輪作とは? わかりやすく解説

りん‐さく【輪作】

読み方:りんさく

[名](スル)同一耕地一定年限をおいて異な種類作物交代繰り返し栽培すること。地力低下病虫害発生を防ぐ効果がある。輪栽。⇔連作


輪作

 一定年の期間、同じほ場において種類の違う作物一定の順序栽培することをいう。労働配分均衡化、土地利用率の向上、危険の分散といった効果があるほか、土壌伝染性病害虫雑草発生抑制肥料利用効率の向上土壌養分バランス維持による地力維持増進等を図る効果とされている。

輪作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/21 00:42 UTC 版)

カンザス州の農地を映した衛星写真。トウキビやコムギといった作物が、区画ごとに入れ替えられて栽培されている

輪作(りんさく、Crop rotation)は、農業の手法の1つで、同じ土地に別の性質のいくつかの種類の農作物を何年かに1回のサイクルで作っていく方法。

これに対し、1種類の作物を育て続けるのは単作(たんさく)、同じ畔で同時に複数の作物を育てる方法を混作(こんさく)、畔ごとに交互に違った作物を同時に育てるのを間作(かんさく)という[1]

特徴

単作栽培では単純な環境のため、それに適した虫の密度が著しく増えるので、大面積の単作栽培ほどその作物に頼って暮らす多量の特定害虫を育て上げることになり、しばしば害虫の大発生を招く[2]。 このため混作・間作・輪作などをすれば空間的・時間的に複雑な環境を作れるので、これらに依存する昆虫も多くはなるが、密度の高い特定の大害虫を作り出すことも少なくなる[1]。 また、栽培する作物を周期的に変えることで土壌の養分や微生物のバランスが取れ、収穫量・品質が向上する。これらにより、連作障害も防げる。1サイクルは通常5年ほどだが、10年近い場合もある。

歴史

輪作については古代ローマ時代の書物に、アフリカアジアの文化として記されている。中世から20世紀までヨーロッパでは、ライ麦、冬の小麦、春のカラスムギ大麦の3年周期の輪作が行われて来た。4種類の輪作はフランドル16世紀初期に生まれ、18世紀イギリス政治家チャールズ・タウンゼンドによって広められた。4周期輪作はイギリス農業革命に大きな意味をなした。  

具体的な作物の例

無意味な輪作

前述のように輪作は作物の種類を変えることで農地の環境を変えて害虫の増加などを抑制するのが目的のため、例えば虫害防止のためなら変える作物が同一種の昆虫にとって価値の異なった異質なものでないと、輪作の意義がない。
悪い例として岩手県北上山地でかつて行われた「ヒエ→コムギ→ダイズ(2年間で1周)」があり、この輪作ではダイズを食料とするヒメコガネ成虫が大豆の葉を食べて栄養を蓄え、畑に多数の卵を産み、次にふ化した幼虫の生育期には格好の餌であるヒエが栽培されるので、大量の幼虫がヒエの根を食害するため、これが原因で北上山地ではヒエが何年かに一度激しい虫害を受け、収穫がほとんどない年もあった[4]

出典

  1. ^ a b 加藤陸奥雄「15-耕作地の動物」『原色現代科学大事典 4-動物1』久米又三 著(代表)、学研、1967年。p.389。
  2. ^ 加藤陸奥雄「15-耕作地の動物」『原色現代科学大事典 4-動物1』久米又三 著(代表)、学研、1967年。p.379。
  3. ^ a b c d e f g h i 木嶋利男著 『伝統農法を活かす家庭菜園の科学』 講談社ブルーバックス 2009年2月20日第1刷発行 ISBN 9784062576307
  4. ^ 加藤陸奥雄「15-耕作地の動物」『原色現代科学大事典 4-動物1』久米又三 著(代表)、学研、1967年、p.389-390。

関連項目


輪作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 18:53 UTC 版)

連作」の記事における「輪作」の解説

いくつかの異な作物同一圃場作り回すこと。ヨーロッパ三圃式農業日本田畑輪換北海道における輪作体系等が相当する連作障害著しい畑で輪作を始めた場合連作障害改善されない場合珍しくない

※この「輪作」の解説は、「連作」の解説の一部です。
「輪作」を含む「連作」の記事については、「連作」の概要を参照ください。

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