三省堂 大辞林 |
じかん 0 【時間】
「復旧までには、まだかなりの―を要する」「食事をとる―もない」「勝敗が決するのは―の問題だ」
(2)時の流れのある一点。時刻。
「集合―」「もう終わる―だ」
(3)時間の単位。三六〇〇秒。助数詞的にも用いる。
「飛行機だと二―で行ける」
(4)学校などで、授業の単位として設けた、一定の長さの時。時限。助数詞的にも用いる。
「国語の―」「三―目」
(5)〔哲〕 空間とともに世界を成立させる基本形式。普通、出来事や意識の継起する流れとして認識され、過去・現在・未来の不可逆な方向をもつ。理念・精神・神など超時間的な永遠の存在を認める立場では、生成変化する現象界(事物)の性質とみなされる。また、先天的な直観形式だとする考え(カント)、物質の根本的な存在形式としての客観的実在だとする考え(唯物論)などがある。
(6)〔物〕 自然現象の経過を記述するための変数。古典力学で用いられる時間(絶対時間)は、二つの事象の間の時間経過の長さが、座標系(観測者)に依らず一定である。相対性理論では、時間は空間とともに四次元時空を形成し、観測者に対して運動する座標系での時間は、ゆっくり経過すると観測される。また一般相対性理論によれば、時間経過の長さは、重力の大きさによっても影響される。
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物語要素事典 |
時間
★1a.異郷で短期間を過ごしてから帰ると、現世では、異郷での十倍・百倍あるいはそれ以上の年月が経過していた。
『異苑』 ある人が馬で山道を行き、洞窟中で二老人が双六をするのを見る。下馬して鞭を杖がわりに観戦するうち、気づくと鞭が腐朽してばらばらになっていた。馬も骸骨と化し、帰宅しても見知った人はいなかった。
『国性爺合戦』4段目 呉三桂が二歳の太子を連れて九仙山に登り、碁を打つ老翁二人と出会う。老翁らは仙術をもって、国性爺の春夏秋冬の戦いぶりを碁盤上に現し出す。見ているうちにいつしか五年が過ぎ、呉三桂は、七歳に成長した太子を見る。
『西遊記』百回本第4回 孫悟空は天上に昇り弼馬温に任命されるが、それが位の低いただの馬番だと聞かされ、怒って花果山水簾洞に帰る。天上の一日は下界の一年なので、悟空が天上に半月余りいた間に、地上では十数年が過ぎていた。
『捜神記』巻15-14(通巻372話) 女中が誤って墓の中に閉じこめられ、十余年を経て救い出された。女中は、掘り出されるまでの年月を、一晩か二晩くらいの時間だと思っていた。閉じこめられた時十五~六歳だったが、掘り出された時も姿形は以前のままだった。女中はその後嫁に行き、子供も生んだ。
『丹後国風土記』逸文 水の江の浦の嶼子(=浦島)は神女に誘われ、仙界で三年暮らした後に、郷里の筒川に帰った。村里を見回すとすっかり様子が変わっており、誰も知る人がいないので嶼子は驚いた。仙界で三年を過ごす間に、郷里筒川では三百余年が経過していた〔*『浦島太郎』(御伽草子)では、浦島太郎が龍宮城で三年暮らす間に、故郷では七百年が過ぎていた、と記す〕。
『南総里見八犬伝』第9輯巻之7第104回 犬江親兵衛は、伏姫神霊に育てられて異郷にいたため、九歳ほどなのに十六~七歳に見える→〔成長〕1a。
『魔法を使う一寸法師』(グリム)KHM39「2番目の話」 ある家の女中が、一寸法師たちの赤ん坊の名づけ親になってほしいと頼まれ、彼らの住処の山の穴へ行って三日滞在する。帰宅すると見知らぬ人がいるので女中は驚くが、現世では七年が過ぎており、その間にもとの主人は死んでいたのだった。
『酉陽雑俎』巻2-67 李班という男が、異郷の宮殿に迷いこむ。白髪の男から「長くとどまるのはよくない」と言われ、李班はもと来た道をたどる。家へ帰ると四十年が過ぎていた。
『酉陽雑俎』巻2-71 蓬球という男が、芳香に誘われて山中の宮殿にいたり、四人の美女と言葉をかわす。鶴に乗った女が「なぜ俗人を入れたか」と詰るので、蓬球は門外に出る。家に帰ると百三十年余りが過ぎていた。
*→〔再会〕1aの『諏訪の本地』(御伽草子)・〔桃〕2の『酉陽雑俎』巻2-68。
★1b.現世にありながら、ある人物が二十年ほど歳をとる間に、その人物をとりまく環境は三百年以上経過する。
『オーランドー』(ウルフ) エリザベス一世の寵児オーランドーが十六歳から三十六歳になるまでの間に、イギリスでは十六世紀末から二十世紀初めまで、三百数十年が経過した→〔性転換〕1。
★2.逆に、異郷で長い時間を過ごしたと思っても、現世ではわずかな時間しかたっていなかったというばあいもある。
『今昔物語集』巻16-17 好色な賀陽良藤は、美女(実は狐)に誘われ一軒の家に連れて行かれて、女と夫婦になり楽しく暮らす。後に救出された良藤は、女のもとで十三年間すごしたと思っていたが、実際は十三日間だった。
『杜子春伝』(唐代伝奇) ある日の日没頃、杜子春は、「ものを言ってはならぬ」との道士の戒めを守り、丸薬を飲む。杜子春は地獄に落ちて責苦を受け、女として現世に生まれ変わり、成長して結婚し子供もできる。しかし終始無言だったので、夫が苛立って二歳の子供を殺す。杜子春は思わず声をあげるが、気がつくと道士の前におり、時刻は翌朝の午前四時頃だった。
『ドン・キホーテ』(セルバンテス)後編第22~23章 ドン・キホーテは、綱で身体を縛ってモンテシーノスの洞穴の底へ降り、一時間ほどして引き上げられる。しかしドン・キホーテは洞穴の底で三日三晩過ごした、と主張する。
『好色一代男』巻2「旅のでき心」 十八歳の世之介は、駿河国・江尻の宿で若狭・若松という姉妹の遊女になじみ、二人を身請けした。姉妹は世之介に、「遊女の客あしらいとして、鶏のとまり竹に湯をしかけて夜明け前に鳴かせ、客を早く起こして追い出すことをした」などの話を聞かせた。
『菅原伝授手習鑑』2段目「道明寺」 藤原時平に味方する土師兵衛・直禰太郎父子が、鶏のとまり竹の中に熱湯を流しこみ、暖気で夜明け前に鶏を鳴かせて、菅原道真をおびき出し暗殺しようとたくらむ。しかし立田(直禰太郎の妻)が計略を立ち聞きしたので彼女を殺して池に沈め、それにともなって、別の方法で鶏を鳴かせることにする→〔鳥〕1d。
妖怪と刀鍛冶の伝説 刀鍛冶が妖怪に、百本(あるいは千本)の刀を一晩で作ったら娘の婿にしてやる、と約束する。妖怪は次々と刀を作るが、あと一本というところで、刀鍛冶は、とまり木に湯を通す・湯をかけるなどして鶏を鳴かせ、妖怪を退散させる(徳島県海部郡)。
『史記』「孟嘗君列伝」第15 孟嘗君一行は、函谷関をぬけて秦国を脱出しようとするが、まだ夜中で関所が開かない。食客の一人が鶏の鳴き真似をすると、あたりの鶏もつられて鳴き出し、関所の番人は朝だと思って孟嘗君一行を通す。
『地蔵浄土』(昔話) 爺が、ころがった豆を追って行く。地蔵が立っていて、豆を食べてしまう。地蔵は豆の返礼に、「夜になると鬼たちが博打をするから、鶏の鳴きまねをして脅せ」と教える。爺が「コケコッコー」と鳴くと、鬼たちは「朝が来た」と思って金を置いて逃げ、爺はそれを得る。隣の爺が真似をするが、人間であると見破られ、鬼たちに叩かれて帰る(青森県三戸郡田子町石亀)。
『夢十夜』(夏目漱石)第5夜 神代に近い昔のこと、白馬に乗った女が、戦場で捕虜になった恋人のもとへ急ぐ。夜が明ければ恋人は殺される。あと少しというところで天探女(あまのさぐめ)が鶏の鳴き真似をし、女は馬もろとも深い淵に落ち入る。
★3c.夜なのに明るくして時間をごまかす。
『雨月物語』巻之3「吉備津の釜」 四十二日の物忌みの最後の夜がしらじらと明け、正太郎は、これでもう磯良の恨みの死霊から逃れられたと思い、安堵して表へ出、たちまち殺される。まだ外は闇で、磯良の霊が正太郎に夜が明けたと錯覚させ、外へおびき出したのであった→〔妬婦〕1c。
★4.時間の経過が、意識の中では実際よりもはるかに短く感じられる。
『法華経』「序品」第1 日月燈明仏が六十小劫の間、法を説き、座を立たなかった。会衆たちも一処に座ったまま、六十小劫の間、説法を聴いていた。彼らにはその時間が、食事をするくらいのわずかな時間に思われた。
『法華経』「従地湧出品」第15 無量千万億の菩薩が大地から湧出して仏を賛嘆する間に、五十小劫の時間が経過した。その場の諸大衆は、仏の神通力によって、それを半日ほどにしか感じなかった。
*逆に、一瞬の間に意識内では長い時間が経過する→〔処刑〕7の『アウル・クリーク橋の一事件』(ビアス)・『隠れた奇跡』(ボルヘス)。
★5.時間を貯蓄する。
『ドラえもん』(藤子・F・不二雄)「時間貯金箱」 のび太は、ママの小言を聞く・晩御飯を待つなど、苦手な時間・無駄な時間を、時間貯金箱に貯金しておき、しずちゃんと遊ぶ時にその時間をおろして、ゆっくり遊ぶ。しかし、時間をおろすとその分時間が逆戻りするので、会社から帰って来たパパは「また昼間になった」と驚いて、会社へ戻って行った。
『モモ』(エンデ) 灰色ずくめの男たちが来て、無駄な時間の貯蓄を人々に勧め、「利子として倍の時間を支払う」と約束する。人々は手早く仕事を片づけて、余りの時間を時間貯蓄銀行に預ける。一日一日がしだいに短くなり、皆忙しく不機嫌になってゆく。灰色の男たちは時間を返すつもりはなく、人間のすべての時間を奪い取ろうとしているのだった→〔眠り〕9。
★6a.時間を止める。
『ふしぎな少年』(手塚治虫) 十三歳のサブタン(大西三郎)は、地下道の壁から四次元世界に偶然入り込み、時間を止める力を授かって三次元世界に帰る。時間を止めると世界が静止し、サブタンだけが活動できる。サブタンはこの力を用いて、事故に遭った人々を現場から救い出したり、ギャングやスパイの武器を取り上げたりする。やがて四次元の穴が修復され、サブタンは時間を止める力をなくし、ふつうの少年に戻る。
★6b.超高速で思考・行動したために、時間が止まったように見える。
『新加速剤』(ウェルズ) ジバーン教授が、通常の千倍以上の高速で思考・行動できる新薬を開発し、教授と「ぼく」はその加速剤を飲んで町に出かける。一秒ほどの間に三十分にも相当する経験をしたので、「ぼく」たちには、町の人々がほとんど静止しているように見える。あまりに速く移動したため、空気抵抗による摩擦熱で、服は焦げてしまった。
★6c.心の中の時間が止まる。
『舞踏会の手帖』(デュヴィヴィエ) 三十六歳の未亡人クリスティーヌは、二十年前、十六歳の時の舞踏会で踊った青年ジョルジュに会いに行く(*→〔舞踏会〕1)。しかしジョルジュは舞踏会の後に、クリスティーヌが他の男と婚約したことを知って自殺していた。ジョルジュの母親は息子の死を認めず、彼女の心の中の時間は止まってしまった。母親はクリスティーヌを見て、「クリスティーヌさんのお母様ね」と言い、「クリスティーヌさんとジョルジュの結婚に反対ですか?」と問う。
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時間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/11/25 15:59 UTC 版)
時間(じかん)は、できごとや変化を認識するための基礎的な概念である。
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- ^ a b 「日本国語大辞典-第六版」小学館 2001年6月
- ^ a b 「広辞苑-第五版」岩波書店 1998年11月
- ^ a b 「国語辞典-第六版」岩波書店 2000年11月
- ^ 「大辞林-第三版」三省堂 2006年10月
- ^ 「国語辞典-第六版」岩波書店 2000年11月
- ^ 「日本語大辞典」講談社 1989年11月
- ^ a b 『大辞泉』
- ^ 他にも、辞書類は似たりよったりの表現を挙げる。例えば「過去・現在・未来と連続して永久に流れてゆくもの」<ref name="日本語大辞典">(「日本語大辞典」講談社 1989年11月)、「過去から未来へと限りなく流れすぎて」<ref name="大辞林">(「大辞林-第三版」三省堂 2006年10月)
- ^ 自然科学分野に限らず、先進国の子供や老人も含めて、という意味。
- ^ a b “曜日の話”. 2011年4月12日閲覧。
- ^ a b c d e ローター・J・サイヴァート 「第1章~第2章」『「幸せ時間」ですべてうまくいく!』 飛鳥新社、2003年。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 阿部正雄 「時間」『宗教学辞典』 東京大学出版会、1973年。
- ^ ラテン語形:Caerus)
- ^ 出典. アウグスティヌス『告白』第11巻第14節
- ^ a b c d e f g h i j k l 安部謹也 『世界大百科事典』1988年。
- ^ ただし湯川秀樹は、ニュートンは自然の空間や時間が本当は均一ではない、と睨んでいたからこそ、あえて自らの体系の中で仮想されている空間や時間を「絶対空間」や「絶対時間」と呼んだのだ、といったことを指摘している(出典:『湯川秀樹著作集』岩波書店)
- ^ a b ロバート・L・フォワード 『SFはどこまで実現するか 重力波通信からブラック・ホール工学まで』 久志本克己訳 講談社〈ブルーバックス〉、1989年、247頁
- ^ 「アインシュタイン自伝ノ-ト」東京図書 1978年9月 ISBN 448901127X p77-80
- ^ 培風館『物理学辞典』
- ^ 時間に最小単位が無いとすると、さる理論のさる系のランダムさが無限に増大してしまうことになる、という理論上の難点を、プランク時間を導入すると解消できた、とも説明されている(出典:培風館『物理学辞典』)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 苫米地英人 「第一章」『夢をかなえる洗脳力』 アスコム、2007年。
- ^ (注)西洋哲学でも新しい分析哲学では1980年代に議論が行われた結果、同様の結論を出している、と苫米地は指摘する。
- ^ ピーター・コヴニー;ロジャー・ハイフィールド「時間の矢、生命の矢」草思社 1995年3月 p15
- ^ 寺田寅彦「映画の世界像」寺田寅彦全集第八巻岩波書店 1997年 所収 p150
- ^ ピーター・コヴニー;ロジャー・ハイフィールド「時間の矢、生命の矢」草思社 1995年3月 p28
- ^ 田崎秀一「カオスから見た時間の矢―時間を逆にたどる自然現象はなぜ見られないか」(ブルーバックス)講談社 2000年4月 p18
- ^ Arthur Stanley Eddington "The nature of the physical world (The Gifford lectures)" MacMillan(1943)アマゾンでの販売
- ^ ウィキペディア英語版"時間の矢"
- ^ 戸田盛和「物理読本(1) マクスウェルの魔―古典物理の世界-」岩波書店 1997年10月 p108
- ^ 藤原邦男;兵頭俊夫「熱学入門―マクロからミクロへ」東京大学出版会 1995年6月 3章
- ^ a b c 長倉三郎、他(編)「岩波理化学辞典-第5版」岩波書店 1998年2月 "可逆性"、"時間反転"
- ^ 吉永 良正 (編)「時間とは何か? (別冊日経サイエンス 180)」日経サイエンス 2011/08
- ^ 渡辺 慧 「時間の歴史―物理学を貫くもの」東京図書 1987年5月
- ^ 吉永 良正 (編)「時間とは何か? (別冊日経サイエンス 180)」日経サイエンス 2011/08
- ^ 吉永 良正 (編)「時間とは何か? (別冊日経サイエンス 180)」日経サイエンス 2011/08
- ^ 本川達雄『ゾウの時間、ネズミの時間』中央公論社、1992年、ISBN 4121010876
- ^ エリック・J. ラーナー『ビッグバンはなかった』河出書房新社、1993、ISBN 4309201954
- ^ ピーター・コヴニー;ロジャー・ハイフィールド「時間の矢、生命の矢」草思社 1995年3月 p19,70
- ^ タイムトラベルを扱うSFや疑似科学ではタイムパラドックスの解消のために分岐時間を使う、などという設定、発想が多く見られる。
- ^ 鋼屋ジン 古橋秀之 「斬魔大聖デモンベイン 軍神強襲」 角川スニーカー文庫 2006/8
- ^ ロバート・L・フォワード 『SFはどこまで実現するか 重力波通信からブラック・ホール工学まで』 久志本克己訳 講談社〈ブルーバックス〉、1989年、259頁
- ^ 山本弘「トンデモ本?違う、SFだ!」 洋泉社 2004年7月
時間と同じ種類の言葉
- 人事院規則一五—一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)e-Gov
- 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律e-Gov
- 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法e-Gov
時間に関係した商品
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