らせていたクンサは伽羅のことに気づき、グエンの命を狙う。 第431話 ユビキタスの迷路 / 2003年7月 経済産業省の戦略会議において、日本の情報家電のOSに半田孝介教授開発による「オリオン」が採用されることが決定した。同じく半田主導の開発による新式映像圧縮技術と携帯電話用ブラウザの開発者・鷲尾の小型端末用高性能ブラウザとの組み合わせは、コンピューターが日常のあらゆる局面に偏在するユビキタス社会の到来を告げるものといえた。半田は「OSは社会の共有財産」との信念から、「オリオン」をオープンソース型のOSとして広めることを望んでいたが、企業経営者の鷲尾は半田に共感しつつも、理想だけで広まるものでもないとも思っていた。そんな中、二人の前にPC用OSで世界シェアを握る米サイバーテクノス社の顧問・ミューラーが現れる。ミューラーは「オリオン」が小型端末OSのスタンダードにならぬよう、二人を自分の下に懐柔しようと企んでいた。 第432話 MASK / 2003年8月 政財界の要人の要請を受け、高度な整形手術にボイストレーニング、様々な演技指導まで施して驚くほど巧妙な影武者を作る秘密組織「MASK」。近日中に新政権を発足させる中東の某国で、「MASK」が援助資金を管理する国連のロメド弁務官の偽物を作って横領を企んでいることを推測したCIAは、ゴルゴにコンタクトをとり、偽物と首領・ウィルキンソンの殺害を依頼する。 第433話 勇者が勝利する / 2003年9月 冷戦時代に旧KGBがIRA内部に潜入させた工作員ラクラン・マクレガー。英政府との間を恒常的に潰乱させるために送り込んだ男だったが、やがて筋金入りのテロリストになってしまい、その存在は現ロシア政府にとっては厄介者でしかなくなっていた。ついに暗殺を決断したSVRはゴルゴに仕事を依頼するが、ゴルゴは何故か依頼を断り去っていった。そしてその後、対IRAテロを任務とする英SASにマクレガーがブロア内閣顧問の暗殺を企んでいるとの情報が情報部よりもたらされる。情報に次いで情報部はテロ制圧のためにと一人の武官を派遣してきた。その武官とは、誰あろうゴルゴであった。 第434話 舞い降りた運命 / 2003年10月 ユカタン半島で飛行機整備工を細々と営むエリックの下をゴルゴが訪ねてきた。次の仕事にかつて米空軍に所属していたエリックの操縦技術が必要であり、是非とも協力して欲しいという。しかし、エリックは訓練の最中二度にもわたってパラシュート事故に遭い、以来空を飛ぶことができなくなってしまっていた。ゴルゴはそういう事情もよく知っていたが、エリックの拒否をまるで聞き入れてくれない。結局強引に引っ張られ、エリックはコロンビアの麻薬組織のボス暗殺に同道することになる。 第435話 地上の太陽 / 2003年10月 国際熱核融合実験炉「ZETER」の誘致を巡って日本とフランスが争う中、フランスの誘致先であるカダラッシュの市長は、日本叩きを専門にするジャーナリストのエルーに日本のイメージを落とす記事の作成を要請する。エルーは快諾して発憤するものの、そのうち米国が誘致に横やりを入れてきて日本を叩いても仕方のない状況になってしまった。近年原子力研究で遅れをとっていた米国が、何故莫大な予算をかけてまで強引に国際実験炉を誘致しようとするのか……? 疑問に思ったエルーは、日本憎しの感情も忘れてその理由を探ろうとする。 第436話 一射一生 / 2003年11月 飛行機事故に巻き込まれて命を落とした弓道竹林派家元の一人娘・弥生の下に、弓術の指導をして欲しいとゴルゴが訪れた。ゴルゴは驚嘆する程の早さで弓術の極意を次々身につけてゆき、たちまち弥生を凌ぐほどの妙域に達する。弥生の家の流派「鞍馬竹林流」は戦国時代の暗殺弓術に端を発した流派で、現代でも技術向上のため他の流派の庇護の下にその奥義が伝えられていた。ゴルゴの腕に目をつけた他流派の家元は、ゴルゴに奥義を伝承してはと弥生に薦める。ゴルゴが何者かをおぼろげに察していた弥生は薦めを断る。 第437話 ラストグレートゲーム / 2003年12月 ドゴールが種を撒き、国際的な巨大石油資本に成長したフランスのエルク社。その力は米石油メジャーに次ぐ程のものであり、米国は湾岸戦争勝利後のイラクの石油権益も数多く奪い去られてしまった。何かと米国にたてつくフランスの反米姿勢も自国内から米軍を追い出したドゴール以来のものであり、米政府は仏政府と特殊諜報機関としての活動も行うエルク社との黒い関係を暴こうと画策する。その思惑を察知した仏シモン政権もCIA工作員の機先を制して関係書類を処分するなど米の攻撃に迅速に対抗した。二国の角の突き合わせは膠着状態に陥り、やがて両国の目は過去にエルク社の重役を務め、仏政財界の裏面を知り尽くしているアルジェリア人・ザイダーンの存在に向けられることになる。 第438話 万能ベクター・VOGUE / 2004年2月 「ベクター」とは遺伝子組換え技術において、組換え遺伝子を挿入する際に使われる媒介分子である。あらゆる遺伝子に利用できる万能のベクター「VOGUE(ヴォーグ)」の開発に成功したマービン・リュー博士の下を、かつて部下として研究に携わっていた日本人研究員桑原が訪れた。しばらくぶりの再会にリューは桑原を歓迎してくれたが、桑原はどこかしら様子のおかしいリューの雰囲気に違和感を抱いた。その後日本に帰国した桑原の下に米国の医学雑誌のデューク・東郷という記者が現れ、「VOGUE」が生物兵器に転用できる可能性があるのではないかと指摘する。考えたこともなかった盲点を突かれた桑原は、リューに感じた違和感を思い出す。 第439話 FIRE! / 2004年3月 戦争終結後も駐留軍へのテロ攻撃が止まないイラク。その原因は、国外よりカラシニコフ小銃を仕込んだ小麦袋が援助物資を装って持ち込まれており、武装勢力に密かに武器弾薬を供給していることにあった。その出元のひとつがウクライナにあることを突きとめたCIAは、ゴルゴに銃製造の秘密工場の破壊を依頼する。ただし、依頼には米国の関与が囁かれてはやっかいなので、あくまで自然な事故に見せかけるという条件が付けられていた。 第440話 PKO プライス・キーピング・オペレーション / 2004年3月 新任のタイス米大統領補佐官は、日銀副総裁で日本経済のキーマンであるマツオカにイラク戦争に関する多額の支援金を強要する。マツオカは一応は応じたものの、かねてから米国の強圧的な要請に憤りを感じており、同じく米国の一国主義を嫌うECB顧問・ルメールと結託して米経済を危機に陥れようと画策していた。ところが脅迫めいた謎の狙撃に数度見舞われ、マツオカは計画を断念させられる。一方、ルメールはマツオカが屈服した後も策動を続けていた。ルメールの狙いは大国の中央銀行と対米包囲網を形成し、米ドルを基軸通貨の座から追い落とす体制を作ることにあった。 第441話 ペイ・バック / 2004年5月 ベルリンの墓地で偶然顔を合わせた二人の老人は、それぞれCIAとKGBの元工作員だった。彼らは共に冷戦時代に国家や組織の枠を超えて友情を結んだシュタージ(旧東独国家保安局)の工作員・エルンストの墓参りに来たのだったが、ひょんなことから現在彼の娘が命の危険にさらされていることを知る。逃走中のテロリスト達が娘を人質にしてカフェに立て籠もっているのだ。 第442話 極寒の大地 / 2004年6月 ロシアの地質学者から自身の研究を横取りした共同研究者・ボルツフの暗殺の依頼を受けたゴルゴ。軍と共に南極で違法な資源の採掘をしているボルツフを仕留めるべく南極に足を運ぶが、ボルツフはゴルゴの襲来を事前に察知していた。南極観光船で南極に入ろうとしたゴルゴは特殊部隊の強襲を受け、不意を突かれて海に転落させられてしまう。どうにか海から這い上がることはできたものの、M16を含む荷物の大半を無くしてしまった。平均気温が-50℃の極寒の大地で、ゴルゴは持ち前のサバイバル技術を駆使して生き抜こうとする。 第443話 戦場に漁る者 / 2004年7月 戦時の混乱に乗じて、イラクの美術館からは古代メソポタミア文明の貴重な美術品が大量に掠奪されてしまった。イラク人研究者・アッバスは、NPO団体を組織して祖国の文化財の散逸を阻もうと躍起になっていたが、流出する美術品は膨大な数で到底手に負えるものではなかった。中でも「アリババ」などと名のる首領率いる武装窃盗団は美術品と引き替えに大金を要求してきており、アッバスは頭を抱えていた。ところがそんな中、突然とある実業家から資金提供の申し出が入る。 第444話 3/7 / 2004年8月 ゴルゴは香港に本拠を置く中華系マフィアの元首領から、自分を首領の座から蹴落とした3人の幹部達の暗殺の依頼を受ける。しかし、依頼には死の床に伏せている元首領の余命の7日以内にすべて完遂して欲しいという非常に困難な条件が付いていた。しかも、3人は日本・香港・タイの3カ国にバラバラに居住している。 第445話 エアポート・アイランド / 2004年9月 爆弾造りにのめり込んで身を持ち崩した、元米空軍軍曹アンドリュー・テンプル。このテンプルの爆弾を利用してCIAに非合法活動を行わせた過去がある共和党政権は、スキャンダルの発覚を恐れて沖縄の嘉手納基地で拘束されたテンプルの狙撃をゴルゴに依頼した。ゴルゴは難なく依頼を成し遂げるものの、ところが直後になってテンプルが関西国際空港のどこかに爆弾を仕掛けていたことが判明した。爆弾の場所を聞き出そうにもテンプルはもはやこの世にはいない。慌てた駐大阪・神戸総領事は、ちょうど関空を使って出国しようとしていたゴルゴに協力を請う。 第446話 コルタン狂想曲 / 2004年10月 高性能PC並のスペックを持ち、IP電話機能をも備えた新型携帯電話の試作に成功した日本メーカー。しかし製造に不可欠な希少鉱石「コルタン」の供給不足により、商品化の目処は立てられていなかった。コルタンの大量確保の委託を受けた「岩國スーパーメタル」の社長・岩國はコンゴ民主共和国で鉱山を開発するものの、内戦時の糸を引いた不安定な政情下でゲリラに鉱山を強奪されてしまう。最後の手段として岩國はゴルゴにコンタクトをとるが、ゴルゴは「お前の希望は半分は叶う事になるだろう」という謎の言葉を残して去っていった。 第447話 カメレオン部隊 / 2004年12月 周囲の事物を全身を覆う布状の有機モニターに投影し、さながらカメレオンのように風景に溶け込む光学迷彩服「カメレオンスーツ」の開発に成功したイスラエル軍。イスラエル軍大佐・スレイマンはこのスーツで武装した特殊部隊「カメレオン部隊」を一任されるが、かつてテロ事件で妻を失った怨みから独断でパレスチナの要人達を暗殺するという過激な行動を始めようとする。ゴルゴは慌てた軍上層部からスレイマン達の掃討を依頼されるが、姿すら見えぬ部隊を相手にはたしてどう戦おうというのか。 第448話 ダーティー・ウイング / 2005年1月 スペインのバルセロナで開かれる世界最高峰の鳩レース「バルセロナ・レース」。90年の伝統を誇るこのレースも、近年では人間のスポーツ競技と同様にドーピングによる不正が蔓延り始めていた。ベルギーの愛鳩家ホッパーはレースに向けて国王から託された鳩を飼育していたものの、仇敵のクロードが自身の鳩にドーピングを施していることを知る。伝統あるレースが汚されると憤慨するホッパーと、何としても優勝を勝ち取って手柄にしたい国王の鳩のお目付役ヘルン伯爵は、ゴルゴにコンタクトをとってクロードの鳩を撃ち落とすことを依頼する。 第449話 氷上の砦 / 2005年2月 今期限りで引退を表明したNHLのスター選手・フィッシャーが、中国のナショナルリーグから引き抜かれた有望な新人選手・ワンと対決することになった。極端な有色人種嫌いであるフィッシャーは、もしも東洋人のワンに敗北すれば即日引退を宣言しかねない。穏便な花道を作ってやりたいチームオーナーと、引退後の彼を政界に誘う共和党の選挙参謀の2人はゴルゴとコンタクトをとって、ワンがフィッシャーの守るゴールに点を入れそうになったら狙撃によってパックを弾き飛ばして欲しいと依頼する。 第450話 パライバ・ブルー / 2005年3月 ブラジルのパライバ州でのみ採掘されるパライバ・トルマリンの持つ輝きは、他の何物も及ばぬ至高の青さから「パライバ・ブルー」と賞賛される。トルマリンの買い付けに来て消息を絶った夫を追ってパライバを訪れた逸見忍は、偶然出合ったゴルゴと共に夫の行方を探ろうとする。パライバではトルマリン鉱山のオーナーと、ドイツの宝石バイヤーがトルマリンの独占を巡って角を突き合わせていた。 第451話 亜細亜の遺産 / 2005年5月 敗戦直後、GHQによる占領政策で骨抜きにされてゆく日本を憂いた元帝国軍人の黒田隆之は、反GHQ工作員の養成を目的とした秘密機関「黒田機関」を設立する。戦前の大東亜共栄圏の理念を再興するべく華僑達と接触しながら機会を窺っていたが、しかし一時期行動を共にした天才狙撃手・東郷俊太郎を仲間に引き込もうとして黒田は殺害されてしまい、創始者を亡くした黒田機関は高度経済成長の時勢の中で行動の機会を失った。そして時は流れ現在、かつて黒田の同志だった大東亜産業の会長・高沢は、ゴルゴこそが東郷俊太郎の息子であるという情報を手に入れる。 第452話 亜細亜の遺産その後 / 2005年6月 451話の続編。町道場として存続していた黒田機関を切り盛りしていた黒田隆之の遺児・千絵は、高沢から情報を聞くやゴルゴに復讐を誓い、亡父が遺した華僑とのコネクションが縁で道場で鍛え上げた暗殺者・江兄弟を刺客としてゴルゴの元に送り込む。死闘の末、江兄弟を返り討ちにしたゴルゴは黒田機関の存在を突きとめ、千絵の前に姿を現す。千絵はゴルゴの手にかかる前に毒をあおって自ら命を絶つ。 第453話 依頼保留 / 2005年7月 米国のアラバマ州。依頼人とのコンタクトに応じ、待ち合わせ場所の小学校に足を運んだゴルゴ。が、指定時間の直前になって狂信的カルト集団が学校を占拠する事件が起こり、ゴルゴは子供達と一緒に人質として捕らわれてしまい、突発的なアクシデントの発生によって依頼人の消息すら確認できなくなってしまった。ゴルゴはとりあえず依頼は保留すべきと判断するものの、しかし事件現場を取り囲む警察の包囲網の中では、ゴルゴの存在を知る者達が彼の姿を認めて新たな依頼を行おうとしていた。 第454話 BEHOLDER / 2005年8月 フランスの核物理学者・アドレ博士には、核の闇市場にウラン濃縮技術を流す裏の顔があった。世界の核兵器市場の掌握を目論む博士は、自身の技術力を世界に知らしめるべく、小型核兵器(ミニ・ニューク)を国際テロ組織に供与しようとする。アドレ博士の野心を察知したCIAはゴルゴに博士の暗殺を依頼するが、博士は世界中の監視カメラを利用してその動きを逐一捕捉し、ゴルゴを電子の監視網の中に封じ込めようと企む。 第455話 冤罪許すまじ / 2005年9月 ペンシルバニア州の小さな町・ジョーンズタウン。新進弁護士のハリーは、十年前この町で起こった連続殺人事件を今一度洗い直そうとしていた。犯人として逮捕されたジョン・ドナヒューは死刑判決を受け服役しているが、現在でも無罪を主張している。この町出身でかねてより閉鎖的な町の気風を嫌っていたハリーは、よそ者のドナヒューが町の人々に無実の罪を被せられたのではないかと考え、その冤罪をはらそうと思い立ったのだった。やがて調査を進めるハリーの前にゴルゴが現れ、冤罪事件の調査費用を払うと申し出る。 第456話 ノモンハンの隠蔽 / 2005年10月 中堅の精密機械メーカーを経営する溝口浩樹は、死の床についた父からとある条件と引き替えに遺産を全額譲渡する話を持ちかけられる。その条件とは、太平洋戦争の2年前に起こった日ソ国境紛争「ノモンハン事件」にまつわるものだった。激戦により血で染まった大草原のどこかに、1万人を超える戦死者達の想いを結集したとある「遺品」が埋められているのだという。戸惑いながらも父の条件を引き受けた溝口は、かつての父の部下であった来栖と共に、同じく部下で「遺品」の行方を知る男のいるというフィリピンのミンダナオ島に向かう。 第457話 北京の蝶 / 2005年12月 中国がロシアから購入した航空母艦「キエフ」。「海のテーマパークとして利用する」という名目で購入されたこの軽空母には、背後に隠された秘密計画が存在した。それは自前の空母を所有するという中国人民解放軍悲願の計画である。「キエフ」がリニアカタパルトをも搭載する高性能空母に改造されていることを突きとめた米国は、アジアの軍事的均衡を揺るがす中国の空母保有計画を葬るべくゴルゴにコンタクトをとる。 第458話 海の鉱山 / 2006年1月 スペイン政府関係者を名のる男から、鉱山用ダンプカーのタイヤを生産する工場の工場長暗殺を依頼されたゴルゴ。標的の正体はETAの幹部ということだったが、依頼を遂行したゴルゴはどうやら標的はETAとは無関係のようだと勘づく。依頼に嘘があると判断したゴルゴは依頼人の男を抹殺し、希少金属を扱う米国のレアエレメンツ社との繋がりを突きとめる。レアエレメンツ社は所有鉱山を掘り尽くして現在ではホヤの養殖をしているらしかった。 第459話 世界的大流行 パンデミック / 2006年2月 スペイン風邪以来の恐慌が危惧される鳥インフルエンザ。現在これに対抗できる薬品はスイスのロジャー製薬が開発した「タミール」以外になかったが、ブラジルの野党議員・ブリゾーラは自身の製薬会社でコピー薬を大量生産し、かつて抗HIV薬のコピーが人道的観点から承認された先例をもってこれを認めさせようとする。このことを実績に大統領選に乗り出そうとするブリゾーラを恐れたジョゼ大統領は、ゴルゴに自然な事故死に見える形でブリゾーラの暗殺を依頼する。 第460話 オリガルヒの報復 / 2006年3月 汚職・脱税容疑で起訴されていたロシアの大手石油会社ユーリー社の社長ベリンスキーに有罪判決が下った。判決は明らかに反政府的な姿勢を見せていたユーリー社に対する制裁であり、プーシコフ大統領によるオリガルヒ(新興財閥)への締めつけであることは明白だった。ベリンスキーは獄中でゴルゴとコンタクトをとり、陰謀の首謀者であるシロヴィキ(大統領側近)の代表格・ティシチェンコの暗殺を依頼する。 第461話 至近狙撃 / 2006年5月 科学ジャーナリストの深沢は、取材で訪れたリニアモーターカーの試験場で偶然ゴルゴの姿を目撃する。試験場には明後日に米国務次官補のミルが視察に訪れることになっており、以前ゴルゴの狙撃を目撃したことのある深沢は、ミルが狙われているのではないかと危惧する。厳重な警備に護られているミルを狙撃するにはリニアモーターカーに乗車している最中しかチャンスはないはずだった。 第462話 ドナウ・ライン迷路 / 2006年6月 ドイツワールドカップ開催直前。ウクライナの黒海に面した街、ボルグラードで、ウクライナのエネルギー省の大物、ルスクルがゴルゴによって暗殺された。ウクライナの警察当局はすばやく動き、陸路や空路を封鎖し、また黒海の船舶の臨検もはじめた。ゴルゴはこれらを想定しており、ドナウ川を全速力で遡上し始め、ドナウ源流まで行き、さらに今度はライン川を使って潜行を続ける。実は依頼の性質上、最初の狙撃から5日以内にドイツに居るルスクルの執事が隠し持つデータのメモリーを破壊しなくてはならなかったのである。一方、ゴルゴに敵愾心を燃やすスイス警察のジャヌーは、これを察知し、ゴルゴより先に執事の警護を固め、狙撃阻止は成功したかに思われた。 第463話 ダルフールの悪夢 / 2006年7月 証券会社で働くドーソンはアフリカのスーダンの出身だった。スーダンでは内戦が続いており、彼の両親は政府軍の軍人・サーリフによって虐殺されていた。サーリフは現在軍の幹部となっており、中国と結託し私腹を肥やしているという。ドーソンは両親の復讐とスーダンの平和を願い、サーリフらを「むごいやり方で殺してくれ」とゴルゴに依頼する。ゴルゴはスーダンへと飛び、ヘリコプターのギアを狙撃し、ヘリコプターのローター(回転翼)によってサーリフらは斬首され死に至った。 第464話 環の城 / 2006年8月 ジャーナリストの武文秀は社を追われ、恋人の黄陽輝を連れて、故郷の安徽省の阜陽市に戻ってきた。ところがその故郷では、呉栄林、呉士良と自称する親子が居座っていて、地域を仕切っていた。実は、その村は、金鉱の上に位置しており、呉親子はそれを掘り出し、私腹を肥やそうと企んでいたのであった。親子は、「客家土楼」という、バームクーヘン様の建物に篭城していた。そこにやってきたのはゴルゴだった。ターゲットは呉親子で、ゴルゴは、建物のわずかな空間を縫うような角度で狙撃に成功する。 第465話 リプレイ / 2006年9月 ニューヨークで、ゴルゴは、IT大手のソフトマクロ社社長のガーランドから依頼を受ける。ターゲットは、ソフトマクロ社のライバル企業、ララックス社のカリスマ社長、ウェズリーだった。ウェズリーが消えればララックスは失速し、ソフトマクロは今後も安泰だという。問題は、ウェズリーがララックス社の社長室に引きこもっている点だった。2年半もの間、社長室から出ていないという。この建物は、警備が厳重で、防犯カメラなども多数あり、入館には入館カードが必要だった。建物の外からヘリコプターで狙いをつけられれば手っ取り早いが、9.11テロ以後、ウェズリーは窓をロッカーなどで目隠ししてしまったという。ゴルゴは清掃係に変装して、建物に侵入、狙撃を完遂する。ところが、ゴルゴの変装していた清掃係が容疑者として逮捕されてしまう。 第466話 赤い五月の使命 / 2006年11月 治療薬の一切存在しない炭疽菌。除染の難しさから放置されていた北極海の無人島にある旧ソ連の炭疽菌実験施設が「赤い五月」と名のる旧ソ連軍細菌兵器部隊の退役軍人達によるテログループに占拠される。テロリスト達は島に残存する炭疽菌を生物兵器レベルにまで培養し、軍を冷遇する現政権を転覆させようと企んだのだった。ロシア政府から緊急の依頼を受け、ゴルゴはテロリスト達を殲滅するべく島に飛ぶが、政権中枢にいる内通者よりゴルゴの来襲は事前にテロリスト達に察知されていた。 第467話 ボリバルII世暗殺計画 / 2006年12月 原油価格の高騰で潤う、南米のベネズエラ。反米を標榜しているチャグレス大統領は、国策として映画産業の振興を打ち出す。巨大なセットが用意され、ハリウッドで活動していたラテン系アメリカ人のキャストやスタッフが招集される。ストーリーは、南米諸国を独立に導いたシモン・ボリバルの再来、とされる英雄が、敵役の米国と手を結んでいる勢力を壊滅させる、という、プロパガンダ色の強いものであった。そして、クランクインが迫るが、そこで監督が交通事故で死に、主演俳優も脅しを受ける。それを見て、映画を愛するハリウッドの重鎮がゴルゴ13と接触、主演俳優に攻撃を仕掛けてくる者を片付けて欲しい、と依頼する。 第468話 マイクロテロリスト / 2007年1月 イスラム原理主義過激派が、米国でニパウイルス感染症のバイオテロを引き起こそうとしていた。マレーシアの山奥のある村において、ニパウイルスのキャリアのコウモリが生息していた。これを大量にいけどりにし、米国に空輸し、放とう、というものであった。ニパウイルスは空気感染し、家畜や人間を死に至らしめる。米国に持ち込まれて蔓延し始めたら、防ぐ方法はないという。これに気づいたCIAはゴルゴ13と接触、「コウモリを積んだ自家用機を事故に見せかけて大破・炎上させてほしい」と依頼する。ゴルゴ13は、鳥を狙撃しバードストライクにみせかけて、依頼を遂行した。 第469話 TATTOO・刺青 / 2007年2月 新聞記者の高見は、不可解な交通事故により命を落とした友人の死の謎を探ろうとする。商社に勤めていた友人は、6年ほど前に核兵器開発に転用可能な精密機械の不正輸出に関与した疑惑を持たれていた。高見はその取引相手だったラジャブ・カリームという謎のアラブ人の調査を始めるが、同時期にゴルゴもラジャブの暗殺依頼を受けてその行方を追っていた。しかし現在イスラム過激派の頭目になっているというラジャブは顔すらわからず、その正体は皆目不明だった。手がかりといえば、左腕に蠍の刺青を彫っているということのみであった。 第470話 東ドイツの残骸 / 2007年3月 ボン自由大学のユルゲンス教授は東ドイツ史の研究者だった。ユルゲンスは、死期が近いロシアのカレリン大佐にインタビューしていた。東ドイツの末期、カレリンはKGBの幹部で、東ドイツ政府が握る極秘のファイル「Sファイル」をルーマニアに、さらにロシアに輸送するよう指示を受けた。このSファイルとは、「旧東ドイツ時代、ロシアKGBと一心同体だった秘密警察“シュタージ”に協力していたスパイたちの名簿」であった。さらに、ユルゲンスはこれとは別物の、ゴルゴ13のミッションの記録である「Gファイル」も同時に入手する。KGBの落ちぶれたエージェントが恐喝のネタにとSファイルを強奪しようと動き始め、一方、Sファイルに自分の名が載っているVIPは、ゴルゴ13にSファイルの抹殺を依頼する。 第471話 極東の凶行 / 2007年5月 刑事の韮沢は定年目前であった。そんな韮沢に割り振られた最後の仕事は、失踪人探しである。失踪した堂坂は、千原精密印刷の印刷統括主任で、どうやら仕事関係で失踪したと思われた。韮沢が捜査を進めると、この印刷会社に派遣されていた警備員も同時期に失踪していたことがわかる。そしてこの会社から、なにやら高価な印刷物が成田空港に搬送されようとしていた。この印刷物を強奪しようとするグループが二人を拉致し、輸送の日程などを探り出したのだった。そして、この強奪を阻止するためにゴルゴ13が起用される。 第472話 燃える氷塊 / 2007年6月 メタンが水分子と結合して固体となっている、燃える氷とも呼ばれる、メタンハイドレート。日本の近海の海底にもかなりの量があることが判明したが、それを効率的に採掘するためには、何らかのきっかけが必要だった。海洋生物学者の唐沢は、独自の研究で、ある細菌を特定の条件下で生育させれば、メタンハイドレートを取り込んで気体のメタンに変換させられることに気づく。これを量産化すればメタンハイドレートの開発に弾みがつくが、同時に海水が貧酸素化する恐れがあるので、唐沢は封印していた。この技術に目をつけた中国の実業家が唐沢と助手の津山を誘拐、脅迫してこの細菌を作らせようとする。 第473話 デリートG Gの消去 / 2007年7月 CIA局員のホールデンは、上司のグローバーから密命を受ける。同僚のウイリアムスと二人だけで、「ゴルゴ13の存在がどれほど米国の脅威か」をレポートにまとめよ、という任務だった。この密命は、CIA対テロセンターのレッド副所長からグローバーに指示された指令だという。二人は調査を開始するのだが、グローバーの自宅のガーデンパーティーの最中、グローバーの手にしたグラスが吹き飛ばされ、メンバーはこれをゴルゴ13からの警告だ、と解釈する。さらに、指令を下したレッドが殺害され、CIA対ゴルゴ13の緊張が高まっていく。 第474話 歴史の底に眠れ / 2007年8月 1940年、ゲーリング率いるドイツ空軍は英国のコベントリーに大規模な空爆をかけ、多くの市民が犠牲になった。この件に関して、「英国は、エニグマを解読していて、事前に空爆を知っていたが、エニグマを解読していることをドイツ軍に気取られないため、あえて空爆させるままにしていた」という説が、戦後もずっとささやかれていた。この説はいわば都市伝説で、真偽はあいまいなままだったが、これが事実であることを裏付けるSPレコードが、沈没船から引き上げられようとしていた。もしそれが成功して公表されると、英国政府は、市民から天文学的な損害賠償請求を起こされ、また、当時のチャーチ首相の名誉も失墜する。この事態を避けようと、ゴルゴ13に、「SPレコードが引き上げられたら木っ端微塵にしてほしい」と依頼がなされる。 第475話 聖なる銀行 / 2007年10月 イタリアで、ある殺人事件の判決が言い渡されようとしていた。発端となる1982年、イタリア政財界、そしてマフィアを巻き込んだ、アンブローナ銀行の違法融資が発覚し、当時の頭取のカッシーニが縊死した。カッシーニは自殺ではなく他殺だったとして3人が起訴されたが、結局全員が無罪判決を下される。カッシーニの息子のロッコは、判決の内容に納得せず、地道に調査を続けていくが、父の死が「アローン」というキーワードと関係があるのをつかんだところで、口封じのために暗殺されてしまう。一族の恨みを晴らそうと、カッシーニの母は、ゴルゴ13に依頼、正体不明のアローンの抹殺を依頼する。 第476話 アナライズ・ウクライナ / 2007年11月 2006年、MI6は新聞広告でエージェントを募集して話題になった。それに応募して採用されたのが、ジェレミー・デイビスという若者だった。ある日、ジェレミーがトイレでさぼっていると、他のエージェントの会話が漏れ聞こえた。ウクライナで、大統領と首相の専用車が狙撃された、ただ防弾ガラスで、大統領も首相も無事だったという。ジェレミーはこの話を飲み友達のダグ・ヒギンズに伝える。ダグはかつてMI6で有能なアナリストとして働いていたが、今は身を持ち崩していた。ダグの解釈によれば、親欧米の大統領と、親ロの首相、両方に同時に威嚇した、ということは、ウクライナの民族主義者の仕業と考えられるという。やがて、そのグループの正体は、ガリツィア師団と判明し、MI6はリーダーの暗殺をゴルゴ13に依頼する。 第477話 死を呼ぶ汽笛 / 2007年12月 科学ジャーナリストの深沢は訪れていた山形県の酒田市北港で、ゴルゴと地元の大手商社社長の平井が密会している場面を目撃する。事の真相を追う深沢は平井社長や知人の浅田に接触を図り、平井が両親の仇を取ろうとしているのではないかと推論するに至る。しかし仇とされるクルチャトフという人物の顔は分からないまま、ロシアからKBP社の使節団一行が来日する。仕方が無く深沢は一行を尾行するが、その一方でゴルゴは酒田市北港で待機していた。 第478話 極北のテロル / 2008年1月 イヌイットの過激派グループが米国政府の油田開発に反発し、核物質を用いたテロにより開発計画を頓挫させようとする。グループを率いるリーダーのデゴスはアラスカの地形や自然に長けており、警察の精鋭部隊を翻弄し、遭難寸前にまで追い詰める程であった。米国からテロリストグループの殲滅の依頼を受け、グループの痕跡を辿りながら追跡するゴルゴは、以前追跡部隊から追われている最中にデゴスに助けられたことを回想していた。程なくしてゴルゴはデゴスらがいる地点に到達し、氷上で決死の攻防が始まる。 第479話 愚か者の銃 / 2008年3月 ここ数年来、銃器による犯罪が急増しているマイアミ。現職市長のジョイは銃規制法案を熱心に推進していたが、強硬な規制反対派で次期市長の椅子を狙うロバートからの執拗な嫌がらせを受けていた。ジョイはめげずに法案を推進しようとするが、ある晩規制反対派と見られる暴漢がジョイの妻を銃殺し、衝撃を受けたジョイは自ら命を絶ってしまう。それから1年後、暴漢の正体が新市長に就任したロバートであることを知った老母のアンジェラは、友人の薦めでゴルゴとコンタクトをとる。 第480話 ノストーラの予言匣 / 2008年4月 「ノストーラの予言匣」という怪しいウェブサイトが、放射能に汚染された旧ソ連の人工衛星が米国東海岸に落下すると予言。その予言通り、その人工衛星はテログループによって乗っ取られ、制御不能となってしまった。ワシントンD.C.は放射能汚染のニュースで混乱状態になり、市民による暴動も発生していた。この危機的状況を打破するために、米国政府はテログループの特定とその殲滅をゴルゴに依頼する。 第481話 殺人投資 / 2008年5月 世界各国の情報機関の末端職員を駆使して暗殺計画の情報を仕入れ、株の空売りをして荒稼ぎをしていた投資会社。それは文字通りの殺人投資であり、ゴルゴによる狙撃も利用されていた。投資会社会長のアイバンは、最後の一大ビジネスとしてゴルゴによる大統領候補狙撃の情報を利用しようとする。 第482話 ピジョンブラッド 失落の鑑別書 / 2008年5月 ルビーとサファイアの取引市場で大きな規模を誇るタイ。色宝石の鑑別に関してはスイス系のハウゼン鑑別会社が大きな力を持っており、ハウゼン鑑別会社社長のベッカーは業界最大手であるJ・ギュルダン社社長の娘婿でもあった。しかしベッカーはルビーの鉱床を手に入れた暁には親会社であるJ・ギュルダンを吸収し、世界市場を席巻しようという野望を秘めていた。このことを察知したJ・ギュルダン社社長はベッカーの排除をゴルゴに依頼しようとする。 第483話 ハインリッヒの法則 / 2008年6月 シュレッダーにかけられた残骸から復元された文書により旧東ドイツの原発事故が発覚。当時の所長であったバーサイトはその事実を揉み消したが、技師の一人が業務日誌の中に告発文を含ませていたのである。民放ニュースキャスターのギュンターはバーサイトの過去を暴露しようとするが、執拗な妨害工作により遂には重傷を負ってしまう。ギュンターの恩師であるハインツ博士はベルリンの壁に秘匿された原発事故の証拠の発見と一連の真相の解明をゴルゴに依頼する。 第484話 不可能侵入 / 2008年8月 ペルーの大富豪から、娘を殺害した極左翼ゲリラの女幹部の殺害を依頼されたゴルゴ。しかし、標的は男子禁制の女子刑務所に収監されており、通常ルートでの侵入は不可能に近かった。そこでゴルゴは特注したセスナ機で刑務所付近に接近し、エンジントラブルに見せかけて不時着。怪我人として担架に乗せられ、刑務所内に潜入を果たす。特別独居房内に標的の姿はなく、笛の音色に気づいた標的が扉の隙間から顔を覗かせた瞬間を狙い、射殺する。 第485話 欲望の輪廻転生 / 2008年9月 ヒマラヤ山脈の山中に20億円分の札束を積んだ飛行機が墜落。その一部始終を目撃した亡命チベット人の若者達がチベット独立を掲げるテロ組織結成の資金にするため、その金を手中に収めようとしていた。中国政府はフランス政府からの情報で事態を把握し、チベット人によるオリンピックへのテロ行為を懸念する。彼らの行動を阻止するためにフランス警察が現地入りし、更には中国政府からテロの阻止を依頼されたゴルゴが現地入りする。カトマンズへ向かう若者グループは道中で散り散りになり、追跡してきた警官隊に射殺されてしまう。しかし、聞こえてきた銃声が拳銃ではなくマシンガンであることから、グループのリーダーであるカンツォは追っ手が警察ではなく、マフィアだということに気づく。 第486話 許された命 / 2008年11月 空港のロビーにいたゴルゴはふと視線を向けた少年の胸のロザリオからある依頼を回顧する。大病院の理事長の息子が親に反発してしまい、不良グループと行動を共にし、果てには銀行強盗を働くが、逃走する際に警備員に射殺されてしまう。悲嘆に暮れる父親は息子を悪の道に引き込んだ不良グループの抹殺をゴルゴに依頼する。ゴルゴはグループのメンバーを次々に処理していくが、最後の1人の射殺を一時延期することを申し出る。 第487話 アジ・ダハーカの羽 / 2008年11月 インドの自動車メーカーがエタノールを主燃料とする、新型エコカーの販売を発表した。エコカーのエンジニアであるビハリは恩師の遺品であるUSBメモリから新型エコカーに隠された恐るべき陰謀を知ることになる。それはエタノール燃料精製時に穀物を大量消費させ、国内の食料供給の不安定化をはかり、自動車メーカーが政府と穀物栽培促進を取り付ける代わりに、その見返りとして酒造メーカーから多額の献金を募るという筋書きであった。ビハリは一連の陰謀を告発しようとするが、部下は懐柔されてしまい、更には肝心のUSBメモリまでも奪われてしまった。ビハリは生前の恩師と親交があった老師の前で自分の無力さを懺悔するが、その物陰にはゴルゴの姿があった。 第488話 恐慌前夜 / 2008年12月 深刻化する金融危機を防ごうと、金融業界に対して資金供給を求めるアメリカ政府。しかし、保守的な考えを持つ大手銀行や国家権力による介入を好まない巨大保険会社は資金供給の要請を渋る。財務長官はアメリカ経済、更には世界経済を守るために、資金供給を拒む巨大保険会社幹部の狙撃をゴルゴに依頼する。 第489話 魑魅魍魎の井戸 / 2009年1月 日本の石油会社がイラクで石油採掘プロジェクトを始動させた。石油技師の佐嶋は身の危険を承知で、現地でプロジェクトを進行させていた。試掘作業の帰路にて、プロジェクトチーム一行は過激派の武装グループに襲撃されてしまい、佐嶋は技師に扮していたゴルゴと共に人質として捕われてしまう。米陸軍が武装グループとの人質解放交渉に乗り出し、特別交渉人として民間警備会社CEOのディクソンに白羽の矢が立った。ディクソンはイラクと米国の混血であり、アラブ語が堪能で、現地の情勢にも明るかった。一方で人質となっていたゴルゴの狙いは日本人石油技師を狙うテロ組織のボスの特定とその始末で、その依頼主は新保守主義 (アメリカ合衆国)のグループであった。 第490話 誰がそれを成し得たのか / 2009年3月 フィリピンのカラミアン諸島のとある島。日本から派遣された技術者グループは天然ダム決壊による甚大な被害を防ぐため、岩場の爆破して土石流の流れを変えることを計画。しかし岩場を爆破するためには遠隔操作で起爆を行う必要があり、技術者グループの一人である杉原は居合わせたゴルゴに発破装置の狙撃を依頼する。 第491話 アレーナ・ディ・ヴェローナ / 2009年4月 世界的に有名なテノール歌手のエンリコ・ペルッツィは、自分自身の声が衰えたことに悲嘆してしまう。祖国イタリアで行われるオペラを最後に舞台を去る決心をし、シチリア島で行われたカーニバルの裏でゴルゴと接触を図っていた。エンリコの言動を不審に思った放送作家の吉村はエンリコが何者かに自分の狙撃を依頼したのではと疑い、一連の様子を記録しようとオペラ会場一帯にカメラを配置する。 第492話 甦る潜像 / 2009年5月 チリの名士であるラウルは、アンデス山脈で氷漬けの死体とカメラが発見されたことを記事で知る。複数の状況証拠から死体の正体が、かつて秘密警察に在籍していた頃に処刑した恋人のモニカであることを悟る。ラウルはフィルムが40年経過した現在でも現像可能だと知り、自分の過去を隠匿するためフィルムの抹消に動き出す。 第493話 顔のない死神 / 2009年6月 正体不明の武器商人ガブリエルの側近アルキニスが組織を裏切り、出頭してきた。インド洋上の軍事基地にてCIAとMI6による合同尋問が行われていたが、その最中アルキニスは自分の命がゴルゴに狙われていることを告白し、基地は一気に厳戒態勢が敷かれることになった。そこにロシアのFSB(連邦保安庁)の捜査官ボルツが尋問への立ち会いを要求してくる。一方でゴルゴは警戒網をすり抜けて上陸に成功しており、更に基地への侵入も果たしていた。移動を頑なに拒むアルキニスを連れて基地を脱出しようとしていた一行の背後では、ボルツがアルキニスを刺殺しようとしていた。 第494話 ギザの醜聞(スキャンダル) / 2009年7月 英国の名門考古学一族・ウェザー家の跡取りであるマーチン・ウェザーは、クフ王に関する世紀の大発見を成し遂げようとしていた。しかし、砂の中から発見されたのは第二次世界大戦に撃墜された自国の戦闘機スピットファイアの残骸だった。マーチンは自分自身の名誉を挽回すべく、長年に渡り発掘作業の責任者を務めているという男に接触する。その後行われた定例学会にて、マーチンはピラミッドのキャップストーンの発見に成功したと報告する。 第495話 高度1万メートルのエピデミック / 2009年9月 高度1万メートルを飛行中のニューヨーク行きの旅客機内で、謎のウイルスの感染者が見つかった。ホワイトハウスでは生物兵器によるテロを示唆する電子メールが届いたとCIAより報告があり、エピデミックが懸念され、米国大統領は緊急措置を取ることを決定した。その一方で、機内ではウイルスの感染を恐れた副操縦士が機長を締め出した上に同僚を殺害し、操縦室を占拠してしまった。ニューヨークへの着陸許可を求める副操縦士は機長が暴走したため操縦室を占拠していると報告がするが、その説明内容の矛盾や副操縦士の経歴からしても虚偽の報告であることは明らかであった。 第496話 グアンタナモの地雷原 / 2009年10月 キューバにあるテロ容疑者収容施設、グァンタナモ米軍基地で収容者に対する拷問・虐待の事実が露見し、施設の閉鎖が決まった。基地司令官のコーウェンから内部情報密告者の始末を依頼されたゴルゴは、囚人として収容施設に潜入し、雑居房に集めた囚人たちの中から密告者の特定を開始する。 第497話 楼蘭・さまよえる死神 / 2009年11月 ウイグル自治区で発生した暴動に紛れて、一人の活動家ウルハムが中国人民解放軍の医療施設から機密カルテを強奪し、タクラマカン砂漠へ逃亡した。砂漠特別警備隊が人海戦術を駆使してウルハムの追跡を開始する一方で、ゴルゴもとある依頼を受け、この地に足を踏み入れていた。タクラマカン砂漠にある楼蘭遺跡では、軍に立ち入りを許可された日本人植物学者の藤山が現地ガイドと共に砂漠緑化についての調査を行っており、その移動の最中に意識を失っているウルハムを発見する。 第498話 檻の国 / 2009年12月 パレスチナ自治政府のガザ地区。イスラム過激派組織ハマスの支配するこの地域は長大な壁が周囲を囲んで住民は自由な移動を禁じられ、「檻の国」と通称されていた。隣接するエジプトはハマスとの友好関係から窮乏する生活物資の供給に応じていたが、思わぬことからガザの紙幣が偽造紙幣で汚染されていることを察知する。敵対組織ファタハの差金であり、両組織の抗争が激化してその波紋が自国に及ぶことを危惧したエジプト総合情報庁部長のハーミドは、ゴルゴにファタハの頭目ナビールの暗殺を依頼する。 第499話 凋落した名車 / 2010年2月 ドイツの名門自動車メーカー・ライマー社の会長バートランドは子会社であるフォルツ社を吸収合併することで、何とか経営危機を脱しようとしていた。フォルツ社の社長クルトは会長のディートリヒの娘婿であったが、会長のやり方には疑念を抱いていた。そして、フォルツ社による記者会見にてライマー社の経営危機の事実が露見してしまい、ライマー社の経営陣はフォルツ社のクルトの抹殺を計画する。 第500話 史上初の狙撃者 ザ・ファースト・スナイパー / 2010年3月 金ヶ崎の戦い直後の杉谷善住坊による織田信長への狙撃は、確実な記録が残る中では一説に最古の狙撃事件といわれる。ゴルゴは善住坊を先祖に持つ杉谷俊一から狙撃の依頼を受けるものの、その依頼には善住坊の遺した火縄銃を使い、かつての信長への狙撃を再現して欲しいという条件がつけられていた。ライフリングが切られておらず射程距離も短い火縄銃を用いて標的を仕留めるという困難な依頼は、同時に「日本一の鉄砲名人」と讃えられた善住坊の狙撃失敗という大いなる歴史の謎へ迫る挑戦でもあった。
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