主演俳優にとは? わかりやすく解説

主演俳優に

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:53 UTC 版)

仲代達矢」の記事における「主演俳優に」の解説

映画会社大手5社全てからさまざまな好条件提示され専属俳優にと望まれたが、舞台へこだわり等から、結局どの会社とも専属契約締結せずフリーランスの道を歩み続けた。この背景もあって、原則として1年半分演劇」と定めることができ、五社協定縛られることなく映画出演機会恵まれた1959年昭和34年)から1961年まで六部で総上映時間が約10時間の『人間の條件』主人公起用される。撮影1年半及んだこの作品で、仲代監督小林正樹感服する演技見せた同年には犯罪者扮し『野獣死すべし』公開東宝では三船敏郎対抗できる敵役俳優として、『用心棒』(1961年)の監督黒澤明から出演依頼を受ける。『七人の侍出演時に黒澤から散々NG出され記憶もあって「立派な役者になって、二度と黒澤組には出ない」と心に決めていた仲代当初出演きっぱりと固辞したが(「いやあ、気持ちよかったな」とは本人の弁)、黒澤本人呼び出され説得されたため出演することにし、洒落者だが残忍なヤクザ演じる。翌年の『椿三十郎』でも続けて起用され今度は再び悪役ながらも剛直な武士演じ仲代風格演技力買った黒澤期待応えた1963年昭和38年)には『天国と地獄』で誘拐事件捜査指揮する警部役を演じ犯人との相似すら感じさせる異常な執念個性発揮した他映画では『鍵』(1959年)、『娘・妻・母』(1960年)、『女が階段を上る時』(1960年)、『切腹』(1962年)、『怪談』1964年)、『上意討ち 拝領妻始末』(1967年)、『憂愁平野』(1963年)、『四谷怪談』(1965年)、『大菩薩峠』(1966年)、『殺人狂時代』1967年)などに出演した1968年昭和43年)にはイタリア映画野獣暁に死す』に出演アジア系ではなくメキシコ・インディアンの血を引くという設定アメリカ人悪役であった1960年代には斜陽期となった映画界支え新進代表格みなされるようになり、先述通り舞台俳優として引き続き活躍俳優座看板俳優として演劇界にも地位確立する1970年代には山崎豊子原作山本薩夫監督政財界もの映画華麗なる一族』(1974年)で準主役一人二役で、同じ原作監督による『不毛地帯』1976年)では主役務める。特に『不毛地帯』での壱岐正 役での演技適役として高く評価された。その2作の間の同じ山本監督作品(こちらの原作石川達三)『金環蝕』(1975年)にも主演起用され冷酷な官房長官演じている。映画俳優としてフリー通しながらも東宝へ出演多く会社別を基本として編纂されたグラビア叢書セット戦後日本映画黄金時代」(日本ブックライブラリー1978)では「東宝主役」の巻に収録されている。一方テレビドラマにおいては1972年NHK大河ドラマ新・平家物語』で平清盛演じ清盛出家する後半では実際に剃髪している。その後大河ドラマ出演は、1996年の『秀吉』で主人公秀吉(演・竹中直人)を支えながらもささいなすれ違いからやがて死に追いやられる千利休を、2007年の『風林火山』で主人公山本勘助(演・内野聖陽)の仇となり勘助武田家仕官原因作った武田信虎演じた舞台で鍛え抜いた明瞭強靭な発声生かした正統派主役ヒーローだけでなく、気弱な役、コミカルな役など役柄守備範囲は非常に広い。特に、『雲霧仁左衛門のようなダークヒーローはともかく、一切内面描かれヒーローと心を通わせるともない純粋な悪役は、本来は時代劇悪代官のように定型化した脇役になりがちだが、仲代はこうした役も『用心棒』『金環触』などで挑んで個性吹き込み、準主役主役押し上げている。武将役での異色配役『火の鳥』1978)のジンギ役で、これは神武天皇モデル騎馬民族征服説重ねて創作され役柄だが、英雄であり悪役であり喜劇的でもあるという仲代ならではの役どころで、衣装日本映画でも珍しい神代ルックを纏った。 映画会社専属でなかったにかかわらず同一監督作品出演するケース非常に多いなおかつ長期間にわたる協業が多いのも特徴である。小林正樹13本(28年間)、岡本喜八12本(44年間)、五社英雄8本(25年間)、市川崑6本(48年間)、黒澤明5本(24年間)、成瀬巳喜男5本(6年間)などが主なところである。

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