期限とは? わかりやすく解説

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き‐げん【期限】

読み方:きげん

前もって決められ一定の時期・期間。「定期券の—が切れる」「提出—」

法律行為効力の発生消滅または債務履行を、将来到達することの確実な事実発生かかわらせる付款(ふかん)。確定期限と不確定期限とがある。→付款


期限

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/17 14:40 UTC 版)

期限(きげん)とは期間の限界すなわち期間の最終日時[1]。法律上は法律行為の効力を何らかの形で将来発生することの確実な事実にかからせるための付款をいい、同じく付款の一種である条件とは発生することが確実である点で異なる。

民法上の期限

  • 民法は、以下で条数のみ記載する。

期限の種類

始期と終期

期限は到来時の効力の発生あるいは消滅の観点から始期と終期とに分けられる(135条)。

  • 始期
    法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない(135条第1項)。
  • 終期
    法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する(135条第2項)。

確定期限と不確定期限

期限は到来の時期が確定しているか否かによって確定期限と不確定期限とに分けられる。

  • 確定期限
    将来来ることが確実であり、いつ来るかが確定している期限。
  • 不確定期限
    将来来ることが確実であるが、いつ来るか不明な期限。
    出世払いにつき判例では停止条件ではなく不確定期限であると判断される傾向にある(大判明治43年10月31日民録16輯739頁など)。

履行期限と停止期限

  • 履行期限
    法律行為の履行時期について定められた期限[2][3]
  • 停止期限
    法律行為の効力発生について定められた期限[2][3]

期限の有効性

期限を付すことができない法律行為を「期限に親しまない行為」という(条件における「条件に親しまない行為」に相当する)。

婚姻養子縁組など効果が直ちに発生することが必要とされる法律行為には期限を付すことができない[4]。また、相続など遡及効のある行為(効力が時間を遡って生じる場合)に期限を付すことは無意味である[4]

なお、条件の場合とは異なり、手形行為には期限を付すことができる(例として先日付手形がある)[4][5]

期限の利益

期限の利益の意義

期限の到来するまで間があることで当事者が受ける利益のことを期限の利益という。例えば返還時期の定めのある利息付消費貸借(借金等)の場合、債務者(借主)には期限が到来するまでの間、金銭を自由に使用することができ貸主からの返還請求を拒むことができるという期限の利益があることになる[6][7]

期限の利益がいずれの当事者に存するかは契約内容によって異なる。例えば無償寄託のようにもっぱら債権者側に期限の利益がある場合、定期預金金銭信託のように当事者双方に期限の利益がある場合もあるが、通常、期限について定めが置かれる場合には債務者のためである場合が多い[8]。そこで、民法は期限の利益は債務者のために定められているものと推定する規定を置いている(136条1項)。

期限の利益を持つ当事者は、自由にこれを放棄しうる(136条2項本文)。ただし、相手方の利益を害することはできない(136条2項但書)。例えば返還時期の定めのある利息付消費貸借(借金等)の場合、借主側からは136条2項本文の規定により期限の利益を放棄することでいつでも返還しうるが、そのときは136条2項但書により期限までの利息を支払う必要があることになる[9][10]591条2項は無利息消費貸借に適用され、消費貸借が利息付の場合には一般原則によるとされる[11])。

期限の利益の喪失

次の場合には、債務者は期限の利益を主張することができない(137条)。

  • 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき(1号)
    ただし、破産法103条3項により債務者が破産手続開始の決定を受けたときは弁済期が到来したものとみなすとの特則があるため、この規定については適用の余地はない[12]。民法では「債務者は期限の利益を主張することができない」と当事者間での抗弁の問題としているが、破産法では当事者間での主張とは関係なく債務者に破産手続開始の決定があれば当然に弁済期が到来するものとしている。
  • 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき
    債務者の故意・過失を問わない[12]
  • 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき
    以上は債権者による権利の実現が困難となることから民法上において特に定められた期限の利益の喪失事由である[12]。これら以外にも債務者が他債権者から差押えを受けた場合や割賦払債務の弁済を一回でも怠った場合など、一定の事由が生じた場合につき期限の利益を喪失することを内容とする期限利益喪失約款が当事者間で特約で結ばれることも多い[9][13]

行政法上の期限

行政法上の期限は、行政法上の条件などとともに行政行為の附款とされている。

期限付の使用許可などがこれにあたる。

脚注

  1. ^ 「期間」と「期限」を混同している人は多いが「期間の限界(期間の最終日時)=期限」である
  2. ^ a b 内田貴著 『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』 東京大学出版会、2008年4月、301頁
  3. ^ a b 山本敬三著 『民法講義Ⅰ 総則』 有斐閣、2001年4月、285頁
  4. ^ a b c 遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、237頁
  5. ^ 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、304頁
  6. ^ 内田貴著 『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』 東京大学出版会、2008年4月、305頁
  7. ^ 山本敬三著 『民法講義Ⅰ 総則』 有斐閣、2001年4月、290頁
  8. ^ 我妻栄・清水誠・有泉亨・田山輝明著 『我妻・有泉コンメンタール民法-総則・物権・債権 第2版』 日本評論社、2008年、279頁
  9. ^ a b 内田貴著 『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』 東京大学出版会、2008年4月、306頁
  10. ^ 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、305頁
  11. ^ 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、202-203頁
  12. ^ a b c 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、307頁
  13. ^ 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、308頁

期限

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 21:17 UTC 版)

附款」の記事における「期限」の解説

法律行為行政行為効果発生若しくは成立または消滅を、特定日の到来など将来生起することの確実な事実(期限事実)の到来にかからしめる附款を、期限という。 期限を法律行為行政行為効果への影響着目して分類すると、法律行為行政行為効果発生させる期限を始期といい、法律行為行政行為効果消滅させる期限を終期という。始期到来によって初め法律行為行政行為効果発生する考えられるものを停止期限といい、始期到来しなくても法律行為行政行為効果発生しているが、その効果当事者強制できるのは始期到来した後と考えられるものを履行期限という。 期限をその到来する時期具体的に特定されているか否かによって分類すると、期限の到来する時期法律行為行政行為時点具体的に特定可能なものを確定期限といい、期限の到来する時期法律行為行政行為時点では具体的に特定できないものを不確定期限という。 高齢者年金受給は、受給権者一定の年齢達したときに発生するから、確定期限である停止期限付き権利ということができる。また、高齢者年金受給は、受給権者死亡したときに消滅するのが通常であるが、年金受給発生時点では受給権者がいつ死亡するかを具体的に特定できないから、不確定期限である終期付き権利ということができる。

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期限

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/17 08:45 UTC 版)

親日反民族行為者財産調査委員会」の記事における「期限」の解説

活動期限は委員会設置されてから4年定められ1回限り2年延長認められていた(以上、特別法第9条)が、結局は延長されることなく発足から4年後の2010年7月12日調査活動終了した事務処活動期間委員会活動終了後3ヶ月までである。

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期限

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 06:02 UTC 版)

日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」の記事における「期限」の解説

最初真相糾明開始決定の日から4年以内調査完了しなければならない。但し1回につき6か月以内、2回の期間延長認められている。事務局委員会活動終了後3か月までである。

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期限

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/29 04:45 UTC 版)

親日反民族行為真相糾明委員会」の記事における「期限」の解説

活動期限は委員会設置されてから4年定められ1回限り6か月延長認められていた(以上、特別法第8条)。結局は発足から4年半後の2009年11月30日調査活動終了した事務処活動期間委員会活動終了後3か月までである。

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期限

出典:『Wiktionary』 (2021/11/06 23:36 UTC 版)

この単語漢字

第三学年
げん
第五学年
音読み 音読み

発音

名詞

(きげん)

  1. (法律) 前もって決められた期間

「期限」の例文・使い方・用例・文例

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