物とは?

もの【物】

【一】[名]

空間のある部分占め人間感覚でとらえることのできる形をもつ対象

物体物品。「ごつごつした物に手が触れる」「山の上に光る物がある

商品また、その質。品質。「同じような物が大量出回る」「高いが物はよい」

着物衣服。「白っぽい物を着る」

食物。「歩きながら物を食う」「物がのどを通らない」

民法で、有体物権利客体となりうるもの。

人間考えることのできる形のない対象

㋐何かの事柄物事。「物の役に立つ」「物を思う」「恋という物」

㋑ことば。「あきれて物も言えない」

文章また、作品。「物を書くのを商売にする」「この作品十年前に描かれた物だ」

学問

「己れは此様(こん)な無学漢(わからずや)だのにお前は—が出来るからね」〈一葉たけくらべ

物事筋道道理理屈。「物の順序わきまえる

妖怪怨霊など、不可思議霊力をもつ存在。「物に憑(つ)かれる」「物の怪

(「…のもの」の形で)所有している物品事物所有物。「会社の物を私する」「その企画彼の物だ」

他の語句を受けて、その語句内容体言化する形式名詞

判断などを強調して示す。「負けたのがよほどくやしかった物と見える」「何をされるかわかったじゃない

感動する気持ち強調して示す。「二人とも大きくなった物だ」「悪いことできない物だ」

㋒(「…するものだ」の形で)それが当然であるという気持ちを示す。「先輩忠告聞く物だ」「困ったときは助け合う物だ」

㋓(「…したものだ」の形で)過去思い出してなつかしむ気持ちを示す。「あの店にはよく二人で行った物だ」

名詞の下に付いて複合語をつくる。

㋐その種類にはいる品物作品の意を表す。「SF物」「現代物」

㋑それに相当するもの、それだけ価値のあるもの、などの意を表す。「冷や汗物」「表彰状物」→もの助詞 →ものか連語ものかな連語ものかは連語 →ものから[接助] →ものぞ連語 →もので[接助]ものなら[接助] →ものの[接助]ものゆえ[接助] →ものを助詞

【二】[接頭]形容詞形容動詞語幹に付く。

なんとなくそのような状態であるという意を表す。「物悲しい」「物寂しい」「物静か

いかにもそうであるという意を表す。「物めずらしい」「物すさまじい

[下接句] 縁は異なもの味なもの自家薬籠中(やくろうちゅう)の物・人は見かけによらぬもの故郷(ふるさと)は遠きにありて思うもの・銘の物薬籠中の物


もつ【物】

⇒ぶつ


もん【物】

「もの(物)【一】」の音変化近世後期頃から関東言葉によく見られる。「うまい物が食いたい」「何か書く物はないか」「ばかなことをした物だ」


ぶつ【物】

現物物件のこと。もの。「物を見せる


ぶつ【物】

[音]ブツ(漢) モツ(呉) [訓]もの ものする

学習漢字3年

[一]ブツ

もの。ものごと。「物資物質物体物欲遺物汚物怪物見物現物好物鉱物財物産物事物植物人物生物俗物動物毒物万物風物文物名物

一般人々世間。「物議物情物論

適当なものを探す。「物色

姿が見えなくなる。死ぬ。「物故

[二]モツ〉もの。ものごと。「貨物禁物供物(くもつ)・穀物作物書物食物進物臓物荷物

[三]〈もの〉「物置物音物語物事獲物大物着物品物建物本物安物

名のり]たね

難読物怪(もっけ)


ぶつ【物】

〔名〕 現物物件などの意で、現金品物をさしていう俗語

瀕死青春(1957)〈井上友一郎〉一「どうした甲州では、ブツは有ったかい」


もつ【物】

〔名〕

仏語

(イ) 生命生きものまた、衆生のこと。

法華義疏7C前)一「故称常、為物軌側、故云法」〔大智度論‐四〕

(ロ) 品物事物また、物体。〔法華経信解品〕

② (「ぞうもつ臓物)」の略) 料理材料としての鳥獣内臓。〔訂正増補新らしい言葉の字引(1919)〕

*夢声戦争日記徳川夢声昭和一八年(1943三月一一日「夜店の焼とりのモツの味であった」


もの【物】

1⃣

[一] なんらかの形をそなえた物体一般をいう。

① 形のある物体物品をさしていう。

(イ) 修飾語によってその物体の種類所属などを限定する場合

万葉(8C後)一五・三七六五「まそ鏡かけて偲(しぬ)へとまつりだす形見の母能(モノ)を人に示すな」

(ロ) 直前または直後の語によってその物体が示されている場合

*竹取(9C末‐10C初)「火ねずみのかは衣此国になき物也」

(ハ) 特に限定せず物品一般をいう場合

万葉(8C後)二・二一〇「吾妹子(わぎもこ)が形見に置けるみどり児乞泣(こひなく)ごとに取り与ふ物し無ければ」

特定の物体物品一般化していう。文脈場面から具体物が自明であるとして用いる。

(イ) 財物器物金銭

土左(935頃)承平五年二月一六日「さるは便りごとにものも絶えず得(え)させたり」

(10C終)八七「くだ物、ひろき餠などを、物に入れてとらせたるに」

(ロ) 衣類織布

大和(947‐957頃)一四六「これに物ぬぎて取らせざらむ者は座より立ちね」

(ハ) 飲食物

*竹取(9C末‐10C初)「きたなき所の物きこしめしたれば御心地あしからんものぞ」

(ニ) 楽器

源氏100114頃)乙女姫君渡し聞こえ給ひて、御琴など弾かせ奉り給、宮はよろづのものの上手におはすれば

対象あからさまにいうことをはばかって抽象化していう。

(イ) 神仏妖怪怨霊など、恐怖畏怖対象

仏足石歌753頃)「四つの蛇(へみ)五つの毛乃(モノ)の集まれる穢き身をば厭ひ捨つべし離れ捨つべし」

(ロ) 物の怪(け)による病。また、一般に病傷、はれものなど。

伊勢物語(10C前)五九「物いたく病み死に入りたりければ」

(ハ) 男女陰部

仮名草子仁勢物語(1639‐40頃)上「水底にものや見ゆらん馬さへも豆盥(まめだらひ)をばのぞきてぞ鳴く

民法上の有体物で、動産及び不動産をいう。

民法明治二九年)(1896)八五条本法に於て物とは有体物を謂ふ」

[二] 個々具体物から離れ抽象化された事柄概念をいう。

事物事柄総括していう。

万葉(8C後)二〇・四三六〇「山見れば 見の羨(とも)しく 川見れば 見のさやけく 母能(モノ)ごとに 栄ゆる時と 見(め)し給ひ 明らめ給ひ」

徒然草1331頃)一三〇「物に争はず、己を枉(ま)げて人に従ひ」

② 「ものの…」の形で抽象的語句伴って漠然と限定した事柄をいう。

(イ) 事態状況についていう場合

平中(965頃)二七さすがにいとよくものの気色を見て〈略〉かく文通はすと見て、文も通はさず、責め守りければ」

(ロ) 心情についていう場合

土左(935頃)承平四年一二二七日「都へと思ふをもののかなしき帰らぬ人のあればなりけり

概念化された場所を表わす中古から中世にかけて、特に神社仏閣をさすことが多い。

古今(905‐914)冬・三三八・詞書「ものへまかりける人を待ち師走つごもりによめる」

④ ことばや文字また、文章書物その内容もいう。→物を言う

土左(935頃)承平四年一二二一日「それの年の師走二十一日の日の戌(いぬ)の時に門出す、その由、いささかにものに書付く

(5) 感じたり考えたりする事柄悩み事考え事頼み事尋ね事など。→物を見る物覚ゆ物を思う

万葉(8C後)一・七七吾が大君物(もの)な思ほし皇神の嗣(つぎ)てたまへる吾が無けなくに

徒然草1331頃)四一「人木石にあらねば時にとりて、物に感ず事なきにあらず」

(6) 道理事の筋道。

*竹取(9C末‐10C初)「物知らぬことなの給ひそ」

(7) 特定の事柄思い出せなかったり、わざとはっきりと言わないようにしたりするとき、また、具体的な事柄指示できないとき、問われて返答窮したときなどに仮にいう語。

*虎明本狂言茫々頭室町末‐近世初)「『なんじゃなんじゃと申ほどに、物じゃと申た』」

(8) 言いよどんだとき、あるいは、間(ま)をとったりするために、話の間にはさんで用いる語。

浄瑠璃天鼓(1701頃)歳「今のは頭から一口にとは〈イヤナニ、モノ〉、只一口に弔らふてやらふものをと云こと」

(9)格助詞「が」を伴った「がもの」の形で) 「…に相当するもの」「…に値するもの」などの意を表わす。→がもの。

[三] 抽象化した漠然とした事柄を、ある価値観伴ってさし示す。

一般的平均的なもの、また、一人前の、れっきとしたもの。物についても人についてもいう。

蜻蛉(974頃)上「かうものの要にもあらであるもことはりと思ひつつ」

② 大事、大変なこと。重要なこと、問題

*金刀比羅本保元(1220頃か)下「一働きだに働かば、これ程の輿、物(モノ)にてや有るべき

草枕(1906)〈夏目漱石一二物質上の不便を物とも思はず」

[四] 他の語句を受けて、それを一つ概念として体言化する形式名詞直接には用言連体形を受けて用いる。

そのような事態事情意図などの意を表わす

万葉(8C後)一五・三六〇一「しましく独りありうる毛能(モノ)にあれや島のむろの木離れてあるらむ」

吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「望のない事を悟ったものと見えて」

文末にあって断定の語を伴い話し手断定気持強め表現となる。→ものか・もかな・ものぞ・ものだ・もん。

万葉(8C後)一七・三九〇四「梅の花いつは折らじといとはねど咲き盛りは懐しき物(もの)なり」

活用語連体形を受けて文を終止し、感動気持表わす。さらに終助詞付けて、逆接的な余情こめたり疑問反語表現になったりすることが多い。

古事記(712)下・歌謡「たぢひ野に 寝むと知りせば 立薦(たつごも)も 持ちて来(こ)まし母能(モノ) 寝むと知りせば」

2⃣ 〔終助〕 ((一)(四)のような形式名詞用法、特に③の用法などからさらに進んだもの) 終止した文に付加して、不満の意をこめて反論したり、甘え気持をもって自分意思主張したりする。主として女性・子どもの表現。→もん(二)

*虎明本狂言富士松室町末‐近世初)「『いやまいらふ』『おりゃるまひもの』」

童謡胡桃(1926)〈サトウ・ハチロー〉「わたしはなきむしなんですもの」

3⃣ 〔接頭〕 主として形容詞形容動詞、または状態を示す動詞の上に付いて、なんとなく、そこはかとなくそのような状態である意を表わす。「ものうい」「ものさびしい」「ものぐるおしい」「ものけざやか」「ものしずか」「ものふる」など。

4⃣ 〔語素

名詞形容詞語幹に付いて、その範疇(はんちゅう)に属す物品であることを表わす。「春もの」「先もの」「大もの」「薄もの」など。

土地などを表わす名詞に付いて、その土地生産物であることを表わす

暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉三「『真夏の夜の夢』を現代化した独逸物(モノ)の映画二人面白思ひ

③ (「武」と書くこともある) 他の語の上に付いて、戦(いくさ)や戦陣に関する事物である意を表わす。「もののぐ」「ものいろ」「ものがしら」「ものぬし」など。

動詞連用形に付いて、(イ) そのような動作結果できた物品であることを表わす。「塗りもの」「干もの」「焼きもの」など。

(ロ) そのような動作対象となる物品表わす。「食べもの」「読みもの」「たきもの」など。

[補注]人についていう場合、特に「者」と書く。→者(もの)


もの‐・す【物】

1⃣ 〔自他サ変〕 ⇒ものする(物)

2⃣ 〔他サ五(四)〕 ((一)四段活用したもの) =ものする(物)(二)


もん【物】

1⃣ 「もの(物)(一)」の変化した語。

① 形をそなえた物体また、事柄

(イ) 形のある物品物体また、抽象的事柄概念

浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「お辨当お菜(かず)も毎日おんなじ物(モン)ばっかりでもお倦きだらう」

(ロ) 直前用いられた名詞繰り返代わりに用いる。

滑稽本浮世床(1813‐23)初「儒者といふ奴は余程博識(ものしり)な者(モン)だと思ったら」

② 他の語句を受けて、それを一つ概念として体言化する形式名詞そのような事態事情意図などの意を表わす。→もんか・もんだ・もんだから・もんで・もんなら。「世の中そういうもんと思ってあきらめろ」

2⃣ 〔終助〕 「もの(物)(二)」の変化した語。

にんげん動物園(1981)〈中島梓〉七「私タレ目じゃないもん」


もの‐し【物】

〔形シク

物事様子いとわしいどことなく気にさわる不快である。

大和(947‐957頃)一七三「人もなしと思ひつるに、物しきさまをみえぬることとおもひて」

無気味怪しい。不吉である。

蜻蛉(974頃)上「夢にもしくみえしなどいひて」

形動


もの‐・する【物】

名詞「もの(物)」にサ変動詞「する」の付いてできたもの。種々の動詞代わりとして、ある動作をそれと明示しないで婉曲(えんきょく)に表現するのに用いる。人間肉体による基本的動作をさす場合多く中古仮名文学に多く用いられた)

1⃣ 〔自サ変〕 [文]もの・す 〔自サ変

[一]

① ある、居る、生まれる、また、行く、来るなどの意を表わす

*竹取(9C末‐10C初)「忝けなく、汚なげなる所に年月をへて物し給ふ事、極まりたるかしこまりと申す」

近世情交するの意をぼかして隠語的にいうのに用いる。

浮世草子好色一代男(1682)一「気遣なしに帯とけ、とひとつも口をあかせずわるごう有程つくして物しける」

[二] 補助動詞として用いる。そういう状態、そういうのであることを表わす名詞に「に」を添えた形に付くが、間に係助詞のはいる場合が多い。

源氏100114頃)東屋なみなみの人にもものし給はねば」

2⃣ 〔他サ変〕 [文]もの・す 〔他サ変

① 言う、書く、食う、与える、その他種々の物事行なう意を表わす

土左(935頃)承平五年一月九日翁人ひとり老女(たうめ)ひとり、〈略〉ものもものしたばでひそまりぬ」

蜻蛉(974頃)中「そのことかのこと、物すべかりければと」

近世横領する、盗むの意をぼかして隠語的にいうのに用いる。

歌舞伎傾城壬生大念仏(1702)中「俺が物せふとしたを、ついおのれに物せられた」

作る完成する。主として、詩や文章などを作り上げるのをいう。

滑稽本七偏人(1857‐63)二「爰に著述(モノ)せし金鵞子の、滑稽笑話一回開けば」


もの 【物】

日本で物は種々な意味でつかわれるが、仏・神・鬼・魂などの霊妙な作用もたらす存在をもいう。邪神妖怪物の怪などにもいう。

作者シルビーナ・オカンポ

収載図書アルゼンチン短篇集
出版社国書刊行会
刊行年月1990.2
シリーズ名バベルの図書館


作者D.H.ロレンス

収載図書D・H・ロレンス名作
出版社文化書房博文社
刊行年月1997.7

収載図書D・H・ロレンス短篇全集 第5巻
出版社大阪教育図書
刊行年月2006.1


読み方:ぶつ

  1. 一般贓物。〔第七類 雑纂
  2. 贓物同語省略
  3. 贓品のこと。可部岡山 窃盗犯仲間
  4. 賍品目的物物の音読。〔盗〕
  5. 贓物のこと。同語を略したものである。「なし」(※「なし」)参照

分類 盗/犯罪窃盗犯仲間

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/26 00:05 UTC 版)

ものぶつ)とは、広義には対象を特定化せず一般的・包括的にいうであり、人間が知覚し思考し得る対象の一切である[1]


  1. ^ 『大辞林-第二版』、三省堂 「もの」。
  2. ^ 小南一郎「第2章 2 精霊としての"物"」『古代中国 天命と青銅器』京都大学学術出版会、2006年。ISBN 978-4876988143


「物」の続きの解説一覧

出典:『Wiktionary』 (2020/05/04 02:09 UTC 版)

発音

名詞

  1. もの)人の認識対象となる存在又はそれに順ずる概念cf.こと
  2. もの、「」と読み分ける場合ブツ)(法律権利等の主体である対立する概念で、権利等の客体をいう。
  3. ブツ)(隠語違法取引されるもの。

熟語


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