たんしよう‐しょくぶつ〔タンシエフ‐〕【単子葉植物】
単子葉植物
単子葉植物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/03 06:47 UTC 版)
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2011年10月) |
単子葉植物 Monocots | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
様々な単子葉植物
| |||||||||
分類(APG) | |||||||||
| |||||||||
タイプ属 | |||||||||
Lilium L. | |||||||||
シノニム | |||||||||
下位分類 | |||||||||
本文参照 |
単子葉植物(たんしようしょくぶつ)とは、被子植物のうち、1枚の子葉を持つことで特徴づけられている植物の一群のことであり、双子葉植物としばしば対比される。
分類
単子葉植物は子葉が1枚の植物をいい、これに対して子葉が2枚ある植物を双子葉植物とよんでいる[1]。世界には約5万種の単子葉植物が知られており、そのほとんどは草本であるが、ヤシ類やタケ・ササ類などの一部の種は木本状になるものがある[1]。これらの単子葉植物の茎や根は木質化するが、形成層を持たないためある程度までしか太くならず、一般的な樹木のように年輪を作ることもない[1]。
名称
- 図鑑等で採用の多い新エングラー体系では、被子植物門に属する単子葉植物綱 Monocotyledoneae である。
- 1980年代以降、学術分野で主流だったクロンキスト体系では、モクレン門(被子植物門)に属する単子葉植物綱 Liliopsida である。このLiliopsidaの直訳名のユリ綱を使う研究者もいる。
- 1990年代以降のゲノム解析の発展をもとに作られたAPG植物分類体系では、分類階級なしの単子葉類、小文字で始める monocots である。
系統
分子系統解析の知見によれば、単系統群である単子葉類に対し、被子植物から単子葉植物を除いた双子葉類は側系統群である。被子植物の進化の初期に、原始的な被子植物のいくつかのグループが分岐し、その後に単子葉植物が分岐した。単子葉類と姉妹群を作るのが、真正双子葉植物 (eudicots) である。
形態
双子葉植物に比べ、単子葉植物は、形態に共通点が多い。
単子葉植物は、その大部分が草本であり、木本になるものが少ない。茎の断面を見ると、維管束が点在し、維管束が環状に並ぶ双子葉植物とは異にする[1]。ヤシ、センネンボク(ドラセナ)などの樹木では、材の構造が双子葉植物などのそれと、かなり異なっており、維管束が散在する「不斉中心柱」をつくる。また、根についても主根がはっきりしない、ひげ根ばかりのものが多い[1]。
葉の形は基本的に細長く、葉脈が平行脈であることも共通する特徴の一つである[1]。ただし、サトイモ科やオモダカ科などの例外はある。細く立った葉は、周囲の様々な方向からの輻射光を受けるのに有利と考えられ、双子葉植物の葉が水平に広がって直射光を受けるのに特化しているのと対照的である。このような構造は草原において有利なようで、単子葉類が優占する草原は数多い。
花は、外花被3、内花被3が基本で、花弁が6枚に見えるもの、あるいは萼3枚花弁3枚に見えるものが多い。あるいは、それらの倍数のものも多い。
植物の科の中で最も多くの種が知られているラン科は、花や種子の構造が特殊化しており、虫媒花、風散布種子として特に進化したものと考えられている。
一方、イネ科は単子葉植物の中で2番目に多くの種が記載されている科であり、多くの有用植物を含む、重要な科である。カヤツリグサ科と共に、風媒による受粉を行う方向へ二次的に進化したもので、花弁は退化し、いくつもの花が包につつまれて1つの花のような形に進化したもの(小穂)を付ける。
また、海水中に進出した種子植物(海草)はすべてこれに含まれる。
下位分類
APG植物分類体系
単子葉類は11目からなる。キジカクシ目の姉妹群として4つの目を含むツユクサ類を設定している。過去のAPGではサクライソウ科およびダシポゴン科は系統の詳細が不明であり、特定の目に属していなかったが、2009年に公開されたAPG IIIにおいて、サクライソウ科のみが属するサクライソウ目が設置され[2]、2016年のAPG IVにおいてダシポゴン科はヤシ科の姉妹群としてヤシ目に置かれた[3]。
- 単子葉類 Monocots
(並びはアルファベット順)
単子葉類 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クロンキスト体系
5つの亜綱を立てている。
- 単子葉植物綱(ユリ綱)Liliopsida
新エングラー体系
亜綱を立てていない。ラン目が最も進化の進んだものであるとして、単子葉植物の末尾に位置させている。
- 単子葉植物綱 Monocotyledoneae
脚注
- ^ a b c d e f 宮内泰之 監修、成美堂出版 編『見わけがすぐつく樹木図鑑』成美堂出版、2023年5月20日、37頁。ISBN 978-4-415-33237-6。
- ^ Angiosperm Phylogeny Group (2009), “An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG III”, Botanical Journal of the Linnean Society 161 (2): 105–121, doi:10.1111/j.1095-8339.2009.00996.x
- ^ Angiosperm Phylogeny Group (2016). “An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV” (PDF). Botanical Journal of the Linnean Society 181 (1): 1–20. doi:10.1111/boj.12385 .
関連項目
単子葉植物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/02 09:09 UTC 版)
穀物やその他のイネ科植物のような単子葉植物の初期成長は、幾分異なる。子葉鞘と呼ばれる構造(本質的に子葉の一部)が成長して土壌から外に出る際の幼茎および幼芽を保護している。地中の種子と幼芽との間の部分である中胚軸 (mesocotyl) が伸長し土壌に到達すると、幼芽のすぐ真下から二次根が発生する。幼根から発達した一次根はその後それ以上は発達しない。中胚軸は胚軸の一部分であり、子葉の一部分でもあると考えられている。 全ての単子葉植物がイネ科植物のように発達する訳ではない。タマネギは最初は上記と同様に発達し、種子および内胚乳が持ち上げられる。次に、第一本葉が幼根と鞘状の子葉の間に位置する節から発達し、子葉を越えて成長する。
※この「単子葉植物」の解説は、「胚軸」の解説の一部です。
「単子葉植物」を含む「胚軸」の記事については、「胚軸」の概要を参照ください。
単子葉植物
「単子葉植物」の例文・使い方・用例・文例
- ユリ亜綱の単子葉植物の科
- 通常花弁状のがく片、花弁、および複合雌しべを持ち、大部分が草本から成る単子葉植物の属
- 単子葉植物の顕花植物
- 単子葉植物の4つの亜綱あるいは上目の1つ
- 4つの亜綱の1つか、単子葉植物の上目
- 単子葉植物の4つの亜目または上目の1つ
- ラン科の単子葉植物の属
- イネ科の単子葉植物の属
- 剣の形をした葉が扇状に広がり、その上の頑丈な茎に綿毛で覆われた珍しい花をつける、単子葉植物の属
- サトイモ目の熱帯の単子葉植物の科
- 4つの下位分類または単子葉植物綱の上目のうちの1つ
- ヒガンバナ科とユリ科とアヤメ科を含む単子葉植物植物の目
- アヤメ科の単子葉植物の属
- アマリリス科の単子葉植物の属
- ヤシ高木の単子葉植物属
- 熱帯アメリカに生育するヤシの高木の単子葉植物の属
- 熱帯アメリカの優雅なヤシ高木の単子葉植物の属
- アジアとアフリカに生育する、羽状葉ヤシの大きな単子葉植物の属
- 西インド諸島の羽状葉ヤシの単子葉植物の属
- 単子葉植物草本の目
単子葉植物と同じ種類の言葉
植物に関連する言葉 | 先駆植物(せんくしょくぶつ) 亜熱帯植物(あねったいしょくぶつ) 単子葉植物(たんしようしょくぶつ) 陸上植物 浮遊植物(ふゆうしょくぶつ) |
綱に関連する言葉 | 六放海綿(ろっぽうかいめん) 力綱 単子葉植物(たんしようしょくぶつ) 双子葉植物(そうしようしょくぶつ) 命綱 |
固有名詞の分類
- 単子葉植物のページへのリンク