三省堂 大辞林 |
とち 0 【土地】
「祖国の―」
(2)耕地などの土。土壌。
「よく肥えている―」「―を耕す」
(3)耕地・宅地などとする地面。地所。所有地。
「―付きの家」
(4)その地方。地域。ところ。
「犯人は―の事情に詳しい」「―の言葉」
(5)人による利用や所有の対象としてとらえられた場合の陸地。一定の範囲や面積を有するもので、池沼・河川などを含めていうこともある。民法上、その定着物とともに不動産とされ、所有権は地上と地下にも及ぶ。経済学上、資本・労働とともに生産要素の一つとされる。
物語要素事典 |
土地
★1a.土地を手に入れる。
『アルゴナウティカ』(アポロニオス)第4歌 海神トリトンがアルゴ号の隊員たちの前に現れ、旅人への引出物に土塊を取り上げて差し出す。これを受け取ったエウペモスは、後、土塊が乙女と化し、彼女と交わるとの夢を見る。また、夢の告げに従って彼が土塊を海に投げると、そこに島ができた。
『バーガヴァタ・プラーナ』 悪魔バリが世界を占領する。ヴィシュヌ神が矮人に変身して、三歩で歩けるだけの土地をバリに望む。バリがそれを許すとヴィシュヌは巨人となり、第一歩で全地上を、第二歩で天界全体を踏みしめ、三歩目でバリを地界に押しこめた。
『人はどれほどの土地がいるか』(トルストイ) 農夫が一日で歩き廻れる範囲の土地を、千ルーブリで買う契約をする。彼は夜明けとともに歩き始め、日没までに出発点に戻らねばならないので、ついには走り出し、広い土地を得るが、その場に倒れて死ぬ。身体の大きさだけの墓穴が掘られ、彼は埋められた。
★1b.土地を手に入れるための策略。
『アエネーイス』(ヴェルギリウス)第1巻 女王ディードーとその配下たちは、カルタゴの住民に「一頭の牛の皮が囲めるだけの土地を分けてほしい」と頼んだ。そして牛の皮を糸状に細長く切り、それで土地を囲んで領有した〔*『ドイツ伝説集』(グリム)419「牡牛城を築くザクセン族」も同様に、牛の皮を細い紐状に裂いて牡牛城を築く〕。
『ドイツ伝説集』(グリム)416「ザクセン族とテューリンゲン族」 ザクセンの若者が、いくばくかの黄金と引き換えに上着一杯分の土くれを手に入れた。彼は、テューリンゲン人の住む野に土を薄く広く撒き、これは黄金で購った土地であるとして、その一帯を占有した。
『ドイツ伝説集』(グリム)553「ルートヴィヒがヴァルトブルクを手に入れた次第」 ルートヴィヒ伯爵は他人の領地内の山を気に入り、領民を集めて、自領内の土をかごに入れて運ばせ、一夜のうちにその土で山を蔽ってしまった。そして「自分の領土に建てるのだ」と言って、城を築いた。
『メリュジーヌ物語』(クードレット) レイモン(レイモンダン)は、一枚の鹿の皮が広がるだけの土地を請い、鹿の皮を切って細く長い紐を作り、それで広大な土地を囲んで自分のものとした。
★1c.土地をめぐる争い。
『ウエスタン』(レオーネ) 十九世紀アメリカ西部。鉄道建設業者モートンが、殺し屋フランク一味をさしむけて、線路敷設予定の土地を所有するマクベインと子供たちを殺す。謎の男が現れ、マクベインの妻ジルを助けつつ、拳銃による決闘でフランクを倒す。男の兄は昔フランクに殺されたのであり、男は兄の敵を討ったのだった。男は去り、ジルは夫の遺志を継いで、所有地内に駅と町を建設するために働く。
『大いなる西部』(ワイラー) 開拓期のテキサス。大地主ヘネシー一家とテリル少佐一家が、水源地を含む広大な土地を得ようと、にらみ合う。土地の所有者である女教師ジュリーは、無用の争いを避けるため、両家のどちらへも土地を売らない。東部から来た青年マッケイが土地を買い取り、水源を独占せず、ヘネシー一家とテリル一家に平等に水を配給しよう、と考える。ヘネシーとテリルはライフルで決闘し、ともに死ぬ。銃を撃ち合う時代は終わろうとしていた。
『出雲国風土記』「意宇の郡」 出雲国は狭かった。そこで八束水臣津野命は、海の向こうの新羅に土地の余りがあると見、鋤を突き刺し土地を切り離して綱をかけ、「国来(くにこ)、国来」と引き寄せた。
『ドラえもん』(藤子・F・不二雄)「ひろびろ日本」 日本の土地が狭いので、ドラえもんが「ひろびろポンプ」を使って日本列島を十倍もの広さにする。しかし、その分学校やマーケットが遠くなり、皆苦労する。それどころか、大洪水で町が沈む。陸地をふやして海を狭くしたから、水位が上がったのだった。
『ファウスト』(ゲーテ)第2部第4~5幕 グレートヒェンやヘレナとの関係の後、ファウストは神聖ローマ帝国の高官となり、新たな国土建設を人生の目標と定める。彼は海浜の干拓事業に乗り出し、広大な土地を開発する〔*そこに住む勤勉な民の有意義で自由な生活を、ファウストは心楽しく思い描き、「その時には『時よ止まれ』と言ってもよいだろう」と言う。その途端ファウストは、メフィストフェレスとの契約にしたがって、倒れ死ぬ〕。
*→〔湖〕1aの『ギュルヴィたぶらかし(ギュルヴィの惑わし)』(スノリ)第1章。
★2.土を得るのは、土地を手に入れることに通ずる。
『史記』「晋世家」第9 晋の献公の息子重耳(ちょうじ)が諸国を流浪していた時代、衛の五鹿(ごろく)の地で農夫に食物を求めた。農夫は土を器に入れて勧めたので、重耳は怒るが、臣下の趙衰は「土を得るのは、封土を領有する前兆です。お受け下さい」と言った〔*『春秋左氏伝』僖公23年では子犯が「天の賜物」と言う〕。重耳は亡命十九年の後、六十二歳で晋に帰還し、即位して文公となった。
『蜀王本紀』 秦王が金(きん)一箱を蜀王に贈り、蜀王も返礼の品を秦王に贈った。ところがその品は土に変わってしまったので、秦王は激怒した。すると臣下たちは、「土は土地を意味します。秦は蜀の土地を得ることになるでしょう」と言って祝福した〔*その言葉どおり、後に秦は蜀を征服した〕。
『日本書紀』巻3神武天皇即位前紀戊午年9月 神武天皇の命令で、椎根津彦と弟猾(オトウカシ)が老父と老嫗に変装し、敵陣を通り抜けて天香山に登り、頂上の土を取って持ち帰る。天皇はその土で八十枚のかわらけなどを作り、天神地祇を祭る。
『日本書紀』巻5崇神天皇10年9月 武埴安彦の妻吾田媛がひそかに倭の香山の土を取り領巾に包んで、「これは倭国の物実」と呪言をして帰る。
『吉野葛』(谷崎潤一郎)その3「初音の鼓」 昔田舎者が京へ上ると、都の土を一と握り紙に包んで土産にした。
★3.生まれた土地に守られる人。
『ギリシア神話』(アポロドロス)第1巻第6章 巨人アルキュオネウスは、生を受けた土地パレーネーで闘っている限り、不死だった。彼はヘラクレスに矢で射られたが、大地に倒れるとそれ以前より元気になった。女神アテナの教えによって、ヘラクレスはアルキュオネウスをパレーネーの外へ引きずり出し、殺した〔*→〔土〕2の『ギリシア神話』第2巻第5章と類想〕。
『荘子』「外物篇」第26 「無用の言を成す」と批判されて、荘子は答えた。「大地は広く大きいが、人間が用いるのは足で踏む面積のみだ。しかし、それ以外は無用だとして、足の寸法の土地だけ残し、周囲をすべて黄泉に届くまで深く掘り下げてしまったらどうなるか。土地として役に立たないだろう。『無用の用』ということがあるのだ」。
【隣の爺】→〔真似〕1
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土地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/07/10 12:10 UTC 版)
土地(とち)とは、一般的には地表が恒常的に水で覆われていない陸地のうち、一定の範囲の地面にその地中、空中を包合させたものをいう。なお、河川や湖沼などの陸地に隣接する水域も含むことがある。地中の土砂、岩石等は土地の構成部分にあたる。
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